『舞い踊る季節の中で』 第155話
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真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』 -群雄割編-

   第百伍拾伍話 〜大地に立ちし紅き龍は、悲しみに涙する〜

 

 

(はじめに)

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

       :鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋(ただし曹魏との防衛戦で予備の糸を僅かに残して破損)

   習得技術:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)

        気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)、食医、初級医術

        神の手のマッサージ(若い女性は危険です)、メイクアップアーティスト並みの化粧技術、

        

  (今後順次公開)

        

 

 

 

 

 

 

 

 

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恋(呂布)視点:

 

 

どががっ!

 

 戟を振るうたびに何かが飛び散り、目の前の相手を手助けする。

 檄を振り下ろす度に、何かが空に舞い恋を追い込む。

 何故、何故、何故?

 

「あぁぁぁーーーーーっ!」

 

 幾ら声をあげようと……。

 手足を振るおうと……。

 目の前の相手を……。

 一刀を壊せない。

 ……寒い。

 ……恐い。

 こんなのは初めて。

 

ざっ

 

 くっ。

 まただ一刀の攻撃を躱しても、周りのいらないものが恋の邪魔をする。

 今のも、一刀の踏み込んだ先に在った杵が、一刀の踏み込みで身を起こし恋を攻撃してきた。

 周りを気にすれば一刀が、そして一刀を気にすれば周りから。

 まるで一刀のお腹の中にいるみたい。

 なら、恋は喰い破るだけ。

 もっと、もっと、恋に力を。

 

「おぉぉぉぉぉっーーーーーーー!」

 

 咆哮をあげる。

 なのに、いつもと違う。

 身体が動かない訳じゃない。

 力が湧いてこない訳じゃない。

 ただ、いつもみたいに、真っ白にならない。

 ただ、体が燃え上がるように熱くならない。

 ただ、冴えて行くのが分かる。

 周りのものが見えて行くのが分かる。

 その代わり、はっきりと分かる喪失感。

 急速に…、どんどんと…、恋を蝕んでゆく。

 

ふわっ

 

 一刀が踏み込んできた。

 一見、攻撃に見えない緩やかな動き。

 でも、あれは曲者。恋に攻撃の間合いを見誤せる。

 だから、間合いを無視して、檄を横に振るう。

 一刀の手には、いつの間にか鉄のおたま。

 だけど一刀はそれを振るうのではなく、そのまま方天画戟を持つ手を掴んでくる。

 そのおかげで一刀はこれ以上踏み込めない。ならばこのまま左足を。

 

「…っ!」

 

 右手が動かない。

 おたまが恋の激を握る手と腕を固定する。

 だけどそれは一瞬の事。力ずくで右手を振り払う。

 ……けど、一刀はその振り払った勢いを利用して、更に踏み込んでくる。

 恋の内から外側へ。

 恋の真横へと。

 恋の脇腹に掌が。

 

 ぞくぞく。

 

 アレが来る。

 一刀は既に体制を整え終えている。

 だめ、攻撃できない。

 だから恋は飛ぶ。一刀から離れる為に。

 後ろへと。

 

ずきっ。

 

 右肘に痛みが走る。

 原因は分かる。恋が一刀の左手を振り払った一瞬。

 あれは振り払えたんじゃなくて、恋にふり払わせた。

 おたまの形状を利用して、固定していた恋の手首から肘へ当て直した。

 だから、この肘の痛みは恋が恋の力で痛めたもの。

 

ぶんぶん

 

 二、三度具合を確かめる。

 うん、これくらいなら問題ない。

 でも、同じ事をもう一度やられたら困る。

 

 ………へん。

 

 なんで、こうして戦ってられるの?

 肩で息をしている一刀の事じゃない。

 ……恋の事。

 いつもなら、何も考えられない。

 頭が真っ白で、湯が沸騰しそうなぐらい熱くなる。

 周りの者、全てを壊す事しか考えられなくなる。

 なのに、こうしていられる。

 

 ……へん。

 

 でも考えるのは後。

 今は目の前の相手を倒すとき。

 恋の家族を居場所を作るために。

 だから場所を移す。

 此処は一刀のお腹の中みたいなもの。

 恋には邪魔でも、地面に落ちた物は一刀の味方。

 違う、一刀の手足と一緒。恋の持つ方天画戟と同じ

 

「……」

 

