真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第五十七話・前編
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「今、何と申した?『劉宏』が現れたと聞こえたが?」

 

 とある日の朝議の後、珍しくこれといって皆に急ぎの用も無く、世間話みたいな事

 

 をしていた時、小蓮が言ったある一言で場は騒然となり、命が慌てた様子で聞き返

 

 していた。

 

「だからぁ〜『ポカリッ!』…ですから、街の人の噂になっていたのですけど、洛陽

 

 から三十里位離れた辺りにある村々で、民から不法に搾取している役人とか悪どい

 

 商売をしている商人とかの屋敷に『劉宏』と名乗る人が現れてそういった悪党達を

 

 成敗して去っていっていると…もぅ、コブが出来てるじゃない、粋怜〜」

 

 聞かれた小蓮は粋怜さんの拳骨を浴びた後頭部の辺りをさすりながらそう質問に答

 

 えていたのだが…何だそれ?一体何処の水○黄門だ、そんな事をしているのは?

 

「でも何でわざわざ『劉宏』なんだ?先帝がお亡くなりになってもはや久しい、今更

 

 そういう名前を使わなくとも、悪党を成敗するが如き堂々と自分の名前を名乗れば

 

 良いのでは?」

 

 そう疑問を呈するのは、并州より定時報告の為に戻ってきた華雄だった。(ちなみ

 

 に華雄は月の領土である并州の守りを任されている為、普段はそちらに常駐してい

 

 るのである)

 

「理由は色々と考えられそうね…自分の名前が何かしらの理由で使えないとか、暗君

 

 の名が通ってしまっている先帝の名誉挽回とか。でも、どれも理由としては弱いわ

 

 よね…今更『劉宏』って言っても死んだ人の名前だし」

 

 華雄の言葉に詠がそう付け加える…あれ?詠は『空様=李通』だと知っているのに

 

 それをわざわざ…何か考えでもあるのだろうか?

 

 

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「まあ、それはあくまでも噂。とは言っても名前が名前だけにそのまま放っておくわ

 

 けにもいかないだろうし、その関係の話を聞いたらその都度報告って事で良いんじ

 

 ゃないかな?」

 

 俺のその一言でその場は解散となったが…これは一応確認の必要がありそうだな。

 

 ・・・・・・・

 

「そんなの私が知っているわけが無いだろうが」

 

 まあ、そうですよねー。まったくもって予想通りの答えでした。

 

「しかし、わざわざ死んだ事になっている貴女の名前を使ってそのような事をしてい

 

 る人がいるのをこのまま放っておくわけにもいきません。だから…」

 

「私に確かめに行って来いという事か、詠?」

 

「は、はい。普通に調査に行った所で民達が協力してくれるとは考えにくい話ですし

 

 …それなら、いっそ貴女に行ってもらった方がと」

 

 詠のその依頼に空様は少し考えこむ…ように見えてはいるが、この人は絶対行くだ

 

 ろうな。洛陽にいる時でもあっちこっちフラフラしてるから兵士達の間でも『李通

 

 というお人は、何時もあんなにフラフラしていて何故誰にも怒られないのは、実は

 

 あの人は先々帝の隠し子だからだ』とか『あの人に命令した者は骨の髄までしゃぶ

 

 られて血の一滴もこの世に残らないからだ』とか色々とある事無い事を噂されてい

 

 たりする。しかも本来ならそんな噂の的になっていれば、もう少し大人しくしそう

 

 なものだが、空様はまったく気にする事も無く堂々とフラフラしていたりする。

 

 そして一度戦ともなれば誰よりも真っ先に戦場へ駆け出すし…そんな空様が正式に

 

 洛陽の外での仕事をと言われて断るわけが無い。

 

 

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「まあ、仕方ない。巷に死人の名前が取り沙汰されるのを気味悪がる者達もいるだろ

 

 うしな、此処はこの『李通』がその犯人を見事捕えて見せようではないか。私が行

 

 くからには大船に乗った気持ちでいると良いぞ、はっはっは」

 

 まあ、そうなるよね〜。とりあえず頑張って行ってらっしゃいって所で…。

 

「それと一刀も連れていって良いな?」

 

「ええ、どうせ貴女一人で行かせるつもりも無いですし…一刀が一緒ならボクに問題

 

 はありません」

 

 ちょっ、何を勝手に人の予定とか決めてるんですか!?

