義輝記 星霜の章 その十五
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【 残された者達の想い の件 】

 

? 徐州 下? 曹操軍陣営付近 にて ?

 

星「力を使い……過ぎたか………。 しかし、主を守り抜けた事、我が最大の成果だ………なぁ」──バタン!

 

麗羽「星ぃ!? 星!! しっかりなさい!! 誰かある! 救護班に早急に将軍達をお連れなさい!!」

 

曹兵「はっ!! 直ぐに!!!」

 

こうして………一刀、儁乂、紫、星が運び込まれて行った!

 

ーーーーー

 

麗羽「敵の別働隊が潰れましたわ! 今こそ好機! 立花様に御連絡を!!」

 

曹兵「はっ!」

 

麗羽「私達も推して参ります!! 朱里に連絡を! それから……島津様達にも御助力を要請なさい! 時期を見て………策を起こすと!!」

 

曹兵「わかりました!」

 

兵士達に指令を出した後、麗羽は手を組み祈る。 一刀の無事を祈る、一人の清らかな少女として………。 そして、続くように兵士達が頭を下げる。

 

麗羽「我が君………! どうか、わたくしを置いたまま、天の国へ御帰還されないで下さい! 貴方を慕う者達に……絶望を与えないで下さい! 貴方を信じる者達からの……夢と希望を受け取り……立ち上がって……下さい!!」

 

そう願うと………指揮を下し、兵を連れて森林に紛れ込んだ!!

 

★☆☆

 

? 徐州 下? 曹操軍陣営 中央 にて ?

 

華琳「………そう、星の活躍と儁乂、紫の助力で筒井を退けたのね! まずは、予想外の好成果………えっ!? 一刀が!!」

 

曹兵「はっ! 北郷様は、張儁乂様達を心配する余り同行! しかし、敵将筒井に対峙して攻撃を受け………意識不明の重体との事です!!」

 

華琳「…………ご苦労。 下がりなさい……」

 

曹兵「はっ! 失礼を………」

 

ーーーーー

 

天幕の入り口では、秋蘭、桂花、春蘭の三人が佇んでいる。

 

敵本隊は、黄河の流れを渡り此方に迫るが、川岸に杭を打ち込み事で、簡易の柵を作り出し、渡河に遅滞を強いる。 しかも、その隙間から槍を突き出して阻止をしたり、弓兵達で攻撃したりと、完全に上陸が出来ない状態!!

 

この少しの隙に……第二策実行の許可を得るため、華琳の天幕を訪れていた。

 

別働隊撃退の話、星達の活躍、そして………北郷一刀の容態。

 

春蘭「馬鹿な! あの………北郷が!?」

 

桂花「う、嘘……一刀が………」

 

秋蘭「桂花! しっかりしろっ!!」

 

──────急に天幕の入り口が開き、華琳が姿を現す! 

 

華琳「何をしているの? 貴女達! 第二の策を開始する頃じゃなくて?」

 

悩んでいる様子も無く、足取りもしっかりしている。 

 

春蘭「華琳様! 北郷は……どうしたんですか!?」

 

桂花「華琳様……! か、一刀は………?」

 

秋蘭「……………………」

 

華琳「貴女達、聞いていたのね。 安心して……一刀は眠っているだけよ。 心配なんて無用! ………それより、第二の策を実行なさい!」

 

春蘭「やはり、眠っているだけか! 心配など……させおって!!」

 

桂花「本当に、本当にそうですか!? 華琳様!!」

 

華琳「本当よ! この戦いが終わる頃には、目を覚ますはず! その為には晋軍を、完膚無きまでに叩きのめさねばならない!! こんな所で、油を売っている暇なんて無いわよ!?」

 

桂花「───はっ! 失礼しました! 直ぐに実行を!!」

 

春蘭と桂花は走り出し、策の実行に取りかかった。

 

…………………………

 

秋蘭「………華琳様」

 

華琳「……………一刀は眠っているだけ。 ………それでいいのよ! 別に嘘は付いていないわ? 本当に……起きるかもしれないし………」

 

秋蘭だけは、密かに気付いていた。 

 

華琳の……緊張して握る両手の拳が、小刻みに震えていた事を………。

 

◆◇◆

 

【 危機一髪 の件 】

 

? 徐州 下? 曹操軍陣営 左翼 にて ?

