メグリアイ
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〜第二話:ようこそ、これが五十嵐家!〜

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烈「………。」

奏「お帰りなさい、レッくん。ささっ、早く上がって晩御飯一緒に食べよう♪」

…何故奏が家にいる…

烈『いや待て、とりあえず落ち着くんだ俺。何があったかゆ〜っくり振り返ってみるぞ。』

〜数時間前※前話と同日です〜

烈『やっと放課後になったか…。今日の一日がすごく長く感じたな、全く。これもすべてあのバカが校内中に広めやがったせいだ…あいつには後できついお灸をすえないと…。』

奏「レッく〜ん、一緒にか〜えろ♪」

俺があのゴミ虫に対する処罰を考えていると、奏が近くに来て一緒に帰ろうと誘ってきた。あぁ〜っ、可愛いなぁ全く。…なんか教室中から殺気があふれている気がするが…まぁ、気のせいだろう、うん。

烈『奏に誘われてとても嬉しいんだが…。』

烈「悪いな奏、実はおr由「あら、ごめんなさ〜い。烈はあなたと違って、これから部活なの、だからあなたは用済み、一人でとっとと下校しなさい!目障りだから。」……まぁ、そういうことなんだ。っていうか由奈、お前ももう少し言い方ってもんがあるだろ。」

奏「そうです!レッくんの言うとおりです!私の乙女心が傷ついたじゃないですか!」

由「あ〜ら、そうやって弱い子のフリをして烈に好意を持ってもらおうと思っているのかもしれないけど、そんなこと全くもって無意味よ!なんてったって、烈は華麗で強く、大人な品格を持つ私みたいな女性が好みなのだから?」

健「バカ言うな、品のかけらなんて微塵も無い暴力魔王がなにをいっt…ブボヘゲヴォファ?」

由「黙れゴミ虫以下!あんたみたいな存在は一回、いえ三回ぐらい死なないと、人様の為にならないわ?」

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ゴミ虫の話は全く興味がないからスルーするとして、何故俺の好みが由奈によって勝手に決められているんだ…。好みを偽造されると後に響くからな、一応ツッコむかn……ん?奏が震えてる、まさか由奈の余る程の暴言に対して泣いちまったのか?

烈「おい、由奈!ちょっと言い過g…奏「何を勘違いしてるんですか?」……あれっ?」

奏「レッくんは、清楚で可憐で淑やかな子が好みなんです!そんな勝手すぎる妄言なんて、レッくんに対して迷惑以外の何物でもありません?」

いやいやいや、奏さん。否定してくれたのは嬉しいが、あなたまで偽造していちゃ駄目でしょう?つーかこの二人、どういう理由でもめ始めたのか覚えてんのか?

烈『…っつーか俺も忘れた…。なんだったっけか?』

?「確か、桃峰さんが下校する際、烈を誘ったのが原因じゃなかったか?」

烈「あぁ、言われてみれば…って、人の心の中何勝手に読んでんだよ?」

?「それはあれだ、烈の心の中がいっつも忙しそうにしていて、聞いてて面白いから?」

烈「なんだそのドSな性格は?ったく、いい加減にしろよ“真一”。」

真「やぁみんなお待たせ、このクラスに在籍している古城真一(フルキシンイチ)だ。他にも、総合格闘術部次期副部長をやっている。これからも出てくるからその時はよろしくね!」

……こんな時に自己紹介なんぞすんなよ、ただでさえ面倒な状況なのに何でこの場面で……

真「何を言ってるんだ烈、そんなの作者の意図に決まっているじゃないか。はっはっは。」

烈「そんなこと言うな!いろいろと駄目だろ?それに毎回毎回人の心を読むのはやめなさい!」

真「ふっ、それは無理な話だな。読心術は俺の特技だ、しかし最近はつまらん奴ばかりで、正直呆れていた。だが、この高校に入って烈という最上級に面白い心の持ち主に出会えたんだ!そんな状況でこの特技(たから)、使わずしてどうする?」

