快傑ネコシエーター22 |
106、美猫の花嫁修業
美猫は雅に頼り切って居候生活を楽しんでいたがキジコですらきちんと家事を
手伝っているのを見て少しショックを受けた。
雅が乾いた洗濯物を畳んでいるのをキジコが手伝っていたのであった。
玄関の靴サンダルなどを揃えたりスリッパをお客に用意したりとキジコは
自分の体の大きさで出来る範囲のことをやっていた。
さらに1階のコンビニに買い物に行ったりと美猫以上に家事に貢献していた。
「みやちゃん、あたしになにかできることない。」
美猫は雅に家事の手伝いを申し出たがあっさりと、
「ネコ、人には向き不向きがあるから仕事のアシストで貢献しているのだし
家にいる時ぐらい休養を取るか気分転換に友達と遊ぶことの方が大事だよ。」
遠まわしに何もせず甘えて好きなことをしていればいいよと気を使わないように言った。
そこで、女子力の高さで銀の折り紙つきの妖子に弟子入りして家事の一通りを
学ぶことにした。
妖子は美猫が自分を頼りにしてくれたのが嬉しくて少々舞い上がっていた。
妖子は難しいことを美猫にいきなりやらせるのは無理だし失敗して自信を無くす
事を恐れ、簡単なことからゆっくりと覚えさせていった。
「美猫さん、そんなに焦ることはありません、4年後5年後位を目標の到達点にして
ゆっくり、覚えていけばいいのですよ。」
妖子は万事スローペースで家事を熟し美猫にわかりやすいように教えていった。
美猫は妖子の優しさを感じ焦らず簡単なことから覚えていった。
「料理に関しては特に雅さんは高度な技量をお持ちですから当分手を出さない方がいい
ですよ。」
「掃除、整理整頓はかなり几帳面ですからこれもまだ手を出さない方がいいでしょう。」
「まずは買い物からアシストを始めるといいと思います。」
「美猫さんは食材の良し悪しをまず覚えていくことから始めましょう。」
「まずは、妖子ちゃん何をすればいいのかな。」
「冷蔵庫の食材を参考に雅さんの食材選びをサポートできるようにしましょう。」
「この食材からどんな料理を雅さんが作るかを想像し、いい食材選びが出来ようになれば
まずは充分貢献できます。」
美猫は元々要領のいい方なので簡単なことなら直ぐに覚えることが出来た。
「みやちゃん、トマトケチャップはあまり使わずトマトピューレを自家製で作って
だしやうまみを加えてチキンライス玉葱抜きを作っていたのか、鶏肉をだしの良く出る
腿肉とあっさりした胸肉、さらに鳥皮を刻んで使ったり、卵も新鮮な地鶏のものを
使ったり手間をかけているのに普通に作っているものなあ。」
「美猫さん、雅さんの料理人魂に火をつけるような
食材選びができる様になればOKですよ。」
美猫は好物のチキンライス玉葱抜きのレシピから食材選びができる様に
食材を見る目を養っていた。
美猫は雅の買い物について行き雅の食材選びを観察し、
取捨選択の理由がわからない時は雅に質問した。
雅も前向きな美猫に協力して丁寧に教え、同時に食材の良し悪しを詳しく教えた。
やがて、雅も食材の買い物を美猫に任せる様になった。
「美猫さん1歩前進です、この調子で頑張っていきましょう。」
妖子は美猫の進歩を称賛しさらに次の一歩を教えて美猫に自信を付けさせながら
家事の手伝いのスキルを上げていった。
「美猫さん、参考になるかどうかわかりませんが私の食材の仕入れを見てみませんか。」
妖子は美猫を軽トラックに同乗させ市場に連れて行った。
妖子は雅と食材選びが少し違うところがあった。
値段であった、雅は貧乏性な所もあったが物惜しみせずいい食材を手に入れていた。
良い食材を安く多くが妖子の食材選びで妖子は市場の人たちとも顔なじみで
みんなに好かれていた。
美猫にとって新鮮で学ぶところがたくさんあって美猫自身のスキルアップに繋がった。
「美猫さんの一番得意なことは何と言っても買い物ですここを伸ばしていきましょう。」
妖子は美猫とフリマにいった時、妖子にといろいろなアクセサリーや洋服を買った時に
