快傑ネコシエーター25
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121、美猫は呪いの人形で仲直り

 

美猫は雅に数十本の長い髪の毛を渡して、

「みやちゃん、これをさつき人形の頭に植毛してくれないかな。」

雅は不思議に思ったけどちょうどさつき人形を美猫が酷使してサランを植毛しないと

いけない部分つまり禿が出来ていたのだが同じ髪色のサランの手持ちが無かったので

そのままにしていたのだった。

「ネコ、流石に人形に八つ当たりして気が咎めたのかい、感心、感心。」

しかし、その髪の毛の入手元を聞いたら雅も美猫を小一時間ほど説教しても

おかしくないものだった。

つまり、さつき本人の髪を引き抜いてきたのである。

美猫がさつきを半殺しにする際髪の毛を掴んで引きずり回した時に抜けたのであった。

最近さつき人形の補修が最近の雅の頭を痛めるもとになるぐらい

美猫がさつき人形を苛め抜いていた。

サッカー、バレーボール、バスケットボール、最近は靴べらでゴルフなど

キジコと一緒にさつき人形の頭を気持ちいいぐらい叩き付けていた。

「ネコ、本当にさつきちゃん人形に八つ当たりはしないこと。」

「だからといって本人を痛めつけるのもやめて話し合いで解決しなさい友達なんだから。」

しかしながら、さつきも美猫を怒らせるようなことをしたり、言ったりしていることも

事実なのであった。

美猫は本人の髪の毛を植毛することで呪いの人形を作ってしまったことに

気が付いていなかった。

さつきも美猫に髪の毛がごっそり抜けるくらい引きずり回され頭に凸凹が出来るくらい

殴られ、流石に仕事を休んで休養していた。

さつきはぶつぶつと美猫に絶対聞こえない様に悪口雑言を呟いていた。

「貧乳駄猫、ど貧乳、まな板、洗濯板、抉れ胸、平地胸、絶壁胸、乳貧乏、貧乳大魔王。」

美猫はさつき人形を見ていると何か悪口を言われているような気がしてしょうがなかった。

それでついさつき人形の頭でキジコとバレーボールを始めた。

なにかとても痛そうな悲鳴が聞こえてきたようなので珍しく途中で止めて雅に髪の毛を

整えて貰ってさつき人形を元通りにした。

どうもさつきのことが気になったのでさつきの様子を見に行った。

さつきは布団で寝ていたが顔がパンパンに腫れた状態で呻いていた。

「さつきどうした、大丈夫か昨日のダメージが出てきたのか。」

美猫は氷嚢と氷枕でさつきの顔と頭を冷やした。

「さつき、本当ごめんな、昨日はやり過ぎた。」

美猫は心配になってさつきに付きっきりで手厚く看病した。

翌日美猫の手厚い看病のせいかさつきは顔の腫れも引き頭の痛みもとれ体の痛みも