 

? 曹操軍 右翼 ?***《 兵数…… 十万 》

 

右翼大将……劉玄徳 (桃香)

張翼徳、文醜、、鳳士元、許仲康

高橋紹運、立花宗茂

****************

 

 

前は、川岸から攻め寄せる晋の軍勢! 後ろは……緑が深い森林!

 

その間の平地で二人は晋軍数万と戦っていた。

 

鈴々「にゃあぁぁ────!! しつこいのだぁ!!!」

 

季衣「まだまだ!! ボクはちびっ子より強いから、まだ行けるもんね!?」

 

鈴々「むぅ〜!! 春巻きなんかに負けないぃのだぁ!! 」

 

季衣「うっさい!! 春巻き言うなぁ!! ボクが勝つんだよ!!」

 

二人の一騎当千の働きに、たじろぐ晋軍! 

 

ーーーーーー

 

《 少し前の事 》

 

晋兵長「渡河が終わった隊は、柵を打ち破って敵陣営に向かえ!! 何を血迷ったか川岸の傍に陣営がある! このまま打ち破り襲いかかれぇ!!」

 

晋兵1「質問であります! 陣営内での略奪は禁止でありますか!?」

 

晋兵長「普通なら禁止だが………心配するな! 既に許可の命令が来ている! 略奪は奨励! 持ち得た者は、全て奪った者の物だ!! 我々の大将は気前が大変よい! 多少危険でも、命懸けで忠義を示せ!!!」

 

晋兵2「食糧、金、そして………女! ヒャハァー! 一番乗りは貰っ!?」

 

晋兵2が小躍りをすると、一回り大きい奴……晋兵3が、邪魔だ言わんばかりに、晋兵2を地面へと叩き込んだ。

 

晋兵3「ふんっ! テメェは、地面と仲良くしてな。 俺が行かして貰うわ!」

 

晋兵2「──ペッ! ん〜だっとぉ! お前こそ、俺様の楯となれぇ!!」

 

────と、こんな状態で曹操軍陣営に向かう晋軍!

 

ーーーーー

 

ちなみに、場所は川岸に沿って幅二丈(4,6b)の広い道が通っている。 

 

街に近いせいか、この黄河での漁業が盛んで、商売を成す者が多いの為、必然的に道が広くなる。 狭いと魚の運搬に、支障をきたす可能性が高いからだ。

 

道のすぐ傍は、鬱蒼とした森林になっている。 しかし、同じく街より近い為、薪を取りに人々が訪れて拾って行くため、比較的整備されていた。

 

曹操軍勢の陣営は、森林部分を切り開いて作られた。 徐州は、先の戦いで街が壊滅状態になる程、被害を被った場所。 

 

それでも、先の青州兵達の共同体政策が生きて、最後まで曹孟徳に準じてくれた民達。 その民達への礼を込めて、開墾を出来る準備を整えた。 そこが、今、華琳達が陣営を設置してある場所である。 

 

勿論、そればかりでは無く、陣営の後ろには真っ直ぐの広い道が街まで繋がっているため、逃走するのも都合が良かったと言う理由もあった。 

 

図解にすると………こんな感じ?である。

 

ーーーーー

 

  左 │ 曹操  │  右

    │     │

  森 │▼ ▼ ▼│  森

    │     │  

─☆──┘     └──★─

 

ーoーoーoーoーoーoーoーoーoーo

↑ 〜  〜  〜 ↑ 〜

   〜 ↑  〜  〜  

ーーーーーーーーーーーーーーー

   ↑  ↑晋軍↑  ↑

 

 

ーーーーーーー

 

