咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜
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 咎を受けし御使いの最後の旅〜二人の御使いと二人の劉備〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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曹軍救出戦

 

 

 

 

 

 

 

 

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 虎牢関

 

 伝令兵「申し上げます!」

 

 一刀「どうした?」

 

 伝令兵「水関にて人外が大量発生、劉戯様以下三名が撤退して来ました。」

 

 一刀「それはケ艾に連絡したか?」

 

 伝令「は、すでに動いております。」

 

 一刀「そうか。下がって良いぞ。」

 

 一刀はそのまま伝令を下げると、拳を力いっぱい握りしめた。

 

 一刀「・・・連合めぇ・・・!!」

 

 静かに、そして怒気を含んだ言葉は空に溶け、その怒気による空気の揺らぎだけが一刀の周りに揺らめいた。

 

 一刀「総員、撤退して来る兵の受け入れ準備を急げ!劉北隊の真骨頂は支援活動だという事を他の隊に見せつけてやれ!!」

 

 劉北隊「「「「「応!!!!」」」」」

 

 一刀の掛け声で劉北隊の兵達は四方八方に散っていった。その手際は見事の一言に尽きるだろう。ある者は炊き出しの準備を、ある者は医務用天幕の設置を、ある者は装備の手入れをする為に工具を集め、そして各分隊長はそれを的確に指揮している。正しく救援専門、支援部隊の面目躍如である。

 

 一騎「一刀、順調そうだな。」

 

 一刀「一騎か。ああ、俺の部隊はあくまで支援部隊だからな。これぐらできなきゃ訓練兵戻りだ。」

 

 一騎「だな。さらに伝令が着いた。連合はほぼ袁紹軍と魔物の群れで形成されてるらしい。長安の方は馬騰が救援に来て、月達の撤退が終了したらしい。」

 

 一刀「一月ぐらい早いな。」

 

 一騎「後顧の憂いは無い。後は正面から迫ってくる愚か共の始末だ。」

 

 一刀「ああ・・・」

 

 伝令兵「申し上げます!」

 

 一騎「お前は確か・・・連合に潜ませていた。」

 

 伝令兵「ケ艾様、すぐに曹軍の救援に!曹軍全兵力残り6千、袁紹軍と人外どもに追われ、もはや死に体です!!」

 

 一騎「何!?」

 

 一刀「な!?一騎、行ってやれ。此処は俺達が防いでおく。」

 

 一騎「・・・アーチャーとセイバーを置いて行く。後の事は頼むぞ、一刀。」

 

 一刀「任せろ!」

 

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 水関から少し南南東に移動した平野にて、曹操軍と袁紹軍の戦闘が継続していた。

 

 その状況は芳しくなく、曹操軍は最早全滅を待つばかりとなっていた。

 

 華琳「く・・・春蘭と季衣、秋蘭と流琉が殿をしてくれてるとは言え、これはさすがにまずいわね。」

 

 荀ケ「華琳様!夏候惇隊、夏候淵隊壊滅。4人とも合流して来ました!」

 

 華琳「く・・・万事休すか。」

 

 二つの隊が壊滅したことで、曹操軍は総兵力2千まで激減、相手兵力は残り目測でも3万、人外2千と言う絶望的状況であった。

 

 それでも兵が逃げずについて来るのは、曹軍の精鋭たる誇りがあるからだろう。

 

 華琳「・・・こいつ等は私が相手をするわ。他の皆は陳留に撤退を急ぎなさい。」

 

 曹洪「お姉さま、それは駄目です。お姉さまなくして大陸統一はできません!」

 

 華琳「栄華、私は覇道を捨てたのよ。もう・・・終わりなの。」

 

 曹洪「お姉さま・・・」

 

 華琳「行きなさい!」

 

 夏候淵「それでは私達はお役御免・・・と言う事ですか?」

 

 華琳「・・・ええそうよ。さっさと行ってちょうだい。」

 

 夏候淵「分かりました。」

 

 夏候惇「秋蘭!?」

 

 夏候淵「でしたら私は勝手に華琳様を助けるために残らせていただきます。」

 