大分軽くなってすっきりと目覚めた。

「美猫ちゃん。昨日は徹夜で看病してくれてありがとうね。」

「何言ってんだよ元はと言えばあたしがさつきを半殺しにしたのが原因なんだ。」

「その原因を作ったのは私自身だよ、私が美猫ちゃんの嫌がることを言って怒らせたからだよ。」

「美猫ちゃんは悪くないよ、私の自業自得だよ、だから、美猫ちゃんありがとう。」

「さつき、本当に大丈夫か、いつもさつきは頑丈だからってちゃんと手当してないから。」

さつきはこの際だから言いたい放題言えたにもかかわらず美猫の優しさに触れて

美猫とちゃんと仲直りがしたかった。

「じゃ、美猫ちゃん、きちんと仲直りしようよ。」

「私も絶対に美猫ちゃんの気にしていることを言わないように気を付けるよ。」

「あたしも直ぐに暴力を振るわない様に気を付けるよ。」

「でもお互い、そうやってじゃれ合って仲良くなったんだから多少はしょうがないよ。」

「でも私が口を滑らしたら美猫ちゃんガツーンとやっていいからね、

それが私たちの友情だからね。」

「さつき、本当にごめんな。」

美猫はさつきを抱きしめ優しく髪を撫でた。

「そういえば昨日髪の毛がごっそり抜けたけど痛くない腫れていない。」

さつきは髪の抜けたあたり触ってみたが大丈夫のようだった。

「美猫ちゃん大丈夫何ともなってないよ。」

「さつき頭凸凹してないか、散々殴ったから心配なんだ。」

「美猫ちゃん大丈夫だよ、氷枕と氷嚢で冷やしたから完全に腫れは引いたようだよ。」

こうして、美猫とさつきの関係が大幅に改善され雅もホッとしていた。

美猫もさつき人形を苛めるようなことをしなくなった。

これで呪いのさつき人形がいい方向に人間関係を持って行ったようだった。

さつきも美猫の陰口悪口雑言をこっそり呟いていたら顔がパンパンに腫れて

物凄い頭痛、更に頭が凸凹の瘤だらけに悪化したのは罰が当たったんだと思い、

陰口を控える様になった。

ただ夢の中では相変わらず美猫は理不尽な暴力をさつきに振い、さつきは美猫の悪口雑言

陰口を言って仲良く喧嘩していた。

そんな夢を見ても現実ではお互い仲良くしていた。

お互い夢の中の話をして無益な諍いを避けたかった。

でも笑い話になるようなら話題にしてもいいかなと思っていた。

お互い仲が良すぎて喧嘩になるのがいつの間にか拗れて険悪な関係になっていたのだ。

頑固で執念深い美猫と結構いい加減なさつきお互い正反対で本来はいいコンビなのかも

しれない。

 

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122、銀は不憫な人形で遊ぶ

 

