魔法少女リリカルなのはStrikers ダメ人間の覚悟 |
響子 Side
透さんは私にとって・・・希望だった。
小さい頃から私には古くからある武家の血筋があり(昔は国の槍術総師範を勤めたとか)、私はそれが色濃くあった・・・・つまり『才能』というのがあった。
でも、小さかった私にはそんなことを言われてもまったくわからなかった。
そして、もう一つ特別な事が・・・・私の中に何か得体のしれないモノが蠢いていたのを子供ながらに感じていた。
当時はそれが『魔力』とは思っておらず、周りからの評価・・・・・私が天才だの神童だのと周囲が喜んでいるのに水を差したくなくて『魔力』の事は隠してきた。
それからというものの、来る日も来る日も鍛錬鍛錬の日々、友達とも遊ぶことが出来なかった、それに『魔力』の所為でビクビクして引き籠りになりかけだった。
私は天才とか才能があるなんて言うけれど、そんなもの私にはない・・・・・・私は普通の子供なんだって・・・・思ってた。
周囲の期待と言う名の重圧と奇異の目、そして自分の中にある得体のしれない存在への不安・・・・・これらの所為で子供だった私の精神はすぐに限界が来てしまっていた。
そんな風に思ってた所為か、いつも親には怒られてばかりだった、鍛錬にも身が入らないですぐに投げ出してしまって・・・・・。
義理の兄の修は私が槍の鍛錬を始める頃にはもう緋村家に引き取られていた、だけど引き取られても鍛錬には顔を出さずに、ひたすら外に出かけたりしていた。
かと思うと私に対して手取り足取り教えてやるなんて言う始末だった。
自慢ではないけど私は他の子よりも身体の発育が良かった・・・・・・・特に胸が。
その所為でクラスでは若干浮いたり、男子からは注目される始末・・・・・それは義兄も例外ではなく、ほぼ私の胸目当てで鍛錬に協力しようとしていた・・・・だから嫌いになった。
鍛錬も嫌で日々のストレスが嫌で辛かったある日、母から特別に外出許可が下りて、私は意気揚々と外へと出ようと決めた。
愛用のカメラを持ってネコでも撮って癒されようと、小さいながらに必死になってた。
だけどそんな時に限って義兄に見つかってしった、聞けば近くでサッカーの試合があるそうで自分が出るからと言って私を無理矢理連れ出しやがった。
試合には義兄と義兄と似た容姿の子供が出ていた、だけどいきなり迷惑行為をしていたようだった、私が呆れていた時だった、私の運命の出会いがあったのは。
そう・・・・それが、井上 透・・・・彼だった。
彼は義兄のように特に容姿もカッコ良くなく、どこにでもいそうな子供だった・・・・ただ可愛い女の子からは何人か声援を掛けられてるけど、そこだけだった・・・唯一違うのは。
義兄たちの所為か、応援席からフィールドに上がった時の動きから、特にサッカーが出来そうな風には見えなかった。
そう・・・・・至って平凡、この言葉に尽きる。
だけど、彼は試合に出ると目まぐるしい活躍をした・・・・わけではなく、ただ単に普通にプレイをしていた・・・・っていうのも変かな。
透さんのサッカースタイルは基本的に攻めるような感じじゃなかったから他の人はカッコ悪いと思ったかもしれない。
でも私にとっては、その時の透さんが凄くカッコよく見えて・・・・目が離せなかった。
何故だか透さんの方にばかり気が行ってて、いつの間にかシャッターを何回も押してたんだろう、現像した時はフィルムが無くなるほど撮りまくっていた。
運命の出会いと言ったけど、実際に透さんと初めて会ったのはサッカーの時じゃなくて、その前に学校で一度ぶつかっているから最初ではないわね。
それからだった、私の中で何かが変わり始めた。
これまで嫌いだった槍の稽古もやる気になって学校でも出来るだけ友達と話すようになった。
それもこれも透さんが居たからだ、私は・・・・・透さんに惚れてしまった時だった。
聞いてる人は何言っているのか分からないだろうし、惚れる要素なんてこれっぽっちも無いなんて言うだろうけど・・・透さんの魅力に気付いて無いだけよ・・・・・まあ気付かなくていいんだけどね。
最初は義兄には無かったけど、あんな人がお兄ちゃんだったらなぁって思った、でも胸が熱くて苦しくて、それを母に聞いてみるとそれは『恋』だと言った。
稽古と同時に透さんにアプローチをかけてみた・・・・といっても下駄箱に手紙というありがちなパターンだけど、手紙は母に教わりながら書いたものだから、分かるかどうかが不安だったけど、透さんはちゃんと読んでくれた。
それからは稽古と同じくらい透さんの観察を熱心にやった、なのはさん達を最初見た時は「何このアバズレ又は雌豚ども」的に思ってたわ。
バレた時は流石に頭がぶっ飛んでしまった・・・・・透さんに会えた『嬉しさ』となのはさん達やクソ義兄が来たことでの頭の処理が追いつかなくなってしまった『パニック』で。
だけど魔力の暴走があったりで、色々ハプニングにはあった・・・・・けど、すべては透さんとの出会いがきっかけで私の人生が変わったから結果オーライだった。
なのはさん達とも交友が持て、そして時空管理局と言うところに所属した・・・この時はまさかこんな最低な所だとは思わなかったけど。
そしてなにより嬉しかったのは、透さんから管理局への入局祝いとしてデバイスと『斬魄刀』を貰えたことだった。
デバイスを貰った時は嬉しすぎて気絶したっけ・・・・・・それで展開をする時は、透さんの恰好を真似た『死覇装』にした。
しかも展開してすぐに『斬魄刀』の『捩花』と『鉄漿蜻蛉』から声が聞こえてきた、ちなみにこの時私はデバイスを渡されていきなり精神世界に入ったんだけど・・・・・最初は流石にビックリした、だって気付いたら『翠屋』じゃなくて知らない湖なのか海なのか分からないけど、とにかく見渡す限りの水の上に立ってて、目の前には大きな花が咲いてて、しかもその花の上に綺麗な女の人が寝転がってたんだから!あと水中から私のスカートを覗き込んでた変態の女までいたし!