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烈「そんなに熱弁されても困るのだが…。」

健「いや〜、やっぱ一般ピープルの俺からしたらシンが羨ましいぜ!その読心術って俺みたいな一般ピープルにも出来るもんなのか?」

一体どこから湧いてきたこのゴミ虫は…

真「まぁ、俺もたくさん練習したからな。やろうと思えば、出来んこともないが…。いきなりどうした?」

烈『真一、そいつはきっと“読心術をマスター=奏と由奈を自分のモノにできる”と勝手に妄想しているんだと思うぞ…。』

真「ははぁん…そういうことか(笑)」

ダメだ、こいつと一緒にいるとプライベートいうものが一切合財どこか見知らぬゴミ箱に捨てられている気がしてならない…。

真「心配するな。健太以外の人間は情報を他人に教えるとき、ちゃんと許可を得てからにしてるから…特例を除いては…。」

烈「あっそ…、もう好きにしてくれ。」

健「いきなりどうしたって聞かれたら、答えてあげるのが世の情け…。」

誰が、ロ○ット団の登場台詞を言えといった…。答えはわかっている、あの半永久小児のあいつなら……。それでも、聞かなきゃ俺の中で収集がつかん。

健「ズヴァリ!その理由(わけ)とは、かなd…真「読心術をマスターすることによって、桃城さんか由奈の心を読んで弱みを握り、自分の手中に収めようって魂胆なんだろう…。」なっ、何故それを?やはりこれも読心術なのか?スッゲーーーッ?」

何一人で興奮してるんだこのゴミ虫は……。

烈「あのな…それはただ、お前が単純なだけ…だ…ろ……。」

健「ん?どうしたんだ烈、そんな“魔王がぁ…デターーーーー?”みたいな顔なんてしちまって、あっはっはっ。」

ああぁ……、きっと数分後にはこの教室から林健太という人物はログアウトして地獄という別の場所にログインすることになるだろうな…。

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何とかしてやりたいとは思うが、あぁなったアイツ(・・・)は俺でも無傷では済まない…。きちんと止めれんのは、顧問とコーチぐらいだろうからなぁ…。まっ、自業自得ということで、俺し〜らない♪

真「健太、健太や〜い…後ろ…後ろ〜……。」

健「ん?何だシン、後ろがどうのって。後ろに何かあるのか?」

烈『駄目だ、健太!後ろなんか振り向かず、そのまま教室から去れ!』

俺の必死の思いも無駄に終わり、健太氏は後ろを振り返ってしまった。魔王様のいる後ろを…。健太よ、お前のことは、ずっと…きっと…多分…おそらく…忘れることはないだろう…。

由「…………。」

健『Oh、魔王様がいつの間にか人間界にログインしていらっしゃったようだ…。』

健「ゆっ、由奈様…本日はどのようなご用件で…。」

由「なるほど…真一から読心術を学び、それを使い私たちを脅し、アンタのモノ(・・)になるのかぁ…、へぇぇ…。」

奏「すっ、すみません健太さん。私、どんな状況になってもレッくん以外は決して興味がわくことがないので!」

健「そっ、そんなぁ〜……はっ?ゆっ、由奈さん!お願いください、まずは私目のおはなs…もとい言い訳を聞いてはくれないでしょうか…?」

由「…ニコニコ♪」

こえ〜よ由奈、一回自分のその“笑顔”見てみなよ。…いや、先に自分の周りを見ようか。俺と奏と真一以外の全員がドン引き過ぎて教室の隅に寄ってんぞ、おい…。

由「誰が、どの口で、どの面を下げてそんな台詞言えてるんだぁ、あぁん(怒)まっ、下僕は黙って…死のうか♪」

健「いっ、いやぁ〜〜〜〜あふんっ?」

ドガシャア!バキッ!ベキッ!グチャッ!ベチャッ!ウッフ〜ン♪

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……なんか最後フルボッコに入るわけない変な効果音があった気が…。他にも由奈が殴ったのはけn…人だよね?“ベチャ”ってお前人を殴ってこの効果音…血だよな、血だって言えよ。期待裏切って“変態バカの肉片だよ♪”なんて言ってみやがれ、少なくとも半月は使えなくなるぞ、この教室…。

由「さってと、ゴミ処理も済んだことだし本題に戻りましょうか♪」

烈「まだんなこと言ってんのかよ…。もうその話はいいからとっとと部活行けや。すまんが真一、由奈を連れて先に(部活)行っててくれないか。そのついでにこの“ゴミ”焼却炉に持ってって、燃やしておいてくれると助かるんだが…。」

真「……明日(購買人気ナンバー1の)デラックス焼きそバーナーパン(三百六十円)奢れよ。」

くっ、痛い出費だな…。今月は金鉄(※金太郎電鉄の略)の最新作を買ったせいで金が殆どない状況なのに…。あのゴミ、生きて帰ってきた暁には一週間パシリの刑に処するぜ!