銀は雅の作った紀美人形とエリカ人形を譲り受け愛でていた。

雅はまるで失敗作の様に低い評価をしていたが銀は人形自体高い技術で作られ

充分可愛いと思い自らのコレクションにした。

美猫はモデルになった2人は女の子向け人形のモデルに相応しくないとバッサリだった。

早速着せ替え遊びをしてみることにしたがエリカは首から下がフィクションだけあって

本人のような筋肉ダルマでも雌ゴリラでもない金髪の凛々しい女の子であった。

看護師の衣装を着せてその落差を楽しんだ。

美猫曰く、

「わぁ、違和感バリバリ、似合ってないよと言うかなんか変だよおかしいよ。」

でもエリカには少し優しかった。

続いて紀美人形である。

少しどころかかなりデフォルメしているのであるが結構ナイスバディであった。

セーラー服を着せてそのぱっつんぱっつんぶりを強調してみた。

美猫曰く、

「わぁ、コスプレキャバクラ嬢ですか、すっぴんでもやっぱり変だよおかしいよ。」

美猫は紀美に手厳しかった。

銀はどんな衣装が一番似合うか美猫とこのあまり着せ替え遊びに向いていない人形で

挑戦してみることにした。

次はエリカ人形にエアロビクスのインストラクターの衣装を着せてみた。

美猫曰く、

「なんか普通だね、首から下の特徴的な筋肉が無いと個性が無くなってただの金髪美人

って感じかな。」

やはり、エリカには少し優しかった。

次は紀美人形にビジネススーツタイトスカートを着せてみた。

美猫曰く、

「事務の糞ババア、乳眼鏡、でもすっぴん、なんか憎たらしい。」

やはり、美猫は紀美に手厳しかった。

続いてエリカ人形に青い柔道着を着せてみた。

美猫曰く、

「なんか、ロシアの女子柔道の選手に実際にいそうな感じ。」

やや好評の様であった。

つづいて紀美人形に巫女装束を着せてみた。

美猫曰く、

「なに、この年増巫女、なんかバッチい感じ、こういうの風俗産業にいそう。」

かなり手厳しかった。

再びエリカ人形に肉襦袢を着せまわしをつけ大銀杏のズラを乗せ横綱。

美猫曰く、

「本人が見たら絶対暴れるからやめといたほうがいいよ。」

真面目に回答した。

再び紀美人形に筋肉スーツとレスラータイツを着せた。

美猫曰く、

「チェンジ。」

にべもなかった。

「銀ねぇ、やっぱり着せ替え人形向きじゃないようだよこの2体は。」

「特にいろものの衣装が似合わないよ、冗談で済まなくなりそうだし。」

「えっ、せっかくなまはげの衣装を用意したのに。」

「銀ねぇ、なまはげ好きだなぁ、でもその衣装は女の子の人形に着せたらだめだよ。」

「エリカさん人形は本人を思い浮かべなければ普通の金髪の大人の女性の人形だよ。」

「普通に美人さんの人形だから一応着せ替え人形としては何とか及第点と言うところかな

実物の筋肉を無かったことにしているからあくまでエリカさん風味人形だけど。」

「紀美さん人形は本人を思い浮かべなければ普通の年増眼鏡のおばさん人形だよ。」

「なんか人形として終わっているから何着せても風俗関係の人の人形って感じだよ。」

美猫は紀美人形にとても辛口な批評をくわえていた。

「銀ねぇは普通の人より見た目も中身も若いから多少お茶目なことをしても可笑しくないけど、

紀美さん本人は年相応におばさんだから最近すっぴんにしたりとか地味子服を着て

若作りをしているけど段々無理が利かなくなってきているようだしいくら人形でもお笑い

系は洒落になってないから止めといた方がいいよ。」

銀は美猫の毒舌を気持ちよさげに聞いていたが紀美本人のこと思い浮かべると

かなり可哀想になって来たのでせめて紀美人形ぐらい可愛いといわれる衣装を着せようと思った。

「美猫、でもなんだか人形ぐらい可愛くしてあげないと可哀想な気がするのだけれど。」

「大人の女性として落ち着いた衣装を考えた方が一応可愛く見えるかもしれないね。」

「雅さんの初期設定の衣装が一番可愛いってことにならないかしら。」

「結局そこに落ち着くと思うよ、みやちゃんがあれだけ苦労して選んだ衣装だからね。」

最終的に紀美人形は元の衣装に落ち着いた、つまり着せ替え不可能と言うことで決着した。

エリカ風味人形が着せ替え人形としてなまはげ衣装を着せて遊んだりとか格闘技系の

衣装を着せたりと遊べる人形として活躍していた。

文字通り銀のおもちゃとなったのであった。

美猫はエリカ本人に対し悪い感情は無くむしろ年上の友人として好意を持っているだけに

複雑な気持ちであった。

 

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123、狼は定期預金で老後に備える。

 

