義輝記 星霜の章 その三十 |
【 快刀乱麻 の件 】
? 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて ?
百万の軍勢が囲む外側に、潜む軍勢。
平原が広がる中、雲霞の如く密集する傀儡兵を見て……上杉謙信は、横に居る武田信玄に意見を尋ねる。
謙信「なかなか隙が無い構えだ……。 しかし、あの辺りの軍気の事象が乱れているように見えるが、一抹の不安も感じる。 信玄……貴女には、どう見えるだろうか?」
信玄「………景虎の言う事も一理あります……が」
謙信「……………が?」
信玄「その考え……正解ですよ。 かの軍気は……乱れつつも天高く昇ろうと示す『蟠竜』の事象! 一度攻撃を始めたら継続して戦いなさい! そうしないと敵に呑まれて……私達が壊滅する恐れがあるでしょう!!」
謙信「やはり……相談して良かった。 私は……どうも勘に頼る事が多いのでな。 信玄のように理知的に考えてくれると……非常に助かる!」
信玄「………何をほざくかと思えば……!」
謙信の言葉に………信玄の顔が、怒りで真っ赤に染まる!
信玄「───良いですか!? その勘が当たるからこそ、私達武田が……幾ら攻めようとも攻略出来なかったのですよ!? 何を落ち込んでいるのか知りませんが……自信を持ちなさい!」
謙信は、信玄の言葉も上の空で……空の向こうを眺め呟いた。
謙信「……私は……影が薄くないだろうか? 出番が少ない為……忘却されていないか? 私は第二の白蓮殿に成りはしないのか? そう……思い詰めてしまう……今日この頃なのだ………」
白蓮「おいっ! その理由はなんだぁ!!!」
白蓮は……二人の争いを止めようとしたが、逆に謙信の言葉に反応して突っ込んでしまう! しかも、信玄が白蓮に追撃を浴びせた!
因みに、二人には白蓮を悪く言うつもりは……全然無い! 例え話で使用したまでだから……罪悪感もなかった。
信玄「わ、私と人気を二分する貴女が何を言い出しますか!!! この信玄に互角の将など貴女ぐらいしか……居ないのです!! 白蓮ならいざ知らず、景虎が──そんな訳ないでしょう!!!」
白蓮「どさくさに紛れて対比をするな!!! これでも……結構気にしているんだぞぉぉぉ!?」
謙信と信玄の口論に、更に白蓮も参加して……収集が付かない!!
だが……『眠れる虎』が起き上がり、竜と虎に吼えた!!
信廉「─────いい加減になさい!! 何時まで無駄話をしているつもりですかぁぁ!!? 刻が惜しいです! 攻撃手順は決まっているのですから、早く実行なさい!!!!」
『━━━━━━━━━!!!』
ーーー
『……私の人生の中で………妹に鬼気迫る叱られ方をされたのは、この時だけですよ……』と後日……出された茶を啜り、怯えながら颯馬へ語る姉、その隣で強く同意する仲間の将が居たそうである。
★☆☆
謙信「コホンッ! ───失礼した!」
謙信は咳払いを一つして、改めて命令を発する!!
謙信「───上杉勢よ! 配置に付け! 義清殿! 準備は宜しいか?」
義清「うむっ! 問題無いのじゃ!!」
ーーー
信玄「では、信廉、昌景! 其方も準備は良いですか!?」
信廉「何時でも!! 加勢してくれています鳥丸兵の皆さんも、既に準備は整えています! 姉上が可笑しな事していなければ、もっと早く手が打てるのに………! 颯馬の身が心配ですぅぅぅ!!」
信玄「………その事の件は……謝罪しているでしょう!」
昌景「わ、儂の方は……万事手抜かり無く!! さぁ! 急ぎましょうぞ!」
ーーー
白蓮「わ、わた、私達の準備も大丈夫だな!? 大丈夫だよな!?」
国譲「はいっ! 何時でも実行出来ます!!」
ーーー
謙信「ではっ! 出撃開始!!!」
◆◇◆
【 于吉の反撃 の件 】
? 司州 河南尹 鶏洛山砦付近 にて ?
于吉「そんなぁ─────馬鹿なぁぁぁ!?」
声を大にして叫んだ後、于吉は……大号泣し始めた!
