紫閃の軌跡 |
12名が特科クラス<Z組>に入り、二週間少々……他のクラスとは異なり、サラが担任をしていることもあってか、武術教練はかなりのハードワークであった。アスベルやルドガーの二人から見ても『スパルタ』であり、中にはぐうの音も出ないほどに疲労困憊の生徒も数人いた。その一方、アスベルとルドガー、そしてリィンとフィーの四人に関しては最後まで耐えきっていた。あの時の事変に関わった面々なのだから当然なのであるが、それを抜きにしても飛ばし過ぎなのでは?と思うところは多々ある。
だが、この先を考えるとやり過ぎということはない。訓練をすることに越したことはないが、やり過ぎは体を壊すのでその辺の見極めが肝心である。そういった意味ではサラの手解きというものは、非常に評価できる。
『……返事がない。』
『やりすぎちゃった♪』
『おい、其処の飲んだくれ』
欠点を述べるならば、調子に乗るとお構いなしに鍛えるものだから、次の授業に支障が出かねない状態が時折……強くするには問題ないのだが、これは授業だからな。その辺をきちんと見極めてほしいものだ。
「とまぁ、こんな感じだよ。」
「あはは……サラ教官にしてみればちゃんとした教え子だから、張り切ってるんだと思うよ、フォs……アスベル君。うう〜……言いなれないよぅ。」
その日の放課後、そんな会話をしているのはアスベルとトワ。アスベルとしては特に部活動のことは考えておらず、とはいえ学院の中で何かやりたいと思っていたのは事実であった。ルドガーはジョルジュの存在を知り彼の手伝いをすることとなったそうだ。ステラはというと、吹奏楽部に入ったそうだ。そして……アスベルの出した結論は、
「で、本当に………に入るってことで良いの?」
「その方がいいと思う……多分。」
「その間は何なのかなぁ〜?」
何でって?どの部活に入ろうとも、苦労するのは目に見えてるんだよ……と言いたげなアスベルであった。そして、トワと別れて生徒会室を後にしたアスベルはこちらに向かってくる人物―――リィンの姿に気づいた。
「あれ?珍しいな。」
「実は、サラ教官に頼まれて、生徒手帳を取りに来たんだ。」
そういえば、確かZ組はARCUSの関係で手続きが遅れているそうだ。そのことを思い出しつつ、アスベルが話を続ける。
「そっか。あ、ちなみに俺は既に貰ってるから、気にしなくていいぞ。」
「解った。しかし、師匠同然のアスベルとタメ口というのは慣れない。」
「慣れろよ……苦労するぞ?」
「善処する。」
リィンの性格上色々苦労しそうなのでそれに対して釘っぽいものを差した後、リィンが生徒会室に入ったことを見届けて、アスベルは目的を果たすべく歩き出した。その辿り着いた場所はというと……調理室であった。中に入ると、一人の平民クラスの男子生徒―――調理部部長のニコラスであった。
「おや、見学希望者かな?その制服は<Z組>の……」
「見学というか入部希望なのですが……」
「そうか。僕は調理部部長のニコラスという。よろしくね。」
「Z組のアスベル・フォストレイトです。よろしくお願いします、先輩。」
穏やかに挨拶が済み、ニコラスは早速腕前を見たいということで、おにぎりを作ってほしいとのことだった。で、アスベルの作ったおにぎりの試食をしたニコラスが一言。
『君は女の子泣かせになるような気がするね。』
なるようなというか、既になってるらしいんですけれどね(スイーツ的な意味で)。俺は納得してませんが!……というのが、それを聞いたアスベルの心の声であった。口に出したくても、出したら負けのような気がしたので。すると、とんでもないインパクトの女子がいた。彼女も入部した新入生……というか、存在がギャグのように見えるのは疲れているのだろうか?……確か、U組の
「何やってるんだ、マルガリータ。」
「決まってるじゃない。新作クッキーの試作よ。フフフ、これで殿方のハートもイチコロよ〜」
「イチコロねぇ……まぁ、頑張れとしか言えない。」
『グランローズ』で有名な男爵家の娘……なんでも、意中の相手探しだというが、不幸中の幸いにもアスベルはそのターゲットに入っていなかった。彼女曰く『見慣れる相手よりも、少しでも遠くにいる相手の方が、恋い焦がれる』だそうだ。ちなみに他の男子の面々を尋ねると、Z組の面々は今のところ意中ではなさそうだ。狙われないだけマシだと思うことにしたアスベルであった……
「あの、いいんですか?部長。」
「試しに作ってみてと言ったのは僕だからね。大丈夫だと思うよ。」
ただ、ツッコミどころを上げるとするならば、何で生地が紫色になってるんですか……何か、薔薇のエキスを入れたらしいけれど、人体に悪影響でませんよね?アスベルに出来るのは、せめてこれを口にした相手の命がもちますように祈るぐらいしかできなかった。それ以前に、ニコラスが仏と鬼を併せ持ったように見えたのは気のせいだと思うことにした。そんな気疲れを経験しつつもニコラスに入部届を出し、早めの帰路についた。流石に春とはいえ、まだまだ肌寒い季節であり、夕暮れ頃には上着がないと厳しいほど。
「(さて……明日は自由行動日か)」
色々考えることはある。調べなければいけないことも多い……何はともあれ、行動しなければ何も得られない。この地に来て、何度吐いたか解らない―――ため息が出た。
プレイ自体は第二部に突入しました。個人的にデュバリィの株が上がりまくりました……なにあの可愛い生き物。というか、サラッと口説くんじゃねぇよリィン……おっと、言葉遣いがw
後は、ブルブランは平常運転ですね。うん。それと、あの兄(オリビエ)にして妹(アルフィン)ありですね……幕間はいろいろ試行錯誤というか、想像がはかどります。
説明 | ||
第一章 新学期〜初めての実習〜 第8話 武術教練と部活 |
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コメント | ||
八神はやて様 補足っぽくなりますが、天上の隼の訓練そのものはあえて触れていませんので……そもそも、エステル達のはルドガー発案アスベル改訂版なので……お察しください。(kelvin) (続き) 他クラスとの違いがあるのは、担任の愛みたいなものです。リィン達にとっては有難迷惑この上ありませんがw(kelvin) 八神はやて様 キツさを列挙すると、『前作』でエステルたちがやった訓練≧天上の隼の訓練>サラの武術教練(Z組)>サラの武術教練(他クラス) みたいな感じと思ってください。(kelvin) ジン様 完全に虚を突かれましたからね。ハーレム候補かは……考えておきます。ポジション的にはルドガーが近そうですがね(組織的な意味で)(kelvin) デュバリィ確かにかわいいですよね!!もうこれはデュバリィをリィンのヒロインに追加しろっていうお告げですよ^^(ジン) |
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