塗仏の鉄はとても忙しかった。

情報屋の筈がどちらかと言えば何でも屋の様相を呈していた。

今迄は大和警部補の情報屋であったのが今はみんなの何でも屋であった。

雅、美猫は大和警部補とチームを作って凶悪デミバンパイア、粗暴犯罪者の狒々を

メインに狩っている。

このチームの一員として情報収集を主として勤めているのだがアシスタントの美猫

との役割分担が曖昧でアシスタントとして補助的役割も務めていた。

更に提灯屋の源さんから白猫銀と大和警部補につけられた大谷行基の緩やかな監視の目

に対する監視や源さんから直接調査依頼もあり、以前の様なのんびりした仕事ぶりでは

勤まらなくなっていた。

大和警部補からの調査依頼もかなり多様化しており、たくさんの配下を従えた一大組織に

なっていた。

実質探偵事務所の経営をしているようなものであった。

忠誠心を持った優秀な部下を手足の様に使い情報収集を行い正確な情報をチーム及び

依頼人に報告していた。

これも雅から多額の必要経費が支払わられ、その潤沢な資金で組織の運営を行っているので

可能になったのであった。

さすがにデミバンパイア絡みの大きなヤマは自ら足を使って調べていた。

最近デミバンパイア絡みの大きなヤマが無いようなので鉄もやっと一息ついていた。

裏社会自体が弱体化して海外から黒魔術を使うデミバンパイアが流入してきたものの

英国からの魔術武器でほとんど駆逐されたため、今や犯罪者の中心はライカンスロープの

狒々が殆どであった。

やっとアバルー収容所の叛乱以前の状態に戻ったようである。

「なんかやっと最近落ち着いて自分の時間が取れる様になったようだなあ。」

「そういや定期預金の通帳、美猫ちゃんから返してもらったかな。」

以前ポケットの中から美猫に抜き取られ晒し者にされた預金通帳であった。

鉄は堅実であった、この商売はライカンスロープの寿命を考えるとかなり長くできるため

定期預金で高い金利で長く預ければかなりの利息を稼ぐことができるのであった。

源さん位の年齢まで生きるとして老後は働かなくても食べていけるようになるのであった。

鉄の堅実さはエクスタミネーター見習いのアシスタントから情報屋への転業から想像

できるがこちらは義理人情に厚く涙もろい、非情になれない性格からだと思われる。

「そういや美猫ちゃんとの定時連絡の時間だなぁ、預金通帳のこと聞いてみるか。」

鉄は繋ぎの場所で電子煙草を吸いながら美猫の来るのを待っていると後頭部に久しぶりに

重い衝撃を受けた、鉄はうつぶせに倒れた。

美猫の飛び膝蹴りが鉄の後頭部に思い切りヒットした。

しかも猫又に変化して威力を増していた。

「美猫ちゃんあまりにもひどいんじゃない。」

「本気で痛かったよ、むち打ち症になったらどうするの。」

「えへへ、だって蹴りたくなりそうな後頭部だったから、つい。」

「まぁ、いいや、ところで俺の預金通帳どうした、まだ返してくれてないでしょう。」

「鉄さん、これこれ返すの忘れていたよ。」

「鉄さん、この仕事幾つぐらいまで続けるの。」

「後、百年位続けて体が衰えてきたら引退かな。」

「大和さんはライカンスロープは二百年は余裕で働けるって言ってたから

もっと続けられるんじゃないかな。」

「やっさんは後二、三十年すれば自在変化できるようになるからいいけど、俺は

まだまだ先の話だし自在変化できるかどうかわからないしなぁ。」

「猫又の場合、自在変化って百歳位を境に出来るようになるらしいけど、銀ねぇはかなり

早く20代半ばから17歳〜25歳の範囲で自由に変化できたらしいし個体差はあるみたい。」

「銀さんは猫又でもかなり高位だからね、並の猫又とは毛並みが違うよ。」

「源さん辺りになると最高位だから自由自在だけれど偏屈で実力を韜晦してるからなぁ、

滅多に本気を出さないし。」

「狼男の場合、先行きどうなるか不安だよ。」

「この国じゃ狼男の犯罪者は皆無だから、比較的扱いがいいがライカンスロープ自体の

扱いは狒々の例を上げるまでもなく不安だからなあ。」

「それで鉄さんは手堅く老後の為に定期預金でお金を貯めているんだ。」

「まぁ、そういうことだが、あんまり雅さんに宣伝しなくていいからな。」

「だって、鉄さんが定期預金を堅実にやっているのがイメージ湧かないからおかしくて。」

「大きなお世話だよ、狼が将来の不安、老後に備えて何が悪いんだよ。」

「大体、美猫ちゃんは年長者に対する礼儀が為ってないよ、親しき仲にも礼儀ありだよ。」

「だって、鉄さんの反応が面白いから思わず悪戯したくなっちゃうんだよ。」

「銀ねぇだって、源さんを袋叩きにしたりするし、鉄さん頑丈だから少々のことは

大丈夫だと思っちゃうんだよ。」

美猫が自分に親しんでくれるのはいいのだが酷い悪戯を仕掛けてくるのは正直鉄にとって

困りものであった。

だからといって雅に言いつけたりするのは大人として恥かしいし、第一雅の方が自分

よりもずっと年下であった上、雅は鉄に対しきちんと礼儀を尽くおり、むしろ腰が低い位である。

雅が美猫から目上の人として大事にされている理由が鉄にはよく分からなかったが、雅

との付き合いが長くなり、最近なんとなくわかるような気がしてきた。

 