于吉「う〜うぅぅ、あんまりです…! あぁぁぁんまりですよおぉぉ!!」
そんな于吉の様子を、真っ正面から軽蔑するように睨みつけ、華雄は于吉へ勝負が決まった事を宣言する。 これで、逆転されるような策など……思い付かない故に。 寧ろ……あったら見てみたいとも考えた!
華雄「この勝負……我々の勝ちだ! まだ戦う気なら、此方も手加減なぞせん────ぐっ!?」
華雄は、最後まで言葉を続ける事が出来なかった………。
身体が意に反して動けない! まるで、周囲の空気を固められたように、違和感を感じる??
これは……まさか────ッ!?
華雄「こ、この感じは……久秀から受けた────妖術!?」
光秀「華雄殿! どうしたのですかぁ!?」
周囲が、華雄の様子がおかしい事に気付き、騒がしくなる!!
于詰「気付くのが遅いですよ? ────『縛』!!!」
「「「 なっ!? 」」」
「う、動けないで───御座るぅ!!」
「め、面妖なっ!!」
「「 ──────!! 」」
『ーーーーーーーーーーーー!!!』
洛陽軍の将兵が………一斉に全員動けなくなった!!
于吉「私を完全に怒らせるなんて……見事ですよ……貴女達! ですが……完全に血を昇らせた状態で戦えば、ろくな動きが出来ませんからね。 だから、ここで一度号泣し、頭を冷やし冷静に対応すれば……ご覧の通り!!」
つい先程前まで……大泣きをしていた于吉が、眼鏡を直しつつ近付いてきた。
于吉「勝負があった? いえいえ、これからが逆転劇の始まりですよ。 貴女達の希望が……いつの間にか絶望になる。 こんな事、人生に何回も短時間に起きるなんて稀な事象ですが……安心して下さい」ニコリ
于吉は穏やかに笑いつつ─────言い放った。
于吉「──────絶望で終わりです! 逆転なぞありません!! 天城颯馬と貴女達は、全員無惨に死に絶えるのが………宿命なのですよぉぉ!!!!」
『──────────!!?』
★☆☆
颯馬「…………や、止めろ! この将兵達は……関係無いだろう!! 俺の命だけ奪えば……それで……済むだろうがぁ!! ゴホッ! ゴホッゴホッ!」
于吉「………ふむぅ。 寿命も長くなさそうですね? 良いでしょう、私が貴方の死を見届けてから、呪縛を解くとしますか?」
光秀「や、止めなさい! 奪うのなら私の命を奪いなさい! 颯馬や皆は──助けてあげて!!」
凪「何を言う出すんですかぁ! 貴女は颯馬殿の正妻!! 順序から言えば私が身代わりになるのが役目です! 私を殺しなさい! その代わりに皆を!」
于吉「何を馬鹿な事を。 私が必要なのは天城颯馬の命ですよ? それを逃がす訳がありません!! それに、天城颯馬を殺せば───貴女達の何人かは、後を追うでしょう。 一石数鳥〜! 手間は……かなり省けますからね!」
華雄「き、貴様ぁぁああ!!」
于吉「戦闘も駆け引きも……全ては此処です! 貴女のように肉体ばかり鍛えていても……このような結果になるんですよ! 次回があれば……覚えておきなさい。 まぁ、貴女のような鳥頭では……すぐに忘れそうですがね!!」
華雄「くそおぉぉぉおおおぉぉ!!!」
于吉「雑談はこれまでです! 私は……この愚か者の苦しみ様を、死ぬまで拝見しなければいけないのでね。 苦悶の様子、後悔やら悲しみやらが浮かぶ表情を……一番良い席で見物致しましょうか!!」
于吉は一人で颯馬に近付く。
周りに居る光秀達には目も呉れず……ゆっくりと歩みを進めた!!
◆◇◆
【 朱里達の活躍 の件 】
? 司州 河南尹 鶏洛山付近 にて ?
朱里「むぅぅぅぅぅぅ…………」
雛里「じぃぃぃぃぃぃ…………」
桃香「どう……? 何か見つかった……訳……無いよねぇ……はぁ〜!」
ーーーーー
順慶と大洪との対決は………熾烈を極めた!
順慶「そこを退けなさい!!」
大洪『誰が退けるか! 寝言をほざくんじゃねぇ!!』
左校『御遣い様の手助けが出来る……このような機会を戴けるとは……! 人生、悪くは無い! 悪くは無いわぁぁぁ!!!』
大洪、左校はたった二人だけで、順慶の攻撃を受け流し、弾き、迎撃したりと無力化を実行! 飛び散る土砂や残骸等は……配下の元青州兵が防ぎ……被害は皆無となる!
