真・恋姫?無双 二人の御遣い 蜀√ 4話 |
〜前回までのあらすじ〜
一刀と蒼司は桃香たちの話を聞いて
天の御遣いとして戦うことを決意する
が食事を済ました後に
お金が無い事を知らされる二人
それを聞いて一刀と蒼司がとった行動は
おかみにジャンピング土下座である
店の手伝いを済ませた五人におかみは
五人の門出とお酒をくれる
そして五人は桃園で誓いを建てたのであった
桃園を後にした俺たちは、公孫賛の元へ向かい
街で情報収集を行っていた
なぜかと言うと
いくら桃香の友達と言っても、相手はこちらより遙かに上の立場にいる
そこへ何も無しに行っても足元を見られるだけ
と思ったからだ
重要なのは相手が何を必要としているか
こちらが何を提供できるか、そこをうまく見極めなければ
ただ利用されて終わるだけだ。
俺たちは、相手の欲するものを効果的に提供して
その中で結果を残し、自らの評判を高めていく
これが俺たちに出来る効果的に名を上げる方法で、基本方針となるだろう。
一刀「それで、情報を集めたところ
この辺りに巣くう盗賊の規模は、約五千人くらいだそうだ」
蒼司「それに比べ、公孫賛軍は約三千人。
いくら盗賊相手でもこの人数差は痛いものだろう‥‥」
蒼司「そこで勝負を分けるのは、
部隊を率いる隊長の質が関わってくるはずだ」
愛紗「確かに。公孫賛殿の兵といっても
大半は農民の二男や三男でしょうから兵の質も五分五分。
そうなれば、兵を率いる者の質が
大きく関わってくることは確かでしょう」
一刀「そこで‥‥
愛紗たちって兵を率いた経験ある?」
鈴々「無いのだ!」
一刀「だよなぁ〜」
桃香「でもでも、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんなら
兵隊さんをうまく率いることが出来と思うよ?」
一刀「うん、それは俺もそう思うけど‥‥」
蒼司「今の俺たちは兵の一人もいない
ただの腕自慢程度だ」
桃香「そうだよねぇ〜、
じゃあどうすればいいんだろ?」
鈴々「簡単なのだ!公孫賛のおねーちゃんのところに
行くときに、兵隊を連れて行けば良いのだ!」
蒼司「鈴々正解。今重要なのは、
少しでも兵を率いて行くこと
そこで俺たちは俺たちで義勇兵を募ろうと
思うんだけど、三人の意見を聞かせて貰えるかな?」
愛紗「その案には賛成ですが、
しかしどうやって義勇兵を募るのですか?」
一刀「蒼司と話していくつか
案はあるんだけど‥‥‥
桃香「さすが一刀さんと蒼司さんだね!どんな案なの?」
一刀「手っ取り早そうなのは、
お金で雇うか、腕相撲とかで街の腕自慢を負かして手下にする
なんだけど‥‥‥」
鈴々「腕相撲なら負けないのだ!」
一刀「そうだね、鈴々なら負けないだろうけど
手下になってくれる可能性が低いんだよね‥‥」
愛紗「どういうことですか?」
蒼司「まぁ、俺や一刀なら兎も角、
愛紗や鈴々みたいな女の子に腕自慢の男が負けたら
どう思う?」
愛紗「いい気はしないでしょうね‥‥」
一刀「そういうこと。
だから消去方でお金で雇うのが一番
手っ取り早いと思う」
鈴々「でも鈴々たちにお金無いのだ」
一刀「だよね、でもそんなに多くのお金はいらない」
愛紗「どういうことです?」
蒼司「兵のふりをして貰うんだ
公孫賛に会うまで」
桃香「ん〜〜???」
蒼司「つまり、公孫賛の城まで兵隊みたいな
格好をして着いて来てもらうんだ
それを見れば報告しに行く人間は、俺たちが兵を率いてきたと思って
公孫賛にそれが伝わるだろ?」
愛紗「なるほど‥‥」
愛紗「お二人も人が悪いですね‥‥」
一刀「褒め言葉として貰っとくよ。
俺たちの現状じゃあ、これが限界だしね」
愛紗「そうですね。お二人の策には感服しました」
桃香「え〜?どういうこと?
三人だけで話してないで私たちにも教えてよ!」
鈴々「そうなのだ!