 華琳「秋蘭!?」

 

 曹洪「それは名案だわ秋蘭。お姉さま、私も残ります。」

 

 夏候淵と曹洪の言葉を皮切りに将達は皆残ると良い出したのだ。

 

 華琳「貴女達・・・本当に馬鹿よ。」

 

 華琳はそんな皆を見渡して諦めたようにため息をつく。

 

 華琳「分かったわ。脅威となるのはあの妖共よ。それを何とかかわせれば・・・」

 

 伝令兵「も、申し上げます!後方より三つ葵。しかし人外は攻撃を加えてない所を見るとこちらに攻撃を仕掛けてくる物かと!」

 

 華琳「及川が?虎牢関に向かった筈・・・そう、そう言う事なのね。下がって良いわ。貴女達はそれぞれの才覚を持って迎撃なさい。いい?出来るだけ付かず離れずで撤退。皆生き残りましょう。」

 

 全員「「「「「は!」」」」」

 

 こうして華琳達はそれぞれの戦場へと駆けだしていった。

 

 華琳「・・・往くわよ。」

 

 その光景を上空から眺める4人の人影があった。

 

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 一騎→一刀に一時変更

 

 

 一刀「・・・見た事の無い子が多いな。この外史は本当に面白い。そう思わないか?左慈、于吉。」

 

 左慈「そうだな。一刀。」

 

 于吉「ふふふ、一刀殿はあの子たちにも目を付けたのですか?他の方々が怖いですよ?」

 

 茶々丸「マスター・・・」

 

 于吉の言葉を聞き、茶々丸は一刀に白い目を向ける。

 

 一刀「まさか・・・もしもあの子たちがって言うなら俺だって吝かじゃないさ。だが・・・俺にとっては華琳が一番さ。茶々丸にも悪いとは思くけどね・・・」

 

 茶々丸「いえ、そこはもうあきらめています。マスターは二人きりの時は一番に思ってくださっているので十分ですよ。」

 

 一刀「はは、ありがとう。」

 

 于吉「それでは往きましょうか、私はあの軍師の護衛をすればよろしいですね?」

 

 一刀「頼む。」

 

 左慈「なら俺は夏候姉妹のいる方を当たろう。曹家の方は任せる。」

 

 一刀「了解だ。」

 

 茶々丸「では・・・アデアット。」

 

 茶々丸は一枚のカードを取り出すと、一つの呪文を唱える。その言葉に反応して、カードは近未来的な様相をした中口径ぐらいのハンドガンへと姿を変えた。

 

 茶々丸「マスター、準備が整いました。」

 

 一刀「ああ、『闇き夜の型』」

 

 一刀は闇の魔法・マギア・エレベアの闇モードになり、準備を整え華琳のいる方角へと飛び出していった。

 

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 曹軍後方、軍師及び護衛位置

 

 

 荀ケ「く・・・兵の数も残り僅か。どうしようもないじゃない・・・」

 

 徐晃「・・・お待た。」

 

 荀ケ「香風!?どうしてここに居るのよ!陳留は?」

 

 徐晃「ん・・・波才に乗っ取られた。」

 

 荀ケ「あんたなら吹っ飛ばせるじゃない!」

 

 徐晃「・・・民も一緒に。」

 

 荀ケ「な・・・つまり完全にしてやられたって事ね・・・香風、あんたは季衣、流琉と一緒に私の護衛をお願い。良いわね?」

 

 徐晃「任せて〜。どんな奴でも、吹っ飛ばすよ〜」

 

 荀ケ「・・・じゃあ、あれお願い。」

 

 ニーズヘッグ「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 徐晃「・・・いや、あれは無理。」

 

 荀ケ「なんでもじゃないじゃない!!!」

 

 ニーズヘッグ「シャアアアアアアアアアア!!!」

 

 二人「「う!!!」」

 

 二人はニーズヘッグの開いた口を見たとたん硬直し動けなくなってしまい、後わずかで食べられてしまう所に側面から鉄球と葉々がニーズヘッグに直撃、吹き飛ばしてしまう。

 

