真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 五十七話
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嘘だと言ってほしい。

夢なら覚めてほしい…

結界内にいる全員がそう思う。

 

目の前で戦う悪魔は、今まで一緒にいた男。

優しい筈の彼が…自分達の、そして彼自身の大切な人を傷付けている。

その事に目を反らしたくても、それでは逃げることになる。

 

耳を塞いでも、

意味がないほど叫びは響いてくる。

 

だから見続けるしかないのだ、悪夢のようなこの時を…

 

 

「リト兄ィ…」

 

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勝機は皆無、策はほぼ無意味…こんな中でどう戦えと言うのか。

ギャレンは仮面をつけながらもポーカーフェイスを保っているが、正直今にも崩れそうだ。

だが、そんな事をしている間にも…クウガUFは攻撃を仕掛けてくる。

 

「ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!」

「……はぁあ!!!」

 

クウガUFが腕を伸ばしガオウを掴もうとするが、ガオウは紙一重でそれを回避…逆に腹部にガオウガッシャーを一閃させていた。

そこから振り向き様に背中に斬りかかるがクウガUFは振り向きもせずにガオウガッシャーを掴み、逆にそこから地面に叩きつけようとする。

空中に放り投げられたガオウだが、姿勢を変えて着地…そこから必殺の一撃を放つ。

 

『full charge』

「…はああああああ!!!」

「ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛アアアアッッッ!!!」

 

【タイラントクラッシュ】はまっすぐクウガUFに迫るがクウガUFは真正面からそのエネルギーの刃を砕く。

このままでは本体もヤバイ…そう思ったガオウはそこから離脱し、得物を守った。

再びガオウへ攻撃しようとするクウガUFだが、地面からの鎖で拘束される。

 

〈バインド!プリーズ!〉

〈チェイン!ナウ!〉

「ググ…!!?」

「今だ!やれ!」

『けっこうキツいから…早くね…!』

 

ウィザードISと白い魔法使いの拘束により身動きが取れないクウガUF。

だがそれも束の間だろう…鎖にはヒビが広がっている。

それを知ってか…デルタとギャレンは全力で射つ。

 

『exceed charge』

『fire ballet』

「「はああああああ!!!」」

 

銃口から何十発の弾丸が撃ち込まれ、クウガUFに当たる。

それらは外すことなく全てクウガUFに行くが…全て無意味。

 

「グガアアアアアア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」

「ぐぅ!?」

「きゃあああ!?」

 

能力を発動させ、クウガUFは二人の頭上から雷を落とす。

さらに発火能力で燃やし始めるが、それはウィザードISの一撃によって途中で止まる。

アックスカリバーをアックスモードに変えた一撃は重かった。

 

「グウウ…!!」

「無事か、二人共!」

「ええ…と言っても、我々に死は存在しませんからあのままでも平気ですが…」

「でも平沢ならやりかねないわよ…。魂や次元を壊す威力なら、究極の闇はできるはず…」

 

…なら何故左慈や貂蝉達を攻撃したときにそうしなかった?

ウィザードISはデルタの台詞に疑問を抱き、クウガUFの方を向く。

攻撃された場所を押さえてこちらを見ていたこと以外は変わりはない。

 

(…いや、待てよ。じゃあ何であの雪…孫策達は…)

 

今度は地面に倒れている雪蓮達を見る。

ベルトが壊され、地面に這いつくばっているものの致命的な負傷はない。

…先程の攻撃を受けて、生きているのだ。

ドクロ少佐でさえ原型を留めないほどの威力なのに…何故?

 

「…何処かで、理性が残っているのか…?」

「なんだと?」

「デルザー軍団があれだけのダメージを負って、何で他の皆はまだ平気なんだ?」

「確かに…北郷殿の言う通りかもしれませんね」

『でもさ、そうそう理性が保ってられる訳…ないよね?』

「そうね。一気にけりをつけましょう」

「…………恋が囮する」

「では我々も。北郷殿、頼みましたよ!」

 

ギャレン達はそう言ってクウガUFの周りに散らばる。

残されたウィザードISはアックスカリバーに自身の魔力を全て注ぎ込む勢いで必殺の力を蓄えた。

 

〈ハイタッチ!シャイニングストライク! キラキラァ…キラキラァ…キラキラァ…キラキラァ…〉

「左慈、貴方は呂布殿に続いて攻撃を!!私と司馬懿は後方から援護します!!」

『動き止めるのは任せてね!!』

〈デュープ!ナウ!〉

〈〈〈イエス!グラビティ!アンダースタンド?〉〉〉

〈イエス!ブリザード!アンダースタンド?〉

 

