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Strikers編 第七十五話 「再来の悪魔達」
リュウガの一太刀により、エリオのストラーダの刃の部分は切り裂かれる。
一瞬、何が起こったのか解らなかったエリオだが、次の瞬間、リュウガの蹴りを入れられてようやく自分の状態を理解した。
『彼には勝てない』と。
エリオ「ぐっ・・・?!」
キャロ「っ・・・!」
リュウガ「・・・子供だからと言って・・・容赦はしないぞ。」
アネサ「戦いに殺しはつき物。死んだときは自分の不甲斐なさを恨んでください。」
エリオ「がっ・・・!」
リュウガ「・・・さて。」
エリオを蹴り飛ばしたリュウガはその鋭い目をエリオからキャロに移した。
次の狙いが自分だと解ったキャロは臨戦態勢に入る。
彼女の腕の中に居た小さな飛龍も威嚇するような声であったが、その小ささによって効果は半減していた。
まるで子犬が威嚇しているかの様だったのだ。
何より、その主であるキャロの足はリュウガがある程度の距離で見ていたのにも関わらず、震えているのが解った。今の流れで彼同様、力の差というのを察したのだろう。
怖いと言う感情はあった。寧ろ、それが全てだった。
しかし、彼を守りたいと言う彼女の感情がその場に立ち止まらせる唯一の重石になっていた。もしこれが無くなれば、彼女の支えは無くなり、パニックになるのやもしれない。
だが、それでも彼女は其処に立ち続けていたのだ。
リュウガ「・・・・・・。」
それを見て、リュウガは刀を持ちつつ、一歩ずつ彼女の許へと歩き始めた。
一歩ずつ確実に歩いてくるその姿にキャロは一歩近づく度に何かプレッシャーの様なもが身体に伸し掛かっていった。
一歩、また一歩と近づく彼を見て、キャロの足の震えは段々と大きくなっていく。
『このままでは』。
体中に震えが走り始め、歯がガチガチと何度も小刻みに当たり続ける。
膨れ上がる緊張とプレッシャーに体中に自然と力が入り、彼女が抱えているフリードが苦しい顔になっていく。
そして。
キャロ「っ・・・・・・・・・わあぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
刹那。緊張が弾け、キャロは大声と共にフリードを魔力で強化。フリードはその勢いで通常以上の火力の火炎球をリュウガに向かって放ったのだ。
余りの突然の事に行ったキャロでさえも我を忘れ、気づけば彼女が攻撃をしていた。
この後、どうなるのか。それは既に解っていた。
リュウガ「・・・・・・!」
一歩。強く踏み出す。
その一刀の持ち方を一瞬にして逆に変え、リュウガはその一歩の僅かなジャンプ中に
リュウガ「・・・一閃。」
火炎球を真っ二つに切り裂いたのだ。
その刹那の事にキャロは一瞬ではあるが頭の中が真っ白になってしまった。
攻撃が通じない。緊張の反動。その全てが一瞬にして彼女のまだ幼さが残る精神に響き、僅かに思考を停止させてしまったのだ。
それが決定的となり、思考がリスタートする時には既に、リュウガは彼女の前にまでたどり着いていた。
キャロ「あ・・・・・・」
リュウガ「・・・。」
立ち止まったリュウガはキャロの前で立ち止まり、彼女の顔を上から見下ろしていたのだ。
対するキャロは緊張が解けた所為なのか、何も言葉が出ず、ただ恐れるばかりだった。
キャロ「・・・・・・。」
《ぽんっ》
キャロ「っ・・・」
リュウガ「無理に戦場に立つな。それを勇敢とは言わないのだからな。」
キャロ「っ・・・・・・」
リュウガに優しく頭を置かれたキャロは、彼の言葉を聞いて何かが解け、そのまま地面にへたり込んでしまった。
これで一件落着かと思い、リュウガは一息ついたのだったが・・・
キャロ「っ・・・うっ・・・ひくっ・・・」
アネサ『・・・マスター・・・』
リュウガ「ん。どうし・・・たんだ・・・」
キャロ「ぐすっ・・・」
リュウガ「・・・・・・・・・。」
アネサ『・・・泣かせましたね。』
リュウガ「俺が悪いのが前提か・・・!!」
何と、突然キャロが泣き出してしまい、突然の事にリュウガは静かにアネサにキレた。
それをまだ立てないエリオが見ていたが、どう見てもこの状況で来たら間違えそうなシチュエーションだったのだ。
