恋姫夢想 〜魏AfterStory〜 第2話 帰還 |
はぁはぁ…
険しい山道を息を切らしながら登りながら1人呟く
相変わらず、行くだけでも大変だな…
元の世界で目を覚ました俺は、夏休みを利用し祖父に会いに向かっている…
北郷家の技術を会得するために…
青森県某所の山奥にそこはある
――北郷家之道場――
古来権力者の懐刀、と言われた家系の家主が人生の終わりに住む地
現在は、いつからか権力者間の争いに疲れた家主が住まう地
また、精進をする武人に技術を伝承するために道場が開かれている
北郷家は古代より心技体3拍子揃った武を教える家系
そして北郷家の本家は資格あるものに唯一真の技術を継承していく…
だが、北郷家は家主の意向により北郷流の真の技術の継承を行わないことが許されている
あくまでも現家主の意向であり、次世代の家主候補は自らの意志で継承を願い出ることが許されている
…ただ、そのためには試練を受けることが必要になる
現家主である一刀の祖父もまた自らの意向で真の技術の継承を行わなかった
そして、次期家主である一刀の父、刃もまた今の一刀と同じく技術の継承を願い出たが、試練に落ち技術の継承をされなかった
後に試験に落ちた理由を、一刀に言った言葉が
何かがが足りなかった……
そう…父の試練を乗り越えるためには、今の私にはない絶対的な何かが必要だったように思える
そう語った後、笑いながら
だが私は、北郷家の意志は受け継いだのだだから良いのだ
っと遠くをみながら言った…
意志、か……
もう一度華琳に会ったときのために…
足りないものを得る
そのために試練を乗り越えなければならない…
自らの思いを再度確認し歩みを続ける…
「つ、ついた…」
7mほどの高さがある、趣のある門がそこにある
一刀が門を開けると、そこには老人が一人立っていた
「じ、じいちゃん…」
――北郷剣、現北郷家家主。一刀の祖父にして現代の「剣聖」の2つ名を持つ漢
「……一刀か、早かったな」
「早かった…って?」
「うむ、昨日お主が向かうと刃に連絡を受けふもとに弟子をはらせておいた。」
「は、はらせてたって…。なんで?」
「お主がかわった、と刃が言ってな。本当に変わったか気になったのだ。」
「か、かわったって…」
「わしの知るお主ならふもとからここまで早くても半日はかかるはずじゃからな。
まぁ、その話はいいだろう。道着に着替えて道場に来なさい。」
一方的に会話を打ち切り、背を向け歩き出す剣
「は、はい」
遅れて返事をし、後を追いかける…
道着に着替えて道場に行く……
そこには既に剣がおり、眼を閉じ正座をしていた
「遅くなりました」
剣はゆっくり眼をあけながら、ふむと返事をする
「そこに座りなさい、一刀」
「はい」
言われた通り剣の正面に座る一刀
そしてそれを興味深く、観察するように見つめる剣
剣の正面に座り、沈黙が流れた
だが、なおも剣は一刀を見つめ続ける……
やがて沈黙に耐え切れなくなった一刀が切り出す
「じ、じいちゃんあの「一刀よ」さ…?」
一との言葉に被せ剣が口を開く
「何があったのだ?今のお主は…およそ今の日本では経験することが出来ないもののを潜り抜けた経験を感じる」
「そ、それは……」
一刀は口ごもるが、気にせず続ける
「そして、昔のお主からは欠片も感じられなかった気を感じる……
それも今の段階で達人並みのものを」
「っえ…」
俺はつい驚いてしまう…
じいちゃんの観察眼もさることながら俺に気が備わっているというのだから…
「一刀よもう一度聞く、一体何があったのだ?」
(一体どう説明すればいいんだ……。女の子が武将の三国志の世界に迷い込んでました。なんていうのか?いやいや、それ言うだけでぶっとばされるだろ、普通に…。でもほかになんていうんだ?変な言い訳をして試練の前に機嫌を悪くされでもしたら……。)
口に手を当て考え込んでしまった一刀を見て剣が一言
「恐らくお主に起きた出来事はおよそ常識では測れないことなのだろう…。故に正直に言いなさい。わしはどんな話でも疑いはしない」
「じ、じいちゃん…」
一刀は考える、それほどまでにあの世界での経験は他人が信じられるようなものではない。だがそれ以上に剣の顔は真剣であったからだ
(どうするべきなんだ…?じいちゃんなら信じてくれそうな気はするが……)
悩む一刀……。それをみた剣が
「わしもな、若い時に人が信じられぬような経験をし曾祖父にだけは打ち明けたことがある…。」
遠い目をし懐かしむように、微笑みながら言った…。
それをみた一刀は意を決して声に出す
「じいちゃん……。じつは………」
一刀は語った……
あの世界で起こった全てを、経験した全てを…
時に明るく、特に暗く、懐かしむように…
そして最後に、震える声で眼をうるませながら愛しい人を残してしまったことへの後悔の念を……
全てを聞き終えた剣が一言
「そうか…」
その表情には疑いの表情はないが微笑を浮かべ、続けるが…
剣が言った言葉は一刀の想像の外の言葉だった…
「お主は三国志の世界に行ったのか…」
「…えっ?」
驚く一刀、かまわず剣は続ける…
「わしはな…いやわしらの家系、北郷の一族は数世代に異世界に飛ばされるのだ。
その世界は主だった歴史上の人物は女人になり、この世界とは理の違う強さをもつ。そんな似て非なる世界に飛んでしまうのだ…。
理由も条件もわからぬ。だが戻ってくる際には共通して最も愛した女との別れがあるのだ…。」
「じいちゃんも…行ったの……?」
「わしはお主とは違い、春秋戦国時代だったがな」
「……春秋戦国時代?」
「うむ、始皇帝の少し前の時代だな。始皇帝の生国の秦という国の武将と共にお主のような体験をしたのだ。そして……」
一泊置き苦い声で
「1人この世界に戻ってきたのだ…」
「じいちゃん……じいちゃんも……愛した人と別れたのか……」
剣は遠い目をしながら懐かしむように続ける
「あぁ、そうじゃ…もう半世紀以上前の話じゃな……。だが、あの世界での日々は昨日のように思い出せる……。」
「……………」
一刀はなにも言えず複雑な心境でただ黙って剣をみつめる………
「………お主がこの先どのような道を進むのかはわからぬ、だが向こうの世界での経験はお主の糧であることは間違いない。そしてそれ故にお主は北郷流の真髄を会得できるのだ……。」
そういいながら剣は懐から書物を取り出した
「それは……?」
一刀は剣に問う
「これは、初代様が記された書物じゃ。ここには初代様が記した北郷流の真髄が書かれている。」
一刀に書物を渡す……
「北郷流の真髄はあの世界から帰還したもののみに伝承が可能である。なぜならその書物は、あの世界から戻ってきたもののみがその存在に触れられることが出来るのだ。」
「えっ、じいちゃん……?」
「そこに記されている内容を読め、鍛錬方法が初歩から記されている……」
すっと立ち上がり……続ける
「わしはそれをもとに1人で「剣聖」と呼ばれる力を得たのじゃ。精進せよ、全てを会得するのじゃお主が求めるもののために……。」
そう言い残し、剣はその場から立ち去る……
一刀はその姿を呆然と見つめていた………
渡された書物を見て呟く
「…………求めるものか。」
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恋姫夢想の魏AfterStoryです。 失踪しない様に頑張ります。 設定創っていたら、自分でも途中でわからなくなってきました。 重要なつもりはないので矛盾が出来たら修正するかもしれません。 |
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