英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜ザクセン鉄鉱山〜
「これは……!」
鉄鉱山に到着したリィン達は鉱山のあちこちから上がる煙の光景に驚いた。
「な、なんてこと……」
「あちこちから煙があがってやがるな。テロリストが火を放ったのか?」
「消火活動は終わってるみたいだけど……(でも……なんかおかしいな。)」
「問題は鉱山の中で働いている人達が無事かどうかですね……」
鉱山の状況を見たアリサは悲痛そうな表情をし、クロウの推測を聞いたフィーは鉱山のの状態を見つめながら考え込み、セレーネは不安そうな表情をした。
「ふん、軍需工場ではなくこちらに来ていたわけか。」
「恐らく軍需工場の方は囮だったのでしょうね……」
鼻を鳴らしたマキアスの言葉に続くようにツーヤは真剣な表情で答えた。
「見て、入口のほう……!」
その時何かに気付いたエリオットにつられるように入口を見つめるとそこでは鉄道憲兵隊と領邦軍が睨みあっていた。
「ありゃあ……鉄道憲兵隊と領邦軍じゃねえか?」
「でも、あんな所で何を……?入口も完全に封鎖されてるみたいだし……!」
「……とにかく近くまで行ってみよう。」
そしてリィン達は入口付近まで近づいた。
「―――既にテロリストは鉄鉱山を完全に占拠した!鉱員たちを人質に取った以上、手出しをするわけにはいかん!」
「だからといって、交渉もせずに様子を見るつもりですか!?彼らは目的を持って行動している―――時間を稼がせてはいけません!」
領邦軍の隊長の警告を聞いたクレア大尉は怒りの表情で反論した。
「激しく言い争っているな……」
「……どうやら鉄鉱山はテロリストが完全に占拠してしまったようだ。」
「そして、先に駆け付けた領邦軍が鉱山を封鎖してる……状況としてはそんな感じみたいね。」
「ど、どうしてそんなことを……」
「一刻も早く鉱員の方達を救出すべきなので、どうして何もしないのでしょう……?」
アリサの話を聞いたエリオットとセレーネは不安そうな表情をし
「やれやれ、プンプン匂うなあ。」
「うん、領邦軍の準備も整いすぎてる感じ。……ぶっちゃけ、どう考えてもグルじゃない?」
「状況を考えれば、確かにそうですね……」
クロウの言葉に頷いたフィーの推測を聞いたツーヤは真剣な表情で頷いた。
「それって……!」
「しかし、実際この鉄鉱山は襲撃されているんだぞ?あんなに煙も上がって……」
「たぶん……あれは偽物(フェイク)。煙の出方が少し不自然だから発煙筒かなにかだと思う。」
「は、発煙筒……!?」
フィーの推測を聞いたマキアスは驚き
「……だとしたら、領邦軍がここを封鎖したのは別の理由があるのか……?」
「一体何の為にそんな事をしているのでしょう……?」
リィンとセレーネはそれぞれ考え込んでいた。
「……ラインフォルトの『第一製作所』に関わることかもしれないわ。」
「そ、そうか……たしか鉄道憲兵隊も調べていたんだったな?」
「ああ、クレア大尉が言ってた。こんなタイミングで領邦軍が露骨な動きを見せている……連中が隠している”何か”がここにあるのかもしれないな。」
「それを揉み消すためにここを封鎖したっつーわけか。確かにそう考えればある程度の説明がつきそうだ。」
「…………通商会議の時のように、これ以上”証拠”を残す訳にはいかない……ということですか。」
クロウの推測を聞いたツーヤは真剣な表情で考え込みながら呟いた。
「で、でも”何か”って……?」
「……現時点ではわからない。だがどちらにせよ、鉱員たちが危険に晒される可能性は高い。放っておくことはできないだろう。」
「……一旦、街の方に引き返しましょう。これからのことを考える必要があるわ。」
「アリサ……」
「……そだね。」
「とっとと戻るとするか。」
その後リィン達はルーレ市に戻ってこれからの事を話し合い始めた。
〜ルーレ市〜〜
「…………」
「とにかく、何が起きているのか状況を見極める必要があるな。」
「テロリストと貴族派が完全に通じているとしたら……ラインフォルト第一製作所が隠している”何か”の証拠隠滅を図るのが狙いなんだろうが……」
「で、でもそんな事のためにこんな大掛かりな事するかな?たしか、鉄鉱山の所有権は皇帝陛下にあるんだったよね?」
「ええ、それをノルティア州が管理し、ラインフォルトが鉄鉱石の採掘・精製・加工を行ってきた……そして”鉄”はエレボニアにとってなくてはならない資源の筆頭だわ。このままじゃ、貴族派を含めた帝国全体にも打撃があるのに……」
「民の生活にも影響がでるでしょうね……」
「うん……というか、民が一番影響を受けると思うよ。」
エリオットの疑問に重々しい様子を纏って答えたアリサは考え込み、悲痛そうな表情をするセレーネの推測にツーヤは真剣な表情で頷いた。
「そこらへん、貴族派やテロリストがわかってて行動してるかどうかだな。そもそも一枚岩じゃねぇみてえだし。」
「ん……テロリストのメンバーには平民ばかりで貴族はいないみたい。”鉄血宰相”が憎いだけで協力し合っている気がする。」
「ああ、だとしたら今回の件もそれに関係していそうだけど……」
「やれやれ、ちょっとばかり到着するのが遅れたようだね。」
リィン達が話し合っているとなんとサイドカーにジョルジュを乗せたアンゼリカが導力バイクを運転しながらリィン達に近づいてきた。
「アンゼリカさん………!?」
「ジョルジュ部長も……」
「よう、やっぱり来やがったか。」
二人の登場にリィン達が驚いている中、クロウは苦笑しながら二人を見つめた。
「ああ、サイドカーの試運転も兼ねてだけどね。」
「思ったよりも調子がよくて7時間でルーレに到着できたよ。乗り心地に関しては次の課題かな。」
「な、7時間も乗っていたんですか!?」
「よく、事故を起こさなかったですね……」
「ったく、相変わらずマイペースな奴等だぜ。さすがにトワは来なかったか。」
二人の話を聞いたセレーネは驚き、ツーヤは苦笑し、クロウは呆れた表情で呟いた後トワの姿がいない事に気付いた。
「ああ、代わりに各方面の情報収集に当たってくれている。何かあったらリアルタイムでこちらに連絡があるはずさ。」
「そいつは頼もしいな。」
「え、えっと……話が見えないんですけど……」
「どうやら僕達とは別の事情で動いているみたいですが………」
「ひょっとして前に言っていた”気がかり”ですか?」
クロウ達の会話を聞いたエリオットは戸惑いの表情をし、マキアスとリィンはそれぞれ尋ねた。
「ああ、そういう事さ。前から疑っていたが……現実となってしまったようだ。」
「たしか、第一製作所の取締役はアンゼリカさんの……!」
アンゼリカの話を聞いて何かに気付いたアリサは真剣な表情でアンゼリカを見つめ
「ああ、”ハイデル・ログナー”。叔父にあたる人物さ。どうやらお互い、情報交換をした方がよさそうだね。」
「いったん場所を移そうか。」
その後リィン達は場所を移して互いの情報交換を始めた。
説明 | ||
第244話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1613 | 1489 | 2 |
コメント | ||
感想ありがとうございます 本郷 刃様 レンの場合は別の理由で参加しそうですがww(sorano) 人質の鉱員は民、民に国境は無し、ゆえにレンちゃんが民を救う為に動く可能性も無しではないと・・・(本郷 刃) |
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