美猫の買い物のスキルの高さに気付いてここを伸ばせば自信と実力をつけるだろうと
思った。
食材の次は日用品だが洗面用具、靴下、Tシャツといったもので服、掃除用品洗剤は
後回しにして身近なものの買い物を勧めてみた。
美猫の下着は雅とのコミュニケーションとスキンシップを兼ねて2人で行く方がいいのと
美猫自身の服は雅が自信を持って選んでいるので任せておいた方がいいと妖子は判断した。
掃除用品洗剤も雅のこだわりを理解してから選ぶようにした方がいいと判断した。
雅は最近美猫が家事を手伝いだしたのは妖子にいろいろとサポートを受けてできる様に
なったようなので安心して任せられた。
美猫はキジコの意思を尊重してキジコの仕事に手を出さず優しく見守っていた。
キジコも美猫が自分にできないことをやっていることを理解しているようで美猫を労った。
美猫とキジコの間の約束事の様になって、雅も含めて家族の絆のようなものが出来ていた。
美猫は家事を手伝うようになってもキジコの面倒を手厚くみていた。
キジコも美猫が家事を手伝うようになったことが嬉しいようで全身で喜びを表現していた。
美猫もキジコに答える様に愛情を注ぎ、一緒に遊ぶ時もキジコとの会話を欠かさなかった。
雅もそんな美猫とキジコを優しく見守っていた。
107、美猫vs銀のなまはげ戦争
銀はフリマのなまはげ弁当のコスプレ要員として美猫を参加させようとしていた。
ただ、普通に誘っても拒否することは目に見えているので何か美猫に策謀を用いて
強制参加させようとしていた。
美猫の弱みを攻めて説得し参加の約束を取り付けることを考えていた。
美猫参加を前提に源さんに恐怖のお面をもう一個発注していた。
衣装も準備して後は美猫の首を縦に振らせることだった。
美猫は勘が良かった、前回のフリマの直後から雅に助けを求めていた。
雅はあまり美猫が嫌がる様なので妖子を味方につけ銀の動きを掴み美猫なまはげ計画を
阻止しようと考えていた。
銀は聡い妖子が阻止側に回っているとは全く気が付かず、計画を進めていた。
妖子はいざとなったら自分がなまはげを演じようと考え、美猫を守ろうとしていた。
銀は妖子になまはげをやらせたくなかった、仕出し弁当の準備から調理を一手に引き
受けて裏方で獅子奮迅の活躍をしている上になまはげのコスプレをさせるわけには
いかなかった。
「美猫の様子が変ね、早くからこっちの企みに気付いて布石を置いている様ね。」
銀は美猫の様子が変なことに気付いた。
「なんであたしまでなまはげを演じなければいけないんだよ。」
美猫は本気で嫌がっていた。
銀は雅と妖子が美猫についていることに気が付いていなかった。
なまはげ計画にとんでもない所から苦情が来た
大和警部補であった。
「家のカミさんの一葉が黄昏時にあの恐怖のお面を被って家まで凱旋したんで
近所の何も知らない人たちが気絶しまくって大変で翌日娘の撫子と一緒に近所中に
謝りに回って大変だったんです。」
「昼間はいいですけど、夕方以降はきちんと包んで持ち歩くように指導してください。」
「特に心臓の弱っているお年寄りなんか大変危険ですから注意するようにして下さい。」
せっかくなまはげの増員、恐怖のお面の抽選会を2回に増やして当選率を上げ
恐怖のお面をはやらせようという目論見に水を差されたようで銀はちょっと気分が
悪かった。
しかし美猫なまはげ計画自体まだ継続していたので策謀を進めていた。
店の猫又ハーフの娘にも迷惑を掛けたくなかった、銀と美猫の問題であったからだ。
美猫は銀と2人きりになるのを避けていた。
銀は何とか美猫と2人きりになりたかった。
期限は刻一刻と迫っていた、このまま逃げ切れば美猫の勝利、銀が美猫を押えれば
銀の勝利だった。
いつもならあっさりと銀が勝利するところだが美猫は雅の人徳を頼ったり妖子を味方に
付けたりとなりふり構わずに抵抗した。
銀は美猫を軽く考えていたのが間違いで、気付くのが今回に限って少々遅かった。
