晩禍「むんっ!!!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

一刀「ん？掌に気を……………？」

晩禍は右手に気を集め始めた

それは今までにない程の赤黒さと邪悪さ、そして怒りの色に染まっているものであり、どんどん気の塊となっていった

一刀「『終誇の砲弾』みたいな感じだな………………

あれの『邪闇気』を纏ったバージョン的な」

一刀はそう軽く考えていた

そして

晩禍「………………消えて無くなれ北郷ーーーーーーーっ!!!!!」

ﾌｫﾝ!!

ｺﾞｵｯｯ!!

晩禍はそう叫ぶと大きく振りかぶって右手の気の塊を投げつけた

一刀「あれくらいなら『幻龍破』で………………」

と言いかけた一刀へ

左慈「北郷ーーーーーーーっ!!!!!」

一刀「っ!!?左慈!?」

一刀の元に左慈が『龍走』で駆けつけてきた

左慈「どけ、北郷っ!!」

一刀「うわっ!!?」

左慈は着いた瞬間、一刀を押し飛ばし

左慈「『闇行』っ!!!」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

左慈はすぐさま大きめの『闇行』を出現させ、晩禍が作り出した気の塊を『闇行』の中へ葬り去った

晩禍「ちっ!!左慈の小僧が…………余計なことを………」

晩禍は舌打ちをして左慈を睨みつけた

一刀「お、おい左慈…………？」

左慈「北郷………よーーーく聞け

今のをお前が喰らっていたり、大陸にアレが接触していたら全てが終わっていたぞ…………？」

一刀「えっ!!?うそっ!!?」

左慈の発言に一刀は驚きを隠せず、固まる

晩禍「あのままにしておけば大陸が塵と化していたものを…………

本当に余計なことをしてくれたな」

左慈「てめぇら否定過激派の事については色々と調べたからな」

左慈は息を切らしながら晩禍を睨む

一刀「今のは一体何なんだ？」

一刀は晩禍を見上げながら聞く

晩禍「今のこそ、この晩禍の奥義…………そしてあらゆる外史の終末を迎えさせた技……

その名はこの晩禍が使う技、『晩禍砲(ばんかほう)』だ」

一刀「名前のまんまだな………」

左慈「名前こそ単純だが、その威力は計り知れない…………」

左慈は冷や汗を流しながら一刀の問に答える

晩禍「この『晩禍砲』は今いる世界に存在する怒りや憎しみ…恨み……怨念といった『負の感情』を集め、それを具現化して撃ち放つモノだ

『負の感情』100%で構成された気の砲撃だ

野球玉程度の大きさだけで大陸の4/5は吹き飛ぶとっておきだ………

貴様等程度の存在に使う気は毛頭なかったのだがな…………………」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

晩禍はそう言い終わるとまた新たなる『晩禍砲』の塊を作り出した

それが作り終わるまで30秒も掛かっていない

一刀「そんな簡単に作り上げるのか…………」

一刀は眉間に皺を寄せながら言う

晩禍「生憎だがこの世界は2年程前迄は戦乱の世だった…………

戦乱の世には多くの『負の感情』が残ったままになっている

幾らでも『晩禍砲』を作り出す事は可能なのだっ!!!」

ｺﾞｵｯｯ!!

晩禍はすぐさま『晩禍砲』を投げつけ出した

しかも次から次へと出来上がった『晩禍砲』を投げ付けてくる

ｺﾞｵｯｯ!!

ｺﾞｵｯｯ!!

ｺﾞｵｯｯ!!

左慈「くそったれっ!!北郷、てめぇも手伝えっ!!!!」

一刀「言われなくてもっ!!!!」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

左慈と一刀は次から次へと発射される『晩禍砲』を『闇行』の中へと葬り去る

晩禍「何時まで保つか試してやろうっ!!」

ｺﾞｵｯｯ!!

ｺﾞｵｯｯ!!

ｺﾞｵｯｯ!!

晩禍は更に手を早め、次々と投げつけていく

左慈「こうなりゃ特大だ!!」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!!

左慈は超巨大な『闇行』を出現させ、全ての『晩禍砲』を中に取り込んだ

左慈「『闇行』の中は『異次元空間』に繋がっている

俺達には全くの無害だっ!!」

一刀「はああぁぁぁっ!!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

一刀は一気に気を溜め始めた

その時、

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ……………

左慈「っ!!?」

左慈は咄嗟に一刀の方へ振り向いた

一刀「左慈!!余所見してると全てが終わるぞ!!!」

左慈「っ!!うるせぇっ!!!言われなくても分かってるっ!!」

左慈は一刀の一声で我に返り、すぐさま晩禍の方へ振り返る

左慈「(何だ今のは…………一瞬、北郷の気に響窃の『邪闇気』が混ざり込んでいやがったように感じたが………)」

晩禍「死に損ないめが!!!ならば…………!!!!」

晩禍は両手を真上に挙げ

ｷﾞｭｫｫｯ!!

