英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
ヴァリマールの転移魔法によってリィン達は謎の空間内でどこかに向かって飛行していた。
〜精霊の道〜
「こ、これもヴァリマールさんの”力”ですか……!?」
「オイオイ……何でもアリじゃねえか……!」
(これが”精霊の道”……不思議な感じだ……涼しいような、温かいような……とにかく、この先にマキアス達が待っているはずだ。みんな……絶対に見つけ出してみせるからな――!)
初めて体験する”精霊の道”に二人が驚いている中、リィンは決意の表情で前を見つめた。その後リィン達はヴァリマールの精霊の道によって、ケルディック地方の”ルナリア自然公園”の奥地に転移した!
〜ルナリア自然公園〜
「っ…………」
「ここは……?」
「着いたのか……?」
リィン達が周囲を見回していると力を使い果たしたヴァリマールが地面に膝をついた。
「ここは……!”ルナリア自然公園”……!」
「ケルディックの北西にある森林地帯の一角だったか。この辺りも見覚えがある……たしか自然公園の最奥のはずだ。」
「じゃあ、わたくし達、無事にケルディックに着いたのですね……!」
リィンとトヴァルの答えを聞いたセレーネは明るい表情をした。
「ええ……俺達が初めての”特別実習”で訪れた場所でもあります。そういえば、ここには古い石碑があちこちに残っていたな……」
「あれは”精霊信仰”の名残ね。どうやら”精霊の道”が上手く繋がってくれたみたい。この場所なら”彼”が見つかる心配も少ないでしょ。」
ヴァリマールから光が消えた事に気付いたリィン達は振り向いてヴァリマールを見つめた。
「ヴァリマール……」
「今ので霊力(マナ)を完全に使い切ったみたいね。再起動まで2〜3日はかかるでしょ。」
「それまではこの周辺で何とか頑張るしかないな。ケルディックはメンフィル帝国領の為安全地帯と思うが……ユミルの件を考えると、油断できねぇな。」
「ええ……」
セリーヌの説明を聞いたトヴァルは考え込み、トヴァルの意見にリィンは静かな表情で頷いた。
「というか、前々から言おうと思っていたんだけどアンタが契約している”精霊王”―――リザイラの力を借りれば、ヴァリマールの失った霊力(マナ)の回復を早める事ができると思うんだけど。」
「え……リザイラさんがですか?」
「どういうことだ、セリーヌ?」
セリーヌの言葉を聞いたセレーネは目を丸くし、リィンは不思議そうな表情で尋ねた。
「霊脈―――”七耀脈”はこのゼムリア大陸の”生命力”―――つまりは”自然の力”よ。ここまで言えばわかるでしょう?」
「あ…………」
「リザイラさんは精霊達を統べる存在ですから、精霊―――自然の力を直接借りる事ができますものね……」
「なるほどな……―――で、問題は肝心の本人が力を貸してくれるかだが……」
セリーヌの説明を聞いたリィンとセレーネは目を丸くし、トヴァルは納得した後リィンに視線を向けた。
「みだりに自然の”理”に触れる事はできればしたくないのですがね……」
その時リザイラがリィンの傍に現れて真剣な表情でヴァリマールを見つめた。
「リザイラ……ヴァリマールの力を回復する事は可能なのか?」
「可能か不可能かを聞かれたら可能です。この地にいる精霊達にその人形に力を分け与えるように私が指示をすれば、その人形は失った力を取り戻すでしょう。」
「………………………………」
「ちょっと、何でそこで黙るのよ?アンタが頼めば、聞いてくれるんじゃないの?」
リザイラの答えを聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるリィンの様子を見たセリーヌは不思議そうな表情で指摘した。
「俺達とリザイラが最初に出会った時……リザイラは俺達人間によって自然や精霊達が脅かされ続けている問題があるから、人間達に戦争を仕掛けるって話した後俺達を”試して”、”試練”に合格した俺達に人間達と自然や精霊達が共存する未来を託すって言ってたよな?なのに、俺達”人間”の都合の為だけに自然や精霊達の力を借りるのは間違っているような気がするんだ…………」
「お兄様……」
「そんな経緯があったのか…………」
「………エマからもその話は聞いているわ。―――悪かったわね。確かに貴女の言う通り、みだりに自然の”理”を捻じ曲げる訳にはいかないわね。自然や精霊達の力を借りて”魔法”を扱っているのに余りにもずうずうしい意見ね。」