鈴々にも分かるように説明してほしいのだ!」
一刀「二人とも今ので分からなかったの?‥‥」
桃香「うん!全然!」
蒼司「はぁ〜‥‥
つまり半日だけ人を雇って
城について来てもらえば、兵隊を率いて来たと
誤解して、うまく行けばそのまま部隊長を
任されるかもってこと」
桃香「‥‥‥‥‥‥あ、なるほど!」
蒼司「(今の間はなんだ‥‥)」
鈴々「なかなかやるのだ」
一刀「ありがと‥‥
それでみんなの所持金を確認したいんだけど‥‥‥」
桃香「私たちのお金は愛紗ちゃんが管理してるの。
愛紗ちゃん、どれくらいあるの?」
愛紗「ここの食事代を払うと
あとはこれだけです‥‥‥」
一刀「ふむ‥‥‥」
俺と蒼司の所持品でお金に
なりそうな物というと‥‥‥
ごそごそ
一刀「これが妥当かな」
桃香「その細いのなに?」
蒼司「これはボールペンっていう筆記用具だ
この世界だと文字なんかを書くとき
墨を摺って筆で書くよね?」
鈴々「当然なのだ!」
一刀「だけど俺たちが居た世界だと、これを使って書くんだ
こうやって―――」
桃香「すご〜い!文字が書けてる!」
愛紗「やはり天の国には摩訶不思議な物があるのですね」
鈴々「お兄ちゃん!鈴々にそれちょーだい!」
一刀「だめだよ!これ売って人を雇うんだから」
蒼司「それに、鈴々は字なんてそんな書かないだろ」
一刀「それでこれなら高く売れそうかな?」
愛紗「はい。これなら良い値段をつける好事家も居るでしょう」
桃香「じゃあ私g」
蒼司「ダメ」
桃香「まだ何も言ってないよ!?」
蒼司「どうせ桃香が売ってくるとか言うんだろ?
足下見られるだろうから、ダメ」
桃香「え〜〜!ひどいよ蒼司さん!
一刀さんもそう思うでしょ?」
一刀「はははは‥‥‥」
桃香「なんで何も言ってくれないの!?」
一刀「というわけで、愛紗頼んでいいかな?」
愛紗「御意。お任せください」
そう言いながら小走りで出て行く愛紗
そこに蒼司が
蒼司「俺もちょっと行ってくるよ」
桃香「どこ行くの?」
蒼司「俺もちょっとお金稼ぎにね」
そう言って店を出て行く蒼司
蒼司が出て行ってしばらくすると
愛紗「ただいま帰りました」
一刀「どうだった?」
愛紗「十分すぎるほどです
これだけあれば、それなりの人数が揃えられるでしょう
それより、蒼司様は?」
鈴々「愛紗が出てった少しあとに、お金を稼いでくるって
出て行ったのだ」
一刀「なにやってんだろ?
ちょっと遅い気がするな‥‥‥
探しに行くか!」
愛紗「そうですね‥‥少し心配ですね」
桃香「愛紗ちゃん、心配しすぎだよ
でもすれ違いにならないかな?」
一刀「なったらなったで、
目立つ格好してるし居れば分かるよ」
四人は食事代を払い蒼司を探しに出た
すれ違った時のため店の店主に伝言を頼んである
一刀「すいません、俺と似た服を着た人見ませんでした?」
男性「あぁ、確かあっちの方に居たよ」
一刀はお礼を言って四人は
男性の指差した方へ向かった
すると
愛紗「あれは‥‥‥」
鈴々「人だかりが出来てるのだ」
その人だかりの中心には
蒼司が座って笛を吹いていた
蒼司「――――――――――」
蒼司は笛の音色で、注目を集めていた。
桃香「綺麗‥‥‥」
そして演奏は終わり
静寂の後に
大勢の人の拍手が鳴り響いた
蒼司「ふぅ‥‥‥稼いだ、稼いだ」
蒼司「ん?なんだ、居たなら声掛けてくれれば良かったのに」
一刀「声掛けられる雰囲気でもなかっただろ‥‥‥」
愛紗「とても美しかったです。蒼司様は笛が吹けるのですね」
蒼司「ありがと。小さい頃からやらされてたからね」
鈴々「出て行ってからずっと笛吹いてたのか?お兄ちゃん」
蒼司「ん?あぁ、まあね」
一刀「?」
一刀は歯切れの悪い蒼司が気になったが
二人きりの時に聞くことにした
桃香「それはそうと、あのぼぅるぺんが高く売れたんだよ
これでたくさん人を雇えるよ!」
一刀「じゃあさっそく募集しますか」
〜数時間後〜