大洪、左校の攻撃は軽やかに、しかし的確に順慶へと当たる! しかし、順慶も気による回復を使い、受けた攻撃の傷等は皆無。 全く互角の状況だった。
しかし、遂には──────!
順慶「あっ! ああぁぁ━━━ーーーーー!」バタン!
氣の大量消費により枯渇が始まり、二人に易々と捕縛!
捕虜として、二人に連行させて………そのまま監視をさせる事になった。
そして……重傷を負った星達は、負傷者収容所に送られて、治療を受けている状態である。
ーーーーー
華琳「各勢力に伝令! 敵の勇将『筒井順慶』を捕縛した! 内側からの圧力が弱まり、少しは状況がマシになる筈! その隙に、外側と内側の敵を壊滅させる策を見つけて欲しい! 判明次第……曹孟徳に伝令を請う!!!」
伝令兵『はっ!!!』
ーーー
朱里「わ、私達が御役目を果たせる──絶好の機会なんですっ! 何とか打開策を得るように、周囲を隈無く探すのですが…………!」
雛里「だけど……陣内容が完璧過ぎて……突っ込む所も無い有り様なんです! ………皆さんに負担を掛けちゃうのが……とても悔しいのにぃ!!」
桃香「で、でも……ご主人様……じゃなかった、一刀さんが『この世界に完璧なモノなんか無い! もし、あれば……それは友情だけだ!』って呟いていたよ?」
雛里は……困ったような顔を浮かびながらも……嬉しそうに呟く。
雛里「天の知識とは……西に伝わる禁断の箱ですよ! わ、私や朱里ちゃんが学んだ知識を、悉く不定、破壊して行くんですから! ……それも容赦なく。 だけど……最後に……必ず『希望』を残すのも一緒なんですよね!」
朱里「あっ! ひ、雛里ちゃん! か、完璧じゃ無いというと前提で考えると…どう見る? もっとグチャグチャとした状態だと考えていたら?!」
雛里「えぇ〜とぉぉ? 完璧じゃ無い状態だったら、命令系統が組織だって無いこと? 命令が分かりづらいとか? 他には………?」
朱里「それだよぉ! それぇ!!」
雛里「はわぁ─────!?」
朱里「………命令を伝達する人は必ず居る筈!! もしくはは頭になる兵士さんだよね? だから、その頭になる兵士さんを潰せばいいんだよ!?」
桃香「だけど……そんな人が居るの? 全員白装束だから分かんないよ?」
朱里「いえ、必ず現れます! 私達が何かしたら、必ず命令を遂行するよう指示する者がいる筈でなんですよ! だから……その動きをする者を狙えば────!!!」
ーーー
華琳に伝達すると、すぐさま狙撃弓兵が準備された。
華琳「季衣! 流琉! あの敵の集団に軽く当たりなさい!」
季衣、流琉「「 はいっ! 」」
季衣達は、五十人程引き連れて弓を斉射した!!
季衣「皆! 気負わずに射てぇ!!」
流琉「大丈夫! 外れても構いせん!!」
シュッ! シュ────ッ! シュッ!
数十本の矢が敵勢に届き、傀儡兵達が倒れる!
季衣「まだまだぁ!!」
流琉「槍兵の皆さん! 弓兵さんを守る為、前に出て下さい!!」
槍兵『はっ!』
そんな慌てふためく傀儡兵に、遂に指示を出す兵が数人………!
傀儡兵「───!? ─────!?」
傀儡兵長「━━━━!! ━━━━━━!!!!」
ーーー
狙撃弓兵「見つけたぁ───────っ!」シュッ!
狙撃を命じられていた弓兵が、目標を見定めると素早く放つ!
その矢は───傀儡兵長の頭へと吸い込まれるが如く、矢が突き刺さる!!
傀儡兵長「━━━━━━━━!!!!!!!!!!」バタッ!
『狙撃成功』の報が入ると────華琳は直ぐに動いた!!
華琳「良し! 私が直接攻めて見極めるわ! その後の反応を即時に皆に伝えよ! これが、我々の流れに持ち込める好機としてぇ!!」
朱里が睨んだ通り、そこの敵勢の反応が鈍くなる! 攻撃も守備も反応がズレるのだ。 これにより、曹操軍の被害は激減する!!