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124、化け狐は自在変化の夢を見る。

 

妖子は変化の修業を少しずつレベルアップしながら続けていた。

とりあえず銀より肉体の内部の変化のコツを教わり完全な化け狐に変化できるように

なった。

尻尾が三本になったもののさて、どんなことができるかと言うと全く分からなかった。

自分で修行するにしても何をイメージすれば良いか分らなかった。

尻尾を増やすことをイメージしてみてまずは倍の六本になる様にする方法を考えていた。

最終的に九本を目標に変化の修業をしてみることにした。

自在変化は最終的に百歳ぐらいにならないと出来ないものではないかと推測していた。

銀が25歳ぐらいで17歳から25歳に変化できるようになった話を聞いて自分の年齢16歳

ではまだ自在変化はおろか年齢調整の変化も無理であろうと思っていた。

銀や源さんは妖子の変化はもっと早い年齢でかなりレベルの高い事が出来るようになると

推測していた。

美猫が猫又ハーフだから単純な年齢相応の半人半猫にしか変化できないということも

実は妖子は疑問に思っていた。

美猫は頭からできないと決めつけているだけで血筋から言ってハーフでも高位に属する

ライカンスロープのため十年後を目標にすれば簡単な年齢調整の変化は可能ではないかと

思っていた。

妖子は美猫に変化の修業を一緒に勧めてみることにした。

「美猫さん自身単純な年齢相応の変化以上の事が出来ると思いませんか。」

「私は銀さんや源さんからもっと高いレベルの自在変化が出来るのではないかと

言われたのですが、どうも確信が持てないのです。」

「むしろ、美猫さんが年齢調整の変化の修業をすれば

銀さんに近づきそうな気がするのです。」

「妖子ちゃん純血とハーフの間には深くて大きな溝があってそれはどうやっても

超えられないものなんじゃないかな。」

「でもそれだと純血同志じゃ子孫が出来ず滅びるのを待つだけの種族が出てきます。」

「不死族などは発生の仕組みが不安定で真祖以外は何れ滅んでしまうし、ハーフの

血を引く亜人が何代か後に無害なメゾバンパイアを生み出すようですし、バンパイア以外の

ライカンスロープにも何か法則のような物が有って変化のようなわかりやすい形で

影響がありそうですよ。」

美猫は変化に興味が無いわけではなかった。

「あたしは年齢調整の変化に興味があるんだ、例えば五年後の21歳に

変化してみたいんだよ。」

「今のあたしは16歳でみやちゃんは完全に子ども扱いだけど21歳に

変化して反応を見てみたいんだ。」

「でも、変装なら簡単なんだけど変化となると難しいなあ。」

「変装じゃみやちゃんにすぐに見破られるし無意味だからね。」

「妖子ちゃんの方が先に年齢調整の変化をマスターしそうだから、いろいろと教わる

ことのが多いかな。」

「まずは銀さんに教わったイメージを再現して肉体の変化を実現することが一番です。」

「私は尻尾を増やしてみることに挑戦してみます。」

「美猫さんもぜひ挑戦してみてください、多分年齢は関係ないかもしれません。」

美猫はまず猫又に変化して尻尾を二股にするイメージに挑戦してみた。

妖子も化け狐に変化して尻尾を三本から六本に増やすイメージに挑戦してみた。

2人とも繰り返し挑戦してみたがなかなか思い通りには変化しなかった。

しかし、少しずつ変化が表れ始めて尻尾の先が二股に分かれてきた。

美猫の尻尾が見事に二本になり、妖子の尻尾が六本になった。

しかし二人の体力は限界でさらに年齢調整の変化に進むだけの体力は残っておらず、

人間体に戻るのが精いっぱいだった。

「美猫さんやりましたね、猫又の最終目標の二本尻尾に変化が出来ましたね。」

「妖子ちゃんだって三本から六本、見事に倍に増やしたじゃないか。」

「次は余力を残して変化できれば更なる変化に進めるんじゃないかな。」

しかし二人共体力の限界でフラフラだった。

二人の疲労困憊の様子をキジコがさつきに知らせ、さつきは牛タン弁当4人前と

稲荷寿司12個入りパックを4つとお茶のペットボトルを2つ持って駆けつけてきた。

「大丈夫二人共とりあえずエネルギーを補給しないと。」

「ありがとう、さつき。」

「ありがとうございます、さつきさん。」

美猫はパクパクと牛タン弁当4人前を平らげお茶をごくごくと飲み干した。

妖子は稲荷寿司をひょいぱくひょいぱくと48個を平らげお茶を静かに飲んだ。

さつきは目をキラキラさせ興味深げに修行の様子を聞いていた。

「えへへ、次が楽しみだね、肉体的に変化したのなら、あともう少しだよ。」

「妖子ちゃんのスペックの高さは折り込み済みだけど、美猫ちゃんの年齢調整変化が

出来るようになるといろいろと楽しみだよ。」

「ありがとうさつき、そんなに喜んでくれて。」

キジコが美猫の膝に乗り美猫の顔をペロペロ舐めて修行の成果を労った。

「キジコちゃんくすぐったいよ。」

妖子は美猫のスペックの高さが本物である事が確認出来て満足だった。

「流石は竜造寺の血を引くだけあってハーフとは思えない才能の持ち主ですね。」

妖子は心の中で美猫の才能を称賛した。

 

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125、密教僧は猫又像を彫る

 