その女性達こそが『捩花』と『鉄漿蜻蛉(はぐろとんぼ)』だった・・・・流石に信じられなかったけど、『捩花』は西洋の騎士の恰好をしていた・・・・・所謂漫画とかに出てくる『ヴァルキリー』みたいな格好だ、そして『鉄漿蜻蛉』は・・・なんていうか・・・・・・一言でいえば『ヲタク』だった、背中にはポスターらしきものが2,3本刺さっててバンダナを頭に巻いて・・・・典型的な『ヲタク』だった。
ただ彼女たちは私がいきなり自分たちの声が聞こえ、剰え『始解』に必要な『対話』と『同調』をやり遂げたのには驚きまくったそうだ・・・・・引くレベルらしい。
中学生になり、管理局での仕事や家での色々な習い事で会えなかったけど、久々に透さんに会えた時はまた発狂してしまった。
これから中学3年間・・・・いや、透さんは2年生だから2年間は楽しく過ごせる・・・・・・・と思ってた、だけど・・・世界はそう都合よく出来てなかった。
私達とっての大事件、それは・・・・・・透さんが私達の前から姿を消した事だった。
管理外世界での巨大生物との戦闘で、透さんは姿を消した・・・・これは私にとって絶望に等しかった。
目の前から透さんが『虚数空間』と言うところに消えてしまった事はもちろんだけど・・・・・一番絶望したのは透さんが相手をしていた巨大生物。
奴にさえ苦戦しなかったら透さんは消えずに済んだはず・・・・・そう思ったら私は悔しさよりも絶望が心を支配していた。
その後、なのはさん達と『翠屋』に行き、事の成り行きを説明している時でも私は上の空だった。
だけど、失意の底に沈みかけてた私に『捩花』と『鉄漿蜻蛉』から声が聞こえてきた。
捩花『ねぇ、まさか・・・・あなた、これで終わりってわけじゃぁないでしょうね?』
響子「・・・・・・・」
捩花『力が無かった、助けられなかった、なら次は?どうするの?死ぬ?彼がどうなったか知らずに』
響子「・・・だって・・・・・だって、何も・・・・分からないわよ!助けられるものなら助けたいわよ!!でも・・・・でも
鉄漿蜻蛉『い、生きてるし』
響子「・・・・は?」
捩花『生きてるって言ってるじゃない、『鉄漿蜻蛉』が親切に言ってくれてるのにさ』
響子「な、何でアンタ達にそんなことがわかんのよ!?刀のアンタ達が!!」
捩花『それ以上言ったら・・・・色々と『答え』無いわよ?」
響子「っ・・・」
捩花『・・・・それと、アンタ馬鹿ぁ?!』
鉄漿蜻蛉『ア、アンタ馬鹿キタコレェェェェ!!』
響子「・・・・何がよ」
捩花『拙僧達が、今までどこにいたと思ってんのよ』
響子「・・・・(相変わらず、キャラがブレ過ぎて未だに把握できないのよね)」
鉄漿蜻蛉『わ、私等は前までアイ、アイツの所にいたに決まってんだろJK』
響子「!」
捩花『そう、アイツとの魔力の繋がりは未だに若干だけどある、なんせアイツの刀の『ヤクモ』を通してアンタのデバイスに来たんだから』
響子「じゃ、じゃあ!」
捩花『ヤクモ達の反応もある、他の『斬魄刀』達もいるからアイツは死んでないわ』
この言葉を聞いた時は凄く安堵した、そしてそれと同時にある決意をした。
今よりも強くなること、そのために私はハルカさんの遠征に同行することを決めた。
流石にすぐに同行することは出来なかったけど、私が中学を卒業する時にクロノさんからハルカさんのいる遠征隊に合流するようにしてもらっていた。
遠征隊に入ってからは戦い通しの日々だった、ただ戦ってたら意味が無いというのは分かっていたから、戦ってない時は『捩花』達と『対話』や『同調』や模擬戦紛いなこともして特訓をしていた。
ただ遠征隊で問題だったのは任務じゃあなかった、私とハルカさんが居た遠征隊には30数名の局員が居り、女性は10人にも満たずほとんどが男性だった。
そして遠征隊の任務は未だ未開拓の管理外の世界を調査し生態系の調査も行うと同時に危険対象となりうるモノを撃破するという任務を帯びており、ある一定の日数と行った世界を終えない限り本局に帰る事は出来ない・・・・・つまり終わるまで帰れないということ。
こんな環境な中だったら色々とストレスも溜まってしまうもの・・・・・・任務への苛立ちとか以外にも。
もうわかると思うけど、男が女に飢えてるという事・・・・私が入って数か月が過ぎた時に、それは起きた。
ある3人の男性局員が1人の女性局員を強姦しようとしているという報告を1人の女性局員から聞いた、私とハルカさんが見に行こうとすると私達の部屋に何名かの男性局員が入って来た。
どうやら全男性局員が痺れを切らしてしまい、女性局員全員を『レイプ』しようという行為に及んでいた。
私とハルカさんに複数付いたのは、戦闘を見てきての判断とこの男たちが私達の嫌がる顔や泣き叫ぶ顔が見たいからだそうだ。
・・・・この遠征隊に入った時、既に予想は出来ていたけど・・・・・アイツ等は義兄ともう1人並にゲスだった。
遠くで女性たちの泣き叫ぶ声を聴く、そして奴らはゲスな笑みを浮かべていた・・・・・・その結果私とハルカさんは・・・・・・暴れた。
私の身体に触れていいのは只一人・・・・好きにするのもそうだ・・・・・あんなゲス達に触らせる程安くは無い。
私とハルカさんは男性局員たちを片っ端からブチのめした・・・・・手加減抜きで。
私は数人の局員を色んな意味で不能にしてやった・・・・・・そう、色んな意味で『不能』にね・・・・。
ハルカさんは・・・・・千切っては投げ千切っては投げを繰り返していた、ほとんどの男性局員を一撃でノしてしていった。
後日、半数の男性局員は病院へ搬送、理由は・・・・『戦闘行為での負傷』とだけ伝えておいた・・・間違ってないでしょ?
