義輝記 星霜の章 その十六
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【 春蘭の見た者……の件 】

 

? 徐州 下? 曹操軍陣営 中央 にて ?

 

華琳「よくやったわ、春蘭! 何時もの数十倍の活躍だったわよ!! これで私達の準備に余裕が出来るわ!!」

 

春蘭「はぁ……ありがとうございます……」

 

ーーー

 

春蘭の文字通り『万夫不当』の活躍により、一時的に兵士を下げた晋軍!

 

丁度……春蘭も意識も戻ったので、秋蘭が急いで連れ帰ったのだ。

 

ーーー

 

秋蘭「───姉者!! 大丈夫かぁ!? 呼吸は苦しくないか? お腹を下すとか体調がおかしいとか───!?」

 

春蘭「??? 何も変わりはないが……? どういう事だ!?」

 

桂花「島津義久殿から『おにぎり』なる料理を貰ったんでしょう!?」

 

春蘭「おぉ!! あれは絶品だったぞ! 味も良かったが……やはり料理の名前が『鬼斬り』と格好いいじゃないか! 食べたら鬼も斬れるそうな力を得そうな……おっ? そういえば……食べた後の記憶が……あんまり無いな?」

 

華琳「春蘭……覚えている事は?」

 

春蘭「はいっ! 赤い鎧を着用した大男が、名前を呼びながら殴ってきましたので、私も思いっ切り殴り返してやりました! 華琳様に捧げた身体を……不用意に殴り付けてくる傍若無人な輩、許す事など出来ません!!!」

 

桂花「じゃあ……『オヤカタサマ』なる謎の言葉は?」

 

春蘭「何で桂花が、その大男の偉丈夫の呼び名を知っている!? 私はその不埒な奴を何故か『おやかたさま!!』と言って殴りつけたのだ! 向こうも『ゆ○む○!!』と呼んで殴るんだ……私の名前とは全然違うのに………?」

 

桂花「………華琳様、これは?」

 

華琳「分からないわ。 もし、答えを得たいのなら……あの『漢女』に聞くしかなさそうね? それにしても、恐るべし天の国の調理……。 敵を狂わせ味方に巨大な力を与える……危険な物のようね?」

 

★☆☆

 

歳久「……不定するのも面倒です。 このまま島津本家の調理法『神便鬼毒料理』と名付けて売り出しましょうか?」

 

義久「やだぁ〜!! お姉ちゃんの愛情籠もった料理を、変な物にして売らないでぇ〜!!」

 

家久「…………既に人智を超えてるね。 よしねぇの料理って………」

 

義弘「春蘭の体調も良かったし、私も直ぐに戻りましょう!! 次の策に取りかからないと! それに、朱里ちゃんも心配しているから!!」

 

歳久「よしねぇ……ただの戯言ですよ。 ですが、颯馬の事を悪し様(あしざま)にまだ言うのであれば、実行する考えを持っていますよ………」

 

家久「駄目だよ! 颯馬お兄ちゃんや義輝様の名が、それこそ汚されちゃう!! ゼッタイ ダメ! 拒否、不適当、禁止、論外、不可──!!!」

 

歳久「…………くっ!」

 

 

◆◇◆

 

【 おにぎりの行き先 の件 】

 

? 徐州 下? 晋軍陣営 にて ?

 

韓馥「なんだのだぁ──!? 先の力の波動はぁぁ!!!」

 

伝令兵「わ、わかりません! ただ確認出来るのは……曹操軍随一の武を誇る夏侯惇が……一騎で縦横無尽に暴れまくり、我が軍勢を退けただけ! 被害数も死傷者合わせても、一万人を越えると─────!」

 

韓馥「儂が知りたいのは、既存(きそん)の話を聞きたいのではない!! どうして、あのような力を得たと言うことだ!! あの力があれば……順慶など軽く押し倒し、左慈や于吉でさえも……儂の配下!!」

 

伝令兵「はっ! それは………判明して……おりますが……!」

 

