義輝記 星霜の章 その十
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【 水面下の内輪もめ の件 】

 

? 徐州 下? 黄河対岸 にて ?

 

《 晋軍 陣営 》

 

韓馥「この大軍の前では、曹孟徳といえど迂闊に攻め込む事もできまい! そう思うであろう………閔純?」

 

顔を真っ白に白粉を塗り、口に紅を引いた韓馥が、閔純の顔の直前まで寄せて意見を聞いてきた。 

 

勿論、久秀や順慶に好意を抱く閔純にとって、韓馥の行為は気色悪いの一点しかない! 

 

閔純は、考えるフリをして顔を横に向け、その攻撃を逸らしつつ、違う事を返答していた。 

 

閔純「まさか……勝手に、兵を十万も余分に持ってくるとは……! 久秀様や順慶様に許可を得ず、このような事をして宜しいのかぁ!?」

 

韓馥「ふん! 何を言うかと思えば……。 勝てばいいのよ、勝てばなぁ! そもそも……洛陽軍が十万も満たない軍で、野戦で止めようとしているのに、何故……五倍以上の兵力で出陣しなければならんのだ!! 

 

ここで、曹孟徳を打ち破り『北郷一刀』を殺害すれば、背後の憂いや外史の仕事やらが、早く済むではないか!」

 

閔純「………しかし、その分……本隊が手薄に………」

 

韓馥「心配無用じゃ! 昔、寝物語で聞いた話じゃが、百万の兵を呼べるとな! それに、洛陽軍の到着も、まだ刻があろう! その内に曹操軍を落とし、洛陽軍を挟み打ちにすれば、お褒めの『調教』があろうかもな?」 

 

閔純「………なるほど! それなら更なる褒美を頂ける可能性が!!」

 

韓馥「納得いったかの? それと……例の『人型』を目立つところに出しておけ。 劉焉作の見事な絵……久秀様と順慶様に瓜二つじゃて……ぐふふふ」

 

★☆☆

 

? 徐州 下? 城謁見の間 にて ?

 

華琳「…………貴女達に、兵を預けよと?」

 

道雪「客将としての権限を越えますが、華琳殿も早急に敵軍勢を撃破したいとお思いのはず。 私達が軍勢に攻め入り、隙を作り出しますので、決死の勇者は二万! お貸し下さい!!」

 

華琳「私としては有り難い申し出だけど……貴女達に何かあれば……颯馬達が悲しむのでは?」

 

義弘「大丈夫! 虎牢関の戦とか見ているでしょう? 私達は簡単には死なないわよ! それにね、颯馬の顔が悲しみに彩られるなんて……見たくないから! 必ず生きて……再会するのよ!!」

 

ーーー

 

宗茂「流石、『鬼島津』です! 私も兄様(あにさま)に会って、褒めてくれるまで倒れません!!」

 

家久「そうだよ! 鬼の二つ名を持つ二人が、先頭に立って行くんだもの! そう簡単に、やられる訳ないもんね!」

 

紹運「お前達………褒めているのは分かるが、若いオナゴに『鬼』を連発で言うのは………な。 ─────相当キツいぞ?」

 

ーーー

 

義弘「………また、言われた………もぅ! やだぁ!!」

 

道雪「はぁぁぁ………………」

 

ーーー

 

春蘭「私は羨ましいぞぉ! その言葉は、『天の国』では勇猛果敢な勇者を讃える褒め言葉と聞いている!! もの凄い名誉ではないかぁ!!!」

 

鈴々「鈴々はねぇ、虎なのだぁ!! がおぉぉぉ──!!」

 

ーーー

 

義弘「………なんでかな? もの凄く癒やされる……」

 

道雪「………ふふふっ。 そうですね……」

 

ーーー

 

春蘭「???」

 

鈴々「にゃぁ───???」

 

 

◆◇◆

 

 

【 何進の裁きと瑞祥 の件 】

 

? 益州 成都近辺 にて ?

