峰麗子 短編小説【うららこな休日】 |
おはこんばんはです〜。桜坂学園初等部5年、峰麗子です。
麗子って書いて、うららこって読みます。
これは、私がアイドル部に入る少し前のお話です。
その日は学校がお休みで、大好きなお兄ちゃんとさばげーをしていました。
……ちょっと間違えました。お兄ちゃんと、大好きなさばげーをしていました。
しかもその日は、楽しみにしていたバトルロイヤルの開催日です。
バトルロイヤルとは、一人一人が敵どうしになって、最後の一人になるまで
戦うゲーム方式です。
他のみんなはヒットで退場して、残ったのはお兄ちゃんと私だけになりました。
「麗子……また腕を上げたな」
木の陰に隠れながら、お兄ちゃんが言いました。
「ふっふっふ〜。お兄ちゃんでも、容赦しないですよ〜」
元々、私にさばげーを教えてくれたのはお兄ちゃんです。
今では連勝記録を抜いてしまうほど、私の方が強くなっちゃいましたけど。
「この新型ワルサーP38で、八つ裂きにしてあげます〜」
「待て。待て待て待て」
お兄ちゃんが焦って片手を挙げました。ゲーム中断の合図です。
「麗子。今の発言はまずい」
「えっ?」
いつも優しいお兄ちゃんが、なぜか困ったような顔つきになっていました。
「お前の言うことは……なんていうか、過激過ぎるんだ」
私は首を傾げました。
「大丈夫です、お兄ちゃん。ゲームの中では……」
「兵隊さんは串刺しにされても、全身蜂の巣にされても死なないんだよ?」
「死ぬとか死なないとかじゃなくて! お前の発言が青少年健全育成条例にひっかかるんだよ!」
……というわけで〜。
青少年なんとか条例に引っかかってしまったらしい私は、あえなく退場になりました。
ゲームはお兄ちゃんの勝ちで終わって、その後お弁当タイムです。
「そういや麗子、学校の方はどうなんだ?」
「学校、ですか?」
お兄ちゃんの質問が意外だったので、お弁当を広げていた手が
思わずぴたりと止まりました。
「もうすぐ5年生だろ? そろそろクラブ活動とか、始まるんじゃないのか?」
「あっ……そうですね〜。この前確か先生が、そんなことを言ってました」
この後私は、友達に誘われるままアイドル部に行って、
いろいろあってそのまま居ついちゃうわけなのですが……。
それはまだ、もう少し先のお話です。
お弁当のタコさんウインナーをぐさりと刺しながら、
私はにっこりと微笑みました。
「さばげー部があったら入りたいです〜」
「桜坂学園にそれはないだろ」
なぜか渋い顔をしながら、お兄ちゃんが私のお弁当を見つめました。
「あと、タコさんを処刑みたいに突き刺すのはやめろ」
そんな風にして、うららかな……じゃなくて、うららこな休日は過ぎていきました。
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桜坂学園☆初等部の短編小説です。 ・公式サイト http://www.sakutyuu.com/ ・作家 三日月マオン |
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小説 初等部 学園 峰麗子 | ||
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