桃香「鈴々ちゃん! 季衣ちゃん! 全軍──退却出来たんだよ! 早く退いてぇ────!!!」

 

桃香が叫ぶが………殿戦こそ難しい戦いは無い。

 

(鈴々、季衣の位置……★)

 

鈴々「春巻きぃ!! 鈴々強いから、お前が先に退却しろぉ!!」

 

季衣「あぁ〜また言ったな! 言っとくけど、ボクの方が強いんだ! ちびっ子こそ、桃香ちゃんが呼んでるんだ! 早く行けぇ!!!」

 

それを知っている二人は、互いに先に行かせようとする……が、既に敵に囲まれた状態。 抜け出す所か………動く事が出来ない!! 

 

鈴々「うぅ〜〜、鈴々……これで死んじゃうのかなぁ……? お兄ちゃんともっともっと遊びたかったのだぁ──────!!」

 

季衣「こらぁ! 兄ちゃんはボク達の兄ちゃんだぞ!? ちびっ子の兄ちゃんじゃない!! ………ボクだって、もっと構ってもらいたかったんだ!!」

 

…………到底、死にそうに無い二人だが、死の足音は確実に近付いていた!!

 

 

??「待てえぇぇいぃぃ!!」

 

??「大の大人が恥ずかしくないのですかぁ!? こんな幼子達を集団で攻撃するなんてぇ!!!」

 

突如として聞こえた援軍の声!

 

慈悲など無論ない死神達の前に、二人の『天の御遣い』が参戦した!

 

◆◇◆

 

【 よい子は真似しないように! の件 】

 

? 徐州 下? 曹操軍陣営 左翼 にて ?

 

こちらは左翼陣営の二人(現在地…☆)が奮戦している!

 

正確には義弘一人! 義久は………心配そうに見ていた。

 

義弘『お姉ちゃんが戦うと、私の足を引っ張る事になるから、そこで座って待っていて欲しいの!!』

 

義久は、ちょっぴり拗ねながら、妹の奮然振りを見守る。

 

流石に天の国で『鬼島津』の異名を持つ者だけあり、武力はかなりのモノ。

 

近付く晋兵達を、突いたり弾き飛ばしたり、投げたりと遺憾なく発揮している。 その為……一人だけと分かっているが、依然攻め切れないまま。

 

晋兵「(おいっ! あれが……かの有名な………!?)」

 

晋兵「(そうだな……余程自信がある奴じゃないと……攻略は……)」

 

実は………鬼島津の異名は、晋軍にも伝わっていたため、敬遠されて攻める兵が少ない事も一役買っていた。

 

義弘「聞こえてるわよぉ!!! そこに直れぇぇ!!!!」

 

晋兵『ヒャアアアァァ─────!!!』

 

ーーー

 

義弘「あれっ!? 私達に向かってきた敵が、大分少なくなった気が……?」

 

義久「───駄目よ、ひろちゃん!!」

 

長い時間戦っていれば、違う事に意識を向けてしまいたくなるのが、人間の心理。 いくら戦慣れしていて、腕も確かであったとしても…………!!

 

そんな義弘が考え事を始めたその時は、確実に隙であり、撃破する数少ない機会であるので、複数の敵が襲い掛かった!

 

晋兵士たち『もらったあぁぁ─────!!!』

 

義弘「きゃああ─────!!」

 

義久「えぇぇいぃぃ!!」ポイッ! ポポッイ!

 

晋兵a「ブホッ!」

 

晋兵b「ムグッ!」

 

晋兵c「ガッ!」

 

晋兵d「な、何がぁ───ガハッ!!!」

 

晋兵に『白い物体』が投げ込まれ、顔……正確には口に入る!

 

義弘「お、お姉ちゃん!?」

 

義久「ひろちゃん!! 早くこっちに!!」

 

見れば、歳久、家久達、残りの姉妹が、弓兵を引き連れて来援している!