銀は諦めが早かった。
でも今回に限ってであるがなまはげ要員によりによって
人間最終兵器エカチェリーナ・キャラダイン少佐ことエリカを呼び出した。
最初、呼び出されたエリカもなんだかよく分からなかったが着物が着られるので
少々興味が湧いていた。
この国の古典芸能の1つと聞いて俄然やる気を出して見事に騙されてなまはげを演じる
ことになった。
源さんの恐怖のお面も怖いもの知らずのエリカには苦痛ではなかった。
エリカは恐怖のお面を被りなまはげ衣装でフリマ会場を席巻した。
銀、さつき、エリカのなまはげがフリマ会場で弁当を売り源さんの恐怖の張子を
売りつくした。
前回以上の数を前回以上の短い時間で完売させた。
着物を着ることができ、とても満足なエリカはご機嫌だった。
今回のメインイベント源さんの恐怖のお面抽選会の勝利者は高田春樹と島田課長であった。
今回から黄昏時以降にはお面を被って出歩かないというルールが出来たので
キチンと包装して持ち帰ることになった。
今回は美猫が珍しく粘り勝ちを収めなまはげを演じずに済んだが
これで済ます銀ではなかった。
次回のフリマは絶対に美猫になまはげを演じさせようと企んでいた。
美猫も銀が諦めるまで抵抗するつもりだった。
はた目から見るといい歳の大人のやる事ではなかったが、彼女たちにとっては真剣その
もので周りの者にとって迷惑極まりない攻防戦であった。
こうなったら雅も妖子も一蓮托生で美猫の味方について守ってやりたかった。
さつきは当事者であったが中立を守っていた。
どっちについてもいいことが無い上、どちらかと言えば雅の味方に付きたかった。
特に美猫に恨みを買うのは嫌だった。
執念深い上どんなことされるか見当がつかないからだ。
ただし銀には逆らわなかった。
銀もさつきを既になまはげ要員として確保しているのでこれ以上の負担を求めなかった。
新たに臨時なまはげ要員になったエリカは何か勘違いをして喜んでいた。
源さんは更にパワーアップした恐怖の張子と恐怖のお面を作るべく研鑽を重ねていた。
銀は源さんの努力に答えようと、美猫確保の新たな策謀を企んでいるのだった。
108、美猫のリトルワールドとなまはげ戦争終結
美猫は銀とのなまはげ戦争で少々疲れていた。
癒やしを求めて雅のミニチュア猫又ドール及びミニチュア猫のぬいぐるみを
雅の書斎で鑑賞していた。
雅の人形は正に癒し系であった、キジコも静かに眺めていた。
「癒されるなぁ、もうなまはげなんか忘れてしまいたい。」
「みやちゃん、あの恐怖のお面を可愛くデフォルメできない。」
「銀ねぇ人形になまはげのコスプレをさせて少し憂さを晴らしたいよ。」
「ネコ、よっぽどなまはげが嫌なんだなぁ。」
「なんで、あたしまでなまはげコスプレさせたいのか、訳が分からないよ。」
「銀ねぇ一人で迷惑の掛からない所でなまはげイベントでもやってればいいんだよ。」
「でも一回付き合ってあげればもうやらないだろうと言えない所が困ったところだよね。」
「そうなんだよ、一回限りっていうなら我慢もできるけど、この先ずっとは絶対に嫌だ。」
キジコは美猫の味方であった。
銀の情報を早めに美猫に知らせて先手を打たせていた。
銀はキジコに気づいて居なかったため情報がだだ漏れであった。
聡い妖子はキジコに気づいて居たが美猫の味方であった。
キジコの情報収集に積極的に協力していた。
キジコの齎した情報をもとに銀と2人きりになるのを防いでいた。
「キジコちゃん本当いつもありがとう。」
美猫は全身でキジコに感謝の気持ちを伝えた。
みゃー、みゃー
キジコは美猫の気持ちに全力で答えた。
日頃の疲れがたまっていたのか美猫はいつの間にかそのまま居眠りを始めた。
キジコも膝の上に乗って眠ってしまった。
雅は美猫の背中にガウンを掛けそのまま寝かせてしまった。
美猫がキジコに起こされて目覚めると赤い着物を着ていた。キジコもなんだか少し大きく
メルヘン調だった。
