英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
6限目 特別HR―――
〜1年Z組〜
「それでは、具体的な案を皆さんから募りたいと思います。」
オリヴァルト皇子達が会議室で色々と話し合っている中、Z組は学園祭についての話し合いをしていた。
「―――開催日程は来月の10月23日、24日の2日間。出し物などの設置準備は前々日の午後からになります。当然、その前までにも入念な準備が必要になりますね。」
「……まあ、その意味でも何にするかどうかは重要だろう。展示、イベント、ステージ……飲食店舗なども許可されている。そうでしたね、クロウ先輩?」
エマと共にHRを進行しているマキアスはクロウに視線を向けて問いかけた。
「ま、単なる展示ってのはどこのやらんと思うけどな。なんつーか、それをやったら学生として負けってカンジ?」
「まあ、まずはみんなでアイデアを集めていきましょう。何でもいいので、思いついた物から言ってくださって結構ですよ?」
エマに問いかけられたリィン達だったが、全員黙り込み、誰も案を出さなかった。
「あはは……」
「君達な……少しは協力したらどうだ?」
「これでは学園祭の出し物の為にわざわざ用意した時間が無駄になるぞ。」
その様子にエマは苦笑し、マキアスは呆れ、レーヴェは静かな表情で指摘した。
「ええ、わかってはいるんですけど……」
「その、何となく集中、しきれないっていうか……」
マキアスとレーヴェの指摘にリィンとアリサは困った表情をし
「それに全員って言っても、プリネたちはいないしねー。」
「仕方ないよ……プリネは公務の関係でいないし、エヴリーヌはプリネの護衛、ツーヤは高熱を出して倒れた後突如繭みたいなものに包まれたセレーネの看病をして休んでいるんだし……」
ミリアムの言葉を聞いたエリオットは不安そうな表情で答えた。
「ツーヤの話ではセレーネがあの繭のような物に包まれたら、”成長”と言っていたが……」
「……心配である事には違いないな。」
「………………」
ガイウスが呟いた言葉を聞いたラウラは静かな表情で頷き、リィンは心配そうな表情で黙り込んだ。
「……お前こそ、先程から落ち着かない素振りだろうが。」
「ぐっ……」
そしてユーシスに指摘されたマキアスは唸り
「あはは、無理ないよね。」
エリオットは苦笑しながら言った。
「ちょうど今、理事会で我らの処遇も話されている……」
「その理事が肉親ともなればなおさら気になるだろうからな。」
「はあ、そうなのよね。……今月の”特別実習”もどうなるかわからない状況だし。」
「……まあ、そうだな。先月の実習の事を考えれば中止になってもおかしくない。」
ラウラ、ガイウス、アリサの話を聞いたマキアスは複雑そうな表情で頷いた。
「フン、別に実習に拘っているわけではないが……勝手なカリキュラム変更に納得できる訳がないだろう。……その判断に身内が絡んでいるとなれば尚更だ。」
「うーん、確かに……」
「わからなくはないかも。」
複雑そうな表情で答えたユーシスの意見にエリオットとフィーは頷き
「実際、実習に行くかどうかで準備期間も変わってきますから出し物にも影響しそうですし……確かにちょっと困りましたね。」
エマは考え込んだ後困った表情で頷いた。
「真面目だねぇ、お前さんたち。」
そしてリィン達の様子を見たクロウは苦笑した。
「ねえねえ、レーヴェ〜。3日前からプリネが公務で留守にしているけど、もしかして3日経っても帰って来ないのは”列車砲”の件?」
「それは…………」
「……………………」
その時レーヴェを見つめて質問したミリアムの質問内容を聞いたリィンは血相を変えた仲間達と共に真剣な表情になり、アリサは複雑そうな表情で黙り込み
「ガレリア要塞の件を各国に黙る代わりにエヴリーヌさんの列車砲破壊の責任を問わない件と、残りの列車砲をメンフィル帝国に贈与した事……ですね。」
「あの件には直接関わっていなくても、ケルディックの臨時領主も兼ねているプリネなら”列車砲”の配備について関係しているかもしれんな。」
不安そうな表情をしたエマの言葉に続くようにユーシスは真剣な表情で推測し
「――ああ、そうだ。プリネ皇女はエレボニア帝国から贈与された”列車砲”を配備する最有力候補の場所を知った後猛反対しているそうだからな。それが原因で、未だに学院に戻ってきていない。」
