真恋姫無双 舞い降りし剣姫 第二十一話 |
〜黄忠視点〜
「黄忠様、襄陽より書状が届きました」
「見せなさい」
これは予想外でしたね
てっきり、彼方に呼びつけられると思っていたのに此方に来るとは
劉表殿の、いや祭夫人や祭帽の暴政から長沙の民を何とか守って来た
だが、それも限界の時に荊州の州牧になった〈天の御遣い〉
〈天の御遣い〉の風評は聞いている
反董卓連合の時の活躍
襄陽で善政を行っているとも聞く
そうなると期待してしまう
だが、噂だけでは判断できない
偶然、行動が良い方向に転がっただけなのかもしれない
期待通りのまさしく〈御遣い〉なのか、それとも期待外れの愚か者なのか
長沙の民の為ににも見極めなくてはならない
新しい荊州州牧 北郷一姫を
〜鞘華視点〜
長沙へ向かう道中私達は野宿をしていた
この辺りに街(村)が無かったのだから仕方がない
焚火に当たりながら
「星、何で劉備の所で客将だったの?
正式に仕官しようとは思わなかったの?」
「何を仰る、主のせいですぞ
私は主となるべき方を探して諸国を旅しておりました
管路の予言も聞いておりましたが眉唾物と思い気にしておりませんでした
しかし、本当に表れたという噂を聞き2人共に会ってみたくなりました
そして先に会ったのが桃香殿と共にいる一刀殿だった訳です
虎牢関で主の理想を聞き、判断した結果が主に仕える事だったのです」
星の話を聞いて納得した
劉備陣営の有力者を引き抜いた形になったから彼方は面白くないだろうな
しかし、劉備は私の言葉の真意を汲み取っただろうか
汲み取っていなかったら本当に州牧なんて務まらない
その辺は一君に期待か
「ああ、主は関羽には逆恨みされておりますぞ
それだけは、覚悟しておいてくだされ」
その可能性は考えていた
関羽の劉備への傾倒は酷い
考える事を放棄している、とさえ言える
だが、そこまで面倒見きれない
放置に限る
私達は日程の打ち合わせをして交替で睡眠を取った
襄陽を出立してから3日後に長沙に到着した
城に行く前に街を見る
寂れてはいないが活気がいまいちだ
情報収集を兼ねて、食事の出来る店に入る
食事をしながら店主に訊いてみる
「ここの城主の黄忠様って善政を行っているの?」
「ああ、黄忠様は立派なお方だ」
「でも、この街 活気が少し無いように見えるよ」
「そりゃ、前の州牧様が良くなかったからな
新しい州牧様は〈天の御遣い〉様らしいから期待してるがな」
民心を掴んでいる
なるほど、黄忠は為政者として優秀なようね
店を出ると女の子がぶつかって来た
「大丈夫?」
「うん、平気だよ」
あれ、この娘の親御さんは?
「ねえ、お嬢ちゃんのお父さんか、お母さんは?」
「璃々のお母さん?
あ、お母さ〜ん」
慌てた様子で妙齢の女性がやって来た
うわ、孫呉の巨乳四連星より大きい
何がって当然胸が!
て、そんな事はどうでもいいか
璃々ちゃんのお母さんが
「どうも、娘がご迷惑をおかけして申し訳ありません」
と頭を下げてきたので
「いえ、何も迷惑なんてしていませんから」
と返した
「お姉ちゃん、お名前は〜」
と璃々ちゃんが訊いて来たので
「私の名前は北郷一姫よ」
すると璃々ちゃんのお母さんが驚いた顔をして
「貴方が!?」
黄忠に城に案内された
それにしても私が男だったら悩殺されそうな色気ね
特にあの胸が!
劉備や関羽も大きかったけど色気は感じなかった
今更だけど、一君 あの二人の胸にひかれて行動を共にしてるんじゃないよね?
そんな事を考えているうちに謁見の間についた
「改めまして 私がこの長沙の城主 黄忠漢升です」
「荊州の州牧〈天の御遣い〉北郷一姫よ」
お互いが名乗りあった後、静里達も自己紹介した
「早速ですが伺いたいことがあります
貴方はこの荊州で何を考えどう行動するつもりですか?
そして、その考えの基となる信念は何ですか?」
この答えによっては黄忠は恭順しないだろう
「この国はこれから乱世となるわ
私はそれを一日でも早く終わらせたい
だから、この荊州を本拠地としてこの国を新たに統一する
その後は具体的な方法の説明は省くけど、民が自分で未来を切り開ける世の中を創りあげる
それが私〈天の御遣い〉北郷一姫の天命だと思っているわ」
私の答えに黄忠は無言で私の目を見る
そして
「私の姓は黄、名は忠、字は漢升、真名は紫苑
我が真名を貴方様に預け、忠誠を誓います」
力強い仲間が出来た瞬間だった
〜あとがき〜
星に続いて紫苑も鞘華陣営に入りました
次回は長沙での”しめ”となる予定です
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
説明 | ||
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