英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜鳳翼館・露天風呂〜
「ふぅ…………(やっぱりいいな、露天風呂は。溜まっていた疲れが芯から溶け出して行くみたいだ……自分では気付かなかったけど、本当に疲れていたんだな。)」
露天風呂で身体に溜まっていた疲れを癒していたリィンはこれからの事を思い出して黙り込んだ。
(―――俺は一体、これから一体どうすればいいんだろう。オズボーン宰相が狙撃され、帝都が占領されて……士官学院もトリスタも、貴族連合の手に落ちてしまった。俺は……あいつにこの上ないくらいに敗れた。よく知りもしない”騎神”の力を何とか借りたものの……それでもあいつには―――クロウには全く届かなかった。今ならわかる……クロウは完全に手を抜いていた。あの”奥の手”を使わなくたってこちらを完全に圧倒できたはずだ。それなのに一時の勝利に浮かれてただの一撃にやられるなんて。)
オルディーネとの戦いを思い出したリィンは自分の力の無さに様々な想いを抱えた。
(……俺に、もっと力さえあれば。あそこで踏み留まれていれば、きっと”何か”が変わっていたはずだ。なのに、みんなを残して自分だけが逃げ延びるなんて……”騎神”やセリーヌのせいなんかじゃない……すべては俺の力が足りなかったせいだ……全部―――いや、セレーネやベルフェゴール達を除いた全てを失くしてしまった。せっかく手に入れた居場所も、仲間も……自分が進むべき道すら……)
「――兄様。……失礼します。」
リィンが様々な事に後悔をしているとなんと湯着をつけたエリスが頬を赤らめて露天風呂に現れた。
「エリス……?ど、どうしてここに?」
(あら♪)
(ふふふ、少々意外な展開になりましたね。今の内に結界を展開した方がいいのではないですか?)
(え、えっと……さすがにこの時間でするとは思わないのですが……)
エリスの登場にリィンが戸惑っている中、ベルフェゴール達はそれぞれ興味ありげな様子でエリスを見つめ
「その、兄様がこちらへお入りになったと聞いて……せっかくですのでご一緒させて頂こうかと。」
「いや、小さい頃は一緒に入ったりもしたけど……5年以上も前だろう?いくらなんでもそれは……」
エリスの答えに冷や汗をかいたリィンは表情を引き攣らせてエリスを見つめた。
「か、家族なんですし、そ、それに将来は私が姉様達と一緒に兄様のつ、つ、妻になる事が決まっていますし、兄様と私は何度も肌を重ねた仲でもあるのですからこの程度は普通です!兄様も色々あってお疲れみたいですし……せめてお背中を流させていただきます!」
その後エリスの勢いに押されたリィンはそのままエリスと共に入浴する事にし、露天風呂に入ったエリスはリィンと背中合わせの状態で座り、恥ずかしそうな表情でリィンから視線を逸らしていた。
「い、いい湯加減ですね。わたしも露天風呂は久しぶりで……その、やっぱり風情がありますね。」
「あ、ああ……そうだな。紅葉の季節もいいけど冬の風情はまた格別だよな。さすがにユン老師みたいに雪見酒ってわけにはいかないけど。」
「ふふっ、とても酒豪でいらっしゃいましたからね。お父様まで付き合っていたのはどうかと思いましたけど……………えっと…………」
リィンの口から出た懐かしい思い出に微笑んでいたエリスだったが、未だ消沈しているリィンにかける言葉がなく、言葉を濁した。
「――すまない、エリス。お前にここまで気を遣わせてしまって………」
「に、兄様……そんな、わたしは別に―――」
「エリスだけじゃない。……誰に対してもそうだ。考えてみれば……俺はいつも”そう”だった。」
「え…………」
リィンが呟いた言葉の意味がわからなかったエリスは呆けた。
「12年前の吹雪の日……父さんが俺を拾ってくれた時も。8年前の雪の日………暴走してエリゼとエリスを怖がらせた時も。何年もの間、導いてくれた老師に修行を打ち切られた時も。様々な理由によって俺と”契約”したベルフェゴール達の時も。―――そして1ヵ月前……みんなが命懸けで逃がしてくれた時も。」
「………………ぁ……………………」
「思えば、恵まれ過ぎていたんだ。世話になりっぱなしで……ただ、優しさに甘えるばかりで。あまつさえ、疫病神のように災厄を呼び寄せて巻き込んで……」
「…………っ……………」
(フウ……完全にネガティブモードになっちゃてるわね。というか本物の”疫病神”が傍にいるからそっちのせいかもしれないって事がどうして気付かないのかしら♪)
(ふふふ、確かにその通りですね。)
(あ、あの〜……本物の”疫病神”ってもしかして……)
リィンの独白を聞いていたエリスが唇を噛みしめて表情を厳しくしている中、ベルフェゴールとリザイラの念話を聞いたメサイアは冷や汗をかいてアイドスが宿る神剣が置かれてある脱衣所に視線を向けた。
「俺には……優しくされたり、気を遣われる資格なんてない。大切な人達を守ることも、恩すらも返せない俺なんかには……きっと……最初から間違っていたんだろう。こんなことなら―――……こんなことなら、士官学院に入らなければ―――」
「兄様。本気で仰ってるんですか?」
「え……」
エリスの問いかけにリィンが呆けたその時、真剣な表情をしたエリスがリィンを見つめて問いかけた。
「”資格”って、何ですか……?そんなもの……いったい誰が決めるっていうんですか?」
「………………」
「守って欲しいとか―――恩を返して欲しいんじゃありません!優しくしたり、気遣うことに、貸し借りなんてあるわけない……!ただ、兄様が”好き”だから―――大切だからに決まっています!!父様も母様や姉様も、ユン老師も、Z組や他の皆さんも、きっと…………私だって……………!」
「…………エリス…………」
エリスの言葉にリィンが呆けたその時、エリスはリィンを抱きしめた。
「………ぁ…………」
「”資格がない”なんて………そんなこと、言わないで下さい。そんなの、兄様が気付いていないだけです。兄様は大切な人達のことをそんなにも想っているのに……どうしてそれと同じくらい、兄様を想っている人達がいるとわからないんですか……?