そして残りの半数は、襲ってきた時とは真逆になって私達に従順になっていた・・・・要はビビったわけ、あと女性局員達からも尊敬されるようになった・・・・はいいんだけど、中には百合目的な感じで崇拝する人たちもいた・・・まぁ丁重に断っておいたけど。
その後はまあ・・・滞りなく任務を続行出来た、と同時に『捩花』達から『卍解』の話を聞いた・・・・・私はこれはキタ!!と思った。
透さんも『卍解』を身に着けて他を圧倒していた・・・・私もそれくらいの力を手に入れないと透さんには追いつけないし、遠征隊に入った意味が無いと思った。
それからというもの、私は任務が終わるまでずぅっと『卍解』の習得に励んだ・・・・・約2年間。
2年で習得できたときは流石に『捩花』達やハルカさんにも驚かれた・・・・ただ習得しただけで充分に使いこなせはしない。
そして遠征も終わり、やっとなのはさん達と合流できるようになったかと思えば、今度は透さんが見つかった・・・・ただし犯罪者として・・・・・敵として。
だけど、なのはさん達の話を聞くと私は瞬時に透さんが敵になったんじゃないと分かった。
透さんは変わらないままだった、嘘吐きで優しい・・・・あのころのままだった。
だけど、見つかってもまた私達から離れて行った・・・・・それだけにとどまらない事態が起きた。
透さんが再び私達の前に『敵』として現れた・・・・操られた状態で。
悲しかった・・・・敵として私達の前に現れた事じゃなく、左腕に変な物を埋め込まされ、操られ、しかも命をも握られて・・・・すごく痛々しくて見てられなくて・・・悲しかった。
透さんの悲しい過去を聞いてから、私は管理局に対する見方が変わった・・・・だけど辞める事はせず、寧ろ内側から変えてやろうと思った・・・・ハルカさんも同じことを思ってたらしい。
だけどやはり・・・・透さんを苦しめるような奴等は許さない・・・・・『アハト』達は破壊した、非人道的な兵器などを製造をしている奴等も然り・・・・・あのクソキチガイな義兄ともう一人も同様。
そして・・・・・・目の前にいるこの・・・・デカブツ。
放っておけば市民や他世界への危害の恐れは勿論だけど・・・・・それ以上に、透さんを傷付けた罪は・・・万死に値するのよ!!!
習得してからも今まで特訓を重ねた『卍解』・・・・今こそ見せてやろうじゃない!!!!!
響子「(いい?やるわよ!『捩花』!!)
捩花『ふっ・・・いいねぇ、見せてやろうじゃないか!』
響子「『卍ッ解』!!!!!!」
これで私が・・・ぶっ潰す!!
響子「『之水天捩花(しすいてんねじばな)』!!!」
Side Out
第三者 Side
散り散りになったなのは達が目にしていたのは、『卍解』を発動させている響子ちゃんだった。
なのは「アレは・・・・響子ちゃん」
スバル「あれが・・・・響子三佐の『卍解』・・・・・」
響子が『卍解』を習得しているという話はハルカを通して聞いていた、だが実際目にするのは今日これが初めてだった。
響子の『卍解』、『之水天捩花』は一言でいえば・・・エロいというか・・・・セクシーである。
恰好は・・・・死覇装が無くなった・・・・・・代わりに『水の衣』のような、まるで七夕に出てくる『織姫』とか『乙姫』みたいな衣装で、その『水の衣』が響子を包み込んでいた・・・・・ただ何故か死覇装ッポイ色で肌はそんなに見えない、見えるとしても手首から先と足首から先と言った感じで・・・・胸下から下腹は露出してるのでエロい。
そしてもう一つ気になるのが・・・・槍、『捩花』が見当たらないこと、普段の槍を持っていなかった。
いや、持っていない訳ではなくて正確に言うなら、『水の槍のような物』を持っていた。
響子の『卍解』、『之水天捩花』の最大の特徴は『自分の近くにある如何なる水を意のままに操る』事が出来る、更に衣として使っている水だけでなく周囲の水分を操作もでき、それを槍や剣にと具現化することも出来る。
なのは「響子ちゃんに見とれてる場合じゃないよ、私達もやるよ!まだ眼が慣れないとか言わせないよ!?」
スバル「あ、ハイッ!」
ギンガ「分かってます!」
私も響子ちゃんには負けてられない!私だってあの『デビル』には怒り心頭なんだから!
