一刀「さて時間がない……戦いながら説明するぞ!!」

一刀はそう言うと駆け出した

晩禍「このぉ………………『煙粉火灰(えんふんかばい)』っ!!」

ﾊﾞｧｯ!!

晩禍は右手から火の粉と火山灰が混ざった物を一刀に向かって広範囲にばら撒いた

一刀「うわっぷ!!目くらましかっ!!?」

『煙粉火灰』は一刀をすっぽりと覆ってしまい、一刀は視界不良に陥ってしまった

一刀「ごほっ！げほっ！目が開けられない!!」

晩禍「クズが…………そのままで死ねっ!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

晩禍は左手に発煙筒のような物を作り出した

しかし大きさ的には電信柱程ある

晩禍「『暴龍花火(ぼうりゅうはなび)』で燃え尽きろっ!!」

ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞｯ!!!

晩禍の持つ発煙筒のような物からは大量の槍のような炎が飛び出し、煙の中の一刀を襲い始めた

左慈「ありゃただの特大ロケット花火だぜ」

于吉「特大過ぎますよ…………北郷さんっ!!」

于吉は煙の中にいるであろう一刀に呼びかけるが、晩禍の『暴龍花火』は次々と放たれる

だが

ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞｯ!!!

桔梗「……………む？」

愛紗「『暴龍花火』が突き抜けていく？」

秋蘭「単純に通過しているようだな」

煙の中に入った『暴龍花火』は直撃するとそれこそ花火のように破裂するはずらしいのだが、放たれた『暴龍花火』は逆側へとそのまま流されるように通過していた

晩禍「何故当たらぬっ!!?まさかクソガキはいないのかっ!!?」

晩禍は苛立ちの言葉を発する

それに対して

一刀「ちゃんとここにいるぞ？晩禍!!」

ﾌﾞｫｰﾝｯ!!

晩禍「っ!!?くっ!!」

紫苑「あれは………ご主人様の『完全防御』……」

一刀は煙を吹き飛ばすかのように『完全防御』を発動させた

煙は瞬く間に消え失せた

晩禍「視覚的能力は『煙粉火灰』で封じ込めた筈だ!!

何故一発も当たらないのだっ!!?」

一刀「それはこの『虎聴(こちょう)』のお陰さ」

一刀は右手で頭にある耳を指さした

一刀「人間よりも動物のほうがあらゆる面発達しているだろ？それと同じさ

人よりも虎のほうが聴覚が鋭い為、お前の攻撃が分かったんだよ」

沙和「じゃあ隊長は音だけで判断して回避したのー？」

霞「無茶苦茶もええとこやで」

霞はそんな風に言い放つがとても嬉しそうな表情であった

一刀「さてお次は…………これだ」ｷﾞﾛｯ

一刀は両目を大きく見開いた

すると

ﾋﾞｼｯ!!

晩禍「っ!!?がっ!!?あっ!!?」

一刀に睨まれた瞬間、晩禍は呻き声を上げながら動かなくなった

美羽「？？動かなくなったぞぇ？」

斗詩「どうなっているんでしょうか？」

周りの者達は首を傾げる

一刀「この右目は龍の目でもあり、魔人の目でもあるんだ

云わば響窃の目だ………………そこから名付けたのが『魔龍の眼(まりゅうのまなこ)』

(思春と焔耶には申し訳ないんだけど正直、中二病っぽいからあんまりねぇ………好きになれない)」

明命「『魔龍の眼』…………はわ??カッコいいです?!!」

蓮華「素晴らしい名前ね…………♪」

周りの皆は一刀とは逆で高評価であった

一刀「『魔龍の眼』に睨まれた者は魔人に睨まれたことと同じ………

体中に一瞬だけとてつもない量の『邪闇気』を浴びせられる為、少しの間は行動不能に陥る

但し、一度強い衝撃を受ければ解除される」

晩禍「な…………ん……だと……」

晩禍は金縛りにより言葉を発しても途切れ途切れとなっていた

一刀「流石の晩禍でも難しいみたいだな

さて、もう時間がない………残りの説明へといくか！」

一刀はすぐさま晩禍へ駆け出した

晩禍「お、おのれぇぇぇ………………」

晩禍はどうにか足掻こうとするが、体はピクリとも動かない

一刀はその隙に体を回転させて

一刀「喰らえっ!!『狼鞭の尾(ろうべんのお)』っ!!!」

ﾌｫﾝ!!

ﾄﾞｶｯ!!

晩禍「がぅあっ!!?」

一刀は体を回転させながらお尻にある狼の尻尾で晩禍を叩きつけ、吹き飛ばした

一刀「追い打ちいくぜ!!」

一刀は拳を握りしめ、追い打ちをかけにかかった

晩禍「このぉっ!!!『煉獄刀(れんごくとう)』で真っ二つなれっ!!!」

ｺﾞｵｯｯ!!

ﾌｫﾝ!!

晩禍は素早く右手に気を溜め、燃え盛るような色合いの刀を出現させ、一刀に斬りかかった

一刀「っ!!?」

ｶﾞｷﾝｯ!!

翠「ご主人様っ!!?」

翠が驚くのも無理は無い

晩禍「なにっ!!?」

一刀「ひょ?、はぶないはぶない(ほぉ?、危ない危ない)」

一刀は有ろうことか『煉獄刀』を口で受け止めていたのだ

更に

一刀「ん????っ!!!はぁっ!!!」

ﾊﾞｷﾝｯ!!

晩禍「な、なにっ!!?」

一刀は『煉獄刀』を牙で砕き折った

晩禍は素早く体制を立て直し

晩禍「馬鹿なっ!!!鋼の強度を持つ刀だぞ!!!

それをたかが口だけでだとっ!!?」

一刀に向かって叫ぶ

一刀「この牙の名は『鋼折牙(こうせつが)』

その名の通り鋼をも砕き折る程の威力を備えた牙さ」

一刀は口に生えた牙に指をさして話す

そして説明が終わると

一刀「ほっ！」

ｼｭﾝｯ!!

一刀「『紅蓮掌打』っ!!!」

ﾌｫﾝ!!

ﾄﾞｶｯ!!

晩禍「ぐぉおおおああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」

一刀は通常より遥かに速い『空走』で瞬間移動し、そのまま響窃が放った『紅蓮掌打』を放った

一刀「ふぅ??…………ん？あっ……………」

一刀は自分の廻りを見ると自分が光っていることに気づく

そして

ｼｭｳｩｩｩｩｩｩ……………

一刀「………………時間切れか」

一刀は元の姿に戻った

華琳「もう3分経ってしまったの？」

左慈「丁度3分だ、仕方ねぇだろ」

左慈は懐中時計を見て言う