 邪魔なものが何もない場所。

 皆が見える。

 音々と愛(張楊)はまだ戦っている。

 真白(?固)と更紗(高順)は……負けたみたいだけど、生きてるみたい。ならいい。

 ……ん…、だいたい皆、無事。

 生きているならそれでいい。

 

「はぁ……はぁ……終わらせようか……」

「……こくり」

 

 一刀の言葉に恋は頷く。

 此処なら恋の足枷になるものは何もない。

 周りの物に惑わされる事も無い。

 でも油断は禁物。

 一刀は怖い。ううん、怖くない。

 むしろぽかぽかと良い匂いがする。

 でも、恋の知らない技ばかり出す。それが怖い。

 それに、一刀はまだ一度も背中の剣を抜いていない。

 ……危険。なら、恋から攻め込むだけ。

 

 

 

 

 

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一刀視点:

 

 右袈裟斬りの後、身体を半回転させて石突。

 そのままさらに体を半回転させて今度は逆袈裟斬り。

 其処へもう一度石突と見せかけて、戟を地面にわざとぶつけて左の切り上げた後に、右の足を軸に真っ直ぐな蹴撃。

 

 はぁ……、はぁ……。

 

 そろそろ本格的にヤバくなってきた。

 幾ら北郷流裏舞踊と言う手品で補おうと、この世界の将達との決定的な差が出てきた。

 体力という名の覆しようのないもの。もしも最初から体力勝負を仕掛けられていたら、普通の人間でしかない俺にはどうしようない代物だ。

 むろん尽き掛けているのはそれだけじゃないが、そろそろ無理してでも勝機を掴まねば。

 あと少し、あと少しなんだ。

 呂布のアレを此処まで持ってこれたなら、あと少しで……。

 

ざっ

くっ!

 

 よろけて身体が開いた所に、戟を躱しきれずに攻撃を受けてしまう。

 幸い髪の毛一筋分と言う所だけど、衝撃まで殺しきれたわけじゃないし。滲み出る出血で残り少ない体力がますます減ってゆく。

 足枷を外した今の呂布は、戦って勝てる相手じゃない。

 呂布の力を封じ込め、俺の有利な状況はもうここには無い。

 そうなれば、情け容赦なく圧し掛かる本来の実力差。

 呂布の知らない技や舞いで誤魔化してはいても、じわりじわりと追い込まれてきた。

 はは、今更泣き言なんて言えるかっ。

 此処まで皆を巻き込んだんだ。できませんでしたで済ませられるか。

 勝つ必要なんかない。俺の目的は最初から決まっている。

 それを成せさえすればいい。

 覚悟を決めろ、北郷一刀。

 だから舞おう。最後の舞いを。

 彼女を救うために。

 

「いくよ」

 

 呂布は俺を待ち受けている。

 いつもの構え。右肩で戟を軽く担ぐような一見無防備に見える構え。

 だけどそれは無駄な力をいっさい抜き、いつでもどこからでも対応できる構え。

 呂布の、最も基本とする構え。

 その瞳は、確かに俺を見つめている。

 必要以上に『 』に犯される事なく、自分の中に俺を映し込んでいる姿。

 なら、仕上げだ。

 

ふぉん。

 

 彼女の攻撃圏内に入るとともに右薙ぎ。

 それを体を廻しながら沈める事でやり過ごす。

 呂布は戟の勢いをそのままに、戟を身体の後ろに回してそのまま右の切り上げ。

 此方の姿勢は体を沈めたまま、だけど軸足を変えて呂布の内へとそのまま回り込む事でその攻撃を回避する。

 

 ずきりっ

 

 無茶な動きの連続に体中に痛みが走るが、今は無視だ。

 あとで幾らでも付き合ってやるから、今は大人しくしていろ。

 心の中で痛みに対して文句を言いながらも、呂布の次の攻撃の備える。

 あの状態から屈む俺に対しての攻撃手段など限られている。

 なら次に来るのも。

 

 ぶふぉんっ!