デュープで四人に分身をし、三倍のグラビティでクウガUFの動きを鈍らせる。

さらにブリザードで足元を凍らせるが、それは自然発火によって意味をなさない。

しかしその間にも、キックホッパーとガオウはクウガUFに攻撃。

やはり殆どが防がれるか返されるかだが、今回はギャレンとデルタがいるのでそれなりにダメージが与えられる。

鬱陶しいと思ったのか、クウガUFは体全体から衝撃波を放ち、ガオウ達を吹き飛ばす。

だが、目的は達成された。

 

「―――ぉぉおおおおおおああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」

「ッッ!?」

 

【ドラゴンシャイニング】…巨大化させたアックスカリバーの刃を跳躍しながらクウガUFに振りかざすウィザードIS。

クウガUFは突然のこともあって受け止めているが、今まで以上にダメージが蓄積される。

あまりの威力に辺りの木々は折れ、大地はえぐれていく。

だが…そんな中でも絶望は消えない。

 

「ギギ…ギィィィガアアアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッッッ!!!!!」

 

クウガUFは咆哮をあげると、両腕の棘に黒い力を集め、それをアックスカリバーにぶつけた。

それはアックスカリバーを飲み込み、光を飲み込むほどの…ブラックホール。

いつしかアックスカリバーとブラックホールは相殺し、辺りに爆風が舞う。

土煙で姿が見えず…確認しようと目を凝らすギャレンが見たのは…ほぼ無傷に近いクウガUFと仰向けに倒れているウィザードISだった。

 

「かっ…!はっ……」

「グゥゥウ゛ウ゛…!」

「そんな…」

「くそっ…!また失敗か!」

 

仮面ライダーの中でも最強クラスの防御力は意味を成さず、その美しい鎧にはヒビが入っていた。

内部にもダメージが入ったのだろう…立ち上がろうとするが、できない。

クウガUFは止めを刺そうと近づき、心臓を踏み潰そうとした…

 

「ッッ!」

「…………ご主人様には…!誰も…殺させない…!!!」

 

…ガオウの介入さえなければ。

ガオウは踏み潰そうとした足にガオウガッシャーで支える様に使い、止めたのだ。

クウガUFは踏み潰そうとした足を蹴りに変更しガオウに攻撃をする。

が、ガオウはそれの勢いを利用して腹部にガオウガッシャーの柄を突きつけた。

怯むクウガUFを見て畳み掛けようとしたガオウだが…クウガUFにリトを重ねてしまう。

 

 

そして…動きが止まった。

 

 

「…っ…!」

「何で…!?」

「…馬鹿がっ!」

 

やはりまだ迷いがあるのか…ガオウは動きを止めてしまった。

それを見て好機だと見たクウガUFはガオウの首を跳ねようと手刀をしようとする。

とっさにキックホッパーは止めようとするが…間に合わない。

このまま首が跳ねられるのかと…そう思ったが…

 

 

―――それよりも先に、テレポートで移動した白い魔法使いの胴体と下半身が別れた。

 

 

『…容赦。無、いね…』

 

ドサリ、と白い魔法使いの胴体が地面に到達する。

それはピクリと動かなかった。

ガオウは間一髪白い魔法使いに押され、避けられたが…呆然としてしまう。

 

「―――白魔ぁああああああ!?」

 

デルタの叫びがこだまし、ガオウは我に帰る。

だが時すでに遅し…クウガUFは目の前にいた。

ガオウガッシャーをすぐに突きつけるガオウだが、自身の得物はクウガUFに無惨にも砕かれてしまう。

そして刹那…クウガUFはガオウの首を鷲掴みにし、空中で締め上げる。

 

「アあア゛あ゛あアあ゛ぁあァ゛ああ゛あぁ゛ッッッ!!!!」

「くっ……かっ…ぁ…!」

 

ミシミシと、ガオウのアーマーを崩しながら首を絞める。

口からは空気が漏れ、もう意識が半分無くなりかけていた。

キックホッパー達は不味いと感じ、助けに向かうがクウガUFの能力による竜巻、雷、果てには地面からの水により阻まれる。

結界内にいる全員も危機を感じ、出ようとした、が…それはすでに一人やっていた。

 

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「―――――リト兄ィ!もうやめてくだされ!」

 

クウガUFの手を掴むのは…音々音だ。

もうすでにガオウが持ち上げられた時点で出ていたのだが…誰も気づいてはいなかった。

必死に叫びながら、音々音はクウガUFに訴えかける。

 

「ア゛あ゛…!」

「ねねは…ねねは、優しいリト兄ィに戻って欲しいのです…!だから…」

 

訴えるのと比例し、音々音は足元から凍って行く。

そこまでの力ではないのか…表面だけ凍っていた。

普通なら戸惑うだろうが…音々音は気にせずクウガUFに声をかけ続ける。

そして、とうとうクウガUFが音々音に手をかけようとした…その時だった。

 