 許?「桂花、大丈夫!?」

 

 典韋「香風ちゃんも大丈夫?」

 

 駆けつけたのは夏候姉妹の副官許?と典韋だった。間一髪のところで助かったと胸をなでおろす二人だったが、ニーズヘッグはすぐに体勢を整えると4人に向かって動き出す。さらに後ろからはヘルハウンドとそれを率いてるであろうオルトロスが迫ってきていた。

 

 許?「うぇ!?さ、さすがにあの数は吹き飛ばしきれないよ!」

 

 典韋「まさか・・・此処までなの?」

 

 あわや異形の餌かと思えたその時、周囲の空間が歪み、男の声が響いた。

 

 于吉『いやぁ、さすがに貴女方に死なれたら私が北郷殿に殺されてしまいます。なので・・・『創』!!』

 

 その声が響くと同時に、地面からワラワラと土人形が姿を表して、ヘルハウンドの群れを押し止めることに成功、さらに大型の物まで現れてオルトロス、ニーズヘッグを足止めする。

 

 于吉「いやはや、間にあって何よりです。さて、色々仰りたい事は分かりますが今は私の後ろにお下がりください。なぁに、大丈夫です。私が来たからには貴女方には指一本触れさせやしません。そう、詰まる所の『此処は私に任せて早く行け』って展開です。」

 

 それは任せてはいけないフラグではなかろうか?兎にも角にも于吉は荀ケたちの前に立ち、多種多様な術を展開、人外、兵士問わず屠り抜いて行く。その光景は4人にとって異常な光景で言葉を発することが出来なかった。

 

 于吉は于吉で昔の血が騒いだのか、

 

 于吉「くははは、未熟者に生み出されし傀儡風情が調子に乗り過ぎですよぉぉぉ!!!」

 

 と、悪党さながらの台詞を吐いていたとかいないとか・・・

 

 実際此処まで進軍してきた敵はそれほど多くも無く、実質戦闘時間は一時間にも満たなかったのだが・・・そこはさすが(すごい的な意味ではなく)于吉と言わざるを得ないだろう。

 

 戦闘が終了し、于吉が荀ケたちに話しかけようとした時、彼女等も正気に戻り臨戦態勢を取る。当然の行動だが于吉としては面白くないので少しばかり遊んであげようと今度は完全悪役モードで彼女たちに接し始めたのだった。

 

 

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 曹軍夏候姉妹側

 

 左慈「・・・于吉を一人にして大丈夫だったろうか?それだけが心配だ。」

 

 左慈は姉妹の方に向かいながらぽつりとつぶやいた。腐れ縁故に彼の心配を、

 

 左慈「あいつ一人にすると何しでかすか分からんからな。抑え役がいないとそれこそ悪乗りする・・・ああ、あいつ等が心配だ・・・」

 

 している訳ではなく、于吉が余計なまねをしないかを心配していたようだ。その杞憂が見事に当たるのだがそれを左慈が知る由も無かった。

 

 左慈「ん?見つけたぞ・・・?こいつは、少しばかり厄介だな。」

 

 左慈は正面に夏候姉妹を捉えたのだが、彼女達が相手取っている者を見て顔をしかめた。

 

 左慈「まったく・・・とんでもない物を作りやがって。まだまだ小さいが“ヨルムンガンド”とはな。神話でも作る気か?」

 

 夏候惇『秋蘭、一気に決めるぞ!』

 

 夏候淵『ああ、姉者。我等の力を見せつけてやろう!』

 

 左慈は瞬時に戦闘態勢を取り、割り込むことにした。

 

 左慈「アホどもが、力の差ぐらい察せ。・・・と言っても無理か、武人の誇り・・・だったか?まったく余計な感情だ!」

 

 左慈はそのまま足に氣を集中させてとび蹴りを小型ヨルムンガンドを吹き飛ばす。

 

 夏候惇「な、なんだ!?」

 

 夏候淵「姉者、あそこだ!」

 

 夏候淵がヨルムンガンドが吹き飛んだ方向を指さすと、土煙の中から左慈がヨルムンガンドの首を“だけ”を持って現れた。

 