なのは「卍解!『千本桜景義』!!」
透から渡された『千本桜』、実は透はなのはに貸すことをずっと考えいた。
『千本桜』の特徴は、刀身が無数に花弁のように分裂する所、『卍解』すれば『始解』の比ではないくらいの数にまで上る。
その特徴を活かしなのはの『アクセルシューター』を組み合わせたらどうなるか・・・・・更になのはの砲撃と『千本桜』の斬撃を合わさったら・・・と言う事を透は考えていた。
デビル「■■――――――――!!!」
なおんはがスバル達の下へと戻ろうとしていると『デビル』が響子ちゃんの方へと攻撃を開始した。
自分の目の前で魔力を一気にあげて攻撃態勢まで取っている敵がいる・・・・そう判断したのか、10体以上の『ガンダムヘッド』を響子目掛けて突っ込ませた。
なのは「させない!!」
なのはは響子に向かおうとしている『ガンダムヘッド』を『千本桜景義』を集めた障壁で防ぎつつ、『アクセルシューター』で『デビル』に牽制し撹乱した。
なのは「大丈夫?」
響子「大丈夫ですけど・・・・・なのはさん、私じゃなくて他の皆さんをお願いします・・・・奴に攻撃を集中してください」
なのは「でも、それじゃぁ響子ちゃんがガラ空きになるんじゃぁ」
響子「私なら大丈夫です・・・・・この『卍解』は『千本桜』と似てますんで」
なのは「?」
似ているという意味深な事を言う響子に対し、なのはは何のことか分からずにいたが、今は聞いている暇は無かった。
なのは「・・・・なら、任せてもいいんだね?」
響子「ハイ・・・・あぁでも」
戻ろうとしたなのはに響子は余裕の顔と、『黒い』笑みを浮かべてなのはを見た。
響子「あんまりグズグズしてたら・・・・・・私が取っちゃうかもしれませんよ?」クスッ
なのは「・・・・それは無いから、安心して攻撃して♪」ニコッ
なのははそれだけ言うとスバル達の方へと戻った、『デビル』にも響子にも負けないと強く思いながら。
響子「さて・・・・待たせたわね」スッ
なのはが去ったのを確認した響子は手に持っていた槍を水に戻し、自分の周囲の水分という水分を集めた。
すると東○ドーム二つ分程の水の膜が出来た。
響子「・・・・この『卍解』は、悔しいけどあのクソ義兄のレアスキルを見て出来るようになった・・・・ホントに悔しいけど!『水鏡(みずかがみ)』!!」
響子はその水の膜から様々な形の武器を何十、何百、何千本と出し、『デビル』へと向ける・・・・まるで響子の義理の兄、緋村 修の『王の財宝』のような光景だった。
だが『デビル』はその脅威に気付き、響子に向かって『ガンダムヘッド』を2体、そして別の『ガンダムヘッド』の口から砲撃が何発も響子に向けて放たれた。
響子「でもね、ちゃんと透さんがやったものからも覚えたのよ・・・・・・・それがコレよ!『裡鎧(りがい)』!!」
迫ってきた『ガンダムヘッド』2体を水の膜から出てきた右腕2本が掴み、そして砲撃は左手2本でガードした。
手でガードしたとはいえ、通常ならば、壁が厚かろうが水を貫通してしまうはずなんだろうが、響子の操る水は違った。
砲撃は手の中で徐々に勢いを失い、やがて消滅していった。
響子「知ってる?水ってね、深さが増すほどに『水圧』っていうのが掛かるのよ、そうしたらこうやって・・・・・・消えてなくなるモノもあるってね」
掴んでいた2体の『ガンダムヘッド』はグシャグシャと音を立て変形し、やがて小さな鉄の塊へと変わってしまった。
響子の『卍解』・・・『之水天捩花』は形状変化、周囲の水を集め増すだけでなく水圧をも操作が出来るという利点がある。
響子「今度はこっちの番・・・・・よくも透さんを傷付けてくれたわね・・・・・・・死・・・なんてアンタには分からないでしょうね、でも・・・」
響子は右手を空へ上げると、数千の武器の剣先が『デビル』へと向いた。
響子「『恐怖』と『後悔』っていう感情くらいなら・・・・・機械のアンタでも分かるんじゃない?『降雨(こうう)』」スッ
言い終わると同時に響子は右手を下ろした、すると数千もの武器が一気に『デビル』と『ガンダムヘッド』に向かって飛んで行った。
まさに・・・・・・天から降り注ぐ、刀剣の雨の如く。
更にそれらの武器の強度は鉄以上になっている為、緋村のレアスキル『王の財宝』と大差が無い・・・いや、命中精度や一撃一撃の破壊力が高い所から響子は既に義兄を超えている。
命中し大量の砂塵が立ち込める中、周囲で魔力が異常に高まるのを響子は感じ取った。
響子「・・・・・皆も本気でやるってわけね」
オーディーン『君が早い段階で『卍解』をするからだろう、最早(もはや)作戦も何もあったもんじゃない』
響子から渋めな声が聞こえてきたのは、響子のデバイス『オーディーン』であった・・・・・・某『金属の歯車』に出てくる蛇の男のような格好イイ声。
響子「作戦通りよ、皆上手い具合に散らばった・・・・そしたら皆で叩き込むっていう、まさにその通りじゃない」
オーディーン『大雑把にも程があるだろう、なのは達はいいとして、新人達は付いて行けてないじゃないか』
響子「そうかしら?あの子達も才能が無いわけじゃないわよ、伊達になのはさん達の下で働いてないわよ」
オーディーン『そういう問題ではないんだが・・・・・・もういい』
これ以上何言っても聞かないことは分かっているので何も言わないことにした、もう10年近く一緒にいるのは伊達ではないということだ。
響子「現に・・・・ホラ」
響子が指差した方向にはなのは達『卍解組』が挙(こぞ)って『卍解』をしていた・・・・・ただシグナムは『雷火』を解いた。
響子「あ、シグナムさんが『雷火』を解除した・・・・・てことは、『アッチ』の方に変えるんだ・・・それにヴィータさんも」
オーディーン『だが、出すのはまだ先になりそうだな・・・・・・奴の装甲を剥がないと出せんだろ」
響子「そうね、だからまず・・・・・」
土煙の中から未だ健在している『デビル』の姿を見据えながら言う。
響子「私達がアイツの『殻』を剥いでやらなきゃならないってわけね!『呉羽斬』!」
周囲の水を集め、一気に大きな槍へと変化させ『デビル』を縦に斬りつけた。
『デビル』の身体は左の3分の1を斬られ、痛みによるのかは分からないが雄叫びのような声を上げた。
それと同時に『デビル』の周囲からも声が聞こえてきた。
フェイト「卍解!『天鎖斬月』!!」
アリシア「卍解!『黄煌厳霊離宮(こうこうごんりょうりきゅう)』!!」
はやて「卍解!『大紅蓮氷輪丸』!!」
ハルカ「卍解!『雀蜂雷公鞭(じゃくほうらいこうべん)』!!」
ヴィータ「卍解!『龍紋鬼灯丸』!!」
エリオ「卍解!『神殺鎗(かみしにのやり)』!!」
キャロ「舞え!『袖白雪』!!」
ティーダ「ぶっ手切れ!『馘大蛇(くびきりおろち)』!!」
ほとんどの隊長達とエリオが透から借りた『斬魄刀』の『卍解』を解放、そしてティーダ達ももう一つの『斬魄刀』へ移行した。
その間にも『デビル』は響子の攻撃により受けたダメージや破損部分を再生させようとしていた・・・・・が。
アリシア「させるわけないじゃん!お母さん直伝!『極刑の雷』!!!!」バリバリッ!