 

「………ご……主、じ…様…!」

 

すでに変身解除されていた恋が口を開く。

ただそれは苦しそうに口から漏らしているように、小さい。

クウガUFはその事に気付き、手に力を込めようとした。

だが恋は…特に暴れず、反抗せずに語りかける。

 

「…れ、ん…が…死ん…で、も……悲し…まな…で…」

「がア゛あ゛ア゛あ゛ああ゛あッッ!!!」

「…れ、は……恋は…ご主人様、が…」

 

 

―――大好きだから…

 

 

ポタリ、とクウガUFの複眼に涙が落ちる。

言うまでもなく、それは恋のもの。

その涙は複眼を滑り落ち…まるでクウガ自身が、泣いているように落ちる。

それと同時に…首を絞められていた恋も落ちた。

 

「恋殿っ!」

「かっ…!はっ……」

 

苦しそうに喉を抑えた恋に音々音が近づく。

酸欠が激しいのか、顔色がよくない。

すると…クウガはその場から後ずさり、頭を抑えた。

 

「ぐ…があぁ゛…!…うう…」

「…ご主、人…様…!?」

「………リト兄ィ?」

「れ…ん…?…音々…ね…?」

 

…喋った……今まで獣のような叫びしか発しなかった口から…言葉が。

あり得ないと言った顔で于吉が見ている。

クウガの瞳は…段々と黒から赤に変わり…、

 

「あ……」

 

―――再び絶望の黒に変わった。

 

「――――――」

 

声にならない叫びをあげ、クウガUFは腕をがむしゃらに振るう。

それだけで周りの木々をなぎ倒し、地面を抉り、雲を割った。

終いには土煙が起こり…いつの間にか、その場にいた者達の周りには荒野が広がる。

そこには森も岩も無く……クウガさえも居なくなっていた。

 

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左滋「……左滋と」

于吉「于吉の!後書きコーナー…って、ちゃんと合わせてください」

左滋「知るか」

 

于吉「今回は私達が後書きコーナーの担当らしいですよ、左滋」

左滋「面倒な事を…それで、作者はどうした?」

于吉「前回の辛口コメントで凹んでいます」

左滋「メンタルが弱いな。ドMの癖に」

于吉「では始めましょう」

 

于吉「前回もそうなのですが、私達よく生きていられましたね」

左滋「当然だ。俺達は元々外史が造り出した存在…それが勝手に死ねるわけが無いだろう」

于吉「不死と言うのも楽ではありませんね。とある〇物語のほにゃら木さんの気持ちが分かりましたよ」

左滋「平沢が一応理性を残していたのは意外だったな」

于吉「作者曰く『三神官のメンタルボロボロビームでネガティブだけど、辛うじて残ってたよ!』らしいです」

左滋「書けばいいものを。いや…所詮、ガキか。精神は全く成長していないから当然か」

于吉「防御力高くないですか?」

左滋「テレビ版とはいえ最強形態の必殺技を耐えたのだからな。公式のスペックのお陰だろう」

于吉「さて、自分が守ると誓った者を傷付けた平沢殿はどこへ行ったのでしょうか」

左滋「深く考えなくていい。あっさりとわかるからな」

 

于吉「では左滋、予告を」

左滋「……次回、五十八話は」

于吉「三巡編 “馬鹿弟子が”。次回は誰が後書きコーナーをやるのでしょうね。と言うわけで左滋、我々は愛を育み…」

左滋「死ね!!」←ローリングソバット

 

ΟωΟノシ再見

 

 

説明
三巡編

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コメント
ヘイロンさん 左慈の所はすんませんミスです。名前の方なんですが、私のこだわりでやってます。変身する前だと誰が何に変身してるのかわからなくなる気がするので(XXX)
作中で左慈が沙慈になっているのはネタなのだろうか? 後、仮面ライダーとキャラが別存在のように書かれてるような気もしますが、特に理由無ければ仮面ライダー名(キャラ名)にした方が読者にわかりやすいのでは?俺は読んでて誰が誰なのかわからなくなったw(ヘイロン)
nakuさん 頑張るっす(XXX)
nakuさん けっこう迷うんですよね。消滅するかしないか。記憶を消すか消さないかで(XXX)
刃さん 卑弥呼「陀悪根素夫因果ー!!」ケンイチ「五斗夫因果ー!!」XXX「リトの関係者、まさかの中の人つながり」(XXX)
あ?大和の巫女か…(^_^;)(黒鉄 刃)
刃さん 現在戦場にいる人物の中の人ネタですかね(XXX)
馬鹿弟子・・・ケンイチの世界or凪?(黒鉄 刃)
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