 

「別に断ってもボクは良いのよ?断れるなら、ね」

 

 ああ、はいはい、そうですよねー。無理っすよねー。仕方ないっすよねー…はぁ。

 

 ・・・・・・・

 

 そして次の日。

 

「では行くぞ、一刀」

 

「はいはい…ところで行くのは俺達二人だけですか?」

 

「どうやらもう一人護衛が付くらしい…護衛なんぞいらんと言ったのだが、命の奴が

 

 どうしてもと言い張ったらしくてな」

 

 へぇ、護衛ねぇ…確かに空様に護衛って必要無いよね。空様が誰かを護衛するって

 

 なら分かるけど。

 

「うん?どうやらあそこにいる者がそのようだが…まさか?」

 

 行く先の大樹の近くにいる人の顔を見るなり空様が怪訝そうな顔をする。

 

 

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「待っておったぞ。妾が今回護衛に付く『李儒』じゃ。よろしくの」

 

「…おい、命。皇帝が此処で何をしている?」

 

「何の事じゃ?妾は『李儒』じゃ。皇帝など見た事も無いぞ」

 

 …李儒なんて設定、すっかり忘れてたんですけど。しかも何だか有りあわせな感じ

 

 に仮面とか被ってるし…空様は空様で何時もの兜を被ってるし、そんな二人を引き

 

 連れていたら俺が凄ぇ変な眼で見られるだけのような気がするんだけど。

 

「別に私はお前なんかの護衛なぞいらんから帰って良いぞ。むしろ邪魔だ」

 

「何を仰られますか、か…ゴホン、李通殿。妾は皇帝陛下からの御下命によって護衛

 

 に来た者、おいそれと帰るわけにはまいりませぬ」

 

 そのまま空様と命はしばらく睨み続ける…もういちいち李儒とか言うのも面倒くさ

 

 いし。そしてしばらくして…。

 

「まぁ、仕方ないか。付いてくるならそれでも構わないが…『陛下のお仕事』に支障

 

 は無いのだな?」

 

「董相国殿と劉協殿下が張り切って補佐を承っておられるとの事ですぞ?」

 

 意訳:つまり月と夢に全て仕事を丸投げするとの書置きを残して来たという事。

 

「そうか、ならば来い。何時までも此処にいたのでは色々と大変な事になるかもしれ

 

 んからな」

 

 意訳:おそらく、命がいない事がすぐにばれて追いかけて来られるだろうから、さ

 

 っさと洛陽を離れようという事。

 

 しかし…何とまぁ、命も命だが空様も空様だ。このフリーダムさはまさに母娘とい

 

 う事か…これじゃ本気で水戸○門か暴れん○将軍みたいな感じだな。はぁ…誰か胃

 

 薬をください。いや、結構本気で。

 

 

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 そして、その噂のある村に着いたのだが…。

 

「何だ、何も無いではないか」

 

「そうじゃな…家々も普通じゃしのぉ」

 

 二人の言う通り、特に何かそういった騒動があったように見えない程に村は平穏な

 

 空気が流れていたりする。

 

 そして、一応聞きこみをしてみたのだが…。

 

「劉宏?ああ、何故かあのとっくに死んだ暗君の名前を騙って悪人を懲らしめている

 

 とかいう奇特なお人の事かい。さあ、詳しい事は何も知らないねぇ。誰もちゃんと

 

 顔を見た事も無いし…色々変わった噂だけは聞くけどねぇ」

 

「変わった噂?」

 

「何でも悪人から巻き上げた金を貧乏人とか病人の家に投げ込んでいるとか、その人

 

 が現れた次の日に子供達に沢山の贈り物が匿名で届けられるとか…でも貧乏人の所

 

 にお金をくれるってなら、あたしの所にも欲しいけどねぇ」

 

 何だそりゃ?今度は鼠○僧か、あしな○おじさんか。実はその人俺と同じく現代か

 

 ら来た人だったりして?