 左慈「お前達は馬鹿だろう。この蛇は成長したらこの大陸よりも大きく成長するんだぞ?さらに強力な毒を持っている。こんな風に・・・な!!!」

 

 左慈はその首を接近してきたオーガの肩に噛みつかせるとオーガはすぐに痙攣し、そのまま地面に倒れてしまった。

 

 夏候惇「な・・・そこまで強力なのか!?」

 

 夏候淵「・・・貴様は何者だ。」

 

 左慈「今はそんな事はどうでもいいが・・・とりあえず敵ではないと言っておこう。」

 

 于吉も于吉だが、左慈もこれまた誤解を生みやすい言動があるのは否めない。素直じゃない、ツンデレである。これで説明できるほどの存在である。

 

 左慈「さて、まずはこの哀れな人形どもを片づけなければな。」

 

 そう言って振りむいた先には、うつろな目をした袁紹軍の兵士と三つ葵の旗をなびかせた軍、そして小型の魔物の群れ、総勢1万の軍勢だった。

 

 左慈「お前たち二人は兵士を相手取れ、袁紹軍の兵は頭を狙うんだ。そうじゃなきゃ額の紋を壊せ。でなければそいつらは執拗にお前たちを狙うぞ。そこらの小物は俺に任せておけばいい。」

 

 夏候惇「その言葉を信じろというのか!」

 

 左慈「信じる信じないはお前たちの勝手だ。ただ俺はこいつらを倒し、お前たちを守るだけだ。でなければ俺が北郷に殺されかねん。」

 

 夏候淵「ほん・・・ごう?」

 

 左慈「聞きおぼえがあるか?だったらその答えを得るために戦え。一般兵はお前達でも容易に倒せる。さあ、来たぞ!」

 

 その叫びを聞いた夏候惇、夏候淵両名はそれぞれ武器を構えた。

 

 左慈「破!!!」

 

 左慈は氣を足に集中させ、今度は空に向かって振り抜いた。同時に数多の氣弾が空に舞い上がる。

 

 左慈「今日の天気は晴れのち・・・氣弾の嵐が来るでしょうってか?」

 

 チュドドドドドドドドドド

 

 それは魔物のみを的確に捉え、撃ち抜いて行った。一撃で一千ほどの小型の魔物はその姿を肉塊に変えていったのだ。

 

 夏候惇「はぁ!でぇい!!く、あの男は一撃で終わらせたというのか!?」

 

 夏候淵「疾ぃ!!・・・その様だ、姉者。我等も負けてられん。たかだか8千程度、屠り抜いて見せよう!」

 

 夏候惇「応!!!」

 

 姉妹は左慈の強さに感化され、我等も魅せねばと言う衝動に駆られていた。その意思に反して、武器は限界を迎えていたのだ。七星餓狼は中ほどで折れ、餓狼爪は弦ではなく持ち手の方が折れてしまったのだ。

 

 二人「「しまった!」」

 

 同時に壊れてしまった二人は大きな隙を敵に見せてしまう。此処で多少のずれがあったのなら互いに互いを補い、距離を取る事が出来たであろうが、不幸にも同時に起こってしまった。

 

 袁紹兵「コ・・・ロセ」

 

 及川兵「好機、覚悟!」

 

 片や異常な目をした袁紹兵、片や及川に心酔した賊兵、だがその二人の攻撃は吸い込まれるようにそれぞれの急所に吸い込まれていった。

 

 夏候惇「く!」

 

 夏候淵「すみません、華琳様!!」

 

 左慈「だから、お前らに死なれたら俺が北郷に殺されかねんのだよ。だから諦めてんじゃねえ。」

 

 グシャァ!

 

 左慈の蹴りは二人の兵の頭を的確に捉え、生々しい音と共にはじけ飛んでしまった。

 

 左慈「さてと・・・武器を失くした二人は俺の後ろから離れんじゃねえぞ。これが人の限界まで引き上げた力の“一端”だ。」

 

 左慈はそのまま地面に右足を強く押し付け、

 

 左慈「ふん!」

 

 と、力を込める。

 

 ズドン!!