 

 思った通り下薙ぎ。

 俺はそれを体を一気に伸ばすと同時に地を蹴る事で躱す。

 むろん、そんな事は呂布とて見通している筈。だからそのまま、次の攻撃が来る前に右足を蹴りあげる。

 だが、それも躱される。

 呂布の目はそんな事分かっていたと物語っている。

 ……だろうな。

 だから、蹴りあげた足をそのまま蹴り落とす。

 

 踵落とし。

 

 だけど、それだけじゃない。それは注意を弾くためのものの一つ。

 本命はもう片方の足を蹴りあげる。簡単に言えば、両足を上下に交差させる技。

 頭上を踵が、喉元を爪先が同時に襲う。

 花を斬り落とす鋏のような攻撃。

 まともに喰らえば命はもちろん、避けそこなったとしても頭を大きく揺らされて意識が落ちる。

 

 

 北郷流裏舞踊・断華

 

 

 だが、それさえも呂布は上体を大きく後ろに反らして躱しきる。

 いや、それだけじゃない。そのまま上体を反る勢いを利用して、今度は呂布が俺を蹴りあげてくる。

 此れが何処かの漫画なら、高速で交差した両足から鎌鼬が発生して、躱したはずの喉元に襲い掛かるなんて御都合主義が生まれるんだけど、生憎とそんな事を起こせるほどの身体能力があるなら、最初からこんなに苦労はしない。

 それに、呂布ならばそれくらいしてくると読んでいた。

 だから呂布の蹴り足に振り下ろした側の足を乗せる。

 優しく、膝だけでなく体全体を使って蹴りの威力を殺す。

 力加減を少しで間違えるだけで、それで終わり。

 気分はトラックに猛スピードで突っ込まれながらも、受けきってみるスタントマンの気分だ。

 ただし、安全装置も防具もやり直しも一切ない一発勝負。

 

 身体が浮き上がる。

 

 だが呂布も途中で俺の意図に気が付いたため、俺を蹴りあげた勢いを利用して、再び上体を起こす。

 次の一撃はどちらが早いか。

 だが俺が求めているのはそんな勝負じゃない。

 だから手にした鉄扇を手放す。

 広げた二つの鉄扇は、その重さに反してふわりふわりと、呂布の視界を塞ぎながら落ちてゆく。

 ああ、こんな目晦ましをしても意味は無いと知っている。

 同じ北郷流である呂布には、俺の動きなど見通しだと言う事は。

 だから、俺は彼女の武人としての心に勝負を呼びかける。

 

かちっ。

 

 鯉口を切る音が小さく響く。

 掌にしっかりと伝わるのは冷たい感触とは裏腹に、温かな想い。

 明命が俺に預けてくれた己が相方。

 彼女がどんな想いで、この剣を俺に預けてくれたか。

 だから、その想いに応える為にも、俺は振り抜く。

 全ての想いを込めて。

 この戦いを、もう終わらせるために。

 

 

 

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「 斬っ! 」

 

 

 

 

 

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恋(呂布)視点:

 

 

 蹴り上げた一刀の胴を横に薙ごうと思った時、一刀の気質が変わる。

 なにより舞い落ちてくる鉄扇の隙間から覗く一刀の瞳が、恋の手を止める。

 

かちっ。

 

 小さく響く音に恋は覚悟を決める。

 此れが一刀の最後の勝負。

 なら、恋は恋らしく迎え撃つ。

 一刀の全力の攻撃を受けきった上で、一刀を倒す。

 だから、戟を真っ直ぐと横に掲げる。

 重心を落とし、一刀のどんな攻撃にも反応して見せる準備を整える。

 恋は負けない。

 

 

 

「斬っ!」

 

 

 

 気合いと共に振り下ろされた一振り。

 

「………ぁ」

 

 恋の中を、何かが通り過ぎる。

 まっすぐと……。

 頭から真下まで……。

 ……斬られ……た?

 ……恋の……ま…。

 

どすんっ!

「あぐぅ」

 

 

 衝撃と共に背中を地面へ打ちつけられる。

 お腹の上が重く感じる。

 喉元に冷たい感触が…。

 

「……ぁ」

 

 目の前に一刀の顔が……

 ……へん。恋、生きてる。

 ……確か斬られたはず。

 ……でも斬られていない。

 ……恋の中、何かが斬られたはずなのに。

 ぁっ。だめ…。

 

「っ!」

 

 目の前の一刀が、忽然と掻き消える。

 無意識に振るった恋の右手に握る戟の柄が、一刀を真横に吹き飛ばした。

 止めようとした。

 ……だけど間に合わなかった。

 一刀が転がる音がする。

 受け身も何もなく、ただ勢いのままに地面を転がる音が。

 身体を起こすと、一刀はそれでも立とうとしているのが視界に映る。

 口から血を吐きながら、震える身体を必至に抑えながら…。

 そして一刀は立ち上がり。

 

「………ぁ」

 

 笑った。

 ……今、確かに笑った。

 優しく、暖かな顔で。

 ……なんで?

