ガンプラビルダーズ ジャンカーズ 第3話 |
狼は状況を把握できず、レバーから手を離し頭を掻く。
困惑している狼に大して端末からアナウンスが流れた。
「プレイヤーノ乱入ヲ確認シマシタ。CPU戦ヲ終了シ、対戦モードニキリカエマス。」
「おいおい乱入って、これはCPU台じゃないのかよ!」
狼は答えが返ってくるはずもない端末にたいして大声を放つ。
相手も間違えて入ってきたのかもしれない。
ここはなんとか、対戦をせずに乗り越えよう。
狼は、頭の中で戦闘を回避するための手立てを巡らせる。
「対戦相手がいるってことは、ここにそいつのプラモがあるってことか?」
狼はレバーを握り、ゆっくりとレッドフレームを操作する。
マップの北を進むにつれて、砂が舞う中に影が見えた。
その影は徐々に姿を現していく。
さっきのガンダムではないのはわかった。
「アレがお相手さんか・・・」
狼の存在を確認したのか、相手側ははっきりとこちらに銃口を向けていた。
狼はとっさに回避行動にでる。
間一髪でしのげたそれは、ミサイルのようなものだった。
狼は、操作画面に出ている『対戦相手』の項目が新たに追加されているのに気づいた。
そこには「NONAME」と記されている。
無名?
誠二はプレイヤー表記に違和感を感じる。
おかしい、端末に登録した情報が反映されるはずだ。
端末の名前が表記されるというシステムで、無名が存在するはずかない
「どういうことだ。無名?何かのバグか?いやありえない・・・。」
誠二は対戦相手を見る。
相手はフードをかぶり顔が見えない。体格からは、男性ではないかということだけしかわからない。
何者だ?初心者狩り?
「おい!あんた!俺は対戦はしたくない!ここはCPU対戦専用なんだろ!?なんでだ!」
狼の言葉が相手に届いていないのか
それとも、聞いていないのか。
相手のミサイルは何発も飛んでくる。
「おいあんた!聞こえないのか!オレは戦いたくないんだ!」
対戦相手は何も返してこなかった。
何度か語りかけてはいるが、こちらの言葉に返答するかのように武器を撃ってくる。
狼には相手のガンプラが何か接近してはっきりとわかった。
ジオン公国軍の試作MS『ヅダ』である。
ヅダのもつ対艦ライフルがダーツめいて的確にレッドフレームを襲ってくる。
「彼は誠二君の友達かい?」
「いや違う。あんなヅダ使いは知らないっす。それに・・・」
誠二はヅダの持つ対艦ライフルに違和感を感じた。
「あの相手の使ってる武器。あんなに連射できる武器なの?」
恵美が誠二が抱く違和感を代弁した。
「くそ、返事もしねぇし、あの対艦ライフルの連射はなんなんだよ!」
対艦ライフルが絶え間なくこちらへと飛んでくる。
おかしい
相手は何十発と撃っているが、リロードをするそぶりを見せない。
「くっそ!完全によけれねぇ!」
狼はとっさにレバーを操作するが、ライフルがレッドフレーム襲った。
「狼!」
「やられた!?」
ライフルが爆破し
蔓延する爆風がゆっくりとやんでいく。
そこにレッドフレームの姿はなかった
「まさか・・」
誠二は最悪な状況を頭に浮かべた。
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