 

────霧の中で、何があったのかは………よく分からない。

 

霧が晴れ上がった後、そこには…………牛や人の死体。 呻き声を上げる怪我人。 そして、縛られて正座させられていた迷吾と仲間の兵、気絶している阿貴の姿があった。

 

桔梗「此方は粗方、片が付いたぞぉ! そっちはどう………おぉ! 見事な物ではないか!! 流石だな、紫苑よ!!」

 

紫苑「それがねぇ〜私達の活躍が殆ど無かったのよ! 残念だわ……」

 

焔耶「────────ブルブルブルブル」

 

桔梗「ん? 焔耶は風邪か? 体調には気を付けろと何時も言っておろうに。それと、閣下の姿が見えぬが………? な、何かあったか!?」

 

紫苑「うぅうん……寧ろ大活躍だったわ! ほらっ! 閣下が問責を開始されるわ! 私達も早く参りましょう?」

 

桔梗「う、うむっ!」

 

焔耶「ワ、ワタシも行きます!!」

 

★☆☆

 

上半身を縛られ、正座をさせられ、一カ所に集められた羌、?の兵士に何進が出向く。

 

何進「………儂が何進だ!」

 

迷吾「…………フンッ!」

 

阿貴「……………………」

 

何進が呼びかけるが、それぞれ無視をした。

 

何進「………羌、?の王よ! 戦での数々の無礼……謝らせて貰う。 誠に申し訳ない!」

 

そう、言い放つと、何進は地面に正座して……土下座! 謝罪の意を示す!

 

始めは、意味が分からず、苦笑していた二人の王だが、『天の国式最高謝罪姿勢』と聞いて、口を大きく開けて唖然としていた。

 

後から来た三人の臣下により押し止められ、渋々止める何進。

 

何進「……因みに、最高謝罪行為が『切腹』になるそうだ。 流石に、それをやると命に関わるらしいからな! これで……我慢して貰いたい!」

 

迷吾「お前、馬鹿だろう!? 絶対、馬鹿だと言われているだろう!?」

 

阿貴「………静かに! 漢の大将軍よ、お前は我々に勝った。 圧倒的な兵力を前にして、此ほどまで鮮やかに勝敗を付けられると……悔しさの前に諦めがつく! 

 

だが、最後に私からの頼みだ! 私の命と引き換えに、兵達は許して欲しい! これらは、私の命令に忠実に従い付いて来た連中だ。 罪は我にある!! 我を罰し、この者達を国へ返してくれ!!!」

 

迷吾「………しゃあねぇ。 俺も同じだ……コイツらの罪は、俺の命で償う! だから、コイツらを許してくれや!!」

 

桔梗「………我等は、閣下の判断に従います! ───ご決断を!!」

 

『……………………………………』

 

何進「………………良かろう。 全員! 洛陽に連行する!!  罪は罪! 罰は罰! ただで国許に返さん!!」

 

阿貴「──────!」

 

迷吾「なっ────!?」

 

『─────────!』

 

何進「………さて、説明する前に言っておくが、全員生かして国許に帰って貰うからな!」

 

阿貴「ど、どういう───!?」

 

迷吾「分かるように説明しやがれ!!」

 

何進「まず、お前達の罪は……漢に攻め込み、戦で我が軍の兵士を傷つけた。相違は無かろうな?」

 

コクリと阿貴、迷吾以下が、首を縦に振る。

 

何進「………しかし、我が漢王朝も……お主達を虐げてきたのも事実! 寧ろお主達の罪より重い! それらを踏まえ公平に見ての判断だ。 

 

羌、?の王は、漢王朝で一定の期間働いて貰う! 同時に、今の王朝内羌、?の慣習を見て貰い、昔と違う事を感じて国許に広めてくれ! また、漢からの悪習があれば、即取り除く為、政務の確認も頼む!!