「美猫ちゃん、美猫ちゃん、やっと起きたみたい。」
キジコがいつもと違って人の言葉を話していた。
美猫は自分の姿が猫又だったがなんだか可愛くデフォルメされている様だった。
「キジコちゃん、おはよう。」
「なんかあたしの体、みやちゃんの作った人形になったみたい。」
「えへへ、なんか胸を少し大きく作ってくれているみたい。」
「あまり美猫ちゃんが気にするから雅さん少しスタイルをよくしているようだね。」
「わぁ、キジコちゃんの意地悪。」
「騒がしいと思ったら美猫さん起きたんですか。」
「妖子ちゃんも人形なの。」
「そのようですね。」
「私の体形も少しスレンダーにしてくれていたようで嬉しいです。」
すん、すん、すん。
すすり泣く声が聞こえてきた。
よく見ると銀(17歳ver)だった。
「私こんなつるぺたじゃないのに雅さん恥かしがってダイナマイトボディを再現して
くれないで大体みんなと同じ平均体形にして、酷いわ。」
「銀ねぇ、みやちゃん温水プールで見た時の体形を参考に作っているから多分みんな
よりもグラマーに作られているはずだよ。」
「美猫それ本当。」
「うん、確かそういっていたよ。」
「じゃ胸揉ましてよ。」
「えぇっ。」
「一番差のあるはずの美猫の胸と比べないと納得いかないわ。」
「デフォルメという言葉の意味わかっている。」
「あまり、生々しいものは少しおかしいから若干調整がみやちゃんの中で
行っているはずだからあたしの胸を揉む必要が全くないと思うけど。」
「そんなに私に胸を揉まれたくないの。」
「人形になってまで揉まれてたまるか。」
「こうなれば意地でも揉んでやる。」
「やめろー。」
「揉ませろー。」
「うーん・・・。」
「ネコどうした確りしろ。」
みゃー みゃー
「どうしたネコ、魘されていたぞ。」
「キジコちゃんが心配して呼びに来たんだよ。」
「銀ねぇが。」
「銀ねぇが。」
「大丈夫か、心配ないよ夢だよ。」
雅はよっぽどのトラウマが出来てしまったのではないかと心配になった。
雅は翌日銀の元を訪れた。
「銀さん、いい加減にしてくれませんか。」
「雅さん一体何のことでしょうか。」
「美猫のなまはげの件です、あれほど本人が嫌がっているだから、無理強いは
止めて下さい、本業にひびくと命を落としかねないのですから、精神の健康を維持
しないと出来ない稼業なんです。」
「最近は悪夢に魘される様になって睡眠不足になっていますよ。」
あまり厳しい調子の雅に銀は正直驚いていた。
「雅さん酷いですそんな一方的な言い方ってないです。」
銀は涙を流して反論した。
しかし、雅は強硬だった。
「いくらたった1人の妹でもやっていいことと悪いことがあります。」
「命に関わるんです冗談では済まないんです。」
「なまはげぐらいのことで自分のたった1人の妹が命を落としたら一生後悔しますよ。」
銀は美猫なまはげ作戦の失敗したことを悟った、雅を本気で怒らせてしまったのだ。
「銀さん潮時ですよ、美猫さんになまはげをやらせようという計画を放棄すべきですよ。」
妖子が出てきて雅の援護を始めた。
銀は美猫が打っていた布石が利き始めたことに気付いた。
銀は初めて美猫に完敗したことを悟った。
「では、今後一切美猫になまはげを無理強いしない事を約束してください。」
「わかりました、今後美猫になまはげの話を持っていかない事を約束します。」
「証人は僕と妖子ちゃんです。」
「ネコ、出ておいで、銀さんと話がついたから安心してもいいよ。」
襖が開いて転がる様に美猫が出てきた。
「みやちゃん、妖子ちゃんありがとう。」
「これで安心してぐっすり眠れるようになるよ。」
雅と妖子の手を握り感謝の意を示した。
「さて、銀ねぇこれまでの遺恨を水に流してくれる。」
美猫は真剣な目で銀の目を見つめた。
「しょうがないわねえ、雅さんと妖子ちゃんに免じて水に流してあげるわ。」
「今まで通りの仲良し姉妹ね。」
美猫は腰が抜けたように座り込んだ。
「ほっとしたら腰が抜けた。」
