ゼロのメイジと紅蓮の子 第3話『混沌種とゼロ』 |
「こい! 我が使い魔達よ!!」
女神から貰った能力を使い、強化されたアルカナの力を開放して使い魔達を召喚する。混沌族の目的は原作で知っていたので、即倒すべきと判断しての行動だ。本来、召喚できる使い魔は7体だけだが、能力による強化で周囲のマナと自身の魔力を利用して何体でも召喚できるようになっている。召喚したのは【キャンサー】・【ラースジャイアント】・【ボム×400】・【ペルセポネ】・【ハデス】・【アテナ】・【アニメ―テッド・オブジェクト部隊(米軍一個中隊並の戦力】・【マッドオーク突撃部隊】・二体の【ガルーダ】。
数ではこっちが上。しかも―
「な、なんじゃその巨人は!?」
「アワ、アワワワワワワワワワワワワ」
「んあ〜? おでのことか〜?」
うちのラースジャイアントは東京タワー並にデカい。一応60mに抑えているが、それでもデカい。
それはそうと、あのグレンデル何か見た目に合わない声と態度だな。何と言うか、おとなしい系の女子高生っぽいイメージが張り付いている。ティアマトは原作とあまり変わりないようだ。
「そなた、どれほどの力を持っているというのだ!?」
「混沌種に教える程バカじゃねえっての。お前等、ティアマトをぶっ潰すぞ」
『(応/了解/お〜う/ヒャッハー)!』
「まてまてまて!! なぜ我をピンポイントで狙う!?」
「個人的に殺したい感情持ちだから」
「私怨!?」
「さあ、お祈りは済ませたか? 絶望と数と強大な力の暴力を受ける覚悟は済ませたか? 答えはきいてないがな」
「理不尽にもほどがあるぞ!」
「やっちま「何してんのよこのバカー!!」(ドォン!)ゲバァッ!?」
『刀祢(坊主)(へあっ)(大将)(ロード)!?』
死刑宣告をしようとした瞬間、爆発によって吹き飛ばされた。痛む頭に手を乗せながら後ろを見ると、右の瞳が赤色に染まっているルイズが杖をこっちに向けていた。
「てて…。何すんだよ」
「それはこっちの台詞よ! 私の使い魔に何するのよ!!」
「は? 待て、お前混沌種がどういうのか知らない……ってレムギア大陸関連の説明しかしてなかったな」
「た、助かった……のか?」
「ふええ〜。恐かった……」
こりゃまた厄介なことになりそうだ……。
「ってわけだ」
使い魔達でティアマトを監視+拘束(グレンデルは無害そう、つうかルイズの後ろに人化して立っているので拘束はしなかった)しながら混沌種について説明を三人にした。先生達はティアマト警戒してたが、戦力の差を見たのかある程度解き、ルイズは自分の使い魔がどういうのかを知って頭を抱えていた。
「世界を食い荒す種族って……私の素質って一体………」
「ロ、ロード。落ち着いて」
「まあ、混沌種本来の力を失ってるだけマシだな。つうか、ルイズの属性って四つの属性に当てはまらないんじゃないか?」
「そうかもしれぬ。それよりおぬし、属性を知っておるのか?」
「他の使い魔を見てたら大体は推測できたな。サラマンダーや風竜、巨大なモグラやカエルとかそれぞれ属性がはっきりしてるし」
「なるほど……。経験で得た技術というとこか。ミス・ヴァリエールの属性じゃが、虚無の可能性がある事になるの」
「虚無……」
「虚無は始祖ブリミルが使えた魔法の属性である事以外はまったく知られていない伝説の属性です」
「なるほどな。混沌もある意味虚無と同じだから可能性としては十二分ってとこだな。で、そこんとこどうなんだ?」
「何故我に訊く?」
「いや、ルイズの使い魔の中じゃお前が一番詳しいのかと思ってな」
グレンデルはなんか高校生っぽい雰囲気だし。
「そんな理由か。答えとしては属性云々は知らんが、今まで奇跡的に生きてた、だな?」
「……え?」
ティアマトの答えを聞いた瞬間、ルイズが凍りついたように固まった。奇跡的に生きてたってことはルイズの魔力によることなのか?
