英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
”精霊の道”によってノルド高原へと転移したリィン達はかつてミリアムと出会い、戦った場所である石柱群に到着した。
〜ノルド高原〜
「う……ここは………?」
「あれは石柱……でしょうか?」
ノルド高原に到着したエリオットとセレーネは初めて見る光景に興味深そうに見回していた。
「どうやら……着いたみたいだな。高原南部にある石柱群――――以前、ミリアムと初めて会った場所に出て来たか。」
「あ、そうなんだ。」
「確か……会って早々戦闘になったとお聞きしましたが……」
リィンの説明を聞いたエリオットとセレーネは目を丸くし
「ふふ、ミリアムちゃんから話は聞いています。」
クレア大尉は苦笑しながら言った。
「けっこう高い場所だから外からは死角になってそうね。ヴァリマールが見つかる心配はそこまでないはずよ。」
「ええ、大丈夫でしょう。ふふっ、それにしてもこの光景は素敵ですね。私も仕事柄、帝国内の色々な場所を見ていますが……」
「まさしく絶景ですわね……こんな素敵な光景、初めて見回したわ……」
「前に、リィン達はこんな場所に来てたんだね……」
初めて来るノルド高原の光景にクレア大尉やセレーネ、エリオットはそれぞれノルド高原の絶景に見惚れた。
「よし―――そろそろ行こう。とにかく、Z組のみんなの手かがりを探さなきゃならない。北にあるノルドの集落か南にある”ゼンダー門”のどちらかに行ってみよう。」
「ノルドの集落―――ガイウスの故郷だね。」
「それとゼンダー門……第三機甲師団が駐屯している拠点ですね。」
「ええ、どちらも徒歩だと相当ありますが何とか行ってみましょう。」
「それじゃあ早速出発するわよ。」
その後リザイラの力でヴァリマールの霊力を回復した後、丘を降りて高原を歩いていると何かの音が聞こえて来た。
「こ、この音は……!?」
「まさか、砲撃音か!?」
音を聞いたセレーネは不安そうな表情をし、リィンは真剣な表情をした。
「―――見て、あれ!!」
そしてエリオットの視線につられるように視線を向けると第三機甲師団が機甲兵の部隊に追われていた!
「逃がすものか……!」
「”第三機甲師団”―――今度こそ息の根を止めてくれる!」
機甲兵は着々と戦車に追いつき、追い詰められた第三機甲師団の戦車部隊は迎撃の態勢を取った。
「くっ……”貴族連合”のカラクリどもが!」
「全部隊、弾幕を張れ!絶対に近づけさせるな!」
戦車部隊は怒涛の砲撃を放ったが機甲兵達は銃撃を回避しながら戦車に詰め寄って武器を構えた!
「これで終わりだ―――!!」
そして機甲兵が戦車に向けて武器を突き刺そうとしたその時砲撃が機甲兵に命中した!
「ぐおおおおっ!?っ―――何だ!?」
「死角から!?」
突然の奇襲に驚いた機甲兵達が振り向くとそこには第三機甲師団の別働隊の戦車達が砲口を機甲兵達に向けていた!
「伏兵だと!?」
「おのれ―――いつの間に!?」
「足元に狙いを定めよ!!―――全軍、集中攻撃!!」
「イエス・コマンダー!!」
そしてゼクス中将が指示をした瞬間、機甲兵の近くにいた戦車達は退避し、機甲兵は伏兵の戦車部隊による集中砲火を受けた!
「チィッ……!」
「”隻眼のゼクス”――――小賢しいマネを!」
「……フン、まあいい。監視塔方面に退却だ!いったん体勢を立て直す!」
「ハッ!」
自分達の不利を悟った機甲兵の部隊は監視塔方面へと撤退して行った。
「機甲兵(パンツァーゾルダ)部隊、撤退して行きます!」
「こちらの被害も最小限……旧式戦車の運用もまずまずですね。このまま追撃しますか?」
「いや、深追いはすまい。地の利はこちらにあるが、敵も余力を残している。下手に懐に飛び込めば彼等(きゃつら)の思う壺だろう。―――全軍、ゼンダー門に帰還する!負傷者を回収し、次の戦闘に備えよ!」
「ハッ!!」
そしてゼクス中将の指示を受けた第三機甲師団はゼンダー門へと帰還して行った。
「……よ、ようやく収まったみたいだね。」
「ああ……これが内戦火の”戦場”か。」
「………………」
一方その様子を見守っていたエリオットは安堵の溜息を吐き、リィンは重々しい様子を纏い、セレーネは辛そうな表情で黙り込んだ。
(…………人間達が精霊達や自然と共存している数少ないこの地で争いをするとはどちらも愚かな者達ですね………………)
(リザイラ様?)
(ま、リザイラなら怒って当然よ。彼女もこの大自然は気に行っているようだし。)
(一体どうしたら世界から争いをなくせるのかしら…………?)
静かな怒りを纏って怒りの表情で呟いたリザイラの念話を聞いたメサイアは首を傾げ、ベルフェゴールは真剣な表情で戦場を見回し、アイドスは悲しそうな表情で考え込んでいた。
「騎神の模造品相手とはいえわりと健闘してたみたいね。」
「機甲兵の圧倒的な機動力を削ぐ”対機甲兵戦術”の一つですね。勝機を逃さぬ確かな戦術と綿密に組み立てられた戦略……さすがはヴァンダール中将率いる第三機甲師団というところでしょう。」
「父さんたち第四機甲師団にも匹敵するって話だもんね。」
「正規軍の皆さんは凄いですわね……既に機甲兵に対する戦術を編み出しているのですから……」
「……とにかく、ゼクス中将が無事でいてくれてよかった。でも、少し気になるな。機甲兵が去った方角には正規軍の拠点、”監視塔”があったはずだが………」
機甲兵達が去って行った方向にある施設を思い出したリィンは考え込んでいた。
「何かあったのかもしれないわね。だったら、さっきの軍人に直接聞くのが早いんじゃない?」
「いいかもしれませんね。戦闘が一段落した今ならコンタクトも取れるでしょう。」
「ええ―――そうと決まればゼンダー門に向かいましょう。」
セリーヌの提案とクレア大尉の話を聞いたリィンは最初の目的地を決め、仲間達と共に最初の目的地であるゼンダー門に向かった。
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第338話 | ||
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コメント | ||
M.N.F. 様&kelvin様 まあ、だからこそアイドスは感情をなくそうとしたんでしょうね 完全ROM専様&本郷 刃様 アイドスを幻想郷に連れていったらアイドスがどんな反応をするか誰か書いてくれませんかね?(チラッ) (sorano) みなさんの言う通り“争い”や“競争”、“夢”などは人に限らず生物の持つ本能であり本質ですからね、それを無くすことは生き物の在り方を否定するようなものですから・・・幻想郷こそまさしく理想郷ですね(本郷 刃) 『争い』というのは『願い』とか『夢』とか、果ては『欲望』といった感情から生まれ来るものなので、完全に無くすというのは難しい悩みでしょうね。(参照:某機動戦士より)(kelvin) まぁ、アイドスとリザイラが望む世界(?)も別次元に存在しますがね(幻想郷(人間と神、妖怪が共存し、殺害禁止の世界。争いはごっこ遊びの延長で、殺害禁止のルールあり)とか)(完全ROM専) 原作から続くアイドスの悩みですが・・・これについては『無理』としか言いようがない。 世の摂理を否定するようなものだから。 『弱肉強食』それゆえに争いはなくならない。(M.N.F.) |
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