真「そういうことで任された、ほら由奈俺たちは先に行くぞ。あぁそうだ烈、近いうちに俺も金鉄やりに遊びに行くから♪」

烈「だからそうやすやすと人の心を除くな?…ったく。」

奏「ねぇ、レッくん…。」

カオスになっていた空間を治め、一段落していると後ろから声をかけられ振り返る。するとそこにはちょっと涙目になっている奏がいた。やべ〜、そのめっさ可愛い顔心にグッとくるぜ!

奏「やっぱり私、一緒に帰ることが出来ないの?私、レッくんが部活終わるまで学校で待ってるから!」

烈「奏、気持ちは凄く嬉しいんだが、この学校には“変な校則”があって、部活や委員会活動をやっている奴と受験生以外は原則居残り禁止なんだよ…。」

奏「えっ、この学校そんな校則があるんですか?」

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そうなのだ。この可笑(おか)しさ百%のこの校則、これがわが校のちょっとおかしな個性の一つ。これは創設当初からある校則で、初代校長が言うには部活動でエンジョイできないような奴は、とっとと学校から帰って外でいろんな青春の思い出を作ってこい!…だそうだ。はっきし言って意味が分からん、というか、

烈『この校則作った校長ってどんな奴なんだよ。まぁ、こんなことで疑問に思ってたら、多すぎて対処が間に合わんが…。』

奏「むむぅ…校則なら仕方ないですね。わかりました、今日のところはここら辺で手を引きます。」

いやいや、手を引くって…。しかも今日のところはって、奏のやつ何考えてんだ?

奏「じゃあレッくん、また“後で”うふふ♪」

烈「おっ、おう…奏、またな。」

そう言い残して教室を去っていく奏、その後ろ姿が消えるまで俺は見送った。ん?……まてよ?そういやさっき奏のやつまた“後で”って言っていたような…まぁ、奏の言い間違いだろう。全く…最後まで可愛いづくしなんて…かなでタンいとカワユシ!

烈『っと、もうこんな時間か…こりゃあ向こうに行ったら、また“説教という名の自慢話”を聞かされるんだろうな。あぁ…めんどくさい…。』

そうぼやくと俺はその重い腰を上げて部活の活動場所である武道場へと足を進めた。

〜武道場〜

烈『やっぱりこうなったか…。』

豪「こら烈!ちゃんと話を聞いているのか?全く次期部長であるお前が遅刻なんて、今日はどうしたんだ?」

…そう、我がクラスの担任でありながらこの総合格闘術部の顧問であるナルs…豪拳先生の熱血お説教だ…。この人遅刻や無断欠席を人一倍嫌う人だからな。その上この人特有の……

豪「まぁ、お前のことだからサボっていたわけではないだろうが、遅刻をするということはこの俺のビューティフォーボデーを見る時間が減ってしまうではないか!」

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この人特有の自分自慢、これがあるからこの人の説教はめんどくさいんだよ。だが、何度もこの説教を受けてきた俺には最強の回避対策を用意してあるのだ(複数回使用可)

烈「すいません、先生。俺にとって先生の美体はあまりにも輝きすぎていて、直視できるよう目に十分英気を養ってから来た為に遅れました。本当に申し訳ありませんでした。」

豪「なぁ〜んだ、それを早く言いなさい。それなら仕方ないな、全く生徒を遅刻させてしまう程パーフェクトなボデーを持ってしまったのか、俺は!まっ、世の中に俺の身体より光り輝くものなんてないだろうからな。はーっはっはっは?」

