真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 五十九話
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まるで粘土を潰すように…顔面が音を立ててめり込む。

どうしてこんなに力が出るのか分からないが、不思議と自然に出てくる。

カメレオン男は血を撒き散らしながら、体全体を殴り飛ばされ爆発した。

そして、殴った本人…リトは膝を付く。

 

「……ご主人様!」

「リト兄ィ!」

 

恋と音々音はリトにかけより、心配そうに見る。

一瞬目を合わせないようにしたが…それでもとリトは顔を上げ、音々音と恋に謝った。

 

「二人共…ごめんな、傷つけて…皆も…」

「ねね、は大丈夫なのです…!でも、リト兄ィが…無事で、よかっ…たの、です…」

「………恋は平気。ご主人様は?」

「俺は……。ごめん…やらなきゃいけない事があるんだ。まだ俺は…立ち止まるわけにはいかない」

 

ボロボロと涙がこぼれる音々音を申し訳なさそうに見て、リトは自分のやったことを呪う。

守ると言ったのに…逆に自分が傷付けた。

それは覆せない事実…もう何もしない方がいいのかもしれない。

だがそれでも、リトは動こうとする。

近くに敵がいるのは分かっている…だからこそ、動かなければいけない。

例え終わった後に、別れが来ようと…

 

 

 

「ぶるああああああああああああ!!」

「ふんぬううううううううううう!!」

 

貂蝉と卑弥呼は毒が回っているのにも関わらず、絶えずミックスデルザーに攻撃していた。

だが攻撃されているミックスデルザーにダメージは通っておらず、むしろ鬱陶しいと思っていた。

ミックスデルザーは興醒めだと言わんばかりに両手をそれぞれ狼長官の頭とドクロ少佐の鎌に変化させ、二人の首を跳ねる。

 

「貂蝉!」

「卑弥呼…!よくも…!!」

「「「ふん…余興は終わりだ。失せろ」」」

「「っ!?」」

 

そう言うとミックスデルザーは頭部からレーザーを上に発射する。

それは雨のようにウィザードISとギャレンの下に降り注がれた。

あまりの威力…加えて前の戦闘のダメージで二人は変身解除される。

地面に倒れる一刀と于吉にミックスデルザーは右腕を荒ワシ師団長の斧で止めを指そうとした。

まずい…そう思って遠くにいた秋蘭達は攻撃しようとするが…その前にミックスデルザーの動きが止まった。

何が起きた…一刀達が見るミックスデルザーの視線の先には…歩いてくる、リトの姿が写る。

 

「「「ほう…来たのか、仮面ライダー」」」

「まあな。てか、見ない間に太ったか?まあいいや、どのみち原型留めないようにするけど」

 

軽く怖いことを言うが、リトは冷静だった。

…自分は皆を傷付けた、殺しかけた事に言い訳はしないし、変えられない。

だがそれがどうした?

例え、その事が事実でもリトが戦わない理由なんてない。

目の前の怪物に暴走させられたとしても、結局は自分がやったのだ。

罪は自分で償わなければいけないし、未だに不安定で脆弱な己の精神が原因。

目の前の怪物を恨むのはお門違いだ。

 

「復讐でお前と戦うとまた暴走するからな。別の理由で戦わせて貰う」

「「「何…?」」」

「…お前がいると、こいつらが傷付くんだ。だから、皆の為に戦う」

 

それがリトの戦う理由。

あくまで自分ではなく、他者の為に。

自分の為に他者を守ることを。

だからこそ、ここまで強くなったのだろう。

だからこそ、何度も立ち上がれるのだろう。

ただ純粋に、皆の笑顔を守るために。

 

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「―――変身」

 

アークルを呼び出し変身すると、そこにいたのは記憶に新しいクウガ・アルティメットフォーム。

周りはそれを見て警戒するが、それはすぐに無くなる。

何故ならば……その瞳は、優しい紅で染まっていたから。

 

「「「はあああああああああ!!」」」

「…遅ぇ」

 