一刀「結構集まったな‥‥‥」
愛紗「あれだけの金額でしたからね
約百人程度集まりました」
鈴々「でも、せっかくのお金を全部使っちゃうなんて
やりすぎだと思うのだ。
ちょっとくらい残しといても良かったんじゃないかな?」
桃香「そんなことないよ。
全部使ったのは間違いじゃないと思う。」
蒼司「だな、後のこと考えてお金を残すより
全部使って陣容を整える方が
今の俺たちには重要だ」
一刀「あとは桃香だ。頼んだよ桃香」
桃香「まっかせてよ!」
蒼司「(不安だなぁ。言ったら怒られるから言わないけど‥‥‥)」
一刀「それじゃあ行きますか!」
こうして、公孫賛の城に着き
侍女に案内されながら
玉座の間に向かっているわけだが
ここまでは兎も角、ここからが重要だ
公孫賛が頭の切れるやつだったら
ちょっと面倒だな
〜玉座の間〜
公孫賛「桃香!久しぶりだなー!」
桃香「白蓮ちゃん!久しぶりだねー!」
公孫賛「盧植先生のところを卒業して以来だから、
三年ぶりか。元気そうでなによりだ」
桃香「白蓮ちゃんこそ、元気そうだね!
それにいつのまにか太守様になっちゃって。
すごいよー」
公孫賛「いや、まだまだ。
私はこの位置で止まってなんかいられないからな。
通過点みたいなもんだ。」
桃香「さすが、白蓮ちゃんは言うことがおっきいなー」
公孫賛「武人として大望は持たないとな
それより桃香はどうしてたんだ?
全然連絡が取れなくて
心配してたんだぞ?」
桃香「あちこちで色んな人を助けてた!」
公孫賛「ほおほお。それで?」
桃香「それでって?それだけだよ?」
公孫賛「はぁーーーーーっ!?」
公孫賛「桃香!あんた、盧植先生から
将来を嘱望されてたぐらいなのに
そんなことばっかやってたのか!?」
桃香「う、うん‥‥‥」
公孫賛「どうして!?桃香ぐらいの能力があれば
都尉ぐらい余裕でなれたろうに!」
(都尉とは太守の補佐のようなもの)
桃香「でもね白蓮ちゃん。私、どこかの県に所属して、
その周辺の人たちしか助けることが
出来ないっていうの、いやだったの」
公孫賛「だからって、おまえ一人が頑張っても
そんなの高が知れてるだろうに‥‥‥」
桃香「そんなことないよ?私にはすごい仲間たちがいるんだもん!」
公孫賛「仲間?」
公孫賛「桃香が言っているのはこの四人のことか?」
桃香「そうだよ。関雲長、張翼徳、
それに管輅ちゃんお墨付きの天の御遣い
北郷一刀さんと、月宮蒼司さん♪」
公孫賛「管輅って、あの占い師のか?」
桃香「うん♪
流星と共に天の御遣いが五台山の麓にやってくるって占い、
白蓮ちゃんは聞いたことない?」
公孫賛「聞いたことはある。
最近、この辺りでかなり噂になっていたからな。
しかし眉唾ものだと思っていたけど‥‥‥」
桃香「そんなことないよ、二人は本物だよ♪」
公孫賛「ふ〜ん‥‥‥」
公孫賛はそう言いながら
俺と蒼司の全身を
じろじろと見てくる
桃香「あー!白蓮ちゃん、私のこと疑ってるの!」
公孫賛「いや、疑ってる訳じゃないって。
ただ‥‥‥」
公孫賛「なんかそれっぽくないなぁと思ってさ」
蒼司「ふっ‥‥‥、一刀言われてるぞ」
一刀「お前のことだろ、女みたいな顔してるし」
蒼司「ほう‥‥、俺に喧嘩を売るのか。」
一刀「うるせぇ、おとこおんな(蒼司の禁句の一つ)」
蒼司「まぁ色々あって、桃香たちと行動を共にしている
宜しく、公孫賛さん。
(あとで一刀は鼻フックデストロイヤーだな)」
公孫賛「そうか。桃香が真名を許したならば、一角の人物なのだろう。
ならば私のことも白蓮で良い。
友の友なら、私にとっても友だからな」
蒼司「そうか。改めて、俺は月宮蒼司だ」
一刀「俺は北郷一刀、宜しく。
(なんで蒼司怒らないんだ‥‥
いつもなら変な技掛けて来るのに
あとが怖いな)」
白蓮「宜しく頼む」
白蓮「‥‥‥で、だ。
桃香が私を訪ねてきたのは、
わざわざ私に会いに来ただけじゃ無いと思うんだが