 

兵士の皆は、同じように一定期間、洛陽で働いてくれ! 勿論、衣住食も面倒みるし給金も出すぞ! よぉーく洛陽を見物して、国許へ土産話で語って欲しい!!  ─────以上だ!!」

 

何進は、そう言い放つと……左右に控える臣下に語り掛ける。

 

何進「こんな裁きで……どうかな?」

 

桔梗「我等は、従うだけ………のぅ紫苑、焔耶?」

 

紫苑「えぇ! 誇りと笑顔を持って従いますわ!」

 

焔耶「同じく!」

 

ーーー

 

迷吾「ば、馬鹿じゃねぇ…………。 大馬鹿野郎だ………!!」

 

阿貴「…………感謝! 感謝する!!」

 

★★☆

 

バァ─────ン!

 

バァ─────ン!

 

急に………山頂で、鳴り物が響き渡る!!

 

羌、?の軍勢も、何進達でさえ、この事が何の合図だか分からない!

 

すると………空に………『竜』と『鳳凰』の影が…………!!

 

迷吾「お、おいっ! あ、あれって!!」

 

阿貴「…………瑞祥(ずいしょう)か!!」

 

迷吾と阿貴、配下の兵士達は、何進に向けて座り直し、頭を深く下げる!

 

何進「な、何があったと言うんだ!?」

 

当の何進が慌てふためく!

 

阿貴「今、見えた物は竜と鳳凰の姿! 天からの祝福の使者で御座います!」

 

博識な阿貴が説明した。 

 

『竜や鳳凰などの聖獣が見えるとき、新しき皇帝が誕生する!』と!

 

しかし、何進には……その意志は無い! 自分には、そんな器も無いし、面倒事はこりごりだ!! さっさっと街の中へ民として戻りたいのだよ!! と説明する。 

 

しかし、阿貴は、この行動を謙虚として『───ならば、皇帝に近い『聖人』に違いない!!』 と言って、また頭を下げた。

 

阿貴「数々の無礼を働いた我々を許して頂くだけでなく、かのような厚恩を与えて下さる貴方様は───正に聖人! これから、誠意を持ってお仕え致す所存で御座います!」

 

迷吾「何進! い、いや! 何進兄者! 俺達もアンタを頭に働かせてくれ! アンタの心胆には───心底惚れた! 頼む! 頼むよ!!」

 

二人の王が縛られてたまま、何進に這い寄る。 

 

兵士達は……更に頭を下げる! 

 

何進「儂は、そんな立派な人物じゃなぁ─────い!!!」

 

何進の叫び声は、あっちこっちの斜面に跳ね返り、木霊を繰り返していた。

 

◆◇◆

 

【 久秀の異変 の件 】

 

? ?州 鳥巣 鳥巣砦 にて ?

 

于吉「───さて、洛陽軍……いや『伏竜の軍勢』、いやいや『竜驤軍』ですか? とうとう天に昇る為、我々に挑んできますね!!」

 

久秀「……………………」

 

順慶「久秀!  久秀!!」

 

久秀「はっ!? あっ、順慶………」

 

于吉「久秀殿………貴女は、この私からの助言を、守っていませんでしたね? 無闇に術を使えば、寿命が尽きて身の破滅だと…………」

 

久秀「………………そのように操ったのは、貴方ではなくて? 于吉!!」

 

于吉「さぁ〜〜知りませんね? 

 

一つ言えるのは、様々な選択があった中、貴女は私の誘いに乗り、この外史へと来た。 日の本で天城の帰りを待つ事も、自力で探しに行く事もせず、安易に私を受け入れた。 つまり、原因は……久秀殿、貴女なのですよ!!」

 

順慶「くっ!! 老師!! 老師のお力で、何とか……なりませんか!?」

 

左慈「………勘違いして貰っては困る! ……俺は、コイツの仲間である『不定者側の管理者』だ。 確かに、コイツの事は気に入らん! 

