英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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数日後、ザクセン鉄鉱山の事件によって”帝国解放戦線”は壊滅し……それとガレリア要塞での功績を認められたリィン達”Z組”のメンバー全員が帝都のバルフレイム宮に招かれた。

 

エレボニア皇帝、ユーゲントV世。アルフィン皇女達の実の母君であるプリシラ皇妃。二人に拝謁し、労って貰った一方、リィン達は改めて帝国を二分する勢力の領袖たちに対面することになる―――

 

帝国各地を支配し、絶大な権力を持つ、”四大名門”と呼ばれる4人の大貴族。帝都と鉄道網を中心に改革を進める”鉄血宰相”と、その盟友たる帝都知事。リィン達を労いながらも、両勢力はテロリストの存在を巡って互いを牽制し、静かな火花を散らし続け……最後には、呆れ果てた顔になったユーゲントV世に釘を刺されるのだった。

 

しかし、テロリストが壊滅したことで彼らを密かに支援したと見られる貴族派は表立って動きにくくなり……革新派も、独立問題でクロスベル方面が騒がしくなったことへの対処もあり……図らずも、帝国内部における対立はしばし小康状態に落ち着きそうだった。

 

そしてリィン達はオリヴァルト皇子の提案によってエレボニア皇家が用意した小旅行――――リィンの故郷である”温泉郷ユミル”への小旅行に赴く事になった。

 

 

 

 

10月3日―――

 

 

〜”温泉郷”ユミル〜

 

「うわ〜……!」

「ここがお兄様の故郷ですか……」

「エリオット、セレーネ。上を見ながら歩くと階段から落ちるぞ。」

階段を登っていたリィンは自分の故郷を興味ありげな表情で見上げるエリオットとセレーネに忠告した。

 

「ご、ごめん。雰囲気のある建物だね。」

「ええ……それに今まで訪れた町では見かけない建物ですわね。」

「こちらが皆さんが宿泊する”鳳翼館”になります。その昔、時の皇帝陛下より恩賜されたという由緒正しい逗留施設です。」

「こ、皇帝陛下から……!?」

「シュバルツァー家と親交がある話は聞いていたが……」

案内役であるエリスの説明を聞いたマキアスとユーシスは驚きの表情で自分達が宿泊する逗留施設―――”鳳翼館”を見つめた。

 

「ハハ……マキアスもユーシスもそうかしこまる事はないさ。それにしても……まさかエリスが迎えてくれるなんて。……ビックリしたな。」

「兄様?シュバルツァー家の次女として皆さんをご案内するのは当然です。本来でしたらエリゼ姉様の役割なのですよ?」

「ハハ……エリゼは殿下の専属侍女長として忙しいから仕方ないよな……」

エリスにジト目で見つめられたリィンは苦笑しながら答えた。

 

「ここまでの道のりで見えた素晴らしいロケーション……赴きのある宿泊先……そして案内役は魅力あふれるリィンの妹君。俄然、温泉に入るのが楽しみになってきたね♪フフッ……なんだか今からのぼせてしまいそうだよ♪」

「アンゼリカさん……邪(よこしま)な事を考えていませんか?」

「絶対考えているね。あの眼はオリビエの眼と同じだもの。」

うっとりとした様子で自分達を見回したアンゼリカの言葉を聞いたアリサは冷や汗をかき、エヴリーヌは呆れた表情で指摘した。

 

「アンゼリカに同意する訳じゃないけど、ホ〜ント、いい所ねぇ♪景色を肴(さかな)に酒が進みそうだわ♪」

「付き合いますよ、教官♪」

「んもう、アンちゃん!学生の飲酒はダメだからね?」

サラ教官の言葉に笑顔で答えたアンゼリカを見たトワは頬を膨らませて注意したが

「フフ、付き合うだけだよ♪――そうだ、トワもどうだい?」

アンゼリカはトワの忠告を笑顔で流して逆に誘った。

 

「ええっ!?ど、ど、どうしようかな……?」

アンゼリカに誘われたトワは驚いた後戸惑いの表情で考え込んだ。

「こ、この人達は……」

「どんな場所でも変わらないな……突っ込みたい気持ちはわかるが諦めろ、アリサ。」

その様子を見ていたアリサとマキアスは呆れ

「それだけ肚が座っているのだろう。」

「ガイウス、上手い。物は言いようだね。」

「ありがとう、フィー。」

ガイウスの言葉を聞いたフィーは感心し

「アハハ……みんな、気に行ってくれて何よりだ。来られなかったメンバーがいたのは本当に残念だな……」

「はい……お姉様と一緒に温泉につかりかったのですが……」

リィンは苦笑した後それぞれの所用によって小旅行に来られなかったクロウ、ミリアム、プリネ、ツーヤ、レーヴェを思い出してセレーネと共に残念そうな表情をした。

 