本当の用向きは何なんだ?」
桃香「うん。白蓮ちゃんのところで盗賊さんを
退治するのに義勇兵を募ってるって聞いて
私たちもお手伝いしようかなと思って」
白蓮「おおー!そうか。
そうしてくれると助かる。
兵はそれなりに居るんだが、指揮できる人間が少なくて、
悩んでいたんだ」
白蓮「聞くところによると、結構な数の兵を
引き連れて来てくれたらしいけど‥‥‥」
桃香「う、うん!たくさん居るよ兵隊さん!」
白蓮「そうかそうか。で?」
桃香「で、でって何かな??」
白蓮「本当の兵士は、何人ぐらい連れて来てくれているんだ?」
桃香「あぅ‥‥‥」
白蓮「桃香の考えてることは分かる。
けど私に対してそういう小細工はして欲しくないな」
桃香「バレてたんだ‥‥‥」
白蓮「これでも太守をやっているんだ。
それぐらい見抜く目を持っていないと、
生き残っていけないさ」
一刀「ごめん、俺が考えたんだ。
桃香を責めないでやってくれ」
白蓮「いや、私も同じ立場なら
似た作戦を考えていただろうしな。
だけど友としての信義をないがしろにする者に、
人はついてこない。
気をつけろよ?」
一刀「ヘタな小細工するより、誠心誠意、人に当たった方が良いってこと?」
白蓮「少し違う。赤心を見せる相手を見抜く目を
養えってことさ。」
一刀「真心が通用する相手を考えろ、か‥‥‥」
白蓮「分かってもらえて何よりだよ」
白蓮「それで桃香、兵の数だが‥‥‥」
桃香「え、えーっと‥‥その‥‥
実は一人もいないんだ」
白蓮「へっ!?」
一刀「桃香と行動を共にいてるのは、
俺と蒼司、関羽、張飛の四人だけだ」
白蓮「関羽と張飛って後ろの二人のことか?」
愛紗「我が名は関羽。字は雲長。桃香様の第一の矛にして
幽州の青龍刀。以後、お見知りおきを」
鈴々「鈴々は張飛なのだ!すっごい強いのだ!」
白蓮「う、うーん。‥‥‥宜しく頼む、と言いたいところだが、
正直言って、二人の力量が分からん。
どうなんだ、桃香?」
桃香「二人とも、すっごく強いよ!
私、胸張って保証しちゃうよ♪」
白蓮「うーん‥‥‥」
蒼司「(助け舟を出した方がいいか‥‥‥)」
蒼司が喋ろうとした時、
白蓮の後ろから
???「人を見抜けと教えた伯珪殿が、
その二人の力量を見抜けないでは話になりませんな」
白蓮「そう言われると返す言葉も無いが
「趙雲」はこの二人の力量が分かるとでも言うのか?」
趙雲「当然。武を志す者として、姿を見ただけで
只者で無いことぐらいは分かるというもの。
さらに言えば、
その二人も、特にあなたは底が知れません」
そう言いながら蒼司を見る趙雲
白蓮「星が言うんだから
なかなか腕が立つんだろうな」
蒼司「趙子龍殿に、お褒めにいただき光栄だね。」
趙雲「っ!?やはり底知れない方だ。
我の字をいつお知りになった?」
白蓮「私も気になるな。
子龍という字を呼ばなかったのに、
どうして知っていたんだ?」
蒼司「字くらいなら一刀でも知ってるよ」
一刀「あぁ、まあそれぐらいは‥‥‥」
白蓮「だと言うなら、尚更気になるな。
どうして知っているんだ?」
一刀「えーっと‥‥‥」
どう答えたらいいか
悩んでいると
桃香「当然だよ!二人は天の御遣いなんだから!」
趙雲「いや、その理屈はおかしい」
桃香「えぇ!?そうかなぁ?」
白蓮「そりゃそうさ。理由の説明になってないんだから」
一刀「でも、あながち間違ってるとも
言えないんだよなぁ」
趙雲「噂として聞いた時は眉に唾して聞いたが、
本物の天の御遣いに出会おうとは」
一刀「本物かどうかは分からないよ。
ただ‥‥」
蒼司「本物だと信じてくれる人が居る限りは、
俺たちは本物で居るつもりだよ」
趙雲「ふふっ、二人ともなかなかの器量のようだ」
白蓮「おいおい。私を捨てて
二人の下に入ると言うんじゃないだろうな、星」
趙雲「それはまだ分かりませんな。
ただ、天下を憂うものとして、
徳ある主君にことこそ喜び。