韓馥「判明しているのなら、何故……報告せん!! それが貴様の役目であろう!? それとも……黙っていたのは、それを利用し儂の後釜に入り込むつもりだったか!?」

 

伝令兵「めっ! 滅相も御座いません! ただ、これを食した者は……狂気に駆られ同胞を死傷させた為、討ち取りました! この事を韓馥様に報告する事が宜しいのか、判断に迷いまして…………お許しを!!」

 

韓馥「ふんっ! ……では、証拠を見せてみろ! 道具か? 丸薬か?」

 

伝令兵「…………これで……御座います!」

 

伝令兵が、横に置いてある手荷物から『おにぎりの包み』を取り出す!

 

韓馥は手に取り、中を開きつつ観察する。

 

韓馥「………毒茸の類が見えるな? 確か……神に祈りを捧げる者は、これらの茸を食し、神へとの意識を繋ぐ、媒介で使ったと聞いている。 その影響もありそうだな? ふむぅ……丁度いい。 試しに一つ食すかの!!」

 

伝令兵「お止め下さい!! そのような危ない品物!!!」

 

韓馥「案ずるな……。 食すのは──ほれっ! 貴様だ!!」

 

韓馥は『おにぎり』を一つ、伝令兵に投げ渡す! 

 

伝令兵「えっ───!?!?!?」

 

目を白黒させて驚く伝令兵の前に、抜き身の剣先を向けて即す韓馥!!

 

韓馥「冗談など言うものか! お前には罰を与えてやろう! 

 

選ぶのは三つ! 一つ目はコレを食し、強者と成りて儂の側近として働き、栄華を極めるか? 二つ目は同じく食し、狂気に委ね儂を殺して後釜に座るか!! 三つ目は、食べるのを拒否し、儂に一刀両断されるかだぁ!!!」

 

伝令兵『───────────!』

 

★☆☆

 

伝令兵「ーーーーー!」ググッ── バタッ!

 

韓馥「……………ふむ? 才無き者など、所詮こんな働きしか出来んか?」

 

剣に付いた鮮血を二度、三度振って飛ばす! 

 

元『伝令兵』だった遺体は、他の兵士達に運ばれて行った。 顔には、最初の犠牲者である四人の兵士達と同じ、『満面の笑顔』が張り付いていた………。

 

韓馥「強さとしては、まあまあだったな! ───しかし、おまんらの助けなんぞいらんかったぜよ!? 念者衆、若衆よ!!」

 

韓馥の付近には、弓を所持していた漢女……じゃなく、念者衆達が控えていた。 現に、伝令兵が笑いながら、韓馥に襲いかかった時に、足に矢を打ち込み、機動力を弱らせたのは……この者達の働き!!

 

念者衆「そないな事いわれても……あたし達は……心配でぇ!!」

 

若衆「姉はん、行きましょう! 御前……失礼しはした!」

 

念者衆達は心配そうに何度か振り返るが、若衆達はそのまま……急ぎ退室する! 《未練など何も無い───!!》と言わんばかりに!!

 

★★☆

 

韓馥「深情けか………ぐふふふふっ! 世の中で忠義の兵士など数える程しか居らぬものよ!! 手っ取り早く『裏切りを無くす』には、『愛』で縛ればいいだけよ!」

 

誰も居なくなった天幕で……韓馥が一人呟く。

 

韓馥「……赤の他人同士が家庭を築くに、責任、義務などの強制的な縛りで、一生涯過ごせるものか? 多分、どちらかが捨てられ逃げられるのがオチ! 

 

ならば、愛情で繋げれば……アイツらは見捨てぬ! 現に、儂が若返り集合を掛けた時は、真っ先に駆けつけてくれたのが『念者衆』だったしな!!」

 

そのように呟いた後、自分の手の甲をさすり、腕を触り、最後に顔を撫で回す!! 若々しい肉体、皺一つ見当たらず、頭の髪もフッサフサ!!

