「下僕と書いてお守と読む」（チータ視点）

……それから俺は、プラネテューヌに連行された。

盗撮の首謀者として、そして折角のバカンスをぶち壊した張本人として……

ここだけの話、実は意外にも、発案者は俺じゃなくてワンなのだ。ま、俺も共犯だが。

「女神サマが海水浴に行くらしいから、その副産物である((桃源郷|ナマキガエ))を見に行こうヨ」……それが事の始まりだった。

だが結果はこんなもん、電子機器を使ってる時点で「あ、これ失敗かも」と思ってしまったが、まさか俺達の計画を逆手に取られるとは……

しかもまさか俺達人神について調べていたとはな……てっきりノワール辺りが調べてるんじゃねぇかと思ってはいたが……

普段ぼけぼけしてるクセに無駄に勘が良いし人脈上手く使うし……喰えねぇ奴だよ全く。

まぁそんなわけで、バラされるリスクも出て来たわけで、逃げるに逃げられなかったってわけSa

（ホントなら逃げられたんだぜ？え？満身創痍じゃないかって？それでも逃げ延びるのがプロの冒険者ってもんだぜ？まぁ俺冒険者じゃねぇけど……）

案の定、プルルートは俺達人神の事を内密にする代わりの条件を出してきた。

一つは俺の拠点を教会にする事、そしてもう一つは……

「そんなわけで〜チータくんはあたしの下僕になりました〜」

「「「そんなわけってどんなわけっ！？」」」

……今、俺、ノワール、ブランの三人がツッコミを入れた事、それが条件だった。

かくして他の人神達はお咎めを受けることは無くなり、俺はアジトから教会に引っ越すこととなり……今に至る

大変なのは今に始まったわけじゃねぇんだが……更に心労が多くなりそうだ

プラネテューヌ・教会・女神の私室＝プルルートの部屋

「チぃ〜タぁ〜あそんで〜」

「おわっっと！お前書類どうした！？って言うかイストワールさん！？アンタ目はりしてたんだよね！？」

「へ？それならもう終わりましたよ？(・?・)」

「……は？ちょっと待った、いつもより処理スピードが早くなってねぇか？いくら何でも早すぎるんじゃねぇか？」

「プルルートさんはやれば出来る子なんですよ……普段からそうしてくれると助かるんですけど(^^；)」

これがいつもの風景になりつつある。

俺はプルルートの下僕……というよりお目付け役である。

イストワールも最近真面目にやってくれるのと俺が代わりにやってくれるという事もあって、長年重くのしかかって来た肩の荷が下ろし、文字通り羽を伸ばすようになった。

「あ〜そ〜ん〜で〜！」

「わぁった！わぁったから！しがみ付くな！って言うか幼児退行してねぇか……っていたたたた！噛むな噛むな！」

……大体こんな感じだ。本人曰く俺と遊んでる時……もとい戦ってる時が一番愉しいらしい。

普段動かさない身体を動かす良い機会だと言う者もいるが……実際付き合ってる俺からすれば、ほぼ毎日生死を分けた死闘をするもんだから正直しんどいデス……

一番のお気に入りとか言ってはいたけど……あれってどういう事なんだろうか。

本人に聞いてもはぐらかされたし、分かる奴と言えば……

「……ちょっと先行っててくれねぇか？」

「なんで〜？」

「職員から頼まれてた用事がまだ残っててさ、すぐ終わらせていつもの場所に来るから……な？」

「……ちゃんと来てよね」

プルルートは顔を膨らませ、しぶしぶと外に出た。

「……あのさ、イストワール」

「なんでしょうか？（・・）」

そう、普段から他国の女神同様に良くアイツと接してるコイツならば、何か知ってるのかもしれない。

「あのさ、アイツ俺の事一番のお気に入りって言ってたんだけど良くわからねぇんだよね。何か詳細知らない？」

「知りませんよ（・?・）」

「え、あの……」

「知りませんって。ほらほら、あんまりプルルートさん待たせると後が怖いですよ（＾?＾）」

「ちょっ、待って、その反応何か知ってんだろ？アイツには言わねぇからちょっぴりぐれぇは――」

「いけない、私今日から慰安旅行だったから休暇取ってました。ごめんなさい、急がないと旅行バスに乗り遅れてしまうので話は後ほど（^?^）」

「あ、ちょっ！そこ窓なんだけ――」

ガシャァァンッ

よっぽど心の奥深くに釘を刺されたのだろうか、まるで一目散に逃げるように窓ガラスを割って飛んでいってしまった。

……仕方が無い、ピーシェに聞いても分からないだろうし、他の奴らが聞いてるわけがねぇし、唯一の手がかりは飛んでっちゃったし、この件は保留にするか。

俺は身支度を整え、プルルートが待っているいつもの場所、初めてドンパチやったあの場所に行った……アイツ、怒ってなきゃ良いなぁ……

只でさえ色んな((事件|コト))があったこの頃この国不安定なのに、またコイツによって被害が増えたらとんでもない事になりかねん。

はぁ……全く、魔王の((下僕|オモリ))も楽じゃねぇな