二人がどのような主君となるのか」
一刀「主君ねぇ、そんな気はないんだけど‥‥
まぁそんな話は後にしよう」
蒼司「それで、俺たちの参加は認めてもらえるのか?」
白蓮「‥‥ああ。桃香の力はよく知っているし、
他の四人も、星が認めるほどのようだしな」
白蓮「一抹の不安は残るが、今は藁にも縋りたい。
私に力を貸してくれ」
桃香「うん!私、たっくさん頑張っちゃうもんね♪」
趙雲「関羽殿、張飛殿も宜しく頼むぞ」
愛紗「ああ。我が力、とくとご覧じろ」
鈴々「鈴々に任せるのだ!」
こうして
白蓮と共に戦うことになった俺たちは
陣割が決まるまで、しばし休息の時を過ごした
そして、
侍女に呼ばれ、城門に向かった俺たちの目の前に
武装した兵士たちが整列していた
一刀「これは‥‥‥壮観だなぁ‥‥‥」
桃香「すごーい!この人たち全員、白蓮ちゃんの
兵隊さんなの?」
白蓮「勿論さ。とは言っても、
半分は正規兵、半分は義勇兵の混成部隊だけどな」
一刀「こんなに義勇兵が集まったんだ‥‥‥」
趙雲「それだけ、大陸の情勢が混沌とし、
皆の心に危機感が出ているということでしょう」
愛紗「ふむ‥‥。確かに最近、大陸各地で盗賊だ何だと匪賊共が
跋扈しているからな」
鈴々「いったいこの国はどうなっていくのだー‥‥‥」
趙雲「民のため、庶人のため、
間違った方向には行かせやしないさ。
‥‥‥この私がな」
愛紗「‥‥‥趙雲殿」
趙雲「ん?どうされた?関羽殿」
愛紗「あなたの志に深く感銘を受けた。
‥‥‥我が盟友になって戴けないだろうか」
鈴々「鈴々も、おねーさんとお友達になりたいのだ!」
趙雲「ふっ‥‥‥志を同じくする人間、
考えることは一緒ということか」
趙雲「友としてこの乱世を共に治めよう」
そう言いながら手を差し出す趙雲
愛紗「ああ!」
鈴々「治めるのだ!」
桃香「あー!私も!私もだよ!」
三人が握手している姿を見て
急いで駆け寄った桃香が、自分の手を三人の手に乗せる
桃香「みんなで頑張って、平和な世界を作ろうね!
大丈夫、力を合わせれば
すぐ平和な世界が出来ちゃうんだから♪」
鈴々「そんなに簡単なわけないのだ。
お姉ちゃんは、気楽なのだなー」
趙雲「ふっ‥‥。そういうお気楽さも時には必要というものだ」
愛紗「そうだな。
‥‥我が名は関羽。字は雲長。真名は愛紗だ」
鈴々「鈴々は鈴々!張飛と翼徳と鈴々なのだ!」
桃香「劉備玄徳、真名は桃香だよ!」
趙雲「我が名は趙雲。字は子龍。真名は星という。
今後とも宜しく頼む」
桃香「ほら二人も!」
一刀「へ?ああ、俺は北郷一刀。
真名は無いから好きに呼んでくれていいよ」
蒼司「月宮蒼司。俺も真名は無いから
一刀同様好きに呼んでくれ」
こうして五人が友誼を誓いあっていると
言いにくそうな顔をしながら、
白蓮が俺たちの方へ近づいて来て
桃香「あぁ、ごめん白蓮ちゃん‥‥」
白蓮「良いんだけど。
私だって、救国の志はあるんだから、
忘れないでくれよな」
そんな会話をしているうちに
陣割が決まった
愛紗「我らは左翼の部隊を率いることになりました。
新参者に左翼全部隊を任せるとは、
白蓮殿もなかなか大胆なことなさる」
桃香「それだけ期待されてるって思って良いのかな?」
一刀「だろうね。頼むよ、鈴々。」
鈴々「任せるのだ!」
こうしている間に
白蓮の演説がおわり
出陣の号令が出される
雄叫びを上げる兵士たちに続き俺たちも
部隊を率いて移動を始める
一刀「盗賊相手に初陣かぁ‥‥」
愛紗「どうかされましか?」
一刀「いや‥‥こういうの、初めてだからさ」
自分の手の震えを見せる一刀
蒼司「‥‥‥」
桃香「天の世界には戦争って無かったの?」
一刀「当然あったけど、どこか他人事だったんだ。
俺の周りは平和であっても喧嘩くらいでさ、
いざ自分がってなると怖くてね。
愛紗や鈴々が平気そうなのに情けないね‥‥‥」
愛紗「そんなことはありません!