刀を前に出すアリシア、その刀から11個の魔力の球が横へ一直線に2,3センチくらいの等間隔で離れ、そこから数本の魔力の線のようなモノが地面、そして空へと上がった。
空へと上がった魔力の線は再び一つへと集中し、そしてそのちょうど真ん中辺りからまた魔力の線が上空へと流れて行った・・・・するとそれまで快晴だった空が一気に陰りを見せた。
アリシアの『卍解』、『黄煌厳霊離宮』により『デビル』の上空に出来た雲が一気に積乱雲へと変わり雷が一つへと集まっていき強力になっていく、『黄煌厳霊離宮』は『氷輪丸』同様天候を操る刀・・・・しかし操るのは氷雪ではなく雷。
アリシアは『黄煌厳霊離宮』で作った雷雲から強力な一撃・・・プレシア・テスタロッサの得意とする砲撃魔法、『大罪の雷』の改良版を放った。
透から借りてすぐアリシアは『厳霊丸』の特訓へと入ったわけだが、一番に特訓したのが何を隠そう変換資質操作だった。
アリシアは透救出前に母であるプレシアから魔法の手ほどきを受けていた、その際にプレシアが得意としていた魔法も習得仕掛けていた・・・・そんな中で透の『斬魄刀』の『厳霊丸』と出会った。
キタコレ!といわんばかりにテンションが上がったアリシア、さっそく雷の操作を『厳霊丸』で特訓していった。
そのお陰か、はたまたアリシアの元々の才能なのか、割と早い段階で『大罪の雷』を習得し、更には『黄煌厳霊離宮』の力でアリシアの変換資質が強化され『大罪の雷』もまた強化された。
デビル『――――――――!!!!』
降り注いだ雷は、まるで対象者に裁きを下すが如く・・・・故の・・・『極刑の雷』。
アリシア「ちょっと痺れすぎちゃったかな♪」
アリシアは唇に人差し指を当て『デビル』に微笑んだ・・・・その表情は未だ幼さがあり、そしてどこか妖しい感じの笑みでもあった。
デビル『―――――――!!』
アリシア「ありゃ?怒っちゃったかな?」
その通り・・・といっても実際は危険人物をアリシアに設定しただけで、アリシアの攻撃で再生の邪魔をされた『デビル』は攻撃をアリシアに集中しようと砲撃をアリシアに向けて放った。
加えて、周りの攻撃に対処する為に『ガンダムヘッド』の数を増やし、しかも10匹程の『ガンダムヘッド』はレーザーをメチャクチャに撃ちまくって妨害していた。
只のレーザーだった為、『吸い取り』が出来ないのでなのは達は障壁を張るか避けるしか出来ないでいた、その間にもアリシアへの攻撃の手を緩める事はせず、アリシアも砲撃に対し雷撃で防いでいた・・・・が。
アリシア「あ、ヤバっ!」
撃ち続ける砲撃を捌いていた、だが砲撃の一つが偶然にも潜り抜けてアリシアの下へと迫っていた。
ティアナ「任せてください!」ズァッ
アリシアの援護にティアナが駆け付けすぐさま『須佐能乎(スサノオ)』で防いだ、更に続けざまに撃ってきた砲撃も『須佐能乎(スサノオ)』だけでなく『吸い取り』や『双魚理』で跳ね返していた。
アリシア「ナイスティアナ♪」
ティアナ「いいえ・・・・と言っても、流石に『アレ』は防ぎようがありませんけど・・・」
ティアナとアリシアの目の前には無数の『ガンダムヘッド』がグルグルと集まり、そして蜷局(とぐろ)の様に巻いていき、一通り巻き終るとそこには巨大な人型の『ガンダムヘッド』が姿を現していた。
アリシア「ぁ〜・・・ガチでキレちゃった?」
アリシアの問いに答えるよう『人型ガンダムヘッド』は右手を振りかぶり、二人に攻撃しようとしていた。
ティアナ「正解・・・・ですね、コレ」
アリシア「ですよね〜」
そしてブンッという音と共に『人型ガンダムヘッド』は右ストレートを二人に向けて放った。
アリシア「・・・・で・も♪」
しかし、そんな危機的状況とは裏腹に、アリシアの声は余裕を保ったままだった。
何故か・・・・・それは。
ザフィーラ「ウォォォォォ!!!!」ガシィッ!
アリシア「攻撃が届けば・・・の、話だよね♪」
『人型ガンダムヘッド』の攻撃はアリシア達には届かなかった理由、それはザフィーラが二人にの前に『立ち』、『人型ガンダムヘッド』の攻撃を正面から防いだからであった。
『立ち』で分かると思うが、いくらザフィーラと言えど自分よりも数十倍以上もある物体の攻撃を防ぐのは、かなり難しいものだった・・・・『マダラ』戦が良い例だ。
ではどうやって、そのウェイトに対処したのか、理由は簡単だ。
ザフィーラ「『卍解』・・・『黒縄天譴明王』!」
ザフィーラも同じように巨大なモノを顕現させればいいだけの事。
そして何より、ザフィーラと『天譴』との相性は抜群である。
というのも、『天譴』の『卍解』・・・『黒縄天譴明王』は人型となった『天譴』のダメージはそのまま使用者にも返るというリスクがある・・・・例えば人型の『天譴』の腕が切り落とされれば使用者の腕もまた同様・・・・という、まさに『諸刃の剣』と呼ばれるに相応しい能力。
では何故ザフィーラと『天譴』の相性が抜群なのか?それは今まさに敵の攻撃で明らかになる。
ザフィーラの虚を突こうと別の『ガンダムヘッド』が『黒縄天譴明王』の背後を攻撃しようと地中から飛び出してきた。
さてここで、ザフィーラの持ち味について考えてもらいたい。
ザフィーラの持ち味と言うと?・・・・・そう、どんな攻撃をも防ぐと言わんばかりの、その『鉄壁の防御』・・・・・つまり『盾』だ。
もうお分かりだろうか?『黒縄天譴明王』で受けるダメージをザフィーラの『盾』で防いだら?
『黒縄天譴明王』の『諸刃の剣』のような巨大な攻撃力と、それをカバーするどころか、どんな攻撃も通さないザフィーラの『盾』・・・・・・これほど恐ろしい奴を誰が想像しただろうか?
