練習品 |
「フッ!!」
板張りの床、刀を持った男二人、
「ッツ!!」
トン、と片脚で軽く跳ね床に脚をつける、とたん姿勢を低くし音も鳴らさず走り出し刀を構えた少年と斬り交わす。
青年の方に分はあるが、斬り交わす時に一太刀入れたのは少年の方であった。それを証拠に青年の腹は服ごと斬り込みが入り、薄くついた切り傷から血がツーっと流れ出ている。
だが、斬られた方の顔はニヤついていた。
「……やるようになったな」
刀を振り払い鞘に納めそう言う、何かが終わったのか少年もまた刀を鞘に入れる。
「まだ、あなたのようには慣れません」
深々と頭を下げ礼を尽くす、青年はそれを見るとそっと。
「でも、一太刀入れられたのは予想外だったよ」
「!」
鞘に納めた刀に手を添え、一動作、刀を掴み、抜くフリ、これは一般に見える動作だが、実際は、刀を掴み抜き、何回も振り、終えると鞘に戻す。
この一連の動作を瞬発的に行う、それがどのような意味をなしているのか。
「ッツ!?」
少年もまたその動作を見切れはしないものの、刀を扱うものとして予想は出来ている。
鞘から刀を引く。反り返り映ったものを反射する光沢を持つ刀身、それが鈍く鋭い反響音を奏で始める。
最初は斜め右から、次に斜め左、同じような軌道を下からも迫り、真上、真横、真下、それら青年が放った斬撃を少年は、一撃、一撃のけぞりながも対応し一太刀も浴びることはなかった。
「これでも駄目か……」
言葉とは裏腹に嫌に妖艶で無邪気な悪意の満ちた笑顔を見せた。
少年は何かを感じたが、あまりにも遅すぎた事であると言っても差し支えは無い、備えるために刀を正面に構えた、瞬間、少年のいた場所、空間にまるでスッと豆腐でも切ったかのように柔らかく、綺麗な切り込みが無数に現れ、少年の体に刻まれ、赤く紅い血を身体から流す。
……かはッ
掠れゆく吐息を漏らし、膝からゆっくりと崩れ落ちる。
青年は刀を振り払い、少年が床に伏せると同時に刀を鞘に納める。
「大丈夫か?」
青年はやり過ぎたとは思ってはいない、これが普通なのだから、倒れている少年に近づき手をそっと差し伸べる。
「……」
手を払うように起き上がった少年はあぐらをかき座り込む。どこか大人びていた少年も顔はむすっとしており、不服を訴えていた。
「……」
先程まで流れていた血は止まり、傷も見当たらない。
青年は少年の隣に座ると、一言発した。
「俺は負けず嫌いなんだよ」
手入れの行き渡った庭園を見ながらポツンと言った、当人は反省の色等は見せておらず少年はどこか諦めた顔で庭園の竹林を見ていた。
「……いいですよ別に、毎回の如く、大人気ない」
「大人気ないとか言われてもまだ成人してないし」
「年上としての礼節がない」
「年下らしいところがお前にない」
一時の静寂が周りを支配する、その一時はすぐに過ぎ去り、変わりに支配したのは金属同士の接触による反響音だった。
「またやるか?夏谷(なつや)」
両者の刀が一定の力を保ちつば競り合いが起きる、夏谷と呼ばれた少年はこう聞き返す。
「次は勝たせてもらいますよ、龍さん」
均衡化した力に両者の腕により一層の力が入る。
ししおどしが水を引き入れる
呼応するかのように龍と呼ばれた青年の脚に力が入り
少年は腰に据えたもう一刀に手を掛ける
引き入れた水が重みとなり頭の方から下に一気に落ちる
つば競り合いを両者、力強く刀同士で弾き、火花を散らせ、距離を取る。
両者二対の刀を構え、刻一刻と迫るその時を待った、集中した上でなせることなのだろう二人が見ている光景は流れゆく時が緩くなり、あらゆるものが止まって見える、蝶、蜻蛉、ましてや蚊でさえ中で静止している。
カーンとししおどしが音を鳴らしまた水を引き込むと。
それを合図に激しくも美しい反響音が止まっていた世界をまた動きのあるものへと引き戻していく。
試験的な何か END
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何を自分がしたいのか、どういう表現が合ってるのかた、という。 練習文です、三人称を主に書いてます。 |
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