烈『はい、ご機嫌取り終了。ナルシスってる先生は放置したままで大丈夫だから、俺も早く着替えて合流しないとな。』

道場にある大鏡の前で自分の上半身をさらし、ポーズをとりながらほれぼれしている先生を通り過ぎて更衣室に向かい、道着に着替えた後、部員の皆と合流した。

?「お疲れ様です烈先輩、今日も大変でしたね。」

烈「あぁ、ほんとに疲れたよ。少し遅れただけであの説教だからな、まいっちまうぜ。」

真「どうやらその調子だと、桃峰さんとは教室でお別れだったのかな?」

?「ん?古城先輩、桃峰さんとは一体どn……由「フンッ、何よあんな奴!あぁいうのは無視していればいいのよム・シ!」…えぇ〜〜っとぉ…。」

由奈…お前言いたい放題だな…おい。

烈「っていうか、無視するって言っておきながら由奈が一番反応してるよな。」

由「んなっ?何言ってんのよ!そんなわけあるわけないでしょこのアホスケベ変態屑野郎!」

真『スゲー罵り方だな。もうむちゃくちゃすぎて何が言いたいのか全く伝わってこんな…。』

烈「なんで由奈にそんな風に言われなきゃならねぇんだよ!第一、俺は事実しか言ってないのにこの扱いはおかしくないか?」

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真『とまぁ、こんな風に烈と由奈のぎゃあぎゃあ騒がしい口喧嘩は日常茶飯事なわけで、この後俺達他の部員が仲裁に入り、終止符が打たれたころには先生もコッチ(・・・)に戻ってきて部活が始まる。今となっては名物のようなものだ。』

うちの部は大体七時まで練習をする。基本みんなはそこで帰るが、俺は残って自主練、家に帰るのが八時半ぐらいになるのだ。そう、いつものように自主練をし重くなった足を懸命に引きずって家に帰った。そして、次の瞬間……

〜冒頭に戻る〜

烈「…………。」

奏「ニコニコニコ♪」

…で、今に至るわけだが…そうか、あの“後で”はこのことだったのか。してやったかのような満面の笑みで俺を見続ける奏……はぁ〜っ、可愛いなぁ〜……じゃなくて!

烈「してやられたのはいいが、今日再開したばかりの奏が何故俺の家を知っている。それに、今ならもう母さんがいるはz…?「あら〜烈、お帰りなさい、ウフフ♪」……。」

ニコニコ微笑んでいる奏の後ろからやってきた一人の女性。まぁ、女性という言葉が似合わない位の低身長、奏よりも低いその体はおそらく一四五センチ程…そう…この人こそが、

奏「あっ、駄目ですよ“お義母様(かあさま)”先ほどから主人のお出迎えは奥さんであるこの私にお任せくださいとおっしゃったじゃないですか〜。」

?「あらやだ、ごめんなさいね。つい出来心で…。それより奏ちゃん、もう一回私のこと呼んでくれないかしら。」

奏「えっ、えぇ〜っと…“お義母様”…でよろしいのd…?「キャァーーーーーー?♪」あわわわわ…。(汗)」

烈『…何をしとるんだ、うちのクソババアは…。』

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さっきから奏に、それはもう犯罪まがいな事(やりすぎハグ)を行っているこのおんn…女性は、五十嵐佳代(イガラシカヨ)。俺の実の母親で洗濯や料理などの家事全般は完璧にでき、運動神経抜群のうえ、あの東大(東凰大学)の首席だった人で……ここまでの話だけ(・・)聞いてたら、ものすごく尊敬できる人なんだが…うちの母さんは重度の可愛いもの好きなのだ。それこそ人やモノ、性別なんかも問わない徹底ぶり…。まぁ、もちろんそのなかに俺も入っているわけで……