 

だが、俺はお前にも……特別な感情は持ち合わさん!! お前も別世界の人形の一人! お前の力が限界以上使用してしまえば、この前のように手助けはしない! 醜い老婆の姿となり、息絶えるのだ!」

 

順慶「老師────!!」

 

久秀「………順慶、止しなさい!」

 

順慶「久秀、貴女は憎くはないのですか!? 後少し、後少しで……颯馬様に出会い、奪った姫武将達を殺害し、私の物に出来るのですよ!?」

 

久秀「フッ………どさくさに紛れて『私の』ね? 違うわよ! 久秀の物なの!! 久秀の……久秀の…………愛しい玩具………」グラッ

 

順慶「久秀!!!」

 

久秀「私は…………少し眠るわ。 颯馬の対決が始まったら……起こして頂戴。 くれぐれも、一人締めは駄目だから………………」スゥ─

 

順慶「────分かりましたわ。 洛陽の戦いでは、私を逃がしてくれましたからね。 この借りは、必ず……お返ししますわ!!」

 

順慶は、久秀をお姫様抱っこして、寝台に寝かしに行った。

 

ーーーーーーーー

 

于吉「フフッ! これで……私のシナリオどおり進んでいますよ? 後は、役者が足りませんね! 『北郷一刀』と『曹操軍』が!!」

 

左慈「…………………………」

 

于吉「どうしたのです? まさか、順慶に言った言葉を、後悔しているのですか? 確かに、左慈にとっては、初めての弟子になるのですね?」

 

左慈「ふんっ! 後悔だと!? あんな傍迷惑な弟子など、早急に手を切るつもりだったんだ!! ………………まぁ、これで綺麗に切れた! 後腐れも無くて、清々するよぉ!!!」

 

そう捨て台詞を残して去って行く左慈。

 

于吉「………嘘を付くのが、相変わらず下手ですね。 いつもの寡黙な左慈はどうしたのです。 まぁ、いいでしょう………。 私も経験はありますから。

今は、そっとして置いて、策の準備をしましょうかね?」

 

 

◇◆◇

 

 

【 軍師の願いを受けて の件 】

 

? 益州 成都近辺 にて ?

 

何進「なんで……こうなった!?」

 

紫苑「良いではありませんか! 結果としましては、私達の想定以上です!」

 

桔梗「───閣下! 焔耶に阿貴、迷吾以下数万の捕虜を引き連れさせ、成都に帰還させましたぞ!! ………ん? 何を悩まれておられる? もっと喜びなされよ!! このような成果、漢王朝成立以来ですぞ!?」

 

────スッ!

 

三太夫「よっ! 何進の旦那! 上手く事が運んで良かったな!!」

 

桔梗と紫苑が警戒の目を向ける!

 

桔梗「───主は!?」

 

紫苑「──────!」

 

何進「大丈夫だ! その者は『天の御遣い』の一人『百地三太夫』、儂の策に一役買ってくれた功労者だ!!」

 

三太夫「何進の旦那より紹介あったけど、天城颯馬に仕えし忍びの一人『百地三太夫』……宜しく頼む、姐さん達!!」

 

桔梗「とんだ御無礼を! 儂の名は『厳顔』 真名は『桔梗』と申す! どうか真名をお預けしますので、『桔梗』とお呼び下され!! 今後とも宜しく願う!!」

 

紫苑「……私は何進大将軍閣下に仕える将の一人、姓は黄、名は忠、字は漢升、真名は紫苑と申します! 同じく真名を預けさせて頂きます!」

 

何進「それにしても、連絡も無しで、三太夫が来てくれるとは思わなかった! 随分助かったぞ! 礼を言わせて貰いたい!!」

 

三太夫「いや、礼なら『紫苑』の姐さんに言ってくれ! ちょっとした件で頼まれ事があってさ! 益州に寄ったら、何進の旦那が大変そうだったから、臨時の助っ人で参加したんだ!」

 

何進「ほぅ? 紫苑がか……? それは手間を掛けさせた! すまないな、紫苑! ありがとう!!」

 

紫苑「い、いえっ……!! とんでもありません/////////」

 

桔梗「…………………………」

 

★☆☆

 