「もう何やってんだか。」
銀は美猫の手をギュッと握り美猫を立たせた。
109、美猫と撫子の家庭の事情
「お母さんにも困ったものです。」
撫子は美猫に母一葉のしでかしたなまはげ騒動を愚痴っていた。
「あのお面がプリティなのはわかりますが。」
「へぇっ、プリティ。」
美猫は撫子から発せられた言葉に耳を疑った。
「いくら嬉しいからって、黄昏時にお面を被ったまま凱旋して帰宅するなんて、
何も知らない近所の人は驚きますよ、幸い死人は出なかったけど、やっぱり
気絶して転んで重傷を負った方もいらして、お父さんと近所中お詫び行脚ですよ。」
大和警部補が強硬になまはげに使った源さんの恐怖のお面を夕方以降其のまま
携帯したり被ったりしない様に抗議に来たという話を聞いて銀ねぇも少しは反省
するかと思ったがイベント自体は変更なしだったことを思い出した。
「でお母さんはどうしているの。」
「お父さんから、流石にいい歳をしてなにをしてるのと叱られてしばらく謹慎です。」
「もとはと言えば銀ねぇが悪いんだからお母さん一寸かわいそうだな。」
「でもお父さんに叱られたことに拗ねて家の中でいつもあのお面を被っているんです。」
「えぇっ、大和さん大丈夫なの。」
「父は平気なんですか、宅急便とか郵便とか出前持ちとかみんな腰を抜かすんです。」
「回覧板を持ってきた隣のお婆ちゃんが立てなくなって大変だったこともあって、
ちょっと困っているんです。」
「それは、ちょっとじゃなくてかなり大変なことじゃないの何とかお母さんを
説得しないとご近所づきあいに支障が出るよ。」
美猫はもとはと言えば銀に原因があるので撫子の家庭の事情を何とか解決しようと考えた。
美猫は撫子と一緒に大和家を訪れた。
「こんにちは、美猫さん。」
例の恐怖のお面から発せられた声はまさしく大和一葉のものだった。
確かに事前に知っていてもこの破壊力のお面であるから何も知らない人は腰を抜かすの
は当然だと美猫は正直に思った。
美猫はこの儘様子を見ることにしたが撫子の部屋に入って驚愕した、源さんの恐怖の張子
これまで販売された全15種(しかも増える予定)が揃っていた。
さつきに源さんの工房に3日いればなれるとは言ったものの普通の女の子の部屋に
これだけの数が揃っているのはやはり普通ではなかった。
「美猫さんお茶が入りましたよ。」
大和一葉の声のする恐怖のお面がお茶とお茶菓子を持ってきた。
「撫子ちゃん、さっきプリティって言ったけどこのお面を見て本当にそう思うの。」
「えぇ、そうおもいますよ。」
やっぱりこの親子かなり一般の人と美的感覚がずれていると美猫は思った。
「このお面の本当の目的はあくまで魔除けだから玄関なんかに掛けとくものなんですよ。」
「一葉さんお願いします、お面を外して本来の使い方をしてください。」
美猫は頭を下げて一葉に懇願して言った。
「もとはと言えば銀ねぇが悪乗りして被ったのが最初で本来の使い方ではないのです。」
「美猫さん頭を上げてください、私も大人げなかったです。」
一葉はお面を外して美猫に頭を上げる様に言った。
「美猫さんに頭を下げさせてしまい申し訳ございません。」
撫子も美猫に詫び、大和家の家庭争議というか近所からの村八分の危機を防いだことに
感謝した。
恐怖のお面は玄関に飾ることになり大和家の危機は回避されたかに見えた。
深夜大和警部補が帰宅して玄関を開けるといきなり恐怖のお面が真正面にあった。
ふぎゃー。
物凄い悲鳴を聞き一葉と撫子が玄関に行くと大きな黒猫が気絶していた。
大和警部補は一葉が被っている時はなんとか我慢していたが暗闇でいきなり出て
こられると意外と脆かった。
完全に面子丸つぶれの大和警部補は目を覚ますと黒猫のまま床下に入ったまま
出てこなくなってしまった。
一葉と撫子が一生懸命呼びかけても唸り声しか聞こえない状態が3日続き撫子が美猫に
再び相談した。
「実はお父さんが黒猫になったまま床下から3日も出てこないのです、どうしたらいい