華琳が認めし攻略の要は、伝令にて各勢力に伝達! 次第に優勢になる洛陽軍であった。
◆◇◆
【 覚えている人は……多分居ない の件 】
? 司州 河南尹 鶏洛山砦付近 にて ?
颯馬「ぐっ………くっ!」
力を入れて立ち上がろうとするが……まるで力が入らない。 力を入れる度に激痛が走り、意識が朦朧。 少しずつ死に近付いている事は……確実だ。
それでも、颯馬が立ち上がり……出来れば……差し違えても于吉を討つ腹積りだったのだが……身体がこうも弱まっては……どうしようもなかった。
于吉「……何か決意をしていたようですが……無駄な足掻きですよ。 いい見せ物になりますがね! あーっはははははは!!」
于吉は笑いながら……三歩手前で立ち止まる。 颯馬には術を掛けていないため、自由に動けれる。 但し、別の理由で自由が利かない状態だった。
小太郎「動けぇ!! 動けぇ!!!」
凪「あ、天城様ぁ!! しっかりして下さい!!」
愛紗「解けぇ! 早く術を解けぇぇ!!」
皆が口々に于吉を罵り、颯馬を心配し、この術を解くように命じるが……于吉のにやつきは変わらなかった。
于吉「何を言っているかは分かりますが……私の崇高な目的と、全く一致しない事を頼まれても、それは無理と言う事ですよ────!?」
于吉の話が終わる手前で、横から何か飛ばされてきた。 そして、于吉の服へ軽く『トンッ!』と当たる。
于吉「何ですか……これ───はぁぁあ!?」
当たった物を見て、于吉は慌てて外しに掛かる!
于吉「あぁ……『飴』が私の服に付着している!? は、早く洗わないとアリが来て大変な事に! い、いやぁ! それよりも……誰も動けないのに、この私に物を投げつける事など不可能! 誰が─────!?」
于吉が……投げられた方向を伺うと……風が飴を口に咥えていた。
★☆☆
于吉はコメカミをピクピクさせながら……風の傍に寄る。
于吉「貴女は……飴を美味しそうに食べていますね?」
風「風は軍師ですので、頭をよく利用しますー。 だから、どうしても糖分が必要なのですよー! この飴を欲しくても、風の物だからあげません!!」
于吉「ほぅ……。 では、私の服に付けた飴は……貴女の飴と認める事ですね? どうやって当てたのかは知りませんが?」
風「異議アリですー! 風は貴方の術により動けないのに……どうやって投げると云うのですかー? 証拠不十分で風は無罪となりますよぉー!?」
于吉「この飴は貴女の飴! 他に投げる者は出来ない! それらを総合すれば……犯人は貴女しか居ない。 どう投げたかは、簡単じゃないですか? 口から飛ばせば済むだけです!!」
風「冤罪ですよー? 風がその通りにやってもぉ……プゥッ!! ……ほらっ! そこにしか当たりませんー!」
その飛ばされた飴の先には……于吉の身体があり……必然的に服に再度付着した。 確かに……風の云う通り……付着箇所はかなり低いが、さっきよりベッチャリ、ネチョリと付いてしまった。
于吉「………どうやら……死にたいようですね?」
風「風は……事実を訴えたまでですぅう!」
于吉「人の寿命はどうせ短いのですよ? 死にいそぐ必要もないのに……」
于吉は、風に憐れむような顔をして顔を覗き込む。
風「……貴方は……風を怒らせました〜! 風は事実を訴えているのに……信じない高慢さー! 漢女のような女々しい仕草を見せ掛けて、実は図々しい態度ー! 許さないですよー!!!」
─────ブチン!
于吉「ふっ! ふふふっ!!」
于吉の笑いに怒気が混じり始める。
于吉「……左慈とお揃いになっている、私の大事な一張羅を汚しただけではなく、漢女と私を同一視する貴女は、私の手で死になさいぃぃい!!」
キレた于吉は、懐から短刀を持ち出し───頭上高く振り上げて、勢い良く下ろした!
────目標は………風の心臓部!
周りの者達、特に………稟の顔は真っ青に変わる!!
しかし、当事者の風は………身体が動けないのに関わらず、両足を肩幅まで広げ、顔に左手を当て、右肩を上げつつ右手をピーンと伸ばした。
そして、目を細めて……一言……呟く。
風「………やれやれだ……ですよぉ〜!」
──────────ガッ!