 

 するとどうだろう。大地はひび割れ、その衝撃で転ぶもの、ひび割れに足を取られ身動きが取れなくなる者が続出する。

 

 左慈「まずは袁紹軍を消すか。」

 

 そう言って左慈はまた氣弾の雨を空に向けて打ち出した。その数は先ほどの比では無かった。

 

 左慈「俺は北郷ほど異常じゃないからな。止まってくれないとうまく狙いが定まらないんだ。」

 

 そうは言うが、動いている1千の魔物を一撃で全滅させるのも十分異常である。

 

 左慈「さて・・・お前らは“まだ”人間だ。だから選ばせてやる。此処で逃げるか。“消えるか”を・・・な。」

 

 左慈はそのまま及川軍の兵達に睨みつけると、それを直感的にまずいと感じ取った及川軍の兵達はそのまま撤退して行った。

 

 左慈「・・・ふぅ。さすがに魔物と人形を相手取ると疲れるな。」

 

 夏候惇「・・・貴様。」

 

 左慈「ん?おお、忘れてた。ひとまずは自己紹介しておこうか。」

 

 こうして左慈は無事夏候姉妹を防衛、保護に成功した。自己紹介をしつつ、戦闘が終わっている于吉のいる方角へと歩き出した。

 

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 曹軍華琳側

 

 

 華琳「はぁぁぁぁ!!!」

 

 華琳は迫りくる及川軍の兵を相手取り、絶を振るう。その刃は首を、ひいては魂を刈り取っていく。だが、それは焼け石に水だった。うじゃうじゃと集まってくる有象無象が彼女の体力と気力を否応にも削ぎ取ってしまうのだった。

 

 曹仁「こっちくんなッス!!この、とりゃ!」

 

 曹洪「寄るんじゃありません!この下男共!!」

 

 曹純「栄華お姉さま、言葉が悪いです。は!」

 

 華琳を中心に曹家4姉妹(従姉妹だけど)がその武を振るうも敵の数は一向に減る事が無かった。華琳の采配で何とか魔物との戦闘を回避し続けていたがそれも限界に達しようとしていた。

 

 オーク「ブフォ、ブフゥゥ。」

 

 サイクロプス「ぐぅぅぅぅ・・・・」

 

 ワーウルフ「グルルルルルル」

 

 大型三体が彼女達の元に近づいてくる、その光景にさすがの4人もたじろいでしまうのだった。

 

 だが、その進行がいきなり止まる。

 

 華琳「な、なに?」

 

 司馬懿「ふふふ、良い姿ですね。曹孟徳。」

 

 華琳「司馬懿!貴女よく私の前に姿を見せられたわね!!」

 

 司馬懿「あらあら怖いですね。ですが・・・それも此処までです。どうです?祐様の肉奴隷辺りになるのなら他の方々の命は助けて差し上げますよ?」

 

 華琳「絵に描いたような下衆ね。それを私が受け入れるとでも?寝言は寝て言えとはよく言ったものね。」

 

 司馬懿「そんな事を言って・・・そこの3人はどうとも思わないのですか?あなた達に死ねと言ってるのですよ?この女は。」

 

 司馬懿は華琳の返答に対し、曹仁、曹洪、曹純に揺さぶりを掛ける。

 

 曹純「貴女は分かっていません。私達はそれを承知で華琳お姉さまに付きしたがっているんです。」

 

 曹洪「その通りですわ。あのよう下男にお姉さまが肌を許すとでも?馬鹿も休み休み・・・いえ、休んででも言わないでいただきたいですわ。」

 

 曹仁「えっと・・・肉奴隷ってよく分からないッスけど、碌なことじゃないのは分かるッス。それをさせる訳にはいかないッス!」

 

 3人は何を世迷言をと言わんばかりに反論。その返答に予想通りの反応と言わんばかりにため息をついた司馬懿はそのまま魔物に攻撃の命令を下す。

 

 司馬懿「なら、この人外どもに犯されて死になさい。祐様の言う所の異種姦と言うやつです。ご愁傷様、気に入ったのなら差し上げますが?」

 