 

どさりっ。

 

 疑問に思う中、再び一刀は倒れる。

 恋に笑い掛けたまま、一刀は力尽きたように地面へと。

 わからない、だから恋はもう一度一刀を起こそうと。

 

「「貴様っ−−−−−!」」

ぎぎんっ

 

 飛び掛かる黒い影に、恋は反射的に戟で防ぐ。

 黒髪の少女が、凄い形相で恋に襲い掛かる。

 この剣……、一刀のと同じ。

 そしてもう一人は、桃色の髪の女。

 ん、此奴、ちょっと強い。でも弱ってる。

 

「…よくも北郷をっ!」

「恋っ!」

 

 ががっ!

 

 紅い服の女が……、そして霞。

 

「くぅっ」

 

 四人が恋を襲う。

 最初の挨拶の時と違う。

 四人とも、本気の本気。

 ……流石に。きつい。

 

がっ! ぎん! どす! どがっ!

「「「「くぅっ!」」」」

 

 ……ぇ?

 なのに恋の攻撃が四人をあとずさせる。

 へん?

 四人とも本気の本気。

 

「このぉぉ!」

「やるわねっ!」

「おぉぉぉっ!」

「でりゃあぁぁっ!」

 

 なのに体が動く。

 ふるふる。違う。

 前より分かるようになった。

 四人の動きがはっきりと。

 なにより……。

 

ぶぉんっっ!!

 

 角度も、速さも、間合いも違う四人の攻撃を、一歩足をずらした所で戟を力いっぱい振るう。

 その位置で、その瞬間だけ一直線に並ぶ瞬間が。

 

「きゃっ」

「ぐぅ」

「ちぃっ」

「…っ」

 

 何故?

 恋は今、少しだけ本気。でも本気の本気じゃない。

 

 

「このっ、このっ、このーーーっ!」

「はぁぁぁっ」

 

 打ち払うのではなく、受け流しながら相手の姿勢を崩す。

 ……うん、恋、こんな技は知らない。

 これではまるで一刀。

 

「……ぁっ」

 

 なんとなく分かった。

 これは恋じゃなく一刀の技。

 恋が一刀にやられた技。

 ……それが自然と出た。

 

ぎぃぃーーーん!

 

「ぐぅ、……霞」

「今のは、たしかに油断した一刀が悪い。

 しっかし、そう言うもんやないやろがっ」

「……ち、違う」

「何が違うねん!

 勝負はついていた、それが分からん恋やないやろうが!」

「っ!」

 

 ……何も言い返せない。

 ……霞の言う事は正しい。

 でも、あれは恋の望んだ事じゃない。

 でもそんなのは言い訳。

 だけど、だからと言って、此処で霞に斬られる訳にはいかない。

 恋には知らなければいけない事が出来た。

 だから、それを邪魔をする此奴らは……。

 

ぎぃぃーーーーーんっ!

 

 剣と矛が全部で四本が一度に砕け散る。

 折れるのではなく、此処まで細かく砕け散ったのは、相手の強さの証。

 一呼吸分だけ本気の本気。

 同時に目が眩むほどの喪失感。

 出来るとは思わなかった。

 ……だけど出来た。

 でも違う。

 今までのとはまるで別物。

 

「ぐぅ!」

「っ!」

「がはっ!」

「げほっ」

 

 そのまま地面に勢いよく打ち付けられ咳込む四人を余所に、恋はすべき事を行う。

 すでにこの戦、決着はついた。

 

 

 

 

 

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「…音々っ!」

「はっ、此処に居りますぞ、恋殿。

 天の御遣いを名乗るあの男だけでは無く、あの更紗達を一蹴した四人をも一度に倒されるなど、音々は感動いたし・」

「……旗を降ろす」

 

 音々が、何か一生懸命言っているのを、遮って恋は言う。

 

「……はっ? 恋殿、今なんと?」

「……旗を降ろす。……三度は言わない」

「れ、恋殿っ!」

 