ミックスデルザーは右腕を大型のシャドウ剣に変え、突撃する。

だがクウガUFは瞬時に背後に移動し、シャドウ剣を掴む。

ミックスデルザーが気付く内には、剣は折れていた。

クウガUFは折れた剣先をミックスデルザーに突き刺しそのまま蹴る。

ミックスデルザーはそのまま壁に激突した。

しかもその蹴りは加減をしているのだ…周りを巻き込ませないようにと。

 

「「「ぐぐ…おのれぇ…」」」

「どうした、せっかく仲良くなったんだろ?もっと協力しあえよ」

「「「だまれぇ!!」」」

 

ミックスデルザーは激昂し、剣を引き抜く。

そして逆の腕で巨大な鉄球を作り出すと、クウガUFに向かって投げつける。

さらに肩から腕を生やし、猛毒入りのナイフを飛ばす。

どちらに避けても攻撃が当たる仕組みなのだろう…マシーン大元帥が元になっているだけ、考えている。

 

…だが、それがクウガUFでなければ通用しただろう。

 

「ハァッ!!」

「「「何…ぐああああああ…!!」」」

 

殴り返したのだ…鉄球を弾き飛ばし、ナイフを巻き込みながらミックスデルザーの元に打ち返す荒業をした。

当然そんなことを考えていないミックスデルザーは回避しきれず、右足が粉砕される。

毒による腐蝕が進むが、それは右足を引きちぎる事で防いだ。

 

「すごい…」

 

誰かがそう呟くが、それは全員の感想でもある。

先ほどまでまるで歯が立たなかったミックスデルザーを無力化させている事が驚きなのだろう。

ミックスデルザーは右足を再生させ、頭部からレーザーを発射させる。

光速で迫るそれはクウガUFに確実に当たると思われた…が、クウガUFは目の前にブラックホールを作り出し、レーザーを防いだ。

そして二人はけりをつける為に一気に走り出す。

 

「ライッッダァァァアアアアッッ!!!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!」」」

「パァンチッッ!!!!」

 

ミックスデルザーに向けて【アルティメットライダーパンチ】が繰り出された。

腹に風穴を開けながらミックスデルザーは空を飛び、瞬時にブラックホールが穴から形成される。

 

「「「みご、と、だ…」」」

「…そりゃどうも」

「「「―――デルザー軍団、万歳!!」」」

 

ミックスデルザーは穴に吸い込まれ、中で爆発。

残骸さえも残らず、目の前にいた巨体は消え去った。

 

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「じゃあ…始めるぞ」

 

一時間後…リトは恋達にそう言う。

戦闘後、リトはほぼ全員に問い詰められた。

何故記憶を消す必要があるのか、それでお前はいいのか…等様々に。

だがリトは一言も喋らなかった…ただ一言も。

弱音も、本音も、これ以外の方法さえも。

そして現在も、それ以外は何も喋っていない。

周りは文句を言いたげな表情や、納得していない表情をしているが何も言えなかった。

 

「リト兄ィ…」

「……………」

「………ご主人様、一緒…」

「…ごめん」

 

恋と音々音がリトの袖を掴んで止めようとする。

だが…リトは謝るだけで、止めようとしない。

ここで止まったら、この娘達が消える…それだけは嫌だった。

例え、彼女達がそれを望まなくても。

そんな事を考えていると…音々音は、涙を溜めながら無理矢理笑おうとしていた。

だが、一気に涙はこぼれ落ち…行かないでと腕を掴む。

 

「リト兄ィは…ねね、の笑顔が好きって…言ってた、から。だから、…泣かない…ので…」

「っ…、…」

「…っやっぱり、嫌なのですっ!!リト兄ィと、離れ離れになりたく無いのです!ずっと…ずっと、」

 

分かっている、彼にその気は無い。

自分達が消えない為に、彼は自分達を裏切るのだ。

それだけ大切にされてると理解できる、感じる…それは嬉しい。

だけど、自分は…自分達は、こんな結末認めない。

 

「一緒に……いてよ…リト兄ィ…」

 

こんな結末、望んでいない。

胸が張り裂けるほど、苦しいのに…彼はそれを癒してくれない。

心のそこから出る言葉は、耳をすませなければいけないほど、か細いものだった。

 

「……ごめん」

 