例の如く、迫ってきた『ガンダムヘッド』の攻撃はザフィーラの防壁で敢え無く防がれてしまった。
ザフィーラ「後ろにも気を付けるのは、我だけじゃないぞ」
ザフィーラの忠告と同時に『人型ガンダムヘッド』の腹部に刀の刃が突き出ていた、遅れて”ズンッ”という音が聞こえた。
その刃を辿っていくと、攻撃していたのは『神鎗』を手にしたエリオだった。
そしていつの間にか『人型ガンダムヘッド』を刺していた刃は通常の脇差(わきざし)程度の長さになっていた。
エリオが手にしている『神鎗』の『卍解』・・・『神殺鎗』、これは通常の伸び縮みする『神鎗』の時とは比べ物にならない程恐ろしいスピードで伸び縮みする。
例えば両手を叩くとする・・・・『神殺鎗』はその500倍で13kmにまで伸びると言われている・・・・・・・というのは間違いだ。
伸び縮みするのではなく、しかも伸びもそんなに早くは無い・・・・が、一瞬だけ塵状に変化をさせて長さを変えるという特性がある。
そしてなんといっても『神殺鎗』の一番の特性というのが、その塵を利用した『毒』攻撃である。
刀身の一部のみ(刀の横の中間部分など)を刀に戻さず貫いた相手の体内にその刀身の一部を置くことが可能、そしてその刀身の内部にはどんなものを溶かしてしまう猛毒が含まれている。
本来は人体などやその魂自体を溶かす毒が仕込まれているが、今回の場合では『ガンダムヘッド』といった金属兵器などを溶かす謂わば『金属毒』を使用している。
エリオ「死せ(ころせ)!『神殺鎗』!!」
エリオの叫びと共に『人型ガンダムヘッド』の身体が”ジュワァ〜”と音を立てて溶けていき、次第に消滅した。
エリオ「・・・凄い、この剣の毒もそうだけど・・・・この『卍解』ってやつ・・・凄い魔力を消費するんだな・・・・・井上さんの魔力と言っても『卍解』の凄さを肌で感じるな・・・・こんな凄い力をあの人は今まで持っていたんだ・・・」
エリオが透の凄さを再認識している一方、別の方では響子が『デビル』に奮闘していた。
しかし『機動六課』への認識を改めた所為か、『デビル』は自身への防衛を強化してしまった所為で響子の『卍解』での強力な攻撃をしてもすぐに再生してしまうようになってしまっていた。
響子「チッ・・・・ホンットに堅いわね!」
悪態をつく響子、攻めても攻めても再生する『デビル』に苛立ちを覚えていた。
響子「ホントに・・・そろそろやってくれないと、流石にキレますよ?・・・・はやてさん」
響子の呟きと視線の先にははやてが刀を天高く掲げているはやてとアインスが居た。
はやて「いくでアインス!」
アインス「ハイ!」
はやて「私の『氷結の息吹』とアインスの『氷輪丸』と透君から借りた『大紅蓮氷輪丸』の力を合わせて出来た、超広域凍結魔を喰らわせたる!・・・・・やっとちゃんとした活躍が出来るわ・・・・・最近なんやえろぉ影が薄い気ぃがしてたんやけどなぁ〜」ホロリ・・・
遠い目をしたはやての目から一筋の涙が流れ落ちた・・・・・哀れなはやて。
アインス「?主?・・・・ちょっ・・・・・主はやて!?泣くの止めましょ?!大丈夫ですから、ちゃんと活躍出来ますから!今はね?攻撃しましょ?」
はやて「ハッ!せ、せやな!うん、やったるで!・・・・・・ほんなら、いくで!『永遠の凍土』!!」
『永遠の凍土』・・・単純にはやての広域魔法、『氷結の息吹』の範囲を更に広げたもので、『デビル』だけでなく周囲にいる『ガンダムヘッド』までも氷漬けにし行動を封じる・・・・・・だけではなく、この『永遠の凍土』は『氷結の息吹』だけでなくもう一つ二つ加えたものがある。
それははやての手にしている『大紅蓮氷輪丸』の大技、『氷天百華葬(ひょうてんひゃっかそう)』とアインスの『氷輪丸』の『氷龍』である。
『氷天百華葬』は天候を操り、空に雲を広く集め、その空から無数の雪を降らせる、そしてその雪に触れたれたものを瞬時に華のように凍りつかせる大技。
『氷龍』というのは刀から出現した氷の龍が天高く昇り、集められた雲の中で成長していき、より強力なものとなって敵に襲い掛かるという技。
つまり『デビル』のいる大地には広域魔法の『氷結の息吹』、そして空からは触れた物を瞬時に凍りつかせる雪を降らせている『氷天百華葬』、極め付けには雪に続いて巨大な氷の龍が襲い掛かってくる『氷龍』ということだ。
この『永遠の凍土』により、動けず尚且つ装甲へのダメージが蓄積していく中『デビル』は何も出来ず、ただただ喰らうしかなかった。
そしてその『デビル』に更なる悲劇が・・・・・。
なのは「まさか・・・・これで終わる、なんてことは無いよね?」
『魔王』・・・・とまで恐れられている高町 なのはが数メートル上空から『デビル』を見下ろしていた。
なのは「透君を怪我させたんだもん・・・・・そんなんじゃ終わらせないよ?」
その姿、まさに『魔王の如く』。
なのは「『吭景・千本桜景厳(ごうけい・せんぼんざくらかげよし)・・・・・&『スターライトブレイカーex-fb』、この二つを合わせた新技」
なのはは氷漬けになっている『デビル』を覆うように取り囲み斬り刻んでいく『吭景・千本桜景厳』を使用し、氷を削り落とすだけでなくダメージが蓄積してしまっている装甲を一瞬で剥いでしまうつもりだった・・・・それだけで済めばまだ可愛い方だ。
事もあろうか、なのはは『吭景・千本桜景厳』に自分のトラウマ(相手に対する)兼十八番の『スターライトブレイカー』を組み込んだのだ・・・しかも『ex-fb』をだ。
なのは「少し・・・・ヤリ過ギタネ、『スターライト・サウザンドブレイカーex-um』」
皆・・・・想像出来るだろうか?したくなくてもしてほしい、数億枚の桜色の花弁のような刃で敵の全方位を球形に囲み対象を斬り刻むと同時に、その球体のありとあらゆる方向から『スターライトブレイカー』が放たれ叩き込まれるのを・・・・・・・一言だけ言い表せば・・・まさに『魔王』。
桜色の球体の中では”ガガガガガッ!”という音や”ドゴンッ!ドゴンッ!”という音が同時に聞こえてきた・・・・中では壮絶な攻撃に耐えようとしている『デビル』が一体。
やがて数億の刃が晴れていくと、そこには装甲が無惨にも剥げ落ち、配線等が千切れ露出し、そして所々ショートしているかのように火花が散っていた。
誤解の内容に言うが、なのはは全ての攻撃に対して非殺傷設定にしていた。しかし、それでも『デビル』は瀕死の状態にまで至っていた。
ちなみにこの時のなのはの表情は睨むでもなく、怒っているでもなく、ただただ無表情で『デビル』を見ていた。
ハルカ「悪いけど、休む暇はやらないから!!」ガチャッ!