 

韓馥「……………当時は、美しかった奴らも……既にかなりの歳を経て居るか……。 若い儂には………似合わぬな………。 ぐふふふふ………!」

 

何か、良からぬ事を思いついた悪ガキの如く、満面のイヤらしい笑いを浮かべ、韓馥は一人満足そうであった………。

 

 

◆◇◆

 

【 西涼戦 決着 の件 】

 

? 西涼 西涼城付近 異民族陣営 にて ?

 

鮮卑将「はぁ─っ! はぁ─っ! はぁ─っ!」

 

白菊「ふぅ〜ん? 若いねぇ! あたしの艶姿を見て欲情するなんて! あっ違うかぁ! その前に若者を発情させる……此の姿が悪いんだねぇ!!」

 

鮮卑将「じゃかましい!! この化け物がぁ! テメェと三十合打ち合わせてるのに! なんで息切れ一つしないんだよ!? はぁーはぁー!!」

 

白菊「簡単な理屈だ! あたしはまだ……本気を出していないから!」

 

鮮卑将「何だとおぉ!!」

 

ーーーー

 

羌将「くっ! 手強い!! 流石に錦馬超だ!!!」

 

翠「はっはっはっ! 弱いな! あんまり弱過ぎて……うたた寝しちゃいそうだよ! 帰ったら、もう一回鍛錬をやり直しな!!!」

 

羌将「面白い事を言う小娘だ! 今まで、互角の戦いをしていたのに、何故余裕のある言動を言える!?」

 

翠「そうかい? 相手の実力も把握出来ないんじゃ……勝ち目は薄いね! ほらっ! これでも、食らいやがれぇ!!!」

 

羌将の顔の横を、翠の銀閃が閃光の如き速さで、通過していった。

 

羌将「はっ、速い!!」

 

翠「…………どうだい? 実力の差が分かったかい?」

 

羌将「ど、どうして殺さない!? お前は勝者だぁ!! 敗者は勝者の命令に従う! だから………さっさっと殺せぇ!!!」

 

翠「いや〜なぁこったぁ! 深い理由なんかぁないけど……『なにも死ぬこたあねー』 さっき……そぉ思っただけだよぉ!」

 

羌将「………………?」

 

翠「『頭を潰せば、蛇は死ね』 うちらの軍師サマが言うんで……乗ったんだよ! 無益な戦を止める為にさぁ!!」

 

羌将「はぁっ!?」

 

★☆☆

 

劉宣「おのれぇ! おのれぇ!! おのれぇぇ!!!」

 

劉宣が叫ぶ! 今まで……彼らが居たゲルが……炎で覆われていた!

 

百万の軍勢が犇めいて(ひしめいて)いた所が、焔の明るさで辺りを照らす!

 

暴れる騎馬、逃げ惑う異民族、焼け落ちるゲル………。

 

この策により、彼の長年掛けて計画していた……漢王朝転覆も灰燼に帰した。

 

▼▼  ▼▼  ▼▼

 

今は昔の物語……劉宣も、元は漢王朝に仕えていた有能な臣だった。 

 

だが、ある時……政敵に謀られて南匈奴に送られて、一生涯を過ごす結果になる。 ───有能だった故の悲劇だった。

 

当時の南匈奴は、漢王朝の組織構造、政策、軍事、それらを詳細に知る人材を欲していた。 より強くより豊かに! 栄華を誇る漢王朝は……彼らの目には眩しくみえ、使者を送り要求した! 『優秀な人材を送れ!!』と!!

 

本来なら……国の重要機密を教える事など拒むはずだ! しかし、南匈奴の力を恐れ、人身御供として推挙され……有無を言わさず送られてしまった!!

 

幸い、南匈奴の単于は、劉宣を気に入って高官に取り立てる!! 劉宣は、必死になり、新しき国を盛り立て、国に貢献して、更なる地位を得られるようになった! 南匈奴と漢王朝の友好度が上がり、漢王朝としても喜んだ!!