「生きてたってことはルイズは死ぬ可能性があったのか?」
「可能性どころか少しでも乱れが生じたら悲惨な最期を迎えるのは確実だ。ロードが強い意志を持ってなかったら数年前位にあの世逝きよ。ここまで純粋かつ莫大な力がよく人の身体に収められたものだ」
「今は問題ないのか?」
「うむ。我とグレンデルを使い魔としているから先程のが起こる可能性は低い。が、あと三種族の混沌種を使い魔としなければ……」
「死、だろ?」
「うむ」
問答が終ると沈黙した空気が周囲を満たしていた。原作ではルイズ自身の魔力云々は詳しく表記されてなかったがこの世界じゃ歩く爆弾と表現できるものだったわけだ。
現にルイズは自身の身体を抱いて震えているし、大人二人は気難しい顔をしている。もしものことがあったらルイズはこの世にいないわけだから。
「使い魔となりそうな混沌種は知ってるか?」
『流石に我もあまりは知らぬが……。海種、神族、不死は何とか知っておる。確か、【オドントティラヌス】と【デミウルゴス】、【ニャルラトホテプ】だったな』
「ゲッ、厄介なのばっかじゃねえか」
「どういう事ですか? ミスタ・ヤクモ」
「今ティアマトが挙げた三体は俺がいた場所じゃそれぞれ【屈強かつ勇敢な戦士26人を食い殺した怪物】、【人格を持った神の思い】、【太古から存在する狂気と混沌の化身である邪神】と表記されてる。特に厄介なのがニャルラトホテプで、気紛れに、その気になれば国一つを滅ぼす邪神なんだ。……ルイズ」
「ッ、何?」
ルイズがずっと黙っていたので一声掛けるとこっちを向く。まだ学生であるのに自分が置かれている立場に恐怖しているのか顔が青い。レムギア大陸でいつ死ぬか解らない戦場に身を投げたばかりの俺のようだ。
「お前は誰よりも過酷だと言ってもいい立場に置かれてる。で、お前はただその場で震えるだけか」
「………いや」
「不意打ちとはいえ、お前は戦争を経験していた俺に一発攻撃を当てた。お前自身の意志で行っただろあれは?」
「……うん」
「なら、この状況をひっくり返してやろうじゃねえか。お前自身の力で」
「…ええ」
「俺は、いや俺達はお前に手を貸す。お前は絶望を打ち砕いてみせな」
俺は右手を差し出した。ルイズはそれを右手で掴むと吹っ切れたような笑顔を見せる。
「言われなくても!」
その言葉には強い意志が宿っていた。
「そういや、連絡してなかったな」
「? 何をするの?」
「流石に連絡はしないとな。俺の彼女、若干ヤンデレだから。【コネクト】!!」
ルイズの寮部屋に向かう途中で連絡をとっていなかったのを思い出し、左腕に着けている腕輪に触れる。これはレムギア大陸での戦いを終えた後に女神から貰ったもので、あらゆる機能を持っているマジックアイテムだ。今回はモニターを使っての連絡だ。
モニターが複数現れると同時に映像が映し出された。相手はテレーゼとアキラ、美佳にジャッキーだ。
「……刀弥」
「お前いきなり消えたって聞いたけど予想通りな姿だな」
「テレーゼ、連絡が遅れて悪かった。アキラ。それは皮肉なのか?」
「刀弥が規格外なのは今更でしょ。それより、隣にいるのって……」
「また異世界デスか。しかもゼロ魔とは……」
「え? え? どういう事?」
「テレーゼを除く全員は元々レムギア大陸出身じゃなくて俺と同じ世界の出身で、ルイズの世界は本で描かれている。だからお前を知ってるんだよ。過去の僅かな部分とか、な」
「−−−−−」
直後、ルイズの絶叫が響いた。
説明 | ||
突然現れた二体の混沌種。しかし、それは刀弥にとって予想外のものだった。 | ||
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