 司馬懿は有ろうことか最低な命令を下した。その命令に3匹はそのまま動きだす。

 

 司馬懿「一体足りませんね・・・そうですね、でしたら土人形なんてどうでしょう。さぁさ、現れなさい。魂は無く、唯命ずるままに動く土の王。」

 

 その言葉が発せられると、地面から3匹とは比較にならない大きさの土人形が現れる。もちろん、“それ用”なので下にはおぞましい“モノ”も付いていた。

 

 華琳「最低・・・ね。」

 

 司馬懿「くくく、あははははは!さあ、喘ぎ、悶え、苦しみ、そのまま果てなさい!!!」

 

 その叫びと同時に3匹と1体は華琳達めがけて走り出していた。

 

 華琳「く・・・」

 

 華琳は最早走る体力すら残っていなかった。

 

 曹純「あ・・・」

 

 華琳「柳琳!!」

 

 一番前に居た曹純にオークが手を伸ばす。有ろうことか敵を叩き潰す武器を放り投げて。当然と言えば当然だ。命令は“犯す”ことなのだから、手がふさがってはやるにやれない。まあ、武器を持っていようが持っていまいが“彼”にとって差異は無いのだが。

 

 一刀『下衆すぎやしないか?クソ((女|あま))。そして、クソ豚。俺がそれを見逃すと思っているのかよ。』

 

 突如、曹純の影から出て来た手がオークの伸ばした手を掴み抑える。

 

 曹純「え!?」

 

 一刀「よう、楽しそうじゃねえか。俺も混ぜてくれ。まあ、女の初めてを奪う血は今は良い。貴様等の薄汚い血を雨にして海に変える方がウン億倍楽しそうだからな。」

 

 オーク「ぶぉ!?ぶおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 オークは瞬時に一刀が“ヤバイ”存在と察し、その腕を振りほどこうともがく。だが、それは予想に反してすぐに振りほどけた。否、確認した腕が存在しない。それは一刀の手に掴まれ、先ほどの位置から一切動いていなかった。

 

 一刀「大丈夫か?嬢ちゃん。もう大丈夫だからな。」

 

 一刀は出来うるだけ怖がらせないように優しく語りかける。顔こそ笑っていないものの、その言葉に安心感を覚えた曹純は完全に地面にへたり込んで動けなくなってしまった。

 

 一刀「さて・・・ここから先は一歩も通さない。彼女達には指一本触れさせない・・・覚悟しろよ?この俺に“矜持を捨てさせた事”を後悔させてやる。」

 

 すぐに一刀は呪文詠賞を開始する。傍から見ていればぶつくさ言ってるようにしか見えない。知識の無い物にはそう見える故に目の前で詠唱しても一切合財問題無い。

 

 一刀「オ・ルラク・ラ・ラック・ライラック。契約に従い、我に従え、氷の女王。疾く来たれ、静謐なる、千年氷原王国。咲き誇れ、終焉の白薔薇。固定、掌握、魔力充填。『術式兵装』!!“氷の女王”」

 

 その呪文と共に一刀の体が変化を始める。歳を重ねたその体が若返り、その体に“女性物の衣服”が纏い、髪が長くなり、明らかに女性の格好になったのだ。周囲にはダイヤモンドダスト現象が起こり、地面すら凍りついて行く。

 

 一刀「この格好って本当は晒したくないんだよ。だって、女装だろ?だけど俺の知るなかでこれが一番“周囲を一掃するのに”向いてるんだよ。」

 

 そう言うと一刀は右手を敵集団に向けて言い放った。

 

 一刀「凍り、砕け、串刺しになり、見るも無残な惨状を俺の前に晒せ。」

 

 刹那、無数の魔法の射手や氷柱、凍てつく爆発や、吹雪が吹き荒れた。

 

 司馬懿「く・・・な、何が起こって。奴は確か沂水関に居た化け物!!」

 

 かろうじて氷結界の外に居た司馬懿はその攻撃を運よく当たらずに済んだのだが、その光景に恐怖するしかなかった。そして、すぐに周囲の兵や、魔物に物量による突撃を命じ、その姿は霧のように書き消えてしまった。