 

「ふむ、別にこれなら何も問題は無いのではないのか?誰も困っておらんようだし」

 

「これが単なる匿名って話なら此処を管轄する役人に任せれば良いのかもしれないけ

 

 ど、今回はその名乗っている名前に問題があるという話だから俺達が調査に来たん

 

 だし、このまま帰るってわけにもいかないだろう?」

 

「ああ、そうだな。此処はやはりその『劉宏』とやらを捕えて色々白状させてからだ

 

 ろうな…ふっふっふ、腕が鳴るな」

 

 …空様は白状させる事しか考えていないな、これは。

 

 

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「でもこんな感じでは街の者達に聞き込みをしてもこれ以上何も無さそうな気がする

 

 がのぉ」

 

「だから…本当は行きたくも無いけど、あそこに行くしか無いだろうな」

 

「あそこ?」

 

「一応、今回の被害者…って事になっている人達の所にさ」

 

「なるほど、確かに直接現れたであろう所の方が何かしらの情報がある可能性が高い

 

 という事か」

 

「ならばそこへ行ってみようぞ」

 

 ・・・・・・・

 

 そしてその被害にあったというお役人の屋敷に行ってみたのだが…。

 

「これはまた随分と物々しい雰囲気だな」

 

「確かにまるで今から戦にでも出るかの如くに皆が殺気立っておるな」

 

「これは情報を聞くような状況では無さそうだな…しばらく様子見という所だな」

 

 俺達がそう言って一旦引き返そうとしたその時、

 

「おい、そこの者達、ちょっと待て!何やらこそこそとこちらを探っておったようだ

 

 が、劉宏を名乗る賊どもの一味だな!皆の者、ひっ捕らえろ!!」

 

 門番の人が何を勘違いをしたのか俺達を敵と勘違いして取り囲もうとする。

 

「何を勘違いされておられるのかは分かりませんが、私どもは単なる旅の者、この近

 

 くを通りがかりましただけでございますが」

 

「そのような言葉、信じられるものか!」

 

 俺が一応そう言い繕ってはみたものの、まったく聞く耳を持たない。

 

 

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「まあ、良いではないか。私達が怪しいから殺そうっていうんだろう?ならば、こち

 

 らも正当防衛って事だな」

 

「ああ、そうか。殺っても良いという事じゃな」

 

 ああ、物騒な母娘が何やら喜んでるし…。

 

「ふん、これだけの人数を眼の前にして随分な大言壮語だな」

 

 しかも完全に相手はやられ雑魚丸出しの台詞だし。一応、三十人位はいるようだが

 

 …無理だな。例えこの十倍あっても空様の敵じゃない。

 

「御託は良い、私達を殺ろうってんだろ?ならばさっさと来い。どっちが大言壮語か

 

 その身で教えてやる」

 

 空様のその挑発に簡単にのった相手が斬りかかってくるのだが…空様と命を相手に

 

 その程度の人数で勝てるはずもなく、わずか十分程後に生き残っていたのは最初に

 

 俺達に因縁をつけてきた門番の人一人だけであった。この人の命はわざと奪わなか

 

 ったようだ。しかし、相手はほぼ間違いなく賊崩れのゴロツキどもとはいえ、二人

 

 とも容赦も慈悲も無いな…まぁ、俺も二人程斬ったけど。

 

「さて、残ったのはお前だけだな」

 

 そして生き残った門番の人は空様のその言葉に完全に恐怖におののいていた…あっ、

 

 小便洩らしてるし、この臭いは脱糞もしてるな。

 

「ひ、ひぃ…お、お助けを」

 

「ははっ、自分の方から斬りかかってきたくせに命乞いとは笑わせる話よの。しかし

 

 此処までの大立ち回りをして誰も屋敷の中から出て来ないのは妙じゃの…おいお主、

 

 お前らは一体何の為に集まっていたのじゃ?」

 

 

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「わ、私達は…あの、その」

 

 …おかしい、何だかしどろもどろだな。もしかして…?

