〜静里視点〜

鞘華様と村に向かう途中たわいのない話をしています

しかし、先ほどの剣術や剣の話だけでは鞘華様のことは謎だらけです

だから、もっと詳しく聞いてみることにしましょう

「鞘華様、鞘華様の生国はどちらなのですか」

「様付けはやめてくれない？」

鞘華様は苦笑いをされていますが

「ダメです」

私の答えに鞘華様はさらに深く苦笑いをされます

「そうなの、は〜

　で、私の生国だっけ？

　日本の東京だよ　だけど今はその呼び名はないよ

　方角で言えばはるか東、海を越えたところにある島国そこが日本

　蓬莱が日本じゃないかって説があるからそう言ったほうが解り易いかな

　ついでに、今行っても何もないよ

　何故なら私はこの時代から約１８００年未来の時代から来た、と思われる」

鞘華様の言葉を理解がつていきません

蓬莱から、１８００年の未来から来た？

これが他の人ならば戯言で済ませられます

だが、見たこともない剣を持ち、陽光を受け輝く服を着、見たこともない剣術を使う

こんな人の言うことを戯言でかたずけられる筈がありません

私は期待を込めて訊いてみます

「鞘華様はもしかして〈天の御使い〉ですか？」

〜鞘華視点〜

「天の御使い？」

またもや知らない単語がでてきた

「〈天下乱れ、民の怨嗟が地を覆う時流星が二人の天の御使いを舞い降りさせるであろう

　御使いはその知、その武、その徳を以て乱世を鎮め太平の世に導く者なり〉

　管略という占い師の予言です

　鞘華様がその〈天の御使い〉なのですか？」

静里はつめっよってくるが

「私はそんな大層なもんじゃないわ」

「そうですか・・・」

「その予言って有名なの？」

私は静里に聞いてみる

「はい、信じている人は少ないかもしれません

　でも、今の世の中そんな風説にでも縋りたくなる人は多い　そんな世の中です」

ああ、こっちの世界でもそうなんだ

宦官を始めとする役人の悪政で人々が苦しんでる　そんな歴史は同じなんだ

村につくと妙に騒がしい

その騒ぎの中心へ行くと大怪我をした人がいた

「長老、賊が、２００人程の賊が向ってきている」

そう言って倒れた

「２００人の賊だって」

「そんな」

「こいつ、命を振り絞って伝えてくれたんだな」

様々なことを言っている

この人、助けられないんだな　医療知識も道具もない私は無力だった

「患者はどこだ！」

赤い髪をした青年が飛び出してきた

「この人か

　よし、俺に任せろ！

　ここか、いや違う、ここだ！

　ゴッドヴェイドー　元気になあれ！」

掛け声とともに針を打ち込む

（あの掛け声って必要なの？）

すると怪我がみるみる回復していった

「治療完了！」

ポーズを決める人物に声をかけた

「あの、貴方は」

「ん、俺は華陀　見ての通り医者だ」

治療したところを見ていなければ、どこが見ての通りとつっこむところだが

「いまのゴッドヴェイドーって・・・」

「今、なんて言った！」

「ゴッドヴェイドーのこと？」

「嬉しい、嬉しいぞ！

　一発でゴッドヴェイドーを発音できる人に会えるとは」

何がそんなに嬉しいのかはほっといて

とにかくこの人暑苦しい！

華陀のおかげで怪我人は助かった

だが、賊がこの村に迫っていた

やっぱり私の今日は忙しいようだ