真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 六十二話
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不思議だ…そこは白い、ただそれだけの場所。

それなのに落ち着き、なおかつ懐かしいような感じがする。

気がついたら、音々音の他にも貂蝉を覗いた全員が揃っていた。

不思議そうに周りを見渡しているが、感想は音々音とほぼ一緒だろう。

 

『…やっと、ですね』

「「「!?」」」

 

後ろから声がした。

振り返ると、そこには巨大な黒い扉と近くには女性が立っている。

透き通った声の主はその女性だろう。

まるで占い師のような格好の女性は無表情の中に同情の念を含めた顔をしている。

そんな中、華琳は彼女に声をかけた。

 

「…何者かしら、貴女は?」

『私は菅路。外史の始まりを予言し、時たまに干渉する者。…と言うより、プログラムと言った方が良さそうですね』

「外史?プログラム?なんですかそれは…」

『その話は無しにしましょう。こうしていられるのも、時間の問題です』

 

凜が聞き返すが、菅路はそれを省いた。

それに時間が無いと言っている…ここに居られるのも長くはないのだろう。

 

『単刀直入に言います。貴女方は彼の…仮面の男の事を知りたいのですか?』

「なっ…何故その事を…!?」

『見ていましたから。最初から』

 

驚く愛紗を見て、菅路は扉に手を触れる。

それはいとおしい過去を見ているようで、切なさを感じた。

 

『答えは要りません。分かっていることです。消した記憶さえ、微かに残っているのですから』

「貴様…さっきから何を言っている。私達があの男の事を知っている事に関係しているのか?」

『ええ。ですが、私の口からそれを言うことはできません。全て、扉に呑まれますので』

 

秋蘭の疑問に答える菅路だが、その答えは口には出来ないと言う。

どう言うことか…蓬は疑問に思った。

 

「ちょっと待った。呑まれるってなんだよ。てか、そもそもそのデケェ扉…何なんだ」

『…これは貴女方と、この外史の以前の記憶が固まったもの、です。……少々話しすぎました。残りわずかですが、貴女方に問います』

 

時間が無い…と言うのは本当なのだろう。

今まで無表情だった菅路の表情が焦りを帯びる。

そして、数歩前に出て口を開く。

 

『―――彼を助けたいですか?』

「もっ…もちろんです!」

『そうですか…ですが、その為には貴女方の記憶をお返ししなければなりません。そうなると…この外史は崩れ去ります。それは彼が苦労した事を全て無駄にすること。それでも、

 

 

彼を…彼との全てを取り戻したいですか?』

 

正直、知らない男の苦労など分かる筈も無い。

目の前の女が信じるに値する存在かも分からない。

一瞬の沈黙の後、口を開く者がいた。

 

「はい…なのです…」

 

口を開いたのは音々音だった。

だが、彼女だけでなく周りの皆も頷き、意思を瞳に表している。

あの男の事を知りたい…知らなければならないと言う純粋な願いを叶える為に。

この選択を、後悔なんてしないように。

菅路はそれを確認し、少し嬉しそうな顔をすると、そっと扉の横に立つ。

 

『…占い通りですね』

「「「?」」」

『分かりました。では、この扉を通ってください。それで、現実へと帰れます。記憶と共に』

 

そう言った瞬間、菅路の後ろの扉が軋みながら開く。

扉の先には、まるで夜空のように光が散らばっていた。

 

「この先に…」

『ええ。さあ、早く』

「……………ありがと」

 

恋が菅路に礼を言うと、全員小走りで扉に向かう。

そして全員扉の中に入ったと同時に、扉は音を立てて閉まる。

菅路は扉をながめ、目を閉じると一言呟いた。

 

『―――三巡した世界の先は、貴方が決めることです、平沢梨斗』

 

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暗い、扉の中は暗かった。

辛うじて小さな光が完全に闇を作り出していないだけましだが。

そんな中でも、音々音達はまっすぐ走る。

出口がどこにあるのか分からないのに、ただひたすら。

 

「あ…」

 

走る途中、光の一つが音々音に触れ、体の中に光が入る。

それと同時に、頭の中でとある映像が流れ込んだ。

それは広い広野で深紅の旗を掲げた自分が恋と一緒にいる映像。

そしてそのまま、目の前の敵へと宣戦布告する。

 

「こ、れ…」

「…………っ…?」

 

音々音が驚く中、恋も光に触れたのか驚いていた。

それは二人だけでなく、全員そうだ。

頭を押さえる者も居れば、涙を流す者もいる。

それを見ていた音々音にまた光が触れた。

今度はリトが…仮面を付けて、戦う姿が映る。

反董卓連合の時だろう…音々音はまた光に触れた。

何十も、何百も光に触れ、中に取り込む。

そして、思い出す。

彼が自分に言ってくれた言葉を。

 

―――陳宮、笑ってよ。俺、陳宮の笑顔好きだぜ?