なのはとは反対の方向から聞こえてきた声の主、ハルカは『雀蜂』の『卍解』、『雀蜂雷公鞭』を上空から『デビル』の身体の背中の部分に狙いをつけていた。
ハルカ「ハイドォォンッ!」バシュゥッ!
特に『デビル』に対し何も言わずに即撃ちで『雀蜂雷公鞭』を一発撃ち込んだ。
その際、ハルカは強すぎる反動で後方へと飛ばされそうになったが、響子が作った水のクッションのような球の中に入り、その後ろからザフィーラが『黒縄天譴明王』で受け止めた。
そしてそれと同時にハルカが撃った弾はボロボロとなった『デビル』の背中の部分に着弾、同時に『デビル』がいた場所から大きな爆発が起こった。
凄まじい爆発と爆音が鳴り響いた、そしてそれらが止むと中から出てきたのは背中の中心の装甲が抉れ、コアのようなものが剥き出しとなっていた。
そして遠くではシグナムが別の斬魄刀を解放していた。
シグナム「万象一切灰塵となせ!『流刃若火』!!!」ゴォォォ!!
斬魄刀最強最古の『流刃若火』を解放、炎が勢いよくシグナムの周囲を包み、刀にも業火が纏っており、魔力が炎と共にゴォゴォと漏れ出していた。
シグナム「くっ・・・何だこれは!『始解』だけだというのに・・・さっきの『雷火』の『卍解』と大差無いじゃないか・・・・・・透はこれ程までの力を?」
シグナムの頭には以前『マダラ』として自分の目の前に立っていた透の姿が浮かんでいた。
シグナム「くっ・・・・クックックックッ・・・・やはりアイツはイイ・・・・・・これほどの力を扱えるんだ、やはりまたアイツと模擬戦がしてみたいな!!」
アギト『喜んでるところ悪いけど、長くはもたねぇぞコイツ!?』
既にアギトとユニゾンしているシグナム、そのアギトがシグナムに訴えかけてきた。
ちなみに『流刃若火』を発動するにはシグナムは必ずアギトとユニゾンをしなければならないという条件で透から『貸出』を受けていた・・・・・何故なら。
シグナム「?というと?」
アギト『この剣の熱量、それに魔力が尋常じゃねぇくらいの勢いなんだよ!今もハンパじゃねぇくらいの勢いで限界値を超えようとしてんだよ!』
シグナム「何?!・・・確かに今も手や足が所々、若干ではあるが熱い気がするが・・・・これはその所為か!?」
アギト『そうだよ!!今はアタシがなんとか調節してるけどさ・・・・シグナム一人じゃぁすぐに全身黒焦げだ、だからこの剣の効力はもってあと7分と48秒だ!それ以上は流石に抑えきれる自身が無ぇ!』
シグナム「!」
シグナムはアギトの言葉に戦慄を覚えた、『流刃若火』の凄さは発動したと同時に肌で感じ取れ理解しきったと思っていた・・・・・・だがその認識は甘かった、今のこの状態を維持できているのは偏にアギトの尽力あってのモノだったからだ
そう、透の『流刃若火』の『貸出』の条件の理由はソコだった。
強すぎる『流刃若火』を上手く扱えるのはシグナムしかいない、それは確かではあったが、完璧に扱えるかどうかと言えば・・・・言わずともわかるであろう。
だが幸いにもシグナムには相性のイイ相方・・・・もとい、『ユニゾンデバイス』のアギトがいた、彼女とならばと思い透はシグナムに『流刃若火』を貸し出した・・・・が、結果は透の予想よりも斜め上を行ってしまっていた。
シグナムは自身の認識の甘さを内で恥じ、そして考えを改め刀を握りしめながら決意する。
シグナム「・・・・・それだけあれば十分だ、5分以内にカタを付ける!!」
『流刃若火』を構え、『デビル』のコアに目掛けて突撃するシグナム。
そのシグナムに対し、『デビル』は迎撃にしようと威力を抑え、その分速さに重視した誘導型の砲撃を撃ちこんできた。
シグナム「舐めるな!」ボォッ!
その攻撃に対し、シグナムは『流刃若火』を横一閃に薙ぎ払い炎の壁を作りだした為、『デビル』の攻撃は空しくも炎の壁の熱によってすべて蒸発してしまった。
だが、『デビル』も馬鹿ではなかった。
シグナムの持っている『流刃若火』の危険度を一番理解しているのは『デビル』だった。
『デビル』はシグナムの狙いが自身のコアだというのが分かっており、迎撃で出した誘導砲撃を目くらましにし、その隙に自身の弱点となるコアを防御しようと薄くはあるが急拵えで装甲を再生させた。
だが、その行為も無意味となる。
ヴィータ「んなこったろぉと思ってたよ!!」ジャラララッ!