 

義弘「う、うんっ!!」

 

義弘は、そこを無事に撤退した。

 

ーーーーー

 

晋兵a「グワァ────!」

 

晋兵b「顔がぁ! 口の中が……あぁ……はぁっ! ゲラゲラゲラゲラァァ!」

 

晋兵c「アハハハァァァ! 何でモ良くナッてきタワ……! とリあえズ……てめぇラ……シネやぁ!!」

 

晋兵1「な、何を──ギャアアアアァ!!!」

 

晋兵2「どうしたぁ!? しっかりしろ!!」

 

晋兵d「テメエラはぁ……曹操軍ダヨナ! 味方を攻撃するなYo!?」

 

晋兵2「グワァ!!」

 

義久の投げた『おにぎり』を偶然とはいえ、食べた者達は……皆、笑顔で『晋兵』に攻撃を始めた………!?

 

ーーーーー

 

義弘「お姉ちゃん──! ありがとぉ!! 危なくやられるとこだったよ!」

 

義久「無事で良かったわ〜!! もぅ、駄目でしょう!? こんな時に気を抜いちゃ〜!! お姉ちゃん……とても心配したんだからぁー!!!」

 

義弘「ごめんなさい……! 心配かけちゃって!! ……でも、あの投げたおにぎりって………何なの? 敵兵が……あんなになるなんて………」

 

義久「あれはぁ〜! お姉ちゃん特性の〜お弁当でぇ〜す!!」

 

『───────!!!』

 

義弘「あ、あれって、まさか………私へのお弁当? お姉ちゃん手作り?」

 

歳久「………よしねぇ……廓に立つ事は、禁止されているはずですが……?」

 

家久「まさか……と思うんだけど、姉妹全員分?」

 

義久「え〜とねぇ、お昼ご飯分の食糧を皆の分だけ貰って〜『おにぎり』にしたのよ〜! だけど……具が無い『おにぎり』じゃ美味しくないから〜、その辺に生えてる『綺麗な茸』を取ってきたの〜!」

 

家久「(としねぇ〜? あそこの茸って……アレだよね………?)」

 

歳久「ベニテングタケ、ワライタケ、ニガクリタケ……全部、毒キノコ……」

 

義弘は……それを聞き、未だに奮闘している兵士達を見て、自分の両肩を抱いてブルブルと震えている。

 

義久「でねぇでねぇ〜〜! お姉ちゃん、皆に美味しく食べて貰えるように、塩漬けでまぶして、焼いて刻んで……おにぎりの具にしたの!!」

 

歳久「…………あと、一つだけ聞かして下さい! そのおにぎりは、味見をしましたか? まさか、誰か……試食を試した者が……居たとか………」

 

義久「うん! 春蘭ちゃんが物欲しそうに見ていたから、お姉ちゃんの分を渡すと、目を輝かせて食べてくれたんだけど……。 凄く美味しいって!!」

 

義弘「はぁあぁぁ!? ア、アレを!? た、大変じゃない!! 早く助けに行かないとぉ!?」

 

家久「でもぉ〜華琳さん達の本陣は、普通だったよ?」

 

歳久「何かあっては遅いです! 貶めすのは、私達の名前だけなら許されますが、颯馬や義輝公達まで汚しては一大事!! それに、颯馬の件があったとはいえ、私達は客将と招かれたのですから、責を務めねばなりません!」

 

義久「そうよねぇ? お姉ちゃんの料理、褒めてくれた二人目だから! 食べ過ぎて倒れていたら……お姉ちゃん悲しいもん!」

 

家久「……最初の誉めた人って……もしかして………」

 

義久「うふふふっ………! 颯馬君だって言うことは……内緒!」

 

歳久「……バラしているではありませんか……」

 

義弘「颯馬………グスン」

 

一時的に弓兵士だけ配置し、華琳達本陣に向かう島津姉妹達。

 

そして……晋軍の兵士達は、まだ同士討ちを繰り広げ、混乱をしていた。

 

◆◇◆

 

【 思い上がりの王 の件 】

 

? 徐州 下? 韓馥軍陣営 にて ?