 

「思い…出した……」

 

ああ、何故自分は忘れてしまっていたのだろう。

あの時間を、あの場所を、あの思い出を。

愛しい想いと、自分が愛する彼の事を…

手を握られた…その手の主は恋。

恋と音々音は黙って頷き、後ろを見た。

もう全員取り戻したのだろう…顔はすでに、前の時と同じ戦の顔になっている。

 

すると、光が彼女等を包み込んだ。

外側から見れば、新たな星ができたようにも見える。

そして―――意識が浮かび上がった。

 

 

 

 

あと二十センチ、いや十八センチだろうか。

死ぬまえだと嫌に感覚が研ぎ澄まされる。

リトは目の前にアップになったドクロ少佐の鎌を見つめてそう思う。

体はボロボロ、出血多量に疲労、体力はもう無いに等しい。

よく生きていられたな、と言われても可笑しくはない。

それなのに、まだ自分は動こうとしている。

悪あがきか、生きるためか、それとも他者の為か。

でも、それはもう出来ない。

避けてもいずれ死ぬ、だったらもうここで死のうか。

そう思っていた…

 

「リトくん!!」

「「「リト!!」」」

「「「リトさん!!」」」

「「「平沢!!」」」

「師匠!!」

「リトはん!」

「お兄さん!」

「平沢殿!」

「アニキ!!」

「リト君…!」

「にぃ!」

「にぃにぃ!」

「あにしゃま!」

「にぃ様…」

「お兄ちゃん!!」

「兄様!!」

「兄ちゃん!!」

「お兄様!!」

「おにーちゃん!」

「……ご主人様!!」

「―――リト兄ィィィィィ!!」

 

だけど…

こんな声を聞いたら…

 

「…っあああああああああああ!!!!」

「っホネ…!」

 

嫌でも動いてしまうのが、リトなのだ。

ナイフの刺さった腕を動かし、拘束を解く。

仮面はギリギリで避けたので粉々になり、右側の額は鎌で軽く裂ける。

そしてナイフが刺さったまま、ドクロ少佐の頭部を殴り飛ばした。

 

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「…っ…ぁ…」

「…ご主人様!」

 

ドサリ、と後ろから倒れるリト。

恋は素早くそこに行き、リトの頭を膝に乗せる。

もう目から涙が止まらず、リトの頬に落ちるがそれを気にせずに恋はリトの名前を呼んだ。

 

「ご主人様…!ご主人様!」

「……れ…ん…、それ、に…皆も…どうして…」

「喋らないでリトくん!…ひどい怪我、何で変身しなかったの!?」

 

他の全員も行き、その中で桃香は涙を流し、掌からでる血を止めようと服で圧迫する。

周りもリトを悲痛そうな目で見ている…それほど酷いのだろう。

 

「ちょっと…戦うこと、躊躇って…さ。俺がここで…戦って…皆が怪我したら…」

「馬鹿言うんじゃねぇよ!そんな事気にする訳ねぇだろう…!」

「そうだって!アタシらはリトに何時も守られてたんだ!…なのに、リトが傷ついてばっかで…!」

「他の人の事ばっかり気にして…リトさんってホント、馬鹿…!」

 

悔やむような顔をする蓬、翠、蒲公英。

涙目で言われて罪悪感が湧いてくるが、謝罪の言葉を言う前に蓮華はリトの頬を撫でる。

 

「貴方は私を…私達を守ろうとしたけど…私達は貴方が傷付いて心を痛めているわ」

「蓮華様を心配させるとは……、だが今回は目を瞑ってやる」

「儂の肝を冷やしおって…後で付き合ってもらうからのう」

「全くです。…平沢、そう言うことだ。絶対に死ぬんじゃないぞ」

「後でた〜〜ッぷりご褒美あげるから、ね?」

 

蓮華、思春、祭、冥琳、雪蓮がそう言う。

次に華琳が腕を組んで、リトを見下ろす。

心配だが、安心している顔だ。

 

「随分なたらしっぷりね。ウチの子達に心配かけさせた罪は重いわよ?」

「私に黙って死のうとするな!貴様は…私の……私の…」

「姉者…平沢、姉者も心配させてしまったな。むろん、私も」

「師匠には、まだ教えてもらうことがたくさんあります!だから、死なないで…!」

 