『何か』が、于吉の短刀を受け止めた。
于吉「なっ!? 何故ぇ!? そんな馬鹿なぁぁあ!! 『おらぁぁっ!』───グボバァァァ!!」 ゴロゴロゴロ!!
そして、拳を握り締め、于吉の顔をぶん殴って吹き飛ばす!!
??「ったく……人が寝ているのに、物騒な起こし方するじゃねえか?! このトンチキがぁ!」
その『何か』に全員の視線が集まったが……『何か』は別に気にしている様子を見せず……于吉より奪った短刀を、遠くに投げ捨てた!
そんな中……いち早く声を掛ける風。
風「……やっと自由に動けますねー。 ですが、風を助けるのが遅いですよー?」
??「結果が良ければ……全て良し! 固い事は言いっこ無しだぜ?」
風「ふぅ……。 確かに、油断していた風達も悪いのですから仕方ありませんねー。 ではでは……助けてくれて感謝してますよー! 『宝ャ』!!」
宝ャ「───当然だ!!」フン!
風の頭の上で……宝ャが……腰に手を当てて反り返っていた。
『──────えっ? えっ!? えええぇぇぇぇっ!?!?!?』
辺り一面に……若い乙女達が叫ぶ頓狂な甲声が響き渡った!!
稟「ふ、風! 宝ャは………人形じゃないんですか!?」
風「もぉ〜! 稟ちゃんまで驚くのですかぁ〜? 宝ャは人形なんかじゃありませんー!! 風の相棒ですぅ! 稟ちゃんが知らない訳ないんですよぉ? 何進大将軍と四人で食事の際に同席しているじゃないですかぁあ!!」
稟「だ、だって………何時も、風の頭の上に乗っているから……」
宝ャ「おいおい……。 普通の人形が、頭に乗って動いたり、喋ったりすると思うかい? 常識で考えなきゃいけないぜぇ……稟ちゃんよぉ?」
風「全くですよー? そんな考えは非常識と……どうして分からないのですかねぇ? 風は悲しいですよぉ〜!!」
稟「非常識の塊である貴女に云われたくありません!!!」
風「えぇ〜! この品行方正な風を捕まえて、何と云う言い草〜!!」
ーーー
凪「風様! 先程の姿勢は……な、何かの武術的構えなのですか? もし、そうなれば……ぜ、是非……御教授して下さい!」
風「う〜〜ん、凪ちゃんすいませんねぇ〜! あの姿勢は、一刀お兄さんより教わった『天の国の挑発姿勢』なんですよー! ですから、凪ちゃんの思っている物とはー全然違いますぅー!!」
凪「そ、そうですか………。 でも、とても良い感じの姿勢でした!」
ーーー
愛紗「で、では……飴を……投げたのは……其方の宝ャサン……が?」
宝ャ「俺じゃないぜぇ? 風の術は俺が解いたから……あの時には自由に動けた筈だなんだが………。 それからさぁ……俺、そんなに怖いのかぁ?」
愛紗「────ッ!」ブルブルブル
稟「では………風?」
風「風は口で飛ばしてなんかいませんもぉん! 手で投げたのです! 嘘は言ってませんからー! 事実だけを語ったのに、信じないアイツが悪いのですー!! まぁ……勿論、口実ですけどね〜!!」
『はぁ……………………………』
★★☆
光秀「─────于吉はどこに行きましたか!?」
凪「辺りの氣を探って見ましたが……見当たりません! どこかに逃走したようです!!」
鹿介「天城殿の容態が悪くなっています! 早く医者に診せたいのですが……この場所では!!」
颯馬「ぐぅ! うぐぅ!!!」
小太郎「そ、颯馬様ぁ!! しっかり!! しっかりして下さい!!!」
悲嘆に暮れる御遣い勢!
そんな中………あの男が現れた!!
───────「待たせたな!!!」ザッ!