 

しかし……劉宣の野望は……漢王朝転覆と狙いを定め、少しずつ準備を始めていた。 信用されている事を利用し、少しずつ資金を準備していく。

 

この男は───────漢王朝を憎んだ! 

 

自分という劉姓を持つ者が、蛮族の治める国に向かう事になった屈辱に!!!

 

自分を罠に仕掛けた政敵も、自分を送り出して安堵している国の民達も、南匈奴の勢力に屈伏した、腰抜けの政府首脳陣も全部潰すため!!!

 

ーーーーー

 

それから、数十年の年月が流れ───地位も資金も準備ができた! 

 

しかし、肝心な兵力が足りなかった! 数十年の間、北匈奴との交戦等で兵力が激減、数万で攻めても……漢王朝を攻め滅ぼす事は出来ないだろう! 

 

……過去に政敵だった『張譲』も今は亡く、皇帝も代替わりしている。 

 

自分の復讐とは………何だったのか虚しくなっていく……。

 

しかし、『左慈』なる若造が申し出た計画は魅力だった! 

 

『洛陽の北側から俺ら『晋』が七十万の兵を挙げる!  南側からも別勢力がこの機に乗じて攻め寄せるだろう! その兵力二百万!! お前たち南匈奴も参陣すれば……漢王朝は滅亡の憂き目に会うぜ!?』

 

勿論……直ぐには信じず、裏付けを取り間違いない事を確信した。

 

劉宣の余命も少ない! 此処で逃したら……間違いなく実行せずに終わる!

 

劉宣は………決意し、若き単于に奏上して軍事行動を始めたのだ!!

 

▲▲  ▲▲  ▲▲

 

??「貴方が………この軍勢の統括者ですか!? 私は、漢王朝の臣『董仲穎』! 素直に投降すれば命を保障します!」

 

若い女の声が………後ろから聞こえる。 

 

ユックリ振り向くと……元々の赤い鎧に、焔の色が色彩を添えて華やかに見せ、美しき銀髪と整った可愛らしい顔を、更に際立っている。

 

昔……拝謁し、密かにお慕いした『董太后』様の若きお姿に……よく似ている。 儂に向かい……微笑まれた事が鮮明に脳裏へ蘇った。

 

『董仲穎』………まさか……『董太后』様の血筋の………?

 

遠い過去の『董太后』様が、儂の愚かさを非難するかが如く、厳しい眼差しで詰問する! そんな幻想に囚われてしまうのだ!

 

劉宣「我が名は南匈奴『劉宣』なり! 敗軍の大将に対して投降など笑止千万! 我が首が欲しければ……一騎討ちで勝負致せ!!」

 

▼▼▼  ▼▼▼  ▼▼▼

 

ここまで………完全に……我が野望が水泡に帰した。 儂には家族なぞおらん! 一生独り身で暮らしたからな。 残す後悔も、心配する家族も居ない。

 

願わくば………『董太后』様に……よく似た『董仲穎』に討たれたい!

 

名誉ある一騎打ちの敗者として………。

 

無駄だと思った。 駄目だと感じた。 勝ち戦である漢王朝の軍に……一騎討ちを願っても拒否されるのが見えている。

 

▲▲▲  ▲▲▲  ▲▲▲

 

月「分かりました! 貴方が望むのであれば……お相手致します!!」

 

まさか! 受け入れられたのか!? 

 

『董仲穎』が、弓を持って構える! 緊張で顔が強張るのがハッキリと分かるが、力みは見いだせない。 寧ろ、その若さで……体得した武人の高みが見て取れる。 何時でも射れる体勢である事は、間違いなかった!

 

………精神や身体が……二十代のあの頃に……若返る気がした!

 

近くに居た愛馬に跨がり、軽く首を撫でる! 

 

劉宣「行くぞぉ!! この老骨の最後の武を見よっ!!!」

 

儂は、愛馬の腹を蹴り、突撃して行った────!!! 