レーヴェは静かな表情で頷いて答えた。
「プ、プリネが猛反対する場所ってもしかして……」
「―――エレボニア帝国に隣接しているメンフィル領か。」
レーヴェの答えを聞いてある事に気付いたエリオットは不安そうな表情をし、ユーシスは真剣な表情で呟き
「ちなみにどこが最有力候補に上がっているの?」
フィーは真剣な表情でレーヴェを見つめて尋ねた。
「―――まず一つ目はルーレの山奥に存在する温泉郷―――ユミルだ。」
「なっ!?どうして郷に列車砲を……!」
レーヴェの答えを聞いたリィンは血相を変えてレーヴェを見つめ
「ユミルに”列車砲”を配備すれば、万が一エレボニア帝国と戦争になった際、エレボニア帝国の五大都市の一つ―――ルーレ市と”四大名門”の一つ―――”ログナー侯爵家”に甚大な被害を与える事が可能な事に加えて”ザクセン鉄鉱山”を崩壊させる事ができる為、エレボニア帝国に対し、有効的な攻撃になるという理由でレン皇女が提案した。」
「!!」
「そ、そんな!?ルーレはともかくザクセン鉄鉱山には兵士はほとんどいなく、いるのは鉱員ばかりですよ!?それにもしルーレに列車砲による砲撃をされたら、何万人もの市民達が犠牲になるんですよ!?」
レーヴェの答えを聞くと目を見開き、アリサは表情を青褪めさせて声を上げた。
「だけど、兵器を量産している巨大な工場があるルーレやエレボニア帝国の屋台骨であるザクセン鉄鉱山を崩壊させる事ができれば、エレボニア帝国は鉄鉱石の採掘が困難になって、兵器の量産が困難になるから戦略的な面で見れば有効だね。」
「というか戦争を前提で提案するとか、そのレン皇女って奴はとんでもない物騒な皇女だな…………」
「……レン皇女は多くの市民達が犠牲になるとわかっていながら提案したのですか?」
フィーは真剣な表情で推測し、クロウは疲れた表情で溜息を吐き、ラウラは真剣な表情でレーヴェを見つめて尋ねた。
「ああ。それと同様の理由でもう一つの最有力候補は”ケルディック要塞”だ。」
「ケルディック要塞という事は………」
レーヴェの説明を聞いたマキアスはユーシスに視線を向け
「―――狙いはルーレと同じエレボニア帝国の五大都市の一つであり、”四大名門”の一つである”アルバレア公爵家”に甚大な被害を与える事ができるバリアハートか。」
「ユーシス…………」
「………………」
目を細めて呟いたユーシスの様子をエリオットは心配そうな表情で見つめ、ガイウスは静かな表情でユーシスを見つめていた。
「レン皇女は何故、多くの民達が犠牲になるとわかって、そのような恐ろしい提案をされたのでしょう……?」
「レン皇女曰く列車砲でクロスベル自治州の民達を人質に取ったエレボニア帝国は自分達に列車砲の砲口を向けられても文句は言えないとの事だ。―――つまりは”因果応報”という事だな。」
不安そうな表情をしているエマの疑問にレーヴェは静かな表情で答え
「それは…………」
「「………………」」
レーヴェの答えを聞いたラウラやマキアス、アリサは複雑そうな表情になった。
「何にしても、本当にどっちかに配備されたらエレボニアとメンフィルの国家間修復どころか、緊張状態になるね〜。」
「――だからこそ、プリネ皇女は猛反対している。二国間を緊張状態にさせないためにも……―――そしてお前達の為にもな。」
そしてミリアムの推測に答えたレーヴェの説明を聞いたリィン達はそれぞれ黙り込んだ。
「―――遅くなってすみません。ようやく公務が終わりました。」
「ただいま。」
するとその時扉が開かれ、プリネと共にエヴリーヌが教室に入ってきた。
説明 | ||
第213話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1918 | 1759 | 3 |
コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 しかもエレボニアはクロスベルに対して配置した事があるから反論すらできないww(sorano) 戦略的にみてもレンの言っていることは正しいですね・・・そも配置したとしても戦争にならない限りは威嚇と防衛機構の役割を果たすだけですし、エレボニア側がメンフィルに対してだけ戦争を仕掛けなければいい話しですから(本郷 刃) |
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