エリオ「・・・・・・。」
リュウガ「・・・何見てる。」
エリオ「・・・いや・・・この場合ってアンタが悪いって事だよなぁって・・・」
リュウガ「ってお前も見ていただろうが、一部始終を・・・」
エリオ「けど・・・」
レイ「おーい。大丈夫か、リュウガー」
スバル「エリオ、キャロ助けに来・・・」
ライラ「・・・・・・。」
ダイゴ「・・・・・・。」
ティアナ「・・・・・・。」
ラン「・・・えー・・・っと・・・」
レイ「あっちゃー手ぇ出したのかぁ・・・」
リュウガ「姉さん、誤解の規模がデカ過ぎるのだが・・・#」
スバル「あー・・・心中お察しします・・・」
レイ「あ、どうもー」
アネサ『何でこんなに馴れ合っているのですか。』
リュウガ「というよりも俺が何かした事になってないか・・・」
ダイゴ「したんじゃねぇの?」
リュウガ「黙れダイゴ・・・」
何だかカオスな空気となり、どうすればいいのかと合流したティアナとライラ、そしてランも完全に失笑で誤魔化していた。
一方でリュウガは無実の濡れ衣を着せられて今にも怒りが爆発しそうだった。
レイ「取り合えず。ライラ、其処のガキンチョの手当てを頼む。」
ライラ「はーい。」
ティアナ「っ・・・貸しを作りたくは・・・」
レイ「元はこっちの隊員が傷つけたんだ。ケジメは自分でつけるってのが流儀だ。」
ティアナ「・・・・・・。」
レイの命令でライラが簡易式の魔法陣が書かれたグローブを取り出す。
彼女がつけたグローブは七課で開発されたサブデバイスで、回復に効果を発揮する。
だが、その回復量は使用者の魔力とスキルに比例し、戦闘型だと回復量が少ないが、サポート型だと魔力次第では完全回復も可能な物だ。
エリオ「っ・・・大丈夫だ・・・」
ライラ「そういう強がりは駄目だよ。カッコつかないし。」
エリオ「っ・・・」
キャロ「あの・・・手伝いましょうか?」
ライラ「大丈夫。このくらいなら、私のスキルと魔力でも・・・」
ライラがそう言ってエリオの上に両手を置くと、其処から仄かな温かみのある自然の色の光が発し、エリオの傷を癒していた。
優しい光に、エリオは次第に戦意が解け、警戒心が治まっていった。
別に回復の光にそう言う効果があった訳ではない。ただ、彼女の敵意のない顔に、自然と戦意が失せていったのだ。
エリオ「・・・。」
ライラ「はい。おしまい。」
エリオ「・・・・・・。」
キャロ「エリオ君・・・」
エリオ「大丈夫。もう・・・」
エリオの傷が癒え、ライラはそれを見ると数歩下がってレイ達と合流した。
エリオとキャロもスバルとティアナと合流し、彼女達は再び臨戦状態に戻ったのだ。
ちなみに、その原因である子供とロストロギアは現在ランが持っている。
レイ「さてと。そっちのお仲間が治ったので。こっちは別に争う気も無いし・・・どう?ここはさっき見つけた子供をアタシ等が。ロストロギアをアンタ達って事にしない?」
ティアナ「・・・交換条件・・・いえ、取り引きとでも言う気?」
レイ「まぁそうだな。六課の役目はロストロギアの管理・収集。その他等々。ウチは特別決まった事も無いし。この子を保護しようが問題ない。」
ティアナ「・・・けど、その子はレリックと一緒だった。だから・・・」
レイ「とは言うがな。そのレリックを発見したのはウチの隊員だ。決定権はこっちにあると思うけどな。」
ティアナ「・・・・・・。」
レイ「・・・。」
レヴィ『メンドっちーな。どうせならガキと石っころ賭けて戦えゃ良いのによ。』
オセロット『少しは落ち着け。この獣娘。』
レーヴェ『ま。状況はウチが有利なのは確かだがな。』
少女を見つけたのはリュウガ。つまり七課だ。
取り引きをするならレイ達が取り引きをさせる側。ティアナ達がする側と言う事になる。
それはティアナも解っている。だが、彼女がレリックと一緒に居た時点で彼女は此方で保護するべきではないのだろうか。
優先の度合いから考えればティアナの考えは正しい。
だが、相手はそれを解っている筈。必ず何か切り返されるのが関の山た。
ティアナ(落ち着け・・・まだ打つ手はある筈よ・・・言い返しにも、この場を勝つ事も出来る手が・・・!)
スバル「けど、その子はレリックと一緒に居た!だから六課が保護します!」
ティアナ(っ!?バカスバル!!)