 

「おい、もしかしてお前らあの屋敷に押し込みをしていたのか?」

 

 俺がそう聞いた瞬間、男の顔色が変わる。

 

「何と!?ならばあの屋敷の者達はどうした?あそこの屋敷は確か『劉宏』を名乗る

 

 者に成敗されたと聞いていたが」

 

「そ、それは知りませぬ…確かにあの屋敷は何者かに襲われた後のように見えたので

 

 それに便乗しただけで」

 

「ほぅ、それで?その時あそこに誰もいなかったのか?」

 

「使用人らしき者達と主らしき男はすぐに斬り捨てて、家族とおぼしき女達は…あの、

 

 その…」

 

 そこで男は言いよどむ。それを見た空様と命の眼が冷たくなっていく。

 

「そうか、お主らはよくよく生きる価値の無い者どものようじゃな。そのような連中

 

 がまだこの辺りを跋扈しておったとはのぉ。少々不徳の致す所じゃ」

 

「仕方あるまい。このような連中は幾ら退治しても幾らでも湧き出てくるしな…あの

 

 油虫の如くにな」

 

 二人から発せられる怒りのオーラに、完全に男は人事不省一歩手前の状況になって

 

 いる。

 

「二人とも、今はまず中の様子を確かめるのが先だろう」

 

「そうじゃな」

 

 命はそう言うと同時に男に剣を振り下ろし…その一物の部分のみを真っ二つに斬る。

 

 男は何やらこの世の物とは思えないような悲鳴を上げて、血溜まりの中に白目をむ

 

 いて倒れていた。ああ、凄ぇ痛そう…何か斬られてない俺にまでその痛みが伝わっ

 

 てくるみたいだ。

 

 しかし二人はもはやそれに何の興味も示さずに屋敷の中に入っていったので、俺も

 

 その後を追っていった。

 

 

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 そしてその屋敷の中で見た物は…斬り捨てられた男の死体と裸に剥かれ散々に犯さ

 

 れた上で惨殺された女の死体が一ヶ所に積み上げられていた様であった。

 

 俺達は入ってきた扉の反対側の出口が開いていた所を見ると、どうやら中に残って

 

 いた賊どもは俺達(というより空様と命)の強さを見て逃げ出してしまったようだ。

 

「くっ…まさか此処までとは」

 

「誰か生存者がいないか探そう」

 

 ・・・・・・・

 

 それから一刻程後。

 

「蔵の奥に一人生存者がいたぞ!」

 

 空様のその声を聞いて俺と命はそこに駆け付けると、そこには蓆の上に横たえられ

 

 ていた女の子の姿があった。

 

「安心しろ、とりあえず彼女は何もされていないようだ」

 

 空様のその言葉を聞いて俺達は安堵のため息を洩らす。

 

「う…此処は一体?私は……………はっ!?」

 

 すると女の子が目を覚まし、自分の周りに知らない人間がいるのを見た途端に素早

 

 く距離を取る。ほぅ、どうやら彼女も武の心得はあるようだな。

 

「お前達は賊の仲間か!?それとも『劉宏』の仲間か!?」

 

 彼女は近くにあった棒を拾うなりそう叫んで構えを取る。一応劉宏の仲間っていう

 

 のは間違っていないのだが。

 

「残念ながらどちらでも無い。俺達は此処にいた賊が襲いかかってきたので、それを

 

 退治した後でこの屋敷に入っただけだ」

 

 

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「嘘だ、そんな言葉が信じられるか!」

 

 しかし彼女は俺の言葉にまったく耳を貸そうとしない。さて、どうしたものか…。

 

 俺はそう思いながら空様の方を見るが…何かを知っているのか、空様は彼女の顔を

 

 見たまま考え込むような顔をしていた。そして…。

 

「そうか!お前、もしかして史那(ふみな)…文鴦ではないのか!?」

 

「な、何故、私の名を…しかも真名まで?」

 

「ほれ、私だ。この顔を忘れたとは言わせんぞ」

 

 空様が兜を外して素顔を見せる。女の子はそれを半ば信じられないような顔で見て

 

 いたが…。

 

「も、もしかして…空、様ですか?」

 

「ああ、空お姉さんだ」

 

 すると文鴦さんは手にしていた棒を落とすと、涙を浮かべたまま空様に勢い良く抱

 