フェイト「そんな速度じゃぁ間に合わないよ!?」シュンシュンッ
シグナムとは反対方向からヴィータが『龍紋鬼灯丸』を頭の上で振り回しながら近づき、そして『天鎖斬月』によって可能となった超高速の『瞬歩』を連続で使用して近づいてくるフェイト。
ヴィータ「『ギガント・ドラゴニックシュート』!!」
フェイト「『月牙天衝・雷帝』!!」
ヴィータは三節状になった『龍紋鬼灯丸』の真ん中を持ち、遠心力で鉈のような部分を防御した『デビル』の背中に叩きつけた。
力に重点を置いた『龍紋鬼灯丸』、そして噴射機能も付いている『グラーフアイゼン』、この二つを組み合わせたヴィータの攻撃はもはや、透ですら止める事は難しいかもしれない。
そして形状は『天鎖斬月』で攻撃自体も普通の『月牙天衝』ではあるが、通常の『月牙天衝』よりも範囲が広く電撃も帯び鋭さも増している。
ちなみに、今現在のフェイトのフォームは『真・ソニックフォーム』・・・つまり、あのBJが薄く非常にエロい格好になっている・・・・・が、今フェイトは『天鎖斬月』を発動しており『真・ソニックフォーム』の上に黒いコートのようなモノを羽織っている。
透が貸した理由というのは、何も速さを強化しようという事だけではない・・・『天鎖斬月』は纏う『卍解』、もう分かるだろうか?透はフェイトのあの恥ずかしい恰好をどうにかしようと『斬月』を貸したのだ・・・・・この事はフェイトは知らない。
ヴィータとフェイトの攻撃に敢え無く防御を打ち砕かれた『デビル』、薄くはあってもそれなりの強度もあり、核兵器すら通さない程だ・・・・・それすら打ち砕いてしまう程の攻撃なのだ。
背中のコアが再び露出してしまったと同時に爆煙は晴れ、中から焔を纏ったシグナム・・・・・そのまま『流刃若火』をコア目掛けて振り下ろした。
シグナム「『焔龍一閃』!!」
シグナムの技『紫電一閃』、アギトと融合して出来るその上の『火龍一閃』、そして・・・・それらよりも遙か上を行く破壊力と熱量を持つ、『流刃若火』を持って初めて出来る技、広範囲で放たれる焔はまるで龍の様・・・・・それが『焔龍一閃』。
岩すら余裕で溶かす熱量、その焔と斬撃がコアに直撃・・・・・『デビル』の核となる装置の破壊に成功した・・・・・が。
ハリベル「油断するな!そいつはコア無しでも動くぞ!!」
ハリベルの言葉通りコアを破壊したはずの『デビル』は機能停止するはずだった・・・だが機能停止する以上に激しく抵抗する・・・と言うよりも暴走していると言った方がこの場合は正しい。
しかし、ハリベルの言葉に答えるよりも早くなのは達は行動を起こしていた。
ハルカ「(今度は私の魔力を使って!)もう一発!!」
なのは「『スターライト・ブレイカ―景厳』!!」
フェイト「『月牙天衝・双雷』!!」
アリシア「『プラズマザンバー・煌(コウ)』!!」
はやて&アインス「「『天鎗氷』!!」」
響子「死水(しにみず)!!」
シグナム「『焔龍一閃』!!」
ヴィータ「『ギガント・ドラゴニックシュート』!!」
スバル「『エル・ディレクトォォォォ』!!」
ティアナ「(やっと使えるようになった!?)『天照』!!」
ハリベル「『断瀑(カスケーダ)』!!」
『デビル』が復活するのを阻止しようと、そして跡形も無く消し飛ばそうと、この時だけなのは達は全員『殺傷設定』にしての攻撃をしていた。
もちろん、管理局にバレないよう細心の注意を払って、ジャミングも施してのことだ。
数多の砲撃・斬撃等の攻撃が『デビル』を襲う、これだけの攻撃を浴びては流石の『デビル』助かる道は無い・・・・というよりも、ティアナの『天照』によって消え去るのは確定しているのだが。
ティアナの『天照』、切り札と言うべきなのだろうか使うには『『デビル』が弱っている状態であることとティアナの魔力が透の魔力と同調出来るよう貯めること』という条件があった為であり、尚且つすぐに使用できたとしても当てた箇所を『デビル』が切り離す・・・・・つまり分離してしまったらそれまでということになってしまうからだ。
『デビル』を破壊・・・・というより、消失を確認し完了したなのは達、これでやっと透の仇(死んではいない!)を殺ることが出来、その報告をする為帰艦しようとしたその時だった・・・・また事態は動き出す。
アルト『大変です皆さん!』
はやて「ど、どないしたんアルト?そない慌てて・・・」
アルト『たった今!聖王医療院から連絡がありまして!!』
アルトが血相を変えて連絡をしてきた。
アルト『井上さんが・・・・何者かに襲われて重傷を負ったとの連絡が!!』
アルトの報告になのは達の血の気が一気に引き、そして時間が止まった・・・・・。
オマケ
緋村母「よろしい!今日の槍の稽古はここまでです」
響子「ハァ・・・・ハァ・・・・ハァ・・・・・はい、ありがとう・・・・ございます」
緋村母「・・・・では、次の稽古に移ります」
響子「ハイッ!!」キラキラ
緋村母「・・・・・本当にあなたは『性』の勉強の時だけ、より熱心ですね・・・・疲れてたのに元気になりますね、まぁ私の娘なら当たり前ですか♪」
響子「それよりもお母様!」
緋村母「分かってます、いいですか響子?『性』に早いはありません、早いのは・・・」
響子「実践だけ、知識は早くてもいいですよね?分かってます!」
緋村母「いいでしょう、では今日は基礎から行きます・・・・・まずは軽めに『縛りプレイ』からやりましょうか、『亀甲縛り』等を体験した方が身に付きますし」
響子「ハイッ♪」
あとがき等は・・・・・次回に、連続投稿ですので・・・・・・内容は謝罪というか・・・・まぁごめんなさい文です。
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第48話 響子の過去と報復と飛報 | ||
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本編の話よりもおまけの方が気になるんですけど・・・(俊) | ||
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