戦いを怖がるのは、人として当然のことですから」
桃香「そうだよ。戦うってことは、
人を傷つけるってこと。
そんなの本当はしちゃいけないことだもん」
鈴々「だけど不条理な暴力を見つけたら、
それに向かって敢然と立ち向かうしかないのだ」
桃香「私たちだって、正直言うとちょっと怖いけど、
私たちが怖がっていたら
力の無い人たちを助けることが出来ないから」
愛紗「だから勇気を振り絞り、暴虐と対峙するのです」
一刀「強いな、三人とも」
そんな話をしていた四人に
今まで黙っていた蒼司が
蒼司「四人とも聞いてほしい話がある」
桃香「どうしたの?そんな改まって」
蒼司「俺は前線に出て戦おうと思う」
「「「「!?」」」」
四人に衝撃が走る
そして、誰より早く愛紗が
愛紗「そんなの危険です!!
自分が何を仰っているのかお分かりですか!?」
蒼司「分かってるよ。
とりあえず最後まで聞いてくれ」
蒼司「俺はこの世界のことはどこか他人事だった。
桃香たちの話を聞いた時も、
協力したいと思ったけど
どちらと言うと元の世界への帰り方を調べるのに、
都合が良かったからって言うのが大きかった‥‥‥」
蒼司の話を黙って聞く桃香たち
蒼司「でも、この世界の人たち見て、話を聞いているうちに
みんなの力になりたいって思った。
自分の命を懸けて、
この大陸をなんとかしようとしてる人がすごいと思った。
だから俺はそんな人たちを守りたいって思ったんだ。」
愛紗「蒼司様ですが‥‥
貴方は我らの主、何かあっては‥‥」
一刀「蒼司‥‥少しいいか?」
蒼司「ああ‥‥」
一刀「前線に出るってことは
人を‥‥」
蒼司「分かってる」
一刀「そっか‥‥‥
だったら俺も!」
蒼司「ダメだ」
一刀「でもお前だけにそんな‥‥‥」
蒼司「お前は人を殺せるような奴じゃない。
だから、約束してくれ。お前は目を逸らすな。
命を懸けて戦っている人たちから、そして
俺たちのやろうとしてることから」
一刀「‥‥‥分かった」
一刀は何かを言いたそうだったが
言葉を呑んだ
蒼司「俺なら心配いらない。
だから桃香‥‥‥」
桃香「蒼司さん‥‥
一つだけ約束してください。
絶対に生きて帰ってきてください」
蒼司「ああ、約束する」
愛紗「桃香様まで!」
鈴々「愛紗は心配しすぎなのだ。
蒼司お兄ちゃんは強いのだ
それにいざとなれば、鈴々と愛紗で守ればいいのだ!」
それでも納得できない愛紗に
一刀「愛紗、俺からも頼むよ」
一刀にまでそう言われ愛紗は
愛紗「‥‥はぁー、分かりました」
蒼司「ありがとう。愛紗」
愛紗「私がお傍でお守りいたします」
蒼司「俺が言いたいのはそれだけ。
真面目な話はここまで!
今は目の前のことに集中しよう」
一刀「ああ!」
ちょうど話が終わった頃に
兵士A「全軍停止!これより我が軍は鶴翼(かくよく)の陣を敷く!