桔梗「ところでの、閣下? どのようにして、あの者達を屈伏させたのだ? かなりの強者のようだったようですが…………?」

 

何進「そうだな……順番に説明しよう……」

 

▼☆▼  ▼☆▼  ▼☆▼  

 

第一策 《 縮地の計 》

 

最初、彼らの前に挑発行為をして、儂が逃げ出す。 

 

ある一定区間を通る時、例えば曲がり角とかあれば、細工をして隠れるようにする。 そして、同時に先で待っていた『何進の偽者』が進む。 

 

これの繰り返しで、ここまで誘導したのだ。 ワザと道が細くなる所を選んでおいてな…………。

 

三太夫「しかし、何進の旦那! アンタ運動不足だ! 

 

偽者は、ここの精兵だけあって動きは良かったが、旦那は最初で捕まりそうだったぜ? 勿論、アイツらの邪魔をしたり、旦那を背負って逃げたりしたから、バレなかったけどな!」

 

うっ…………面目ない。

 

★☆★  ★☆★

 

第二策 《 真・火牛の計、塩投求牛の計 》

 

これは、天城の策と儂の経験からの策だ。

 

真・火牛の計を破る者が出てくるとは、世の中進歩しているのだな……。

 

★☆★  ★☆★

 

第三策 《 七影武人の計、???の計 》

 

天城から授かった天の国に伝わる戦術『七影武人の計』だそうだ! 

 

武に腕がある配下と突撃し、それぞれが主の名を名乗り、混乱を引き起こす!

 

一種の捨て身の計略らしいが……儂も死ぬ訳にいかんのでな………。

 

そのため、生き残る事を優先にした戦法に変えたのだ。

 

ーーーーー

 

……そのために、霧を強制的に発生させ目くらましを作り出し、儂と三太夫と偽者が突っ込んだのよ!!

 

紫苑「どおりで……! いつもより霧の発生が早かったものですから!!」

 

火牛に点火する火を準備する為、篝火を幾つか燃やしただろう? あれは、皆に暖を取らせる事もあったが、霧を発生させる為の道具でもあったのだ!

 

『───────!』

 

三太夫「補足を入れれば、暖かい空気が冷たい空気と合わさると、細かい結露が出来る。 それが下がって霧になる………っても分かんねぇか?」

 

学が無い儂に、そのような事言われても……な。 二人なら別だろうが……。まっ、兎に角そんな訳だ! 

 

そして、儂も入ろうとしたが、足手まといだから来るなと………。 慣れないと霧の中での敵味方は判別しにくいからとな。

 

ーーー

 

三太夫「後、俺が入り込み攪乱したんだが……。 

 

何進の旦那! その事で一つ聞きたいんだが……あの『声』ってのは、やっぱ旦那の仕業かい? アイツらが、『声』が聞こえてきた方角に向かい、防御したり攻撃したりしてたからさぁ……。 それに乗って動いた俺も俺だけど!」

 

あぁ! 前の戦で、果心居士より教えてくれた『大道芸』だ。 

 

簡単だと言う割には、難しかったぞ? 程仲徳の『腹話術』と似たようなモノでな。覚えると、結構役に立つんだよ。 仕事をサボると…………。

 

桔梗「ほほぅ? 誰も居ない部屋で、返事がする事があったが………」

 

紫苑「焔耶ちゃんにも、教えてあげないと……。 涙目で探している時があるから…………」

 

まぁ……そのぉ……すまん!! 詫びさせてくれぃ!!!

 

???の計は、その…………分かっているだろうから……省略!!

 

紫苑「私はよくわかりませんわ……? 具体的に仰て頂かないと……ね?」

 

桔梗「そうさのぉ! 閣下には、策を懇切丁寧に、配下へ説明する義務があるからのぉ〜!」

 

い、嫌だぁ!! そんな死亡確定の説明事項など、誰が説明するものか!!!

 

大将軍の権限の下、却下する!!