この国において初めてデミバンパイアを仕留めた古宮慧快は煩悩に悩まされていた。

初仕事で一緒に仕事をしたパートナー竜造寺銀の姿が忘れられなかった。

竜造寺銀は美しかった、年は26歳で慧快より2歳年上であったが猫又であるため多分

年はとらずにこのまま若いまま推定25歳でとても妖艶で蠱惑的であった。

慧快の純情な所を思い切り揄ったりするのだからたまらない、一生懸命煩悩退散を心の

中で唱えていた。

慧快は煩悩に負けたりしたら銀に軽蔑され二度と一緒に仕事をしてくれなくなると必死

だった。

そんなこともおかないなしに銀は慧快をわざと誘惑して困惑する姿を楽しんでいた。

ある日銀はわざと17歳の猫又少女に変化して慧快をからかってきた。

慧快はひたすら耐えていた。

煩悩に負けたら自分のこれまでの修業の成果が全て瓦解してしまうのであった。

その上、銀は全く慧快に恋愛感情を持って無かった、友人としてほっとけないと

言う存在にすぎなかった。

銀自身蓮っ葉な態度をとっていたがその実、恋愛感情がまだ未熟であったのだ。

慧快はある日決心をして木像をこっそりと彫ることにした。

竜造寺銀の木像彫刻であった。

それも25歳の凛々しい女猫又像で、氷刃猫姫と題して太刀を持ち仏像の様に作る

つもりだったが、彫り進むにつれて、なまめかしいルネッサンス調の裸婦像に着物を

着せた様になっていった。

さすがに胸元に晒しを巻いて隠す様にするなど慧快自身もとても照れ臭かった。

しかし、ふくらはぎや着物からはみ出した腿などかなり際どくなってしまい、絶対に

本人には見せられなくなってしまった。

慧快は厨子に入れ自刻の秘仏として一切他人、もちろん銀本人にも見せなかった。

慧快はこの秘仏を他人の目の晒したくなかったので大谷行基はもちろんのこと

大和龍之介にも伏せて、エクスタミネーター養成所の武器庫の中に隠していた。

慧快の死後、かなりの年月が過ぎ武器庫に重火器がたくさん収納され出した時、

武器と関係ない仏像の厨子が外部に持ち出され、個人蔵の仏像として隠匿されて

しまった。

その時に厨子と女猫又像が別れ別れになったようで厨子は市販品の安物であったため

廃棄あるいはふさわしい別の仏像の厨子になったようでそのまま行方不明になった。

女猫又像の氷刃猫姫は一人歩きして美術品として金持ちのコレクションの1つになったり

して市場から姿を消し、好事家の間で持て囃され30年近く行方不明になった。

旧家の蔵を整理した時に再び日の光を浴びたものの素人仏師の変わり種仏像と言うことで

古物商の手から手に渡って本来の評価よりも低く評価され、きわものとして遂に

フリーマーケットで出品されてしまったのだ。

出品者は少し吹っ掛けて高い値を付けていたが言い値で買いそうだった雅の横で

厳しい目を向けている少女、前回のフリマでブロンズ像をまとめて買ってくれた

少女がどうもこの値段では高いと見たのか考え込んでいたので出品者は潔く4割引き

を提案したところ渋々承知したので、取引は成立した。

少女は美猫でこの木彫のモデルを一目で見破ったため、銀がどういう反応を示すか

正直怖かったのだった、

しかし、雅はこの木彫のモデルの正体に気付かず、美猫に面影が似ているという理由で

購入したのであった。

さて、この木彫を見て一番驚いたのはやはり銀であった。

銀は作者の慧快の煩悩の塊を見せられて初めはいい気分はしなかったが

