真・恋姫無双 外史に降り立つ仮面ライダー |
陳留の城の中庭。そこで俺と夏候惇は互いに向かい合っていた。夏候惇の手には大剣が握られている。俺も既に腰に戦極ドライバーを巻いて、オレンジロックシードを手に持っている。
「………二人とも、準備はいいか?」
秋蘭が声を掛けてくる。
「応!私はいつでも構わんぞ!!」
「ああ、大丈夫だ」
<オレンジ!!>
まだ変身していないが準備は整えた。
「では……始め!!」
「でぇぇええええい!!!!」
「あぶなっ!!」
開始の合図がかかると同時に突っ込んでくる夏候惇。
夏候惇の勢いを利用した鋭い一撃を何とか躱す。
「貴様!!避けるな!!当たらんではないか!!」
「避けなかったら死ぬわ!!」
そう叫びながら、何度も剣を振るってくる夏候惇。それを紙一重で躱し続ける。………しかし、腑に落ちない。((なぜ俺は夏候惇の振るう剣筋が見える?|・・・・・・・・・・・・・・・・・・))幾ら仮面ライダーの力を手に入れた所で元の身体は少々腕が立つ学生程度だ。……それが歴史に名が残るほどの猛将、夏候惇の剣を見切る?有り得ない。………が、そのおかげで命拾いしているのだから後でじっくり考えるとするか。
「ええい!!これでもくらえッ!!」
「よっ……と!!」
上段から振り下ろされる剣を身体を少し反らすことによって避ける。
「ふっ、掛かったな!!」
夏候惇は勝ち誇った様な笑みを浮かべながら、振り下ろした剣を巧みに操り、左斬上げでこちらを切り伏せにかかってくる。
「だから!!当たったら死ぬだろうがッ!!」
「「なっ!!?」」
だが、その一撃も後方へ飛び退くことによって回避する。今の一撃を躱せたことが意外だったのか、夏候惇はおろか、秋蘭まで声を上げていた。………というか俺自身も驚いている。結構必死だったので、思い切り力を入れて飛んだら3メートルほどは後ろへと飛んでいたのだから。
…………ま、変身する時間が作れたから良しとするか
<ロック・オン!!>
「……変身」
そう言いつつ、ロックシードをセットし、カッティングブレードでロックシードを切る。
<ソイヤッ!! オレンジアームズ!花道オン・ステージ!!>
ロックシードから流れる電子音声と共に俺の身体に鎧が展開される。
「………改めて名乗ろうか。俺の名は仮面ライダー鎧武。……悪いが、ここからは俺の独壇場だ!!」
「………話は聞いたとはいえ、実際に見てみるとかなり面妖なものね」
一人、模擬戦を行っている場所から離れている華琳は呟く。
華琳の視線の先では、先ほど鎧武と名乗りを上げた零児と春蘭が剣を打ち合っているのが見える。先ほどまで零児が春蘭の剣を躱していたことにも驚いたが、彼の持っていた戦極ドライバーとやらは自分が持っていた常識が通用しないもののようだ。なにせ空間が裂け、そこから鎧と武器が一瞬にして現れたのだから。……しかもあの鎧は使用者の身体能力を上昇させる力もあるのか、零児の動きが鋭くなっている。
「…………あの力があれば、私の目指す覇道もきっと………」
そう呟く華琳の声は決意を感じさせるものだった。
「おら…よっと!!」
右手に持つオレンジアームズの武装、<大橙丸>を振るい、夏候惇へと攻撃を仕掛ける。
「はっ!!温いわ!!」
……が、容易く受けられ、反撃される。何だかんだでついて行けてはいるものの、ライダーのスペックによるゴリ押しでもこの結果。……………どれだけ化け物なんだ?夏候惇。というより、鉄板を斬り裂ける大橙丸を受け止める模擬刀って何で出来ているんだよ?!オリハルコンでも使っているのか?!