 

 茶々丸「まったく、マスターは私の出番を奪い過ぎです。」

 

 背中のブースターを噴かせながら茶々丸が突撃して来る集団の正面に立つ。

 

 茶々丸「広域殲滅は私の仕事なのに、マスターは私を虐めるのが本当にお好きですね。ですが、いやでは無いのが困りものです。」

 

 そう言いながら茶々丸は銃を構え、ぼそりと言葉を発した。

 

 茶々丸「エクスキューショナリードライバー。・・・・・・シュート。」

 

 キュゥウウン

 

 広域殲滅と言う言葉や、技の名称とは裏腹に静かな音を立てて光の筋が敵中央に照射された。それを眺めていた4人は何の事かと首をかしげたが、次の瞬間、敵集団がまばゆい光と共に消滅した。その後に唯でかい轟音と、爆風が彼女達を襲ってきたのだ。

 

 ドォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 一刀「まったく、少しは加減してほしい物だ。防ぐこっちの身にもなってくれ。」

 

 いつの間にか普通の姿に戻っていた一刀(後遺症で少しの間若いまま)は4人の前に出て物理障壁を展開して彼女達の被害を軽減する。それを持ってしても風と轟音による振動が伝わる辺り、茶々丸の攻撃は一瞬の爆発力だけで言えば一刀を越えるかもしれない。と一刀自身が語っていた。

 

 茶々丸「すみませんマスター。つい目の前のごみに感情が制御しきれず・・・殲滅、いえ、消滅、いやいや、無くして?しまいました。」

 

 一刀「確かに・・・あれは無に還したって言っても過言じゃないからなぁ・・・」

 

 一刀と茶々丸はそのままかつて大軍団が存在したであろう場所に目を向けて語りあっていた。そこに華琳が歩み寄り一刀に話しかけた。

 

 華琳「・・・一刀、よね?」

 

 一刀「・・・・・・ああ、久しぶりでいいのか?華琳。凪からは記憶が無かったと聞いていたが!?」

 

 だが一刀の言葉は最後まで紡がれることが無かった。華琳が一刀の胸に飛び込んできてしまい、受け止めるしかなかったのだ。

 

 一刀「・・・ふぅ、ただいま。華琳。」

 

 華琳「おかえりなさい、一刀。」

 

 短い一言、それでも二人は通じあった。それだけで十分なほどに・・・

 

 華琳「十分じゃないけどね!」

 

 一刀「いたたたたたた!?」

 

 華琳はそのままの格好で一刀の背中の肉と、脇腹の肉を同時に抓りだした。

 

 一刀「華琳さん!?それはシャレにならない!背中はともかく脇腹はシャレにならないぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 感動の再会が一転、かつて一刀がいた魏の日常の様な光景がそこにはあった。

 

 茶々丸「・・・マスター、とにかく左慈さんと于吉さんと合流いたしませんと。」

 

 一刀「あ、ああそうだった、そうだったね。だから抓るのやめてもらえませんか華琳様ぁ!?!?」

 

 華琳「・・・仕方ないわね。」

 

 物足りなそうな華琳はしぶしぶといった様子で一刀から離れ、于吉のいる方へと歩き出したのだった。

 

 道中、華琳は一刀の隣から一向に離れようとせず、曹洪は一刀を睨み、曹純は一刀を見て頬を僅かに染め、曹仁は茶々丸にじゃれながら「それは何すか?見せてくださいッス!」とせがんでいた。

 

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 合流地点

 

 

 一刀「さて、と。左慈、于吉、ご苦労様。助かった。」

 

 左慈「ふん、礼なら唐揚げで許してやる。」

 

 于吉「左慈、貴方から揚げ好きですね・・・」

 

 左慈「北郷の唐揚げは外史一だ。」

 

 于吉「あの左慈が・・・皮肉なしに褒め称えているです、と?」

 

 一刀「珍しい光景だな。」

 

 華琳「一刀!説明なさい!!これはどう言う状況なの?あの力は何?貴方、地面から出て来たわよね!!」

 