 

あの世で、笑いながら待って居るだろう、張譲にタップリ文句を言ってやり……『董太后』様に涙ながら謝罪するのだ……! 

 

───────シュッーン!

 

………あの方は、儂を赦して………

 

 

◆◇◆

 

【 少女達の談笑 の件 】

 

? 洛陽 宮廷内 風私室 にて ?

 

風「ぐぅ〜〜」

 

稟「冒頭より居眠り初めて、どうするんですかぁ!!」パシィ!

 

風「おぉう! 風は出番がなかったので退屈でしたぁ〜。 稟ちゃんや華雄さん達は、この前の話に登場出来たからいいですけど、風は待たされましたよ〜! 具体的には七話ぐらいぃ。 だから、ふて寝してやったんですよー」

 

華雄「それくらいどうした! 皇帝陛下など一章丸ごと出番がなかったのだ!! 『私達は、ただの飾りなんでしょうか?』と問われた時、涙が止まらなかったんだぞ!?」

 

風「むっ! 流石は陛下ですー! 華雄さんに一言いうだけで、笑いのツボを捉えてウケさせるとはー。 風も益々精進をばぁー!」

 

稟「違うでしょう!! 笑いを堪える為に涙を流したのではなく、悲しんで涙を流したのが止まらなかったという表現です!!」

 

風「……と、風に都合が悪い物は捨て置いて、本題に入りますかねー?」

 

華雄「おぃ!! 皇帝陛下に関わる事を放置してどうする!?」

 

風「ふぅ〜。 華雄さん、よく考えて下さいー! 今大事な事は何ですかー? 皇帝陛下の事も、確かに大事ですー! しかし、貂蝉さんの話、松永某の話を合わせると……大陸存亡の危機に入っているんですよー!?」

 

稟「私も……颯馬殿より話を幾つか聞いています。 大陸存亡の鍵になる颯馬殿、曹操軍配下の北郷一刀両名の命、触媒と化している月様の銅鏡! この三つが失われば……私達も国も世界自体も消滅すると!!」

 

華雄「そ、それは──本当かぁ!? 天城は分かるが……何で偽の御遣いまでの命が関わる!? 関係あるのなら天城の周りにいる御遣い達が関係……! ま……まさか? アイツも御遣いの一人だったのか!?」

 

風「貂蝉さんの話によれば……そうなりますー! しかも! 他の世界ではあの一刀お兄さんが……活躍して大陸を統一する運命になってるそうですー!」

 

稟「まぁ、その世界では……私も風も曹操軍に参加して、知謀を発揮していたようでしたが……」

 

風「稟ちゃん……まだ曹孟徳殿に未練ありますもんねぇ〜!」

 

稟「な、何を言い出すかと思えば……! コホン! ……確かに、最近までは、ありましたよ? 天城殿の軍略を学び、自分の糧にするため動きましたが……私の行動が逆に……天城殿の足を引っ張っているような気がして………」

 

華雄「しかしだなぁ……洛陽を晋軍が攻略した時、お前達の準備した策のお陰で、十倍以上の敵を撃破出来たんだろう? 殊勲物だと思うが……」

 

稟「とんでもない! 前半は何とかなったものの、後半は松永の狙いを三人とも見誤りました! もし、白蓮殿達の……獅子奮迅の御活躍が無ければ、華雄殿、月様の命は無く、洛陽も多大な被害を被っていたでしょう!!」

 

風「…………………………あの時から、風の試練が始まったのですー! 出番の無い時に『こめんと欄』を見に行けば……『かz……風』とか真名を弄られ屈辱的な日々ぃぃぃ!! 見ているがいいですぅ! 風の活躍をぉぉぉ!! 」

 

華雄「よくそれで……弄られてると分かったな?」

 

風「それはですねぇ……一刀お兄さんと稀に文通しているんですぅ!」

 

『うおおおぉ─────いぃ!!』ビシィ!

 

華雄と稟が、左右から同時にツッコミを入れる!