「チッ……中々しぶといな、貴様!!」
「ハッ…そりゃどーも。…………結構楽しかったが、そろそろ決めさせてもらうぜ……!」
反撃を受け流しつつ、距離を取る。夏候惇の苛立ちまじりの言葉を受け流しつつ、大橙丸を左手に持ち替え、右手でカッティングブレードを二回倒す。
<オレンジ・オーレ!!>
ベルトから電子音声が流れ、大橙丸にオレンジ色の光が宿る。
「なんだとぉ!!舐めるなよ貴様ぁ!!」
怒号と共に、上段に剣を構え、突っ込んでくる夏候惇。それを俺は再び大橙丸を右手に持ち直すと同時に肩に担ぎ、態勢を低くして待ち構える。
「でぇええええええい!!!」
「貰った!!」
夏候惇の振り下ろしと俺の一閃が交差する。
「………俺の勝ちでいいな?夏候惇」
「…………………ああ。このような状態では、負けを認めざるをえん」
夏候惇が振り下ろした模擬刀は半ばから折れてしまっていた。………それでも必殺技使わないと折れないのが納得いかない……!模擬刀でこれなら本物ほぼ確実に破壊出来ないだろ。
「……ハッ!そ、そこまで!!勝者、緋霧!!」
ようやく秋蘭が結果を口にする。……さっきまで呆然としていたが…((鎧武|おれ))の力に驚いたってところか?
「フフッ、二人共良い試合だったわよ。春蘭はともかく、零児があそこまで戦えるとは思ってもみなかったわ」
「俺としてはライダーの力を使って互角っていうのが納得いかないがな」
本来インベスと戦うための物と互角の勝負が出来る人間って何なんだよ……
「私の剣である春蘭の実力を舐めてもらっては困るわ。……それで?春蘭。あなたが確かめたかったことは確認できた?」
そういえばそうだった。元々、この勝負は春蘭が俺の実力を確かめるために行われたものだった。
「緋霧、私の真名は春蘭だ。………これからはそう呼べ」
「…応。宜しく頼むぞ、春蘭」
「さて、春蘭の望みも叶ったことだしこれからについて話すとしましょうか」
「………俺の扱いについてか」
「察しがいいわね。………これから貴方は《天の御遣い》として生活してもらうことになるわ」
「………天の御使い?また随分と胡散臭い名前だな」
少なくともそう名乗る奴が目の前にでたなら俺なら即刻病院へ行くことを進めるな。
「そうかしら?海の向こうや未来から来た、なんて言われるよりよっぽど信用してもらえると思うけれど?」
華琳が自信に満ち溢れた顔で述べる。………ああ、成程。まだ俺はこの世界について理解が及んでいなかったようだな。三国時代においては未知の現象は((天の仕業|・・・・))としたほうが理解できる、という訳か。
「……まぁ大体の理由は理解できた。……だが、なぜ態々《天の御遣い》の名を使う?あんたが天なんてあやふやな物に頼るような人物とは思えないのだが?」
そう、まだ出会ってほんの数時間程度ではあるが、目の前の少女が((天の御遣い|そんなもの))の力を借りるような性格だとは思えなかった。
「………そうね。確かに私はそんな不確かなものに手を伸ばすような女じゃないわ」
「ならなぜ俺を天の御遣いに仕立て上げようとする?」
「………………今、この大陸にはとある占いが蔓延しているわ」
「…占い?」
俺は首を傾げる。占いが俺を御遣いに据えることにどう関係があるというのだろうか。
「そう。占いの内容はこうよ。『天より三つの流星来る。一つは仁の星。仁を掲げる君主と共に民の心を癒す。一つは智の星。その智を用いて、大陸を豊かにする。一つは武の星。数多の戦場を駆け、大陸を平穏へと導く。彼らは天より来たりし御遣いである。されど、彼らを恐れよ。彼らが持つは人ならざる力なり』……こんなところね」
「………それが俺に関係あるのか?」
「ええ、私たちは先ほどの賊を討伐しに行く際に流星を見た。……それも三つ、ね」
「成程……その占いが限りなく事実に近い可能性がある、ということか」
……これで俺の懸念が事実だという事が確定した。この占いは俺を含めた三人がこの地に降り立ったことを示しているのだろう。仁の星、とはほぼ間違いなく北郷だろう。むしろアイツ以外に思いつかない。残るは智と武の星、だが智の星は黒峰と推測する。となると……俺が武の星、という事になる。まぁ少々((戦闘狂|バトルジャンキー))の自覚があるから仕方ないか。
「……つまり、俺の存在を他の御遣いに対する牽制として利用するのか?」