 一刀「それはおいおい説明する。今は被害状況の確認・・・する必要もない位すっきりしてるけどな。」

 

 周囲を見渡す一刀、そこには動く物が一切ない死の大地。あちらこちらに肉塊が飛散し、有る所は夏にも関わらず、氷の大地が広がり、そのすぐそばには焦土が広がっていた。

 

 華琳「ええ、全滅よ。曹軍も袁紹軍も及川軍も。生き残ってるのは私達だけ。さあ、説明してもらおうかしら。」

 

 一刀は華琳にだけは誠実で有りたい故にすぐに外套を取り出し、こう語りだした。

 

 一刀「ではまずは落ち着くところに案内するよ。おいでませ、我が邸宅に。」

 

 そう言って外套を翻すとそこにはもう誰もいなかった。

 

 

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 あとがき

 

 

 ああ・・・ついに人相手に使ってしまったよ。でもいいよね?俺此処まで我慢して、頑張ったよね?勿論これからは自重するよ?さすがに数万対数千をひっくり返すには人外の力は必要・・・でも無かったか?氣の技で何とか・・・いえ、神話の化け物すら出て来たので大丈夫だと思いたいです。

 

 とまあ良い訳はこのぐらいにして・・・及川凌辱桂好きなの?

 

 及川「そんなわけあるかあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 一刀「寮の部屋の机の引き出しの二重底の下の段に入ってる妹系のエロゲのディスクを特殊加工したB面。」

 

 及川「何でしっとるん!?」

 

 いや、エロゲB面って・・・どうやって作ったんですか?

 

 及川「それは気合の成せる技やでぇ。」

 

 一刀「その中のコード入力画面で特殊コードを入力すると出てくるCGがこれまたヤヴァイ。」

 

 及川・・・お前って奴ぁ・・・

 

 及川「なあかずピー・・・ほんまなんで知っとるん??」

 

 一刀「及川・・・俺の目はごまかせんぞ。お前との付き合いがどれだけ長いと思ってるんだ?」

 

 及川「・・・せやったな。かずピーに隠し事はできひんな!」

 

 ・・・見つめ合ってる所悪いけど、あそこで筆を走らせてる二人は放置で良いのかい?

 

 

 

 

 ??「はわわ、ネタが目の前に!!」

 

 ??「あわわ、湯水のように湧き出る妄想!!」

 

 シュババババババババババ

 

 二人「「完成!『二人の御使いと二つの秘め事〜君の秘密の穴を僕に捧げて〜』!!!!!」」

 

 

 

 二人「「すぐに屠ってくる(で)!!!」」

 

 ・・・あ、逃げた。すげえな、文系の底力って、あの二人から逃げられているぞ。

 

 パサ

 

 ん?何々?『作者の俺に掛かれば良いおのこの穴はやりたい放題』・・・・・・サテ、アノフタリドウシテクレヨウカ?

 

説明
長くなってしまった。
語ることは特にないが曹操軍救出戦である。
では本編どうぞ
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北河静さん<足して二乗してそのまま割ると思いきや倍にした的な? 一刀「言い過ぎだと・・・いいなぁ」(ユウヤ)
曹洪は難しそうだよなー。桂花と華琳足した感じだし(北河静)
黒鉄刃さん<?「あの二人が追いかけられてるうちに新作を売り込みに行かなきゃ!」 ??「まだ仕事があるんだが、どこに行く気だ?」 ?「きゃわわ!?ちょ、ま、そんなせっしょうな〜〜〜!!!」(ユウヤ)
叡渡 さん<曹洪だけどうするか迷うわぁ・・・華琳より実は難易度高いんだよねぇ(ユウヤ)
あかさん<思い出したとたん春蘭に追いかけまわされることしか想像できない・・・どうすっかなぁ?(ユウヤ)
朱里&雛里超逃げて!!(えっ?(黒鉄 刃)
華琳やっとあえたね。おめでとう。夏候姉妹も速く思い出して〜〜〜(あか)
タグ
恋姫†無双 咎旅 一刀 華琳 

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