佳「いんや〜、我が息子は今日もかぁ〜わいいなぁ〜♪」

奏「あっ、お義母様だけなんてズルいです!私にも抱かせてください。ぎゅ〜〜〜っ♪」

……駄目だ、夏休みの宿題が全く手つかずの状態で夏休み最終日を迎えたぐらいの状況の速さに全くついていけねー……。というか、奏は馴染みすぎだろ…。

烈「いい加減にしろ二人とも!一度静まらんかい?」

奏・佳「えぇ〜〜〜〜っ、いいじゃん別にぃ〜…。」

烈「うるっさい!二人ともそこに正座だ!」

〜ただ今家庭の事情により状況をお伝えすることが出来ませんのでしばらくお待ちください〜

奏・佳「…………。」

極度の興奮により暴走していた二人(正確にいうのなら二匹)を鎮静し、なんとか正座をさせることに成功して、今俺は二人の前で仁王立ちしているのだった。

烈「はぁ…母さん、いくら重度の可愛いモノ好き症候群だからって何でもかんでもすぐに抱きつかない!特に俺達男子になんて言語道断?」

佳「え〜だ〜〜って〜…私が可愛いモノを見るとすぐに抱きついちゃうのはもう体の反射みたいなものだから無理♪そして烈は私の可愛い息子なのよ?これで抱きつかないなんてどうにかしているわ?」

烈「どうかしてんのはあんたの脳みそだ!」

佳「第一、これは私にとって“義務”でもあるの!やらなきゃいけないの、マストなの、わかった?」

烈『もう言ってることめちゃくちゃだな…。』

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烈「まっ、それはとりあえずおいといて…。」

佳「おいてかれた?」

烈「俺が今一番知りたいのは、昨日の今日で再会した奏が何故俺の家を知ていて、尚且つ当然のようにリビングから出てきたのか…ということだが…。」

奏「やだな〜、レッくん♪私たちは将来を約束した夫婦なんだよ。その夫の家を知ってるのはあ・た・り・ま・え♪そうだな〜、しいて言えばこれも“義務”?♪」

…年月とは恐ろしいものだな、今まで俺の中にあった桃城奏という少女のイメージが一瞬のうちに消え去ってしまうなんて。もはや今までの奏ではない…。

奏「というわけで、こうして家の中から夫のお出迎えをしていたんだよ。理解できた?レッくん♪」

烈「理解なんぞできるかーーー?」

こうして俺は一晩中バカ母と奏に説教をし、気付いた時にはすでに日を跨ごうとしていた。母さんは朝早く家を出るからと寝室に向かった。その後、一緒にお風呂はいろという奏の言葉を受け流し、一人風呂場にいかせた。

そして……

烈「だっは〜、マジで疲れた。っつーか、今日一日で日頃の平凡な生活が一気に崩れちまったな…。にしても、正直また会えるなんて思っていなかった奏と再会しちまうなんて……ちょっとうれしいかm…「プルルルル…プルルルル…プルルルル…。」こんな夜中に電話なんて一体誰だよ。」

「ガチャ」

烈「はい、五十嵐です。」

?「おう、烈まだ起きていてくれたか。すまんなこんな時間に連絡入れちまって。」

烈「親父?」

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こんな夜遅くに電話をかけてきた相手の正体は、俺の父五十嵐善重朗。さすらいの旅人で常に世界各国を巡っている人で、人脈の広さは俺の考えている中では世界一だろう。しかし、=ニートと思う人が多いかもしれないが、何故か毎月母さんの通帳に百万という馬鹿みたいな金額がいつの間にか振り込まれている現象が起こる。一体どういう経緯でそんな大金を手に入れているのか、いつも質問すると決まって