段々と慧快の素朴な自分に対する思慕を可愛いと思い、当時の自分がもう少し

慧快の気持ちを理解してあげても良かったかなと思うようになった。

慧快は銀も慕われて悪い気がしない好人物でむしろ自分の方が頑なで恋愛よりも仕事優先

であったことを少し反省していた。

銀が女猫又像の氷刃猫姫を改めて眺めていると、美猫が銀に優しく話し掛けた。

「銀ねぇ、昔の稼業をそのまま木像なんかにされたのをいきなり見せられてあまりいい

気分はしないだろうけど、この木像の作者の気持ちを考えると今なら許せると思うよ。」

「悲恋物語なのよね、慧快さんは密教僧で女人禁制だから私に思いを打ち分けるわけ

にはいかないからせめて木像を作って気持ちを込めていたのよね。」

「私も慧快さんがこんな気持ちを隠し持っていたなんてやっぱりうれしいわ。」

「残念なのは、当時の私は恋愛と無縁で生活に追われていたし。」

「普通の人間が恋愛対象になるなんて当時の私では考えられなかった、

寿命が短すぎて後に残されたときの辛さを考えるとね。」

「それが気にならなくなったのが邦春さんなの。」

「でも、雅さんって寿命の問題が無いから安心して付き合えるわ。」

「これは、美猫あなたにとっても同じことだってちゃんとわかっている。」

「雅さんって普通の人間のようでもバンパイアハーフで猫又の寿命とほぼ同じだから

後に残される辛さは心配ないし。」

「寿命の長い、猫又、猫又ハーフ、化け狐、メゾバンパイアにとって、先立たれる心配

のないバンパイアハーフは優良物件なのよ。」

「美猫、あんたがしっかりしないと雅さんを私のものにしてしまうわよ。」

「何言ってんだよ、あたしがみやちゃんといいところでいつも邪魔するくせに。」

銀と美猫の睨み合いがいつ果てるともなく続いていた。

 

 

説明
121、美猫は呪いの人形で仲直り
122、銀は不憫な人形で遊ぶ
123、狼は定期預金で老後に備える。
124、化け狐は自在変化の夢を見る。
125、密教僧は猫又像を彫る
あらすじ世界観は快傑ネコシエーター参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定は快傑ネコシエーター2参照
魔力の強弱は快傑ネコシエーター3参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定2は快傑ネコシエーター4参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定3は快傑ネコシエーター5参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定4は快傑ネコシエーター6参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定5は快傑ネコシエーター8参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定6は快傑ネコシエーター9参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定7は快傑ネコシエーター10参照
キャラクター紹介一部エピソード裏設定8は快傑ネコシエーター11参照


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