各員粛々と移動せよ!」
愛紗「いよいよですね」
一刀「ああ。兵隊の指揮は愛紗、鈴々、頼むよ」
鈴々「合点なのだ!」
愛紗「桃香様は一刀様と共に」
蒼司「一刀、桃香のこと頼むぞ」
一刀「まかせろ‥‥
お前も気をつけろよ」
桃香「三人とも気をつけてね」
愛紗「御意。では!」
愛紗「聞けぃ!劉備隊の兵どもよ!
敵は組織化もされてない雑兵どもだ。
気負うな!さりとて慢心するな!」
愛紗「公孫賛殿の下、共に戦い、勝利を味わおうではないか!」
公孫賛軍兵士「応っ!」
愛紗「今より、戦訓を授ける!心して聞けぃ!」
公孫賛軍兵士「応っ!」
鈴々「兵隊のみんなは三人一組になるのだ!
一人の敵に三人で当たれば必勝なのだ!」
鈴々「一人は敵と対峙して防御するのだ!
一人は防御している横から攻撃するのだ!
最後の一人は周囲を警戒するのだ!」
愛紗「敵は飢えた獣と思え!情けをかけるな!
情けを掛ければ、
それはいつしか仇となって跳ね返ってくることを知れ!」
鈴々「みんなで一生懸命戦って!勝って!平和な暮らしを取り戻すのだ!」
公孫賛軍兵士「おおーーーーーーーーーーーっ!」
愛紗「全軍、戦闘態勢を取れ!」
愛紗の号令と共に兵士たちが抜刀する
それと同時に
兵士B「盗賊たちが突出してきました!」
伝令が緊迫した面持ちで、本陣に走ってくる
鈴々「いよいよ戦い開始なのだ!みんな鈴々に続けーーーーーーっ!」
愛紗「関羽隊、我らも行くぞ!」
愛紗「蒼司様は、私からあまり離れないでください」
蒼司「分かった‥‥‥」
蒼司は急な参戦なので
愛紗の隊に入ることになった
愛紗「全軍、突撃ぃぃーーーーーーーーーーっ!」
公孫賛軍と盗賊たちが激突した
蒼司「これが、戦場‥‥‥」
「死ねーーっ!」
「ギャーーッ!」
「助けてくれぇ!」
蒼司「ふぅ‥‥‥」
呼吸を整え「青月」を抜く蒼司
そこへ
盗賊A「おらぁ!死ねぇ!」
蒼司「ふっ―――」
蒼司が青月を振るうと
五人の盗賊の首が飛ぶ
蒼司「(これが、人を斬った感覚‥‥
やっぱり一刀は置いて来て正解だったな。
少なくとも今のあいつは人を斬ったら、
心が壊れてしまうな‥‥‥
俺もそんなに余裕は無いが‥‥)」
蒼司は青月に「氣」を込め、撃ちだす
蒼司「はぁっ!」
ドゴォーーーン、と爆発にも似た音が響くと共に
盗賊が何十人も吹き飛ぶ
「うわぁーーーーっ!」
「化物だぁーーー!」
鈴々「やっぱり、お兄ちゃんは凄いのだ!
鈴々も負けてられないのだー!」
愛紗「蒼司様‥‥‥」
蒼司は圧倒的だったがその顔は歪んでいた
しばくして、盗賊たちの戦線は崩壊していた
蒼司、愛紗、鈴々の力が大きかっただろう
愛紗「よし!敵は総崩れだ!今こそ我らの力を見せつけるとき!」
鈴々「みんな、鈴々に続くのだ!」
それに同調するように
中央、右翼の軍も突撃を開始する
一刀「すごいな‥‥‥」
桃香「一刀さん、まだ怖い?」
一刀「え‥‥‥」
桃香は一刀の手を握る
桃香「一刀さんが、何か辛い思いをしてるんじゃないかって
そんな気がして‥‥‥」
一刀「顔に出てた?」
桃香「ううん。出てはいないけど、
辛そうだなって思ったの」
一刀「‥‥‥そっか」
一刀「目の前で戦いが起こって、そして人が死んでいく
そういうのを見ると、やっぱり辛いよ‥‥」
表情を歪める一刀に
桃香「辛そうだね‥‥‥。だけどね一刀さん。
そういったもの全てを受け止めなければ
人を助けることなんて出来ないよ?」
一刀「ああ‥‥、そうだよな」
一刀「もう大丈夫‥‥‥」
再び戦場に目を向ける一刀
この光景を目に焼き付けるために
こうして――――
蒼司、愛紗や鈴々、そして星たちの活躍もあり
公孫賛軍は完全なる勝利を手に入れた
そして俺たちは白蓮たちと合流した
白蓮「完全なる勝利だったな。いやぁ、良かった良かった〜」
桃香「さすが白蓮ちゃんだよ!」
白蓮「いや桃香たちの力が、あってこそだよ。