『負の感情』を急速に溜め始めた

晩禍「戦乱の世に散っていった無数の亡者共………不運でくたばった愚かな民共……そしてこ奴らに殺された無意味な出来損ない共………

貴様等の『負の感情』、この晩禍に全てよこせっ!!

たった一欠片も残さずこの晩禍に明け渡すのだ!!!」

すると

ｷﾞｭｫｫｯ!!

『晩禍砲』は急激な速度で膨張し始め、忽ち巨大な物体となっていった

霞「で、でかいで…ありゃあ……………」

凪「あれが大陸に落ちてきたら…………」

斗詩「大陸どころか外史が無くなりますよっ!!!!」

朱里「はわわ??っ!!!絶対絶命ですぅ??!!!」

左慈「くそったれ!!!あんなでかかったら『闇行』にも入らねぇっ!!!!」

雪蓮「そんな……………」

まさに万事休す

こうしている間にも晩禍は大陸中から『負の感情』を掻き集めている

その大きさは『極死の宝玉』を軽く超える

晩禍「これで全てが終わるっ!!下らん仲間共に下らん外史と消えろっ!!!

所詮、貴様は出来損ないの魔人の模倣をしていたに過ぎんのだっ!!」

一刀「……………………」

晩禍「魔人・響窃も所詮只の道具!!

使えぬ道具は破棄捨てるに限る!!!あの響窃も同じだ!!!!」

一刀「っ!!!響窃が使えない道具だとっ!!!?」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

晩禍の言葉に一刀は更に気を高める

晩禍「あぁ、そうだ!!!

扱う人間に刃を向ける道具など使い物にならんわっ!!!

出来損ないは処分、汚物は廃棄だっ!!!」

一刀「っ!!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

一刀の怒りのボルテージは遂にMAXに陥った

一刀「てめぇがそんなんだから魔人が反逆するんだろうがあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

ｺﾞｵｯｯ!!

小蓮「あぅっ!!?」

于吉「っ!!?」

稟「ひっ!!?」　

一刀の怒号に皆は体を竦める

晩禍「何だと…………!!?」

一刀「お前みたいな根本的に腐っている奴が産みの親だから響窃は逆らったんだろうがっ!!!!!

それを分かっていないとは目出度い奴だなっ!!!晩禍っ!!!!!」

一刀は言葉を続ける

一刀「響窃は否定過激派の中でもお前が一番許せなかったんだっ!!!

だから俺の体を使い、封印された躰を取り戻し、全てに決着をつけるつもりだったんだっ!!!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

一刀はそう言うと溜め込んでいた気の2/3を右手に集め、左手を被せて右の腰辺りに構えた

一刀「響窃が成し遂げられなかった否定過激派を討つという夢を………………俺が成し遂げてみせるっ!!!!」

一刀は構えたまま、まだ気を高めていく

晩禍「そうか、ならば…………そのちっぽけな夢をこの無意味な大陸と共に打ち砕いてやろうっ!!!!!!」

晩禍は限界まで膨張した超特大の『晩禍砲』を構えて

晩禍「外史ごと消えて無くなれっ!!!!!!

『全破壊晩禍砲(ぜんはかいばんかほう)』っ!!!!発射っ!!!!!!」

ｺﾞｵｫｫｫｫｫｫｫｯｯ!!

晩禍は挙げていた両手を勢い良く振り下げ、超巨大な『晩禍砲』・『全破壊晩禍砲』を落としてきた

美羽「にょわ???!!!?妾まだ死にたくないぞぇ!!!」

七乃「私だってそうですよ?!!!」

七乃と美羽は抱き合いながら叫ぶ

だが、一刀は臆することなく

一刀「外史ごと消えて無くなれだと…………？」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

雪蓮「ちょっと!!?一刀っ!!?」

愛紗「ご主人様っ!!?」

右手に溜めた気を握りしめ、自ら『全破壊晩禍砲』へと突っ込んでいった

晩禍「血迷ったか、北郷っ!!!!!!」

晩禍は全ての力を使い切った為か、息切れをしながら一刀に叫ぶ

一刀「魔人が………響窃が………使えない存在？道具？」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

一刀は『全破壊晩禍砲』を目の前にして

一刀「馬鹿野郎ーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

ｺﾞｵｫｫｫｫｫｫｫｯｯ!!　　　　　