のか分らなくて困っているのです。」
美猫はキジコを連れて再び大和家に行った。
キジコにこっそり床下の空腹の大和警部補を誘導してもらい、大和警部補に近所の公園
で食事をふるまってから説得しようと試みた。
満腹になって機嫌が少し良くなった大和警部補に美猫は優しく話し掛け、頭を下げた。
「大和さん元はと言えば銀ねぇが仕出かしたことに巻き込んでしまってごめんなさい。」
「美猫ちゃんが悪いわけじゃないよ、あのお面に気絶したのを家族に見られて
面子丸つぶれになった、自分に対する自己嫌悪みたいなものだよ。」
「あのお面は昼間でも気を付けないと意識を持ってかれる凶悪なお面なんです。」
「大和さんの反応が普通で今までがよく持った方です、だから気にしないでください。」
「撫子ちゃんも一葉さんも心配しています、この儘何事も無かった様に家に戻って下さい。」
「わかった、ありがとう美猫ちゃん、実は腹ペコだったんだよ、本当に助かったよ。」
大和警部補は頷いて家に戻っていった。
これでやっと大和家に平穏な日々が戻り美猫もようやく目的を果たした。
110、美猫のリトルワールド(完全版)
「美猫ちゃん、美猫ちゃん、起きて、起きて。」
美猫がキジコに起こされて目覚めると赤い着物を着ていた。キジコもなんだか少し大きく
メルヘン調だった。
「美猫ちゃん、美猫ちゃん、やっと起きたみたい。」
キジコがいつもと違って人の言葉を話していた。
美猫は自分の姿が猫又だったがなんだか可愛くデフォルメされている様だった。
なんか見たことのある夢のようだった。
「そうだみやちゃんの作った人形になったんだっけ。」
そういえば、胸が少し大きめにできていて、いつも貧乳コンプレックスに悩んでいる
自分を雅が想像で解決してくれていたんだことを思い出した。
これを口に出すとキジコに揄われるので今回は黙っていた。
「キジコちゃん何をしようか、せっかくだからみやちゃんの書斎を冒険しようか。」
「美猫さん待って下さい、わたしを置いて行くのですか。」
化け狐の妖子だった。
「ごめんね、妖子ちゃん。」
「じゃ、改めてここにいるメンバを確認してから冒険の旅に出ましょう。」
「最長老さん、猫駅長、大和さん黒猫ver。」
「キジコちゃん3か月verは居なかったっけ。」
「私に改修されているから同時には存在していないんだ。」
キジコ4か月verが得意そうに言った。
「私たちネコのぬいぐるみはフェルトを素材にしているからそのまま改修できるんだ。」
その時、
「美猫、私をわざと無視しているでしょう、何か私に恨みでもあるの。」
銀(17歳ver)だった。
「そんなことはないよ、そんな怖い事なんかしないよ。」
「なんか今怖いとか言わなかった。」
「う、うん言ってないよ。」
「ならいいけど。」
「では、冒険の旅に行きましょう。」
銀に完全に仕切られてしまった。
「銀ねぇすごく違和感があるんだけど。」
「その刀、何処から持ってきたの。」
「雅さんの小道具箱の中に入っていたの多分人形用に準備したものだと思うわ。」
「そんなもの勝手に持ち出していいの。」
「なぁに、黙っていればわからないわよ。」
銀は人形でもやっぱり銀だった。
「みやちゃんの書斎に何かモンスターが出たりしないと思うけどなんで刀がいるんだろ。」
「銀ねぇ刀なんか何に使うの。」
「其れはこう言うふうに使うのよ。」
刀を一閃すると美猫の帯が下に落ちた。
「ひぎゃー、なんてことするの。」
美猫の下着が丸見えになった。
「下らぬものを切ってしまった。」
「だったら、わざわざ切ったりするな。」
「ほうー、大分胸を盛っているようだなオリジナルよりも
かなりスタイルがいいではないか。」
「お前は、エロ親父か。」
その時大和警部補黒猫verが刀を咥えて美猫の所へやって来た。
「こういう時は目には目を歯には歯をで報復するんだ。」
「ありがとう大和さん。」
「てぃっ。」