善『なぁーに、ちょっとした大人の事情だよ♪いつか烈にもわかる時が来るさ。はっはっは♪』

と、こんな感じで一蹴されるのが落ち……。でも、なんだかんだいっても俺が一番尊敬している人だ。

烈「でもこんな時間にかけてくるなんて、親父今どこにいんの?」

善「すまんな、ちょっとあって今はそういうこと言えないんだよ。許してくれな、烈。」

烈「親父がそういうんだから仕方ない事情なんだろ?別にどうも思わないさ。でも、そんな事情ならなおさら電話なんかかけていていいの?大丈夫か?」

善「はっはっは、そこまで俺のことを心配してくれるなんて、親父冥利に尽きるな。まぁ、今はそんなに心配せんでもいいさ。それより母さんはもう寝てるか?」

烈「とっくの昔に…ね。もしかして母さん目当て?起こしてこようか?」

善「いや、母さんのことだから明日も早いんだろ?無理に起こさなくてもいいさ。それにあくまで用事の一つに過ぎないから。」

烈「へぇ〜、じゃあさ他の用事って?」

すると親父は“ふふ〜ん”と何かにやにやしながら、俺の質問に答えた。電話越しでもにやにやしてるのが伝わってくる…って親父よ、知らず知らずに自分でハードルあげたな

善「お前、昨日あたりに奏ちゃんと再会してたみたいだな(笑)どうだ、久しぶりに彼女に会った感想は?成長してかわいくなt烈「いやいやいやいや、何故に親父がそのこと既に知ってるんだよ?おかしくないか昨日の今日だぞ?」電話越しにそんな大音量でしゃべるな、鼓膜が破れるどころか母さんを起こして迷惑をかけるだろうが…。」

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いきなりなんて話題を…無意識にハードルを上げたくせに、軽々とそのハードルを飛び越えてしまうから凄いんだよ、あんたは……。というかこの情報マジでどっから飛んできたんだ?ヒ○リネットもびっくりの速さだぞ…。

善「そんなの和輝から聞いたに決まっているじゃないか。…まさかお前知らなかったですなんて間の抜けたこと言うなよ。」

烈「…知らなかったです…。」

いやだって…ねぇ。そんな昨日の今日でそんなこの件の全貌を知ることが出来るのは首謀者とその側近ぐらいしか無理だろ…。まぁ、親父とおじさんの仲の良さは俺も十分なくらい知っているからな、どうせまたおじさんが奏の知らないところで俺の存在を調べ上げ、正体が俺だったから親父に連絡を入れた…。よくよく考えればあの二人が絡んでる時点でこの答えが出てこなきゃならなかったな。

善「まったく…いつも物事を考えるときはありうるすべての可能性を瞬時に判断し、脳みそをフルで活用して考えをまとめなくてはな。」

烈「…もう親父にはいつになっても頭が上がらないな…。そうだよ、久しぶりに奏に会った。今日一日で大分印象は変わったが……。」

善「はっはっは。女ってのはな烈、俺たち男の知らないところで急激に成長するもんなのさ。そうやって割り切ればまた違う目で奏ちゃんと向き合えるかもしれんな。……っともうこんなに時間が、愛しの息子と喋っているとあっという間に時間が過ぎていくな。」

もう時間なのか…そう、いつもたった一・二十分しか喋れない。喋る機会が少ないうえにその時間すら短いとは、神様も腹の立つことをしてくれる…。親父のスゲー話をもっと聞きたかったのにな…。

烈「……なぁ、親父?次はいつ会えるんだ?」

善「そう遠くないうちにきっと会えるさ、だからそれまでに俺に恥をかかせるような男になるんじゃないぞ。…じゃあな。」

烈「うん…また…。」

「ブツッ…ツーーツーーツーー…」

烈『親父もあぁ言っているし、俺も頑張らなきゃ。いつかおやじを超えてみせるその日まで。』

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久々に親父と会話をし、改めて心にその思いを誓った俺はそのまま部屋に戻り眠りについた…。

……あっ、風呂入ってねぇ…まっ、明日の朝でいいか……

〜一方お風呂場では〜

奏『おかしいです、入っている=生まれたての姿の私となって興奮したレッくんが、そのまま襲い掛かってくる算段だったのに…。このままでは引き下がれない、こうなったら長湯をして心配しに来たレッくんを無理やりお風呂場の中へ……。』

奏「ぐふっ、ぐふっ、ぐふふふふふ♪」

〜しかし、朝風呂を決意し就寝モードになった烈にその思惑は届かず、結局奏はお風呂場で一夜を明かすという貴重な体験ができたのだった…〜

 

説明
烈「こんなペースで続いたら、終わるのはいつになるんだろ。」

由「そんなのマヌケな作者がとろとろ作っているんだから当分先よ。」

奏「更新が遅いとなかなかレッくんと会うことが出来ないので心苦しいです。」

作「いや、だからね。私にも実生活の方が……。」

三人「こんなところに来てないでさっさと続きを書けーーーーー(書いて下さーーーーい)!!!」
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