「………!」
自分を抱きしめながら自分を見つめて言ったエリスの言葉にリィンは息を呑んだ。
「思い出してください、兄様。別れる時、Z組の皆さんがどんな顔をなさっていたのか」
「…………みんなの、顔………あ………………」
トリスタで仲間達との別れの際の仲間達の自分を信じる表情を思い出したリィンは呆然とした。
「……そうか…………みんな……信じてくれていたんだ。どんな困難があっても、必ず再会できることを……きっとまた、一緒に未来を掴んでいけることを。」
「……………………」
「どれだけ迷っても……焦ってもいいのか。俺はみんなを信じる……そして、みんなが信じてくれた俺自身も。絶対に諦めずに足掻いて、とにかく前へと突き進む―――そうしていくうちに、きっとみんなと道が交わるはずだ。俺達が”Z組”である限り……!」
「兄様…………」
リィンが元気を取り戻した嬉しさにエリスは一筋の涙を流した。
「……おかげで……ようやく肚を括れた気がする。ありがとう、エリス。」
「……いいえ、私は何も。きっとそれは、兄様が士官学院を過ごして手に入れたものでしょうから。ふふっ、少しだけ……Z組の皆さんが羨やましいですけど。」
「エリス…………」
自分を元気づけ、心から自分を慕う最愛の妹に愛おしさを感じたリィンは自らエリスに口付けをし
「あ…………(兄様…………)」
リィンの行動に呆けたエリスは幸せそうな表情で一筋の涙を流してリィンの口付けを受け入れていた。
「兄様…………」
「わ、悪い……!エリスが急に愛おしくなって、ついしてしまったけど……嫌だったよな?」
「いいえ、いいえ!兄様自ら私にキスをしてくれるなんて、天にも昇る思いです……!」
「エリス…………」
リィンと互いを抱きしめ合っていたエリスはある事に気付いた。
「あ……フフッ、兄様の…………硬くなっていますね……兄様、久しぶりに奉仕をしましょうか?」
「え、えっと……さすがにここでするのは不味いと思うんだが……」
エリスの誘惑に魅力を感じたリィンだったが、すぐに自分達がいる場所を思い出して断りかけようとしたが
(うふふ、これなら好きなだけ愛し合えるでしょう♪)
「こ、これはまさかベルフェゴールの……!?」
ベルフェゴールが展開した結界に気付いて表情を引き攣らせた。
「いつも私達に気を遣って頂きありがとうございます、ベルフェゴール様。それでは兄様、奉仕をして差し上げますので、あちらに行きましょう?」
(え?え?ふ、二人とも一体何を――――え……ええええええええええ――――――っ!?)
その後露天風呂から上がった二人はある人物が中湯がある部屋の扉の隙間から見ている事も気付かずに洗い場で愛し合った。
フ、フフ……ようやくシルフェニアの18禁版の一部まで追いつきましたよ……もう、ヤダ……当初光と闇の軌跡シリーズを書く時は濡れ場になる展開は極力避けていたはずなのに、閃verを書きはじめてからリィン、セリカやリウイ並みのリア充主人公(メインヒロインだけでなく、その他のヒロイン達も喰うハーレム主人公)になっているよ………(実際、18禁話の半分以上はリィンとヒロイン達になっていますし)ロイドですら本編では二人しか喰っていないのに(それでも多い気が)、リィンは閃U始まるまで既に8人とヤっていますし、アリサたちを喰った後も寮の自室で頻繁にヤっていた事になっていますし(遠い目)シルフェニアの18禁話を読んでいたら、次回の相手は誰かおわかりでしょう?(大激怒)ちなみにですが……現在第一部の時点でリィンと18禁展開になるキャラを二人予定しています(大激怒)一人はほとんどの方達が予想できていると思いますが、もう一人については閃Uの第一部でスポット参戦するキャラとだけ言っておきます(おのれ、リィン………!(大激怒))
説明 | ||
第308話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1720 | 1541 | 2 |
コメント | ||
完全ROM専様 さあ、どうなるんでしょうね……(遠い目) ジン様 序章だからと言っていきなり濡れ場はどうかと 本郷 刃様 どうでしょうねぇ?現在予定している第2部終了までの濡れ場の数だけでも4ですよ? THIS様 リィンが一番エウシュリー要素を取り込んで得していますよ!(激怒) (sorano) リィン・・・いや〜本当にあんたって人は!!リィンのお母さん・・・リィンの嫁を楽しみにしてください。これだけの男・・・クロウの言うとおり凄いリア充野郎だ!!(THIS) どのみち戦が激しくなればそういう機会も少なくなるのでいいんじゃないですかww?(本郷 刃) まぁ今は序章だしね? (ジン) ってことは、次の濡れ場はかなり先になりますね(完全ROM専) |
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