 

▲☆▲  ▲☆▲  ▲☆▲  

 

何進「…………とりあえず、こんな理由だ!」

 

三太夫「あぁ、果心居士かぁ! 旦那が俺の忍術みたいの使えるから、なんでだろうと考えてねぇ! そぅか、そんな訳なんだ!」

 

桔梗「分かったような分からないような……話だが、怪しい術では無いわけじゃな! しかし、最後の竜と鳳凰の影は…………?」

 

三太夫「天城の旦那に頼まれた策でさ! この二組の鏡なんだ!」

 

背中から背負った『風呂敷包み』を降ろす。 

 

中には二枚の銅鏡。 綺麗に磨き込まれている一級品だ。

 

何進「………ふむ、『魔鏡』か! これで光を反射すれば鏡面の中にある絵が写りでる仕組み。 また、天城に一杯食わされたな…………」

 

ーーー

 

桔梗「あの颯馬殿の知謀………実際に体験すれば、確かに肌寒いものがある。 だが、敵味方になるべく、被害を出さないようにするか………。 儂には分からん御心の持ち主よ!」

 

紫苑「桔梗……今なら、理解できるのではない? 愛しい人を亡くす事、それが如何に辛くて、悲しい出来事である事か………」

 

桔梗「されど………戦は命のやり取りをするモノ故、死は必然的──」

 

紫苑「……私は……二度も三度も繰り返す事なんて………もう、嫌! 絶対に嫌!! 璃々を失う事も残して死ぬ事も、貴女と言う友人を亡くす事も、閣下と言う……愛しき殿方を再度……死別する事も!!!」

 

桔梗「………………そうか」

 

ーーー

 

何進「───さてっ、戦後処理は後に任せて、儂ら颯馬の手助けに行くぞ! 颯馬が今まで願っていた大陸の平和! 後、少しで実現出来るのだ! 桔梗! 紫苑! 三太夫! 主達の力を貸してくれ!!!」

 

桔梗「言われなくとも!」

 

紫苑「お任せ!!」

 

三太夫「任しときな!!」

 

何進「………………紫苑、先の話、最後の大戦が終われば聞かせて貰う!」

 

紫苑「──────はいっ! //////////」

 

桔梗「儂もじゃ! 儂も聞いて貰うぞぉ!? 閣下よ!!」

 

何進「生きていれば、何度でも聞いてやる! それまで死ぬでは無いぞ!!」

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

やっと、益州が終わりました。 あんまり待たせたので、久秀に異変が起きてしまったようですが、こればかりは…………。

 

魔鏡の技術は、漢時代には成立していた事実があるため、詳細は省きました。

興味ある方は、検索サイトにて調べて下さい。 販売もしているし、結構手頃な値段で買えるようですが。

 

近頃忙しくなり、最後をどうしようかと悩んでいましたが、戦の集結までは、何とか構想が練れました! どこまで作者の意図が、隠せれるかわかりませんが、宜しくお願いします! 

 

次回は来週金曜日を予定としますが、早くなるか遅くなるかわかりませんので、気長にお待ちください!

 

説明
義輝記の続編です。よろしければ、読んで下さい!
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コメント
ふかやん様 コメントありがとうございます! 誰かが始めたのなら誰かが終わらさねばならない。 それが、何進の動いた原動力ですが……責任は大きいです!(いた)
自分達に非があるのならば素直にそれを認める…言葉では口に出せてもいざ行動をしようとするとなかなかできない物。何進の今回の行いは正に素晴らしいとしか言えません!!(ふかやん)
naku様 コメントありがとうございます! まぁ………颯馬の策で、ほぼ残る事確定状態です。 『責任』『人間関係』『義務』等で拘束。『何進はクールに去るぜ!』と言う状態は無理でしょうね。 (いた)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! すっかり自分なりの地位を獲得してしまいました。 元は悪役でチョイ役で殺される予定だったのに……。(いた)
何進の漢っぷりが急上昇してますね。益州じゃ伝説とかになりそうな位に。(mokiti1976-2010)
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