レイ「・・・あのなぁ・・・お前状況解ってるのか?」
スバル「・・・え?」
レイ「専門だ何だって言うけどよ。見つけたのはこっちだ。それに、この子は今急がないといけない。それに・・・ここ等は地上のテリトリーだって事。忘れてないか?」
スバル「っ・・・それは・・・」
レイ「それに、お前の相棒さんは解ってたらしいしな。」
スバル「え?」
ティアナ「こんのバカスバル!!どこまでアンタは考えなしなのよ!!」
スバル「えっ、だってティアが言わないから・・・」
ティアナ「んなの最初っから解ってたわよ!けど、あの人に言い返されるのは確実だからその返しを考えてたのに・・・ったくアンタは!!」
スバル「あ・・・ゴメンティア・・・」
ティアナの怒りにスバルは「そういえば」と思い返し、自分の行動を恥じていた。
しかし、もう起こってしまったのはしょうがない。
このまま少女は七課預かりになる。
ティアナはこの場での敗北を覚悟していた。
だが。
「自爆黄金虫。爆破。」
「ディバィィィィン・・・バスタァ!!」
アネサ『っ!?マスター!!』
リュウガ「っ!!姉さんッ!!」
レイ「何っ!?」
フロンティア『高熱源・・・前方!!』
刹那。その一帯が突如砲撃と爆破で大爆発を起こし、工場などは崩壊。
更に、地面に穴が開いてしまい、レイ達ティアナ達は地下へと落ちてしまったのだ。
ライラ「うわっ!?」
ラン「っ・・・しまっ・・・みんな!!」
スバル「うわっ・・・!」
レイ「くっ・・・!」
ティアナ「・・・なのは・・・さん・・・?」
ティアナの見た方には虚ろな目で彼女達を見るなのはが空中でデバイスを構えている姿があった。
それを最後に、少年少女たちは地下へと叫び落ちていったのだった。
ゲイツ「あーあ。大穴開いちゃったよ。ルーちゃんヒドイねぇ・・・」
ルー「・・・。」
「ケッ。やったのはルーだけじゃないだろ。」
それを遠くから見ていたゲイツとルーテシア。更に、彼女の近くをユニゾンデバイスが一人飛んでいた。赤く小さなユニゾンデバイス。名はアギトと言う。
ゲイツ「ハハッ。知ってるってジョークジョーク。」
アギト「・・・ケッ。」
ゲイツ「さてと。そろそろおじさんは先にロリっ子とレリックを回収しに行くとしますか。」
ルー「・・・ロリコン。」
ゲイツ「おや、痛い言葉を知っているねぇルーちゃん。け・ど・・・
おじさんはロリコンではないねぇ・・・子供を殺すのも好きだし・・・!」
アギト「っ・・・!」
ゲイツの機体のカメラアイが怪しく光り、其れを見てアギトは悪感を感じた。
殺気と狂気。戦場に永く立っていた者達がだけが出せる覇気だ。
そして、ゲイツは四機のコダールと共にECSを起動。その場から消えたのだった。
残ったルーテシアはアギトと共に黙って穴の方を見ていた。
すると、アギトしかいない筈のその場に新たに誰かの気配がしたのでルーテシアは一人でに尋ねたのだ。
ルー「・・・いいの?ミスター九龍。」
「ん?別にいいさ。アイツは腕はあるが人望はカスだ。いずれはボコボコにされて死ぬのがオチさ。」
ルー「貴方は行かないの?」
「俺はもうちっとお前さんと一緒に居るぜ。護衛も任務だしな。」
「フッ。よく言う。本当は例の男ともう一戦したいだけだろ?」
其処に新たな声。
その声は近くではなく、彼女が立つ場所の下からだった。
その誰かが軽く笑って答えた。
「・・・ハッそうかもな。だが奴はまだ来ない・・・だから、来るまで待つさ・・・」
ルー「・・・時間合わせ。一時間後にココを潰すわ。」
「了解した。ま。一時間がタイムリミットって理由だ。」
「ハハッ・・・じゃあ俺は暇な時に、偉そうなエースさまでも殺しに行くとするよ。」
ルー「確実にね。キング。」
「解ってるさ。確実に・・・な。」
幼き冷酷な少女を守るのは見えない黒き亡者達。
その者達はドクターとは別の人間から雇われ、彼女と共に居た。
まるで祭りを待つかのように。
次回予告ッ!!
霊太「ヤバイな・・・」
ルカ「ああ、ヤバヤバだ・・・」
マサキ「・・・何がだ?」
霊太・ルカ「「これは俺(私)達の敗北フラグ!!」」
ナル「・・・・・・。」
リィン「じ・・・次回「地下の思い・天空の怨み」ですう・・・」
零人「よう、また会ったな。なのは。」
なのは「・・・そうだね。岡本君。」
説明 | ||
そして戦いは三つ巴へ・・・ Strikers編 イメージソング OP「Break Out」 スーパーロボット大戦OG ディバインウォーズより ED「Reincarnation Blue」 BLAZBLUE Alter Memory より |
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コメント | ||
kaito:其処は追々話します。(Blaz) つーか、零人がいない十年間なのはに何があったんだ?(kaito) なのはェェェ 完全にアンチ・ヘイトだなww これはホンマにどうなっていくかわからん。なのはは元に戻れるのか?(匿名希望) コメ欄も盛り上がってまいりました!(Blaz) ...おい高何とかさん、リンカーコア砕こうかぁ?(biohaza-d) |
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