最低だ…俺は、この子を泣かせてしまった。

どれだけ俺の事を慕っているのだろう…どれだけ、思い出が大事なのだろう…

リトは、こんな状況でも涙が出ない自分に苛立った。

そして―――

 

「―――さよならだ」

 

世界は創り変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恋殿ー!早くしないと遅刻してしまいますぞー!」

「……………ん」

「ほら、月も詠も待っているのです!」

 

聖フランチェスカ学園の制服を来て、音々音と恋は道を歩く。

いつも通りの朝、いつも通りの通学路、いつも通りの生活。

そこに、偽りはなかった。

…彼女達の記憶の中では。

 

 

 

 

「これが…リトの、望んだ外史?」

「…まあな」

 

ビルの上…リトと一刀、管理者達は遠くから音々音と恋を見ていた。

ただ、リトの顔は暗い。

そんなリトを見て、結末を否定するかのように一刀は声を荒あげた。

 

「でも、本当によかったのか!?皆、リトの事を忘れて…本当に…!」

「ご主人様、それ以上は言っちゃダメよ」

「決めたのはリトじゃ。覚悟の上でこうなっておる」

「でも…」

 

納得が行かない…本当にこんな結末で…

一刀は前に聞かされていたもうひとつの方法なら…と考えたが、それは沙慈によって黙らされる。

 

「女々しいぞ北郷。…こいつのしたことだ、好きにすればいい。俺たちとすれば、外史が安定すればそれでいい」

「でもそれじゃあ!」

「……悪いな。俺、もう行くよ」

 

リトは一刀達の元を離れ、オーロラを発生させる。

もう行くのか…于吉は少し嫌味気味で訊ねた。

 

「帰るのですか?」

「ああ。役目は果たしたんだ。…ここにいる理由はない」

「そう…これまでの協力、感謝するわ」

『また会うときはお土産よろ〜…ゲフッ!?』

「あんたは黙ってなさい…!」

 

白い魔法使いに腹パンし、司馬懿は黙らせる。

正直、辛いのはリトだろう。

記憶を失いたいのだが、それができない。

あったはずの思い出を懐かしむ相手がいないから。

リトはもう一度振り返ろうとするが、やはり止め…オーロラを潜り抜けた。

 

だが…

リトは気付くべきだったのかもしれない。

まだ、この世界は…物語が終わっていないことに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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蝶蝉「ぶるぁあああああああああああああああッッッ!!!」

卑弥呼「ふんぬぅうううううううううううううッッッ!!!」

蝶蝉「…あらん?もう後書きコーナーが始まっちゃってるわねん」

卑弥呼「む、少々遊びすぎたか」

 

蝶蝉「彼、また戦う気になったのねん」

卑弥呼「当然じゃろう、けじめと言うものじゃ」

蝶蝉「ああん!ご主人様のやられてる姿もス・テ・キ♪」

卑弥呼「儂らは首をはね飛ばされたがの」

蝶蝉「まともなアルティメットフォームだけど…あっさりしすぎない?」

卑弥呼「作者の限界じゃろう。それにスペックだけなら公式最強だからのう」

蝶蝉「ねねちゃん…かわいそうだったわね」

卑弥呼「認めたくないんじゃろ、それが若さじゃ」

蝶蝉「再創造の世界は現代風みたいねん」

卑弥呼「OVAの恋姫無双シリーズの世界らしいぞ」

 

蝶蝉「じゃあ次回予告行きましょ」

卑弥呼「うむ。次回、六十話 “いりゅーじょんにゃ”…なんじゃこのタイトル」

蝶蝉「さぁ?あ、それと卑弥呼は本編に出るの次回でラストよん」

卑弥呼「なんじゃとぉぉぉぉ!?」

蝶蝉「どぅふふ…残念」

 

 

説明
三巡編

さよならだ
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コメント
行ってらっしゃいませ(Ο△Οゞ(XXX)
↓南蛮の音々音…確か前にそのイラスト見たッスよ(XXX)
nakuさん おおふ…自分的に凄い誉め言葉でありがとうございます(XXX)
刃さん まぁ、そこはお楽しみってことで(XXX)
美衣?(黒鉄 刃)
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