 

風「ふふふっ! 計画通りですぅ────!!」

 

稟「い、幾らなんでも、滅茶苦茶な話を────!?」

 

風「そうでもないですよ? 忍びの皆さんが一緒懸命、情報収集しているので偶にお願いしているんですー! 一刀お兄さんもノリノリで書いてくれますから楽しいですぅ! この前も新しい配下の子が入ったとか………?」

 

華雄「…………そいつは強いのか?」

 

風「配下が二人……張儁乂さんと……真名しか名前が無い珍しい子の二人ですね? 面倒ですから、仮に『宝ャ』ちゃんとしますかー! 宝ャちゃんは、かなり強いようですねー!!」

 

稟「宝ャって………」

 

風「仮ですからね〜!」

 

…………こんな『ガールズトーク』が一刻(約二時間)程続いた後、狼煙の報告が入る。 『西涼での戦い 勝利』…………と。

 

◆◇◆

 

【 晋軍来来の計! の件 】

 

? 徐州 下? 晋軍 中央 にて ?

 

晋兵「曹操軍が退却したぞぉ!! 陣営内に入れぇ!!」

 

晋兵「中に糧食や金が残っているそうだぁ!! 分捕り自由だぜ! 急げ! 急げぇぇ!!!」

 

晋軍中央部隊……十五万が天幕に乱入! 略奪を本格的に開始した!

 

数多く並ぶ天幕、気温が寒いため暖を取る為の用意か、あちらこちらに『薪』が準備して積んである。 火を早く、そして長く保つ為に『松脂』を付けた木もちらほらと。

 

晋兵は、そんな物には見向きもせず、高価な品物、すぐ食える食べ物を見つけ出すため、辺りを手当たり次第に壊す!!

 

ーーー

 

噂を聞きつけた左右の軍勢、後方の軍勢が集まってきた!!

 

左翼側晋兵「お前達だけとは狡いぞ! こっちも命懸けで戦っているのに!」

 

右翼側晋兵「こっちも、参戦してやるわぁ!!」

 

後方晋兵「そこをどけぇ!! 儂等が次の番ぞぉ!!!」

 

ーーーーー

 

? 曹操軍 中央 にて ?

 

桂花「華琳様! 晋兵達が『晋軍来来の計』に嵌まりました……!」

 

華琳「雛里と朱里からの伝令は……どう?」

 

秋蘭「アレとコレをそれぞれ準備して、何時でも攻撃可能かと!」

 

華琳「春蘭! 兵を一時待機させなさい! 桂花! 朱里や雛里に伝令! 秋蘭は、別働隊に付いて頂戴!」

 

春蘭、桂花、秋蘭『はっ!!!』

 

華琳「ふふふふふふっ! 私を……曹孟徳を敗走させた罪、皆に塗炭の苦しみを受けさせた罪。 この………漢王朝史上最凶最悪な謀で、晋軍に馳走してあげなさい! 人として生まれた事を────後悔する程にぃ!!」

 

ーーー

 

朱里「はわっ! 伝令が来ました! 皆さん!! 銅鑼の合図と共に、★★付きの棒や壺を投擲して下さい!!」

 

『はっーーー!!』

 

ーーー

 

桃香「話合いの段階じゃない! 今、戦わないと………更に悲しむ人が出るから。 一刀さん、私に力を!! 皆さん! 投擲の準備、お願います!!」

 

『おぉーーーーーー!!』

 

ーーー

 

沙和「真桜ちゃ〜ん! 臭いの! 臭いのぉ!! 沙和の体、香水付けても匂いが取れないぃぃのぉ!!!」

 

真桜「ウチらは、まだええぇ〜! 沙和の隊なんて入れ替え作業もこなしてはったから、ホンマに蛆虫みたいになってもうたでぇ…………。 ありゃ、三日間ぐらいは、臭うでぇ〜?」

 

沙和「沙和が指揮するのにぃ〜!? そんなあぁ─────!!」

 

★☆☆

 

バァ────ン!