「……本来ならそのつもりだったわ。でも事情が変わった」
「………事情だと?」
「そう、貴方の持っている戦極ドライバーだったかしら?それを見て確信したわ。………占いの最後の部分にあった『人ならざる力を持つ』という部分。………あなた以外の御遣いも似たような力を持っているはず」
「何だと?!……いや、可笑しくはない…のか?」
事実、俺自身が戦極ドライバーを所持しているのだ。あいつらのところにも何らかのアイテムが送られている可能性が高い。
「………もし俺が武の星の御遣いと仮定するとして、武の御遣い故に((戦極ドライバー|こいつ))を授かった。……と考えるのは楽観的すぎるな」
「そうね。物事は常に最悪の状況を想定しておくべきね」
「…………その占いを広めた人物の名前は?」
恐らく俺が知っている人物ではない。だが、念の為聞いておきたかった。
「管路という占い師よ。………まさか、とは思うけれど知り合い?」
「………そうだったら色々と分かったんだろうがな。残念ながら聞いたことも無い名前だ」
管路……もしかしてあの時の男が管路なのか?俺達がこの世界に来る原因となった銅鏡を盗もうとしていた男。だがもしあの男が管路だとすると、なぜ態々予言めいた言葉を残す?そう考えると、あの男とは別人になるか……?
「まぁ顔も知らない人物についてはいつでも考えられるわ」
管路という人物について熟考していたところを華琳に声をかけられた。
「…確かに、その通りだ」
「春蘭との一件も片付いたことだし………これから存分に活躍してもらうことによろしくね?武の星の御遣い、緋霧零児」
「ああ、こちらこそ。宜しく頼むよ。華琳」
互いに手を差出し、握手を交わす。……これからどうなっていくのかはまだ解らないが、退屈することだけはなさそうだ。
どうも皆さんこんにちは。作者の北河静です。
第三話をお届けいたします。華琳の口調が少々可笑しくなっていますがご了承ください。
今回バトルシーンをちょろっと入れましたが難しいですね。表現というか動きを文字で表すのがしんどいしんどい。まぁこんな粗末な出来の物でも読んでいただけているというのは嬉しいことです。この次の話ですが、本遍に入る前に、拠点で一つ、一刀と水月の現状で一つ?を上げてからになると思います。どっちが先になるかは現状未定なのでそこはご容赦を。
では、何か恒例になりつつある設定?公開。今回は三人の生身での実力について。
まずは黒峰水月君、三人のなかでは最弱です。戦闘タイプとしてはトリッキーになるので、仕方ないと言えば仕方ないですが。恋姫基準で行くと沙和辺りかなぁ?まぁ軍師以上将軍級以下ぐらいという事で。
次、種馬一刀。必然的に真ん中。最初の方の後書きにも書きましたが実力は馬岱クラスの設定です。この一刀なら魏ルートの場合凪とまともに戦えるくらいまで成長しそうですが、蜀ルートなのでそこまでは成長しない予定です。………変貌はあるかもしれませんが(ゲス顔)戦闘タイプはテクニックに近い万能型になりますかね?
最後、主人公緋霧零児。三人……というか恋姫勢入れても上の方。ここでは、左慈は関羽と同等にしているので、それを押していた零児は必然的に関羽クラス、若しくはそれより上という事になっています。今回のバトルでは春蘭の攻撃を避けていることに疑問を持っていましたが、それは左慈の事を不良少年程度としか思っていなかったが故ですね。戦闘タイプは万能型。小細工も出来るし、攪乱も出来る。似たようなタイプは趙雲かな?予定では零児のみ、生身用の武器も用意します。
最後にこの作品内での戦闘タイプの主な例を挙げさせていただきます。
パワータイプ…恋、春蘭、雪蓮等
テクニックタイプ…秋蘭、蓮華、蒲公英等
トリッキータイプ…真桜、亞莎、紫苑等
スピードタイプ…沙和、思春、明命等
こんなところですかね
あとご報告を。この作品に一部ではありますが、恋姫英雄譚のキャラを出す予定です。
魏勢は全員、呉、蜀勢は二、三人。その他は出しません。そこのところをご了承ください。
では今回はこのあたりで。それでわ〜
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第三話 零児、夏候惇と戦う。 | ||
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