 き付く。

 

「やはり、やはり空様は生きておられたのですね!劉弁皇帝が即位した途端に病死な

 

 どと、私は信じてなどおりませんでしたが…うっうっうっ」

 

「すまぬな、あそこで劉宏が死んだ事にしておいた方が娘が新しき漢を造るのに都合

 

 が良いと思っての事でな」

 

「もう良いのです。こうしてまた空様にお会いする事が出来ただけで私はもう…」

 

 そして、文鴦さんはしばらく空様にしがみついたまま嗚咽を洩らしていたのだが…

 

 このままでは何も解決しないし。

 

 

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「それで、空様?こちらの方はどういうお知り合いで?」

 

「ああ、そうだったな。彼女の名前は文鴦、母親の文欽が私が皇帝になる前に宮中に

 

 仕えていた関係で彼女を少々預かっていた事があってな」

 

「ああ、そうか!お主、あの『泣き虫』史那じゃな?」

 

 空様の説明を聞いた命が突然そう言い出すと、文鴦さんの顔色が少し変わる。

 

「えっ!?ま、まさか…それを知っているという事は?」

 

「ああ、妾じゃ。久しいのぉ」

 

 そう言って仮面を外した命が素顔を見せた途端、文鴦さんの顔がひきつっていたよ

 

 うに見えたのは決して気のせいでは無いな…どうやら子供の頃の命は随分といじめ

 

 っ子だったようだ。

 

「お、お久しぶりです…でも、何故命様は此処に?皇帝ともあろうお方がこんな所に

 

 来ていて良いのですか?」

 

「気にするな、今の妾は『李儒』じゃからの」

 

 命のその言葉を聞いた文鴦さんの頭の上には完全に『?』マークが浮かんでいるよ

 

 うだ…まあ、そりゃそうだろうな。

 

「それはそうと…そちらの方は?」

 

 ああ、ようやく俺か。忘れられているか気付かれていないのかと少々不安だったが。

 

「初めまして、文鴦殿。私は北郷と申します。お見知りおきの程を」

 

「えっ…北郷って、まさか、衛将軍の北郷様!?」

 

 俺の名を聞いた文鴦さんはさらに慌てた様子になっていたのであった。

 

 

                                  後編に続く。

 

 

 

説明

 お待たせしました!

 今回も拠点をお送りします。

 登場人物は空様と命です。

 皇帝をやめて、自らを死人にした後、李通として

 悠悠自適な毎日を過ごす

 空様ですが…。

 そして新キャラも登場です。

 今回は話が長くなったので前・後編の二部構成で

 お送りします。

 前編の方ではコメント返しはしませんのでご了承

 の程をお願いします。

 それでは、ご覧ください。
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コメント
だんだん一刀が一心太介か大久保彦左衛門に見えてきた……と言っても知る人少ないか。 それ以外……この親子に意見出来る人が思い浮かばないやぁ…………。(いた)
しかしこの親娘、某御老公やら某将軍様より、よっぽどタチが悪い気がするんだが……。基本的に(例外も有るが)直々に殺さないし。(そもそも放送自体無理だが)モノだけを処理なんてしない。何より見た目が………ねえ。下手すりゃ日本有数の勧善懲悪劇の主人公達すら裸足で逃げ出すんじゃ無いの?(カノン)
なんにせよ、帝城にいる月ちゃんと夢さまにしっかりと怒られてくださいww(神余 雛)
しばらく来ていなかったら更新が。種馬さんはさしずめ辰五郎かな?心労があるのはよくいるお付きのじいさんだがw(きまお)
うっ、続きが気になってお腹がっ、胃薬をください(チョコボ)
一刀は世の独身男性に血の涙流させているんだから、胃痛ぐらい我慢して欲しい。マジで。(陸奥守)
仮面つけると怪しい属性と共に強キャラ化するのはフィクションの御約束ですが……モノだけ斬るって痛そうなことを……(Jack Tlam)
たしかに、変な兜をかぶったりお面お付けた人が「妖しいものではない」と言っても、説得力のかけらもないよね。世が世ならば、通報されるところだよ。(yoshiyuki)
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