そう言えば、月宮と愛紗はどうした?」
一刀「実は‥‥‥」
一刀たちは蒼司が前線に出ていたことを話した
そして人を殺したことから精神的に参ってる
蒼司に、愛紗が付いていることを
〜少し前〜
蒼司「ごめんね、愛紗」
愛紗「私は平気です。蒼司様は大丈夫ですか?」
蒼司「だいぶマシになったよ‥‥‥」
そう言う蒼司だが顔は真っ青だ
そんな蒼司を見て愛紗は
愛紗「(蒼司様も人を殺せるような方ではないのに
こんな無理をなさって‥‥)」
愛紗「蒼司様、少しは私を頼ってください‥‥」
蒼司「今は頼らせてもらうよ。
いつか愛紗が頼れるくらい強くなるから」
愛紗「無理はなさらないでください」
蒼司「ああ、しばらくは愛紗を頼らせてもらうよ‥‥
愛紗と居ると、不思議と落ち着くしね」
笑顔でそう言う蒼司
蒼司「(なんで顔赤くしてるんだろ?)」
蒼司「大丈夫か?愛紗」
愛紗の顔を覗き込む蒼司
愛紗「だ、大丈夫です!///」
蒼司「そう?なら桃香たちの所に行こうか」
白蓮「そんなことが‥‥
月宮は大丈夫なのか?」
蒼司「ああ、もう大丈夫だよ‥‥‥」
桃香「蒼司さん!」
一刀「もう大丈夫なのか?」
蒼司「もう大丈夫だよ。心配掛けたね」
桃香「(なんで愛紗ちゃん顔赤いんだろ?)」
そんな会話をしていると
星「しかし‥‥伯珪殿。
最近、何やらおかしな雰囲気を感じないか?」
白蓮「おかしな雰囲気?どうだろう。
私は特に感じたことは無いけど」
桃香「白蓮ちゃん、のんびりしてるね〜」
白蓮「確かにのんびりしているかもいれないが、
桃香に言われると無性に腹が立つ‥‥‥」
桃香「あ、ひどい!私は白蓮ちゃんみたいに、
のんびりしてないもんね!」
鈴々「そう思ってるのはお姉ちゃんだけなのだ」
桃香「鈴々ちゃんまでそんなこと言うの?
みんなひどーい!」
愛紗「しかし、星の言うことも尤も。
最近、とくに匪賊共の動きが活発化しているように感じます」
星「お主もそう思うのか‥‥‥」
愛紗「ああ。ここしばらく、匪賊は増加の一方だ。
その者共が村を襲い、人を殺し、財貨を奪う。
地方ではすでに飢饉の兆候すら出ている」
鈴々「収穫した作物を奪われたりするんだから、
当然飢饉も怒っちゃうのだ‥‥‥」
星「うむ。それと共に、
国境周辺で五胡の影もちらついているという。
何かが起ころうとしている。そう思えるな」
愛紗「大きな動乱に繋がるかもしれん、か‥‥‥」
一刀「多分‥‥‥いや、きっとそうなるだろうね」
愛紗「一刀様もそうお考えで?」
一刀「うん。匪賊だけじゃない。
いつか暴政に対しての爆発は起こると思う」
蒼司「その動乱の渦の中で、どう立っていくか、が問題か‥‥」
愛紗「そう‥‥ですね」
次回に続く
〜最後に〜
まず始めにこんなに遅くなってすいませんでした
こつこつ書いてたデータを保存する前に消してしまって
休日フルに使ってある程度復元した物を投稿する形になりました
なのでいつもに増して色々ひどい事になってます
これからは一週間に一回くらいで投稿していこうと思います
とりあえず蒼司は愛紗とくっつけようと思います
桃香は一刀とくっつけます
他のキャラはまた次回で報告しようと思います
蒼司の氣を撃ちだすシーンは某死神が出てくるマンガの月牙天衝を
想像していただくと分かりやすいと思います
感想コメントなんか頂けると嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました
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コメント | ||
>naku様 ご意見ありがとうございます そう言うところも含め精進させていただきます (流月) | ||
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