 

韓馥「おのれぇ!! まだ、曹操の軍勢を抜けれんのかぁ!!」

 

晋兵「ほ、報告! 別働隊で動いていた筒井順慶様が、敵将達と応戦!! 北郷一刀と思われる将を捕獲は出来ませんでしたが、重傷を負わす事は成功! しかし、他の敵将との一騎打ちで撃退! こちらに退かれました!!」

 

韓馥「ほぅ……そうか! そうかぁ!! ほーっほっほっほっほ!! 北郷一刀に、そのような重傷を与えるとは、流石…順慶様! 我々も負けて居れぬ! 精一杯攻めるのだ!!!」

 

晋兵「はっ! それと、別働隊の兵五万、無傷で帰還! 順慶様は、天幕で休まれると申され……中に滞在されています!」

 

韓馥「…………チッ、驚かせおって! 後ろで待っていたかと思っていたわ! 全く忌々しい女だ! 力も才も知恵も儂よりちぃ〜と上だけの分際で、人を見下しおってぇ!!! 容姿も優れている分、尚更憎いわ!!!」

 

晋兵「ご報告致します! 曹操軍中央本隊! 我が軍に押されてか……少しずつ後退しているとの事! 中には、早くも曹操軍の陣営に入り込み、価値ある物を奪取したと、報告を受けております!!」

 

韓馥「そうか! 遂に下がり始めたかっ!! 好機だ!! 我々本隊も攻め寄せるぞ!!!」

 

晋兵「………順慶様は、如何いたしましょう?」

 

韓馥「ふん! そのままにして……いや……そういえば、近頃は念者衆や若衆の相手ばかりで……つまらなかった。 ぐふっ、偶には女も良いな……。 酒や肴を順慶に持って行け! 戦勝の前祝とでも称して……呑ませろ」

 

晋兵「………酔わせて弱った所を……ですか?」

 

韓馥「その前に、儂がしっかり功を上げねばならん! 挙げずに……うつつを抜かしていては、于吉に処罰を食らう事は、間違いないじゃろう!! 全軍に指令を出せ!! 敵曹操軍を追い詰めよぉ!!!」

 

◆◇◆

 

【 それぞれの活躍 の件 】

 

? 徐州 下? 曹操軍陣営 右翼 にて ?

 

紹運「お主達! この場より早く逃げよ!! 私達がここを抑えてみせる!」

 

鈴々「えっ!? そ、それじゃあ……大友のお姉ちゃん達が………!!」

 

季衣「そうだよぉ!! このまま居たら……死んじゃうよ!! ボク達の事はいいから……!!」

 

宗茂「うぅ〜ん! 今一……信用不足ですかねぇ? 私達の力を見せて差し上げます!! 義姉様ー!!!」

 

紹運「いくぞぉ! 我が刃を防げると思えば、見事、防いでみせよっ!!」

 

紹運が一筋の流星の如く、目の前の軍勢に突っ込んで行く! 

 

防御しようとする輩は多かったが……悉く弾き飛ばされ、数多の兵士が物言わぬ屍と化す! 手向かえば…頭や腕、身体の至る所を狙われ、天罰に等しい報いを……その身に刻まれる! 

 

しかも、全員が痛みを余り感じず、速やかに葬り去る神業!

 

紹運の働きに……ただ、唖然とする二人。

 

鈴々「す………凄いのだぁ!」

 

季衣「紹運様………強いんですね………」

 

紹運「何事も鍛錬だ! 鍛錬を続ければ………私をも超えれるさ! それより早く森の中に!! 宗茂! 頼む!!!」

 

宗茂「はいっ!! とおっ!! えいっ!!」

 

宗茂が『波遊の太刀』を振るうと……闘刃が飛び出し、砂煙が上がる!

 

その隙に森林に全員逃げ込んだ!!