目を見開き、右手に溜まっていた気を開放させ『闇龍破』を放った

それは片手にしては通常の『闇龍破』より細く、そして速かった

晩禍「そんなちっぽけな『気力破』でこの晩禍の『晩禍砲』を破壊出来るとでも思ったかっ!!!!!」

晩禍は勝ち誇ったかのような表情で言う

そして

一刀の『闇龍破』と晩禍の『全破壊晩禍砲』が接触した

その瞬間、

ｶｯ!!!!

紫苑「っ!!?」

流琉「ひゃっ!!?」

風「眩しいですね??…………おぉお？」

周りの皆は目を見開く

晩禍「な……………なにっ!!?」

一刀の『闇龍破』は晩禍の『全破壊晩禍砲』に光を発しながら食い込んでいた

まるで風船に突き刺す針のような状況である

一刀「それだけ大きかったら絶対にムラが生じる！

例え全部が『負の感情』で出来ていたとしても一点集中の攻撃には成す術もないっ!!!!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

一刀が『闇龍破』の威力を上げた瞬間

ﾄﾞｯｶｱｱｧｧｧｧﾝｯ!!!!

左慈「くっ!!?」

雛里「あわわっ!!?」

真桜「どわっ!!?」

華琳「何で爆発なのっ!!」

『全破壊晩禍砲』は『闇龍破』により大陸上空で破裂し、消えて無くなった

空高く上空にあった雲は全て爆風で飛ばされた

晩禍「ば、ば、馬鹿なっ!!!こ、この晩禍の……………『晩禍砲』を!!!?

たかが下等種族の貴様なんぞに!!?

しかも…………ただの『晩禍砲』ではなく『全破壊晩禍砲』だぞ!!!?」

晩禍は信じられないといった表情で固まっていた

一刀「はああぁぁぁっ!!!」

ｷﾞｭｫｫｯ!!

ｺﾞｵｯｯ!!

一刀は残っていた気を更に高め、『龍走』をして突撃しに行った

一刀「まだ終わらない…………お前を倒すまでなっ!!!」

一刀は力を一度抜き、『死の極み』を解除した

そして右手の人差し指を晩禍に向けた

左慈「『死の閃光』か…………だが何故『死の極み』を解除した？」

左慈は頭に疑問符を浮かべていた

一刀「『死の閃光』!!、で終わらせはしないぞっ!!!」

一刀は『死の閃光』を発射する寸前で突き出した人差し指に左手を被せた

そしてその被せた左手と被せられた右手を右の腰辺りに移動させて構えた

蓮華「一刀!?一体何を!?」

于吉「なる程…………せめてものの慈悲ですか………お優しいですね」

恋「……………？」

周りの皆は一部を除いて分かっていないようであった

一刀「はああぁぁぁっ!!!」

一刀の両手にある『幻龍破』の気は『死の閃光』と同じ紫色の気の塊となっていた

晩禍「き、貴様何をっ!!?」

晩禍が戸惑っていると

一刀「くたばれ晩禍っ!!!こいつは『魔人の想い』、『俺の怒り』だーーーーーーーっ!!!!!」

一刀は気の溜まっている両手を前に突き出そうとした

その時、

晩禍「っ!!?」

晩禍の目には一刀に重なる『ある人物』の姿が見えていた

それは………………………

晩禍「………………………響窃……？」

若かりし頃、丁度左慈達に封印された頃の響窃であった

それは幻か、はたまた本物かは分からない……………

だが確実に響窃の目には見えていた

そして響窃はニヤリと笑いこう言った

響窃『あばよ………………晩禍』

響窃は一刀と供に両手を突き出した

一刀&響窃「「『死の幻龍破(しのげんりゅうは)』っ!!!!!!」」

ｺﾞｵｫｫｫｫｫｫｫｯｯ!!

晩禍「ぐああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」

『天の御遣い』と『復讐の魔人』が供に放った禍々しい龍の砲撃をまともに喰らった『怒りの化身』は、断末魔を上げながら自ら集めた『負の感情』と供に粉々に砕け散っていった………………

　　　　第六章‘魔人の想い’

　　　　　　　　　　　……終……

皆さんお久しぶりです。

hoiでございます。

恋姫の小説を投稿して一年が経ちました。

一年とは早いものですね。

最初読んで頂けたら幸いかなっと思っていながら投稿してきましたが、気づけばかなりの長編ものになっていました。

これからも投稿していきますので読者の皆さん、よろしくお願いいたしますm(_ _)m