 

バァ────ン!

 

朱里『今ですぅ!!』

 

桃香『投げてぇ!!』

 

ーーー

 

長さ十寸(約30a)の棒に、『白い塊』が付いた物が投擲される。 少し遠いところには、鏃を外し『白い塊』を付けた物が………!

 

晋兵「なっ!? なん──『ネッチョ〜』はっ?」

 

晋兵「こ、これは──『鳥黐(とりもち)』かぁ!?」

 

晋兵「ばっ、ばかぁ! 動かすな! か、髪に!!」スポッ!

 

晋兵「…………お前……ヅラ?」

 

晋兵「まだまだ来るぞ! 離れろ! 何かで覆え!!」

 

ーーーーー

 

森林に隠れていた左右の両軍から、鳥黐(とりもち)付きの矢や棒が投擲され、当たる晋兵に悉く張り付く! しかも、密集状態故……逃げる場所も無い! 隣の兵にくっ付く者、運悪く顔に当たる者と散々!

 

★★☆

 

華琳「真桜達に伝令!! 例のモノを放ちなさい!!」

 

ーーー

 

真桜「とうとうきおったでぇ!! 狙い〜!! 晋軍中央!!」

 

沙和「こぉ〜んな臭いモノ、のし付けて飛ばしてやれなのぉ〜!!!」

 

ーーー

 

ガチャン! プッシャアァァアアァ!!!

 

空高く舞い降りた壺は………晋軍に猛烈な悪臭を……届けてくれた。

 

晋軍「ブホッッッ───!!!」

 

晋軍「いぃぃい、息が………出来ねぇ…………!」

 

晋軍「鼻が、塞げれねぇ! 喉が───痛むぅ!!」

 

晋軍「アアァ──! いい気分ダァ───!!」

 

嘔吐する者、鼻をつまみ闘争を試みる者、あまりの臭気に気がふれる者。

 

★★★

 

桂花「きゃあー! 此処まで臭うなんてぇ!! ここまで来ると、華琳様のお身体に臭いが付いてしまうわ!! それに、汚らしい軍勢なんかぁ! 消毒しなきゃ!! 左右大将に合図! 『火矢』を!!!」

 

バァン! バァン! バァン!

 

朱里「あ、合図です! 火矢の準備!」

 

桃香「次の合図で射るんですからね!」

 

バァァ───────ン!!

 

朱里、桃香『放てえぇ─────!!』

 

ーーーー

 

天幕が紅蓮の炎に包まれる! 各天幕に置いてあった着火材が燃え広がる事を助長する!! 近隣の森から採集した『松脂』を、天幕の下や天井に塗っておいた。 火の廻りは………とても早かった。

 

晋軍「逃げろ!! 逃げるんだ……うごぉ!!」

 

義弘「両側には、私達が居る事……忘れてない?」

 

ーーー

 

晋兵「だ、駄目だぁ! 駄目駄目だぁ〜!!」

 

鈴々「こっちに来ても、鈴々が倒しちゃもんねぇ!?」

 

ーーー

 

華琳「私達の軍も反転する! 敵を包囲するのだ!!」

 

曹兵「はっ!!」

 

ーーー

 

晋軍「前も駄目、左右も挟まれた! 残りは後ろぉぉ──?」

 

乱立している杭と冷たい大河が………遮る。 しかも、此方まで乗って来た船は、壊されていた。

 

季衣「あっ! 見つかっちゃた! 皆! 逃げるよぉ!!!」

 

大きな鉄球を持った少女が……配下の兵と共に逃げていった。

 

▼☆▼  ▼☆▼  ▼☆▼

 

 

 『晋軍来来の計』 別名『Gホイホイの計』

 

島津お家芸『釣り野伏せ』を元に、朱里、雛里、一刀で考案した奇計。

 

華琳曰わく『漢王朝史上最凶最悪の謀』と宣う凶悪性を誇る。

 

@…敵を利で釣る。

 

A…抵抗していた本隊を疑似退却、左右翼の軍を退却させ、一部伏兵に残す。

 

B…敵が密集状態になったところ、鳥黐(とりもち)を投げる。 敵の動きが鈍る。 もしくは停止。

 

C…銀杏の皮を詰め込んだ壺を投擲! 秋の内に採集。 地下倉庫に入れて発酵、溶解したモノが浴びせられ、晋軍悶絶。

 

D…火矢による火計! 汚物は消毒だぁ! 