 

★☆☆

 

? 曹操軍 中央 ?***《 兵数…… 十万 》

 

 

総大将……曹孟徳 (華琳)

荀文若、夏侯元譲、夏侯妙才

 

 

****************

 

桂花「華琳様! 左翼、右翼の両翼が撤退しました! しかし、敵陣営の総力を本隊が迎え撃つため、士気が著しく下がっております!!」

 

華琳「……………」スッ

 

華琳は、後方より前面で戦う……曹操軍兵士に呼びかけた!

 

ーーー

 

華琳「曹操軍に従いし者達! 一刀に忠誠を使う青州兵達よ! お前達の支え続けてきた北郷一刀が……敵の凶刃に倒れた!!!」

 

曹操軍兵士『━━━━━━━!!!!!!』

 

華琳「北郷一刀は……お前達と共に笑い、泣き、辛苦を分け合った仲間であり我々の掛け替えの無い家族である! 一刀は、自分を庇い亡くなった青州兵達を罵られ、我慢出来ずに……敵に立ち向かい……負傷を負った!!」

 

曹操軍兵士『───────!!!!』

 

華琳「お前達の指揮する者としては、最悪の選択である! 敵の術中に嵌まり無駄な犠牲を出してしまった! 

 

だが! しかし! 我々の家族として、これほど誇らしい者が他に居るか! 

 

悪口を言われ、静かに黙っている腰抜けであれば、お前達は一刀に付いて行ったかぁ!! 断じて否! 否であろう!!

 

一刀の守りたいと思う心を踏みにじるのも、生かして返すのも───お前達の働き次第!! 北郷一刀に続けえぇぇ!!!」

 

曹操軍兵士『おおおぉぉぉーーーーーーーー!!』

 

ーーー

 

桂花「か、華琳様………。 一刀の働きは決して……誉められる物ではありません………。 ですが……どうしてでしょうね……。 何故か忘れていた事を思いださせるんです………」

 

華琳「桂花……。 今は勝つ事だけ……考えましょう! 一刀が残してくれた縁……それと、朱里や雛里の新たな戦術に全力を費やすのよ!!!」

 

★★☆

 

春蘭「うおおおぉぉぉ!!! 力が……みぃなぁぎぃるぅぅわぁぁぁ!!!」

 

ズザザザザザザザアァァァ!!!

 

春蘭が走ると、土煙が巻き上がり、敵に当たれば、木の葉のように……空中に舞う!  

 

晋兵「ギャアアアア────!!」

 

晋兵「ば、化けもんだぁ───! グワッシィ!!」

 

秋蘭「姉者!! 前に出過ぎるなぁぁ!! 」

 

ーーー

 

左翼より様子を見にきた…島津姉妹。 森の中で隠れて見ている。

 

義弘「はぁっ! はぁっ! やっと着いたよ………。 えっっ!? 何でぇ!? 何で平気なのよぉ!? 春蘭は!!!」

 

家久「───元気百万倍! みたいなぁ〜感じ?」

 

歳久「…………体質なんでしょうか?」

 

義久「………………ハァ、ハァ、ハァ! やっぱり………大丈夫でしょう?」

 

ーーー

 

春蘭「おぉやぁかたさまあぁぁぁ!!!!」 

 

更に晋兵へ………謎の奇声を挙げて突っ込む春蘭!! 

 

群がる敵兵に単騎で突っ込み、数百、数千の敵が、爆発を受けたように飛んでいく!! 春蘭の言う『オヤカタサマ』とはいったい………?

 

秋蘭「────誰だ!?」

 

桂花「華琳………様の事?」

 

華琳「………何を食べたの……春蘭?」

 

ーーー

 

義弘「お姉ちゃん!!」

 

家久「あっは、あはははは…………」

 

歳久「………はぁ」

 

義久「えぇぇ────────!?」

 

ーーー

 

春蘭の謎の活躍で、晋軍の兵士が一万程………壊滅したという。

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

前作同様……徐州の戦い一辺倒の小説です。

 

一刀の扱いが、不憫だと思われる方もいらっしゃいますが……戦乱ですのでね。 一人のミスが全体に響く場所ですので……責任と共に自分自身を律しないと、皆が迷惑をかける事になります。