リィンの説明を聞いたセレーネは静かな表情で驚きの表情をしているトヴァルと共にリィンを見つめ、目を伏せて考え込んでいたセリーヌは自分の非を認めてリザイラを見つめた。
「ふふふ、真っ先に自らの目的の為に自然や精霊達を利用したくないという考えをするとは……―――さすが私が”主”と認めた方ですね。―――いいでしょう。私が満足する答えを口にしたご主人様に免じて、その人形の力の回復に協力しましょう。」
「え…………」
リザイラの言葉にリィンが呆けたその時、リザイラは持っていた笛を口に当てて吹き始めた。
「〜〜〜〜〜〜〜♪」
「これは……」
「綺麗な音色ですね……」
「お、おいおい……一体何が起こっているんだ………?」
「周囲に漂う霊力(マナ)がヴァリマールに……!」
笛を吹いているリザイラの行動にリィン達が戸惑っていると、周囲から謎の光が次々と現れた後ヴァリマールに向かって当たると消えた。
「―――この地にいる精霊達や自然に呼びかけ、その人形に精霊達や自然の力を少しだけ分け与えました。少なくとも”精霊の道”とやらを使う前の状態にまでは回復しているはずです。」
「ほ、本当か!?」
リザイラの説明を聞いたリィンは驚き
「肯定スル―――現在ノ残存霊力ハ”精霊の道”起動前ノオヨソ1,2倍ニ当タル霊力値マデ回復シタ。」
「って事は、いつでも戻れる上、いざとなれば戦えるって事か。」
「ありがとうございます、リザイラさん……!」
ヴァリマールの答えを聞いたトヴァルは明るい表情をし、セレーネはリザイラを見つめて微笑み
「ふふふ、礼には及びません。―――それでは失礼します。」
リザイラは静かな笑みを浮かべてリィンの身体に戻った。
「……いつでも、失ったヴァリマールの力を回復できるようになったのはありがたいけど、乱用は避けるべきだわ。乱用した結果自然の”理”がおかしくなったら、下手したら世界にも影響を与えるでしょうし。」
「そうだな……リザイラに頼むのは今回のように仲間達を捜す為に他の地方に行った時くらいにした方がいいな。―――それでは、行きましょう。」
「おう!」
「はいっ!」
セリーヌの意見に頷いたリィンは仲間達を促した後仲間達と共に公園の出入り口に向かって歩き出したが何かの違和感に気付いて立ち止まった。
「………………?この気配、どこかで……?」
「お兄様もですか?わたくしも感じた事があるんです……」
「アンタたちも気付いたみたいね。どうやらここ……”上位属性”が働いているみたいよ。」
セリーヌの意見を聞いたリィン達はそれぞれ顔色を変えた。
「それって……!」
「旧校舎と同じ……!?」
「時・空・幻―――本来なら働くはずのない属性が働いているってわけか。しかし、なんでまたそんなことが起きているんだ?」
「……さあね。何かが乱れている……としかいいようがないわ。」
トヴァルの疑問を聞いたセリーヌは目を伏せて静かな口調で呟いた。
「魔獣も以前いたものより凶暴になっているみたいです。気を付けて進みましょう。」
「合点承知だ。」
「はい……!」
その後時折現れる魔獣を撃退しながら公園を出たリィン達はケルディックに向かった。
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第316話 | ||
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コメント | ||
M.N.F. 様 エウシュリー陣営が味方にいる時点で、敗北はありえないクソゲーだと思いますがww(sorano) 特典は単なるおまけ程度のはずだが・・・なんでこんなクソゲーになりかねん反則つけるねんw ・・・そんな感じです(M.N.F.) ジン様&kanetosi 森の主はめんどくさいので省略します(オイッ!?) THIS様&本郷 刃様 まあ、それを言ったらエステルの使い魔特典も凄いのではww(sorano) 使い魔特典は確かに凄いですねww(本郷 刃) いや、主はたしか公園でるところで遭遇するよ↓↓(kanetosi) いや・・・色々と使い魔がいる特典がすごいですなWW(THIS) あれ最初に森の主と戦うんじゃなかった?(ジン) |
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