光秀「貴方は………!!」
華佗「もう大丈夫だ! 颯馬の事は俺に任せろ!! 親友の重大な危機! この俺がぁみすみす見逃すなんかしないぜぇ!! 必ず助けてみせる!!」
華佗が現れて颯馬の身体を診察する。
華佗「───ッ! 酷い怪我だ!! 重要な器官、大小の気脈血脈……全部綺麗に逸れているが……出血の量と元々の身体が弱っていた事もある! 早急に手術が必要だ! しかし、今の颯馬では手術に耐えられないかもしれない!」
光秀「私の命が必要でしたら──何時でも差し上げます! だから──颯馬を! 颯馬を!!」
小太郎「光秀様ばかり良い格好させるなど反対ですぅ!! 私の命を代わりに!!!」
鹿介「止めて下さい二人共! 貴女方には家族も仲間がいます! その役目は私が受けましょう! 将ならば……戦場での死は付き物! 愛しき者の為に使われるなら……某も満足して逝けます!!」
華佗「盛り上がっているところを悪いのだが……軽く氣を注入するだけで大丈夫だ。 勿論、命を救うのに別の命奪うなど、医者としての矜持に反する!」
『////////////////』
華佗「邪魔が入らないよう周りを囲んでくれ! 集中力がいるんだ! 颯馬の生命を助けたいなら、静かに見張りを頼む!!」
ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
宝ャの件は……大分前に設定していまして、作品にも出ています。 決して中途半端に出した設定では無い事を申し上げます。
その作品は雷雨の章 その壱、その弐にを見ていただければ。
話も少しずつ……終わりに向かっています。
また、宜しくは読んで下さい!!
説明 | ||
義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい。 10/25誤字、文章修正しました。 |
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コメント | ||
「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」 痛ましい事故が続くため心配していましたが……他の方の作品でコメント見つけて一安心。 気長に待っておりました。 お身体には気を付けて頑張って下さい。(いた) はい久々のコメントです、参考までに仕事で瀕死でしたので長文は読めなかったのです、今も勤め先でお休みです()(禁玉⇒金球) お褒めの言葉ありがとうございます! 『光あれば影あり!』と云うことで……それなりの敵勢力を考えては出しています。 主人公に対抗出来る勢力をと。 何故か……貂蝉っぽい人達が多く出てくる異質の話ですが……これからも宜しくお願いします。 別の話も出ていますが……とりあえず此方を完結させます。(いた) 禁玉⇒金球様 久々のコメントありがとうございます! 『所変われば品変わる』の良き実例ですね。 攻略への道が見つかった事で良しとしていただければ。 一つ言えるのは……『宝ャ』は『スタンド』ではありませんww。 (いた) そういえば于吉がなんのかんのでいい仕事しているじゃないですか、悪役というのではなくて敵方にきちんとした奴がいるのはやはり読んでいて面白い、久秀も捕まった順慶もこれまでの敵対勢力も皆さん味と背後関係があって好きですねこの作品。(禁玉⇒金球) 友情とは…雛里と朱里=モロに”女同士”のドロドロ、雪蓮と冥琳=テンプレラブコメ幼馴染?ただし百合、桃香と白蓮=うわぁ……、これでも完璧かねw?。この世界には気功があるので人形も動くでしょう、どんな設定もある意味ではOKです、(禁玉⇒金球) ありがとうございます! それを云われると弱いですねw 他にもシーザーの寝ながらのポーズとありましたが……一番普遍的な物を。 全体の策は決まっていたのですが……話の細かい所を詰めていくと……どんどん話数が……。(いた) この外史の華雄も頑張っています。 今回……風にジョジョ立ちをさせましたよ。 于吉と風の台詞もワムウと承太郎を参考に語らせています。(いた) naku様 コメントありがとうございます! 因みに一刀の台詞は……某完璧超人さんからの台詞を参考にしております。 朱里と雛里の働きは……野鳥を観察する会の皆様と同じぐらい頑張りました。 偶には、こんな活躍の場も無いと忘れさられてしまいますので。(いた) mokiti1976-2010様 コメントありがとうございます! 于吉もそうですが、左慈も新たに動きます。 狙うは三つめの条件……どうなる事やら。(いた) よし、ナイス宝ャ!という事で…しかしいなくなった于吉がこのまま終わるわけも無いでしょうね。続きに期待。(mokiti1976-2010) Jack Tlam様 コメントありがとうございます! 外史……ハチャメチャな物を入れる時には……非常に都合がいい言葉です。 さて……颯馬の命運は……まだまだ揺れます。(いた) ……ま、外史ですからね。ドリルだのネイルガンだの出してれば、人形が動いたところで誰も気にしないでしょう(?)。これで颯馬は助かったか。(Jack Tlam) |
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