 

〜逗留施設”鳳翼館”〜

 

「お部屋はこの2階に用意してあります。今いる共用のロビーを挟んで左側が男性の皆さんのお部屋。右側が女性の皆さんのお部屋になります。上級性の皆さんやサラ様にもそれぞれ別室を用意させました。」

「私としてはトワもアリサ君達もぎゅうぎゅう詰めの同室がよかったんだけどねぇ?」

エリスの説明を聞いたアンゼリカは口元に笑みを浮かべてアリサ達を見回し

「私は別室で安心しました……」

「そだね。オリビエの女版なんて、性質が悪すぎだもん。」

安堵の表情で溜息を吐くアリサの言葉にエヴリーヌは頷き

「エ、エヴリーヌさん。オリヴァルト皇子に対して失礼ですよ?」

「うむ。オリヴァルト皇子と戦友の間柄で親しく、オリヴァルト皇子に対して軽口をたたく事は理解できるが、さすがにオリヴァルト皇子を侮辱するのはどうかと思うぞ?」

エヴリーヌの言葉を聞いて冷や汗をかいたエマはラウラと共にエヴリーヌに指摘した。

「みんなはオリビエの”本性”を知らないから、そんな事が言えるんだよ。あいつがリベールを旅していた時なんて、しょっちゅうナンパして、その後にエステルやシェラザードに武器で叩かれて漫才していたし。」

しかしエヴリーヌが呟いた話を聞いたリィン達全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「フフ、何かありましたら従業員をお呼びください。ユーゲント陛下とリウイ陛下の両陛下から言伝を賜り、誠心誠意皆様をもてなすと張り切っておりましたので。」

「えへへ、ありがとうございます!」

エリスの説明を聞いたトワは無邪気な笑顔を浮かべて答えた。

 

「早速部屋に荷物を置かせてもらいましょうか。」

「あ、委員長ちょっと待ってくれ。学院祭でするステージの打ち合わせをしたいから”Z組”のみんなは荷物を置いたらロビーに集まって欲しいんだ。」

「わかりました。」

「それじゃあ一時解さ……ん?どうした、エリス?」

エマに提案したリィンは自分の服を引っ張るエリスに気付いて不思議そうな表情で尋ねた。

 

「あ……に、兄様。その……」

「アハハ……心配しなくても屋敷には後で顔を出すさ。中途半端で帰ってきて、父さん達もエリスと同じで呆れているかもしれないけどさ。」

恥ずかしそうな表情で自分から顔をそむけているエリスの意志を理解したリィンは苦笑した後複雑そうな表情で呟いた。

「そ、そんな事はありません!私だって、とても楽しみに……」

「え?」

慌てた様子で否定した後何かを言いかけたエリスを見たリィンは首を傾げ

(うふふ、相変わらず初々しいわね♪)

(ふふふ、既に何度も交じり合っているというのに、相変わらずですね。)

(アハハ……微笑ましくていいと思いますよ。)

(フフ、それだけリィンの事を愛している証拠ね。)

その様子を見守っていたベルフェゴール達は微笑ましそうにエリスを見つめた。

 

「と、とにかくっ!お、お待ちしておりますから……!それでは皆さん、失礼致します!」

「フッ、微笑ましい限りだな。」

「ええ………お兄様の事を本当に大切に思っている証拠ですわ………」

「ハ〜……やはり可憐だ……あの娘を見ていると私のリビドーがどうにも抑えられなくなってくるよ……」

顔を赤らめて走り去るエリスの様子をガイウスとセレーネは微笑ましそうに見守り、アンゼリカは酔いしれた表情をした。

 

「あのですね……」

「ふふっ、妹御の可憐さについては同意だな。リビドーとやらには理解しかねるが。」

「アハハ………ラウラは理解しなくていいさ。」

苦笑した後眉を顰めて考え込む仕草をするラウラを見たリィンは冷や汗をかいて苦笑した。

 

その後荷物を部屋に置いたリィン達はロビーに集合した。

 

 

 

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終章にうつるはずがまさかのドラマCDの話には驚いたと思いますww最初はCD聞くしかないから、止めようかと思いましたが温泉ネタを書きたかったので書きました(それだけの理由!?)

説明
インターミッションU 帰郷〜迷いの果てに〜 第255話
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コメント
感想ありがとうございます 八神 はやて様 喜んで頂いて何よりですww 本郷 刃様 大分迷ったんですけど結局やる事にしましたww(sorano)
ファンとしてやると思っていましたとも!(本郷 刃)
ドラマCD編も読みたかったから投稿ありがとうございます!!(八神 はやて)
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