涙どころか鼻水まで出している凪を真桜達が落ち着かせる。

…ここまで大切にされてたんだ…

リトはそう感じ、嬉しくなる。

心の隙間が埋まっていくような感じ、それで一杯なのだ。

 

「そう言うことよん!!!だから貴方も自由にしてみればどうかしら!!?」

「じ…ゆう…?」

「そうです!!リトの自由に、やりたいように…!」

「もう世界のためじゃない…私達でもない、自分の為に!」

 

今だ攻撃してくる怪人達の猛威から貂蝉は防ぎ、そう議論する。

愛紗と桃香もリトにいいかける…自分の為に行動しろと。

 

「俺は…皆を、守りたい…これは本心…でも、俺は…!」

「…………ご主人様…」

「俺は、皆と一緒に居たかった。消滅で記憶を奪うんじゃなく、これからも…思い出を、明日をまた過ごしたかった…」

「まだ間に合うのです…」

 

音々音はそう言ってリトの指を握る。

血で汚れようが関係ない…それほどリトを想っているからか。

 

「音々音…」

「もしも、世界が無くなっても。毎日戦いが続くような日々でも、ねねは、リト兄ィと居たいのです。リト兄ィのいる場所が、ねねの居場所だから」

「そっか…じゃあ俺も…我が儘になるかな…」

 

そう言って、リトは半身だけ起き上がり、掌のナイフを抜き取る。

血塗れの手だが、それでも近くに落ちていたブレストリガーを拾った。

そして、リボーンから貰った…弾をたった一発籠める。

 

「このままじゃ俺死ぬし…戦っても死ぬ。だけど…勝算はある」

 

でもやっぱ嫌だな…リトはそう考え、銃口を自分の額に…脳天に定める。

確かに今のリトではこの怪人の数は相手に出来ない。

戦っている最中に死ぬだろう。

だからこそ…

 

「――― 一回、死んでから出直すわ」

 

―――パァンッ…!

 

「……………ぇ…」

 

ドサリ、とついさっきと同じ音を聞いた。

違うのは、リトが自分で脳天を撃ったこと。

周りは何が起きたか処理できず、少しの間固まる。

音々音もそうだったが、不意に鼓動を感じた。

誰でもない、リトの体からの鼓動を。

すると、リトの体から何かが出てくる。

それはあまりにも………リトに酷似していた。

と言うより、リト本人だろう。

違うのは脳天にオレンジの…大空の炎をともしているところと白目になっているところだけだ。

 

 

「―――((復活|リ・ボーン))ッッッッ!!!!」

 

 

復活したリトは怪人達に指を指す。

もうそこには先程のリトは居ない。

居るのは“覚悟”した一人の男。

そして今、

 

「死ぬ気であいつらを倒すッッッッ!!!!!!」

 

反撃の始まり宣言された。

 

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XXX「  」←亀甲縛り

一刀「作者ああああああああ!?」

 

XXX「げふっ…酷い目にあった」←降ろしてもらった

一刀「お前…何されたんだよ」

XXX「とある医者の荒治療(物理)」

一刀「あ、察し…」

 

一刀「出てきたのって菅路かよ」

XXX「イエス。この小説での菅路はあくまでも感情がついたプログラムみたいなもの。ゲーム本編で天の御遣いの降臨を占い、それを世に広げると言う事をする為のプログラムみたいな」

一刀「てかあの空間って…」

XXX「ハガレン見て思い付いた」

一刀「真理の扉かよ」

XXX「扉の向こうは考えたけどね」

一刀「まぁ、記憶が戻っただけでもいいか」

XXX「それと次回はこの小説ラストバトル…と言う名のフルボッコ」

一刀「ああうん。公式でのステータス発揮するんだな」

XXX「ちなみにリボーンから貰ったのは死ぬ気弾ね」

 

一刀「さっさとするか…次回、六十三話は」

XXX「三巡編 “落ちたんだっけ”。あ、それともう一話増えるかも」

一刀「え」

 

Ο△Οノシ再見

 

 

説明
三巡編

復活
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コメント
nakuさん たしかにねねだけでも…げふんげふん!一応皆無事じゃないと気がすまない作者なんです(XXX)
刃さん あ、なんかすんません…次回辺りに奴は戻ってきます(XXX)
リトとの絡みが欲しかった…orz(黒鉄 刃)
刃さん 今回のはそんなに重要なタイトルじゃ無いっすね(XXX)
落ちたんだっけ………リトお前のは一刀と同じで落としまくったんだろうが!!(ちげーよ(黒鉄 刃)
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