いぬねこ!4 猿飛空誕生日SS 2014
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いぬねこ4-猿飛空誕生日SS 2014-

 

***

 

 すごく嫌な夢を見た。ひばりが病をこじらせて私の目の前で息を引き取って

葬式埋葬…全てを終えた後に目を覚ました時、ひどい嫌悪感と吐き気に襲われた。

それが現実味があるから尚更怖く感じていた。

 

 ひばりはそれほど儚くて脆いのだ…昔から嫌っていうほど味わってきたから。

いっそ、いなくなってくれれば楽になれるのかもしれない。

そう思ったことが何度あったか。でも、実際そうなったら私は生きていけないだろう。

 

 それだけひばりのことを…ひばりに…依存していたんだ。

もう、彼女から離れることなんて出来やしない。

 

***

 

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 ひばりは体調不良で学校を休み、私は帰る途中にいつものようにひばりの家へ

寄ってプリントやら報告などをしに行くことにした。

 

 しかしあんなものを見た後のせいか足取りが重い。傘を差して微妙に溜まってきた

水溜りを踏みしめてゆっくり歩いていった。

久しぶりだ、こんな気持ちのままひばりに会いにいくのは…。

 

 私が見た夢のことは私だけの問題なのだから、ひばりには悟られないようにしようと

決めて急ぎ足でひばりの家へ向かった。

 

 悟られないようにしようって考えて向かった先であっさりとひばりに気づかれそうに

なっていた。

 ひばりのことだ…私がこんなことで弱ってるって気づいたらそこを中心に

不謹慎ネタで弄られるに決まっている。それだけは避けたかったけれど。

 

「さっちゃん、今日おかしいよね。何かあった?」

「べ、べつに…」

 

「別になんてことないよ。どれだけ長い間さっちゃんのこと見てると思ってるの?」

「うぐ…」

 

「ね、教えてよ…」

 

 部屋に入って早々、熱っぽい顔をしたひばりが甘えるようにして私に絡み付いてくる。

まるで猫のように甘え上手だった。くすぐったくて甘いようなひばりの雰囲気に

私は負けてしまい今日見た夢のことを吐くはめになってしまった。

 

「へぇ、それで具合悪そうなんだ」

「ふん、悪いかしら?」

 

 誰だって一番愛おしくて大切な人が死んでいく姿を喜ぶやつなんていやしない。

当人は気楽にしていていい気なものだ。と、軽く心の中で愚痴るとベッドから

背を向けた私に何かふわっとしたものが包まれてくるような感覚に陥る。

 

 その感触の正体はひばりが私の後ろから抱きついていたのだ。

その事に気づくと華奢だけど女の子らしい柔らかさとひばりの匂いが私を包み込む。

それはとても優しくて愛おしくなる感覚だった。

 

「ごめんね、辛かったかな…?」

「別に…ひばりが謝ることじゃないじゃない」

 

 珍しく私に優しい言葉をかけてくるひばり。その声は少しだけ震えているように

思えた。

 

「だってさ、普段から縁起悪いこと言っておかないと怖いじゃん…。いつ何が起こるか

わからないし…でもね…さっちゃん」

「うん…?」

 

「今日は別のこと言うよ、さっちゃんのために」

「ひばり…?」

 

「振り返らないで…もう二度とは言わないから」

 

 普段と違うひばりの雰囲気に驚き振り返ろうとすると私を制止させてきた。

刹那、それまで悪いことばかり言ってきたひばりの口から私に向けて本音を耳元で

囁いてきたのだ。

 

「さっちゃん、私死なないから。だってこんな弱ってるさっちゃんを置いて

先にいけないって…。だから安心して私とずっと一緒にいよ…?」

「わかってるわよ、言われなくても…そんなこと…」

 

 私の首にまわすようにしてくる手に触れてこみ上げてきそうになる涙を堪えようと

するが止まらずにぽたぽたと一つ、また一つと床に落としていく。

 

「これからどうなろうと、何が起ころうとあんたと一緒にいるから。

例え嫌だと思われてもね…」

「うん…」

 

「ありがとう…ひばり…」

「さっちゃん…?」

 

「さて!今日の私は機嫌悪くないから何か買ってきてあげようか。何が欲しい?」

「いつもの!」

 

 二人してらしくない感傷に浸って少し恥ずかしくてこそばゆくて。

そんなのが長く続いたらたまらないから、わざとらしく態度を変え立ち上がって

ひばりの方を向いた。

 

 おそらく私と同じくらい顔を赤くして涙目になっているであろうひばりと視線が

合った。変なところでお揃いになった私たちはこれからもずっとこうして不安と

戦いながら過ごしていくのだろう。

 

 なんだか意味不明の笑いがこみ上げてきてしばらく二人で笑い合った。

久しぶりに…どれくらいぶりだろう。これだけ腹の底から笑えたのは。

だけど一つだけわかるのは目の前に大切な人がいるからこれだけ笑えるんだ。

本気になれるんだ。全力で向き合えるんだ…。

 

 そうして私はこの今にも折れてしまいそうなか弱い小鳥を支えていく。

これまでも…そして、これからも…。

 

お終い

説明
誕生日おめでとうなの。SSは大体の構想は前から出来てたけど
眠い中書いてたので内容というか文が【か い め つ】かもしれないですがwもしよかったら見ていってください♪
今回珍しくシリアス?かもですね
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犬神さんと猫山さん 誕生日 百合 シリアス 猿飛空 鳥飼ひばり 

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