 

 

▲☆▲  ▲☆▲  ▲☆▲

 

 

これにより……約三十万の晋軍が壊滅状態になったと伝わる。

 

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

来週から公私共々忙しくなるので、更新が週一回……もしくは月一回になる可能性もあります。 地元の行事の準備で夜遅くまで行うため、作品が仕上がらないものですから。

 

また、宜しければ読んで下さい!

 

 

説明
義輝記の続編です。 宜しければ読んで下さい!
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コメント
↓↓ 風「ふむふむ……稟ちゃん〜!! こんな話があるそうですが……あっ!」 稟「その後、悶える風を私が……あふぅ!!」ドクドクドク 風「あぁー、稟ちゃん久しぶりにトントンしますねー!」(いた)
naku様 コメントありがとうございます! 作者本人は、何とか完結目指して頑張ってるだけですので、物語も七転八倒としています。 ただ言えるのは、『大逆転』を最後に仕掛けたいな……と真面目に考えていますよ。 ジョジョじゃないんですけどね。(いた)
Jack Tlam様 再コメントありがとうございます! この作品は……何とかハッピーエンドを目指したいんですが……。 風「風が飴を咥える理由は……稟ちゃんに黙りなさいと言われて、強引に突っ込まれ……」 稟「根拠の無い嘘を付いて困らせないで下さい!」(いた)
↓そうなったら悲しい結末ですが、異世界漂流ものの主人公としては妥当な結末。でも結局……また別の外史へと導かれてしまうんでしょうね。そう考えると恋姫っていう作品は惨過ぎますね。幸せになってほしいところですが……否定派管理者が出てきたし、どうなるか……それと風さん、乙女はいつでもどこでも飴を咥えたりなんてしませんよ。(Jack Tlam)
本当に文通しているのか怪しいとこ……風「乙女の秘密を簡単に話すワケないじゃないですかー!」プンプン  まぁ……貂蝉とも仲が良いようですしね。 颯馬も島津の皆も……聞けば色々と心配してくれると思いますよ。 でも、世界を離れでば忘れられる可能性も。 (いた)
Jack Tlam様 コメントありがとうございます! 桃香も少しは成長したという事ですね。 何時までも夢想家だと、皆に迷惑を掛けてしまいますので。 釣り野伏せと曹操が史実で文醜討ち取った策とトリモチで考案した策です。 例の銀杏もしっかり入れました。(いた)
って、いつから文通してたんだよ……ちゃんと別外史での北郷一刀の戦いについても概要は知っていらっしゃるようで。外史にその存在と運命を囚われている、北郷一刀という存在についての真相を知ったら、同じ日ノ本の民である颯馬はどう思うでしょうか……義久姉は泣くでしょうね。(Jack Tlam)
話し合いの段階ではない。この場合は正論ですね。迎撃側は力を誇示して相手の勢力を削らないと話し合いに持っていけないですし。でもそれを桃香が言ったというのが感慨深い。『陽人の戦い』では侵略者側でしたしね。そして……Gホイホイとはまた上手いことを。雑兵は目先の欲求に囚われがちですからね。ましてトップが我欲最優先のこの外史の晋軍にあっては。(Jack Tlam)
mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 一刀の現代知識、朱里と雛里の戦術策による協同策です。 風は……きっと本気だしていないんですよ。 うん。(いた)
まさかのゴキ○リホイホイとは。そして風さんに幸あれ。(mokiti1976-2010)
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