 

シリアスにシリアスに………として行くのですが……書き手の味というか、ギャグを入れてしまいたくなる性分と言うか、こんな具合てす。

 

バサラも……昔やったんですけどね。 無双も全然しなくなりましたし。

 

暇な時に、この小説を手入れしているものですから。

 

また、宜しければ読んで下さい。

説明
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。
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コメント
では、此方も……早速投稿を………。(いた)
naku様 祝いの言葉ありがとうございます! ですが、最初の二つは失敗作、もう一つは連絡事項。 正確には97話目になります。 でも、嬉しいですね! ありがとうございます!(いた)
Jack Tlam様 再コメントありがとうございます! それだと周辺がトンデモナイ事に。 ただ単純に『おにぎり』を食べて貰うだけです。 今度は奥州の筆頭様でも呼び出そうかな……と。 予定ですから変更もありです!(いた)
もしかしてあれか?春蘭、次回あたりで萌将伝で繰り出した「闘神圧砕」(←氣で形成したビームサーベル?)出してしまうか?あの時は武道会だったし、相手が雪蓮だったから吹っ飛ぶだけで済んだけど……理性が飛んでる今の状態ならとんでもないことに……。(Jack Tlam)
洛陽のお留守番方は、月ちゃん達を待ちますので、向こうが終わらないとなんとも。 皆に活躍の舞台をと思いますが……七十名以上の参戦ですので、見せ場が大変ですけど……なんとかしてみます。(いた)
禁玉⇒金球様 コメントありがとうございます! 華琳の激が結構評判良くてホッとしてます。 一刀は当分寝覚め無い予定です。 起きてると色々困りますので。 春蘭の話は、また次回に続きます。(いた)
人は利で動き情に左右される、それを踏まえて振る舞えば或いは振る舞わなければ結果も自然とついてくる。お姉さんまたは(推定)熟女枠の華雄さん待ってます、風ちんも本性露にやって来ると愚考致します、応援してます。 (禁玉⇒金球)
指揮官は冷静な判断と咄嗟の詐術=詭道を如何に多く生み出すかも重要視されるその意味で失態を逆手に一刀の美点も指摘して士気を鼓舞したのは見事、戦功は曹操、戦犯は北郷となるが『この大一番』では曹操の檄によって一刀は更に道化になってしまいますが…炎の厳しさは今後の糧となるべき。春蘭ェry(禁玉⇒金球)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 二回目どうしよかなと……考え中です!(いた)
まさかの春蘭ドーピング状態。効き目が切れた後がどうなるのかがちょっとたのs…もとい怖いですね。(mokiti1976-2010)
一刀は……その後、愛玩動物とかでは無く、それなりに働いてくれるでしょうが……変態眼鏡が虎視眈々と狙っております。 春蘭の謎の活躍は……曹操軍最大の不思議事項と後世に伝わったと……。(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 華琳も司令官であり国の王。 幾ら辛くても……戦場の中では平気なの! じゃなく個人的感情は弱みを握られる事になります。 なるべく冷静に采配を振るう。 それが勝利への……自分の感情を吐露できる早道なのかもしれません。(いた)
Jack TIam様 コメントありがとうございます! 検索サイトで調べてましたら『塩付けて食べれば毒茸に当たらない』と言う迷信から作った話だったのに……実在していたなんて。 一刀に関しては……戦では落第ですが……士気を上げる良いところをアピールする策を行ってみました。 春蘭の話は…幸村の台詞が好きだったので……。(いた)
指揮官としては間違っていても、家族としては最良、か……原作でも現代的価値観を最後まで捨てなかった一刀らしいといえばらしいか。ベニテングタケは長野県の一部で塩漬けにして食する文化があるそうですが。イボテン酸は幻覚作用を起こす毒素であると同時に旨味成分ですのでね。食べ過ぎれば当然中毒ですが……それにしても春蘭ェ……(Jack Tlam)
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