美猫が刀を一閃すると銀(17歳ver)の帯が落ち着物の下が丸見えになった。
「みやちゃんも大分デフォルメに苦労したと見えて見事なトランジスタグラマーですな。」
銀は顔を真っ赤にして、
「なんてことするのよ信じられないわ。」
「何言ってんだ、先に帯を切ったのは銀ねぇじゃないか。」
「こうなったら本気でお仕置きよ、謝るなら今の内よ。」
「何がお仕置きだよ、年齢不詳の妖怪ババア若作りの面の皮を剥いでやる。」
ぷっ。
銀の中の何かが切れた。
着物を脱ぎ棄て本気で切りかかって来た。
美猫も着物を脱ぎ棄て本気で銀の刃を受け止めた。
2人共人の目を気にせず下着姿で戦っていた。
そんな2人の姿に妖子は鼻血を垂れ流して見つめていた。
「ふつくしい。」
猫達はキジコ以外は男性だったのでエチケットとして眼を背けて見ないようにしていた。
キジコは一応2人が疲れれば休憩するだろうと飲み物とタオルを準備して待っていた
美猫は寝言を言っていた、しかしそれは一言で銀を激怒させるほどのものだった。
「何がお仕置きだよ、年齢不詳の妖怪ババア若作りの面の皮を剥いでやる。」
銀は美猫が目覚めるのを待っていた。
起きたら、折檻するつもりだった。
部屋の温度がどんどん下がっていった。
雅が一応フォローを入れた、
「ぎ、銀さん寝言ですから本心で言っているわけじゃありませんから。」
銀はギロッと一睨みで雅を黙らせてしまった。
「いったいどんな楽しい夢を見ているのかしら、一応起きたら聞いてみようかしら
それから折檻しても遅くないわよね。」
美猫は遂に銀を倒した。
完全にKOした。
「峰打ちだ、命に別状はない、年齢不詳の大妖怪まいったか。」
「はっはっはっ、銀ねぇを倒した、やっぱり悪は滅びる。」
いきなり大地震が起き、ぐらぐらして目が回ってきた。
「どうなっているんだ、どうなっちゃうんだ。」
「美猫ちゃん目が覚めようとしているんだ、これから現実の世界にもどるんだよ。」
「キジコちゃんまた夢の中で遊ぼうね。」
美猫は目を覚ました。
目の前に銀がいた、気まずそうな顔をしている雅がいた。
「美猫、何か楽しそうな夢を見ていたようだけど、
どんな夢かしらお姉さんに話してくれない。」
銀は既に猫又化していて美猫の肩をがっちりと掴んでいた。
「えっ〜とあの〜何で銀ねぇそんなに怖い顔をしてるのかな。」
説明 | ||
106、美猫の花嫁修業 107、美猫vs銀のなまはげ戦争 108、美猫のリトルワールドとなまはげ戦争終結 109、美猫と撫子の家庭の事情 110、美猫のリトルワールド(完全版) あらすじ世界観は快傑ネコシエーター参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定は快傑ネコシエーター2参照 魔力の強弱は快傑ネコシエーター3参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定2は快傑ネコシエーター4参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定3は快傑ネコシエーター5参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定4は快傑ネコシエーター6参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定5は快傑ネコシエーター8参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定6は快傑ネコシエーター9参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定7は快傑ネコシエーター10参照 キャラクター紹介一部エピソード裏設定8は快傑ネコシエーター11参照 |
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