 恋の言葉に音々が驚く。

 そんな音々に心の中で謝る。

 ごめんなさいと。

 ううん、音々だけじゃない。

 愛にも、真白にも、更紗にも、そして他の皆にも。

 恋を信じて、恋について来てくれた皆に謝る。

 ……ごめんなさい。

 ……恋はもう戦えない。

 ……もうこれ以上、一刀を傷つけることができない。

 ……これ以上戦えば、一刀の護りたい人を傷つけることになる。

 ……それに、この戦、最初から恋の負け。

 だって、あの人は最初から言っていた。

 恋に教えると。

 恋は最初は敗北の事だと思った。

 だけど違った、ううん、違わないけど違った。

 一刀は、最初から、恋に教えるつもりだった。

 恋が持て余していた力を。

 アレがものすごく怖いものだと。

 それでも、使わなければならない時、どうすればいいのかを。

 それに、一刀は背中の剣を一度も抜かなかった。

 抜く振りをしただけで、最後まで剣を抜かずに恋を斬ってみせた。

 それでも恋は確かに斬られた。

 両断するかのように、恋の何かが斬り落とされた。

 だから、恋の負け。

 ごめんなさい。

 恋、守れなかった。

 皆の守りたいもの。

 皆が安心して眠れる家を作れなかった。

 だから、ごめんなさい。

 

 

 

「ぐっ……ぐっ……。

 聴けいっ! 栄えある勇敢なる飛将軍・呂奉先の兵士達よっ。

 我等が主たる、呂布殿が苦渋の決断を、今、成されたっ!

 旗を降ろせっ! 槍を置けっ!

 我等、誇りありし飛将軍・呂奉先殿の兵士である事を、この地と魂に示すのですぞーーーっ!」

 

 

 音々の嗚咽が聞こえる。

 いっそう悲しくなる。

 たくさん涙が出てくる。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 いっぱい謝るから……。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 たくさんたくさん謝るから……。

 今は、ごめんなさい。

 そうとしか言えない恋をごめんなさい。

 

 

 

 

-7ページ-

 

 

 

 

 ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

説明
『真・恋姫無双』明命√の二次創作のSSです。

 長いようで短かった二人の時間が。
 一刀と呂布がくりなす二人の舞いがついに終焉の時を迎える。
 最後に大地に立っているのは、一刀かそれとも呂布なのか…。


拙い文ですが、面白いと思ってくれた方、一言でもコメントをいただけたら僥倖です。
※登場人物の口調が可笑しい所が在る事を御了承ください。
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コメント
スネーク様、其処は一刀君の舞いの本領ですよぉ。ある意味ハッタリと幻視が舞いの本質とも言えますし(マテw(うたまる)
恋ーー(´;ω;`)一刀どうやってそんな錯覚させたんだ…(スネーク)
観珪様、恋ちゃんの事とかはともかくとして、大変になるのは確かでしょうね(w(うたまる)
DAIKIN様、実はそれが目的ではなく、あくまで手段の一つでしかないんですよぉ。その辺りは数話をかけて探ってみてください。(うたまる)
D8様、流石の七乃も、そこまでは予想していないと思いますよ。ただ戻ってきてくれることだけを信じているだけで。(うたまる)
mokiti様、むろんです。書いた本人が言うのもなんですが、こんな終わり方ですから双方ともに問題を抱え込んだままの終結となります。次話はその辺りを描いてあります。お楽しみに(うたまる)
エドガー様、……やばい。書いた本人が覚えていない(汗(うたまる)
おうふ、恋ちゃんのことを考えた一刀くんの策、全くもって想像してなかったです。 しかし、鯉口を切っただけで恋ちゃんが斬られたと幻視するほどの気迫かと思いましたが、そういうわけではなかったようで。 一刀くんはこれからが大変ですなww(神余 雛)
ひとまず155話までお疲れ様でした。恋に力の扱いを教えるのが目的とは思いませんでした^^(DAIKN)
あー、これは一刀さんあとで無理したことでみんなから絞られますね・・・。七乃さんはこうなることが予測できていたんですかねー。(D8)
ふむ、ようやく決着…で良いのかな?まだまだ後始末は終わらなさそうな気もしますが。(mokiti1976-2010)
…そういえば、ここでの一刀が昔言ってましたね。『出る杭は往々にして折られるもの』だと。恋の心情を見て思い出しました。(エドガー)
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