ガンプラビルダーズ ジャンカーズ 第5話
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「オレは。こいつを。」

レッドフレームのデュアルアイが点滅している。

「さすがにもう終わりだろ。」

「あの人かわいそう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「狼・・・狼!まだだ・・・まだ終わってないぞ!」

色んな声の中から誠二の声が聞こえた。

声が聞こえたほうを見ると誠二とおばさんがこちらを見ていた。

相手の男がなにかいっていたが、頭に入ってこない。

 

「狼!そんなのさっさと終わらして帰って治してやろうぜ!」

誠二が大きく言い放つ。

「今のお前の気持ちに、俺が同情や励ましの言葉言う権利はないかもしれない。でも、俺にはお前に、動く最高のレッドフレームを見せてやりたかった。だから、だから。」

 

誠二・・・。

 

叔母さんのほうに目をやる。

叔母さんはただこちらを見つめていた。ただ、その目は光っているように見えた。

 

狼の消えた感覚が熱くなっていく。

「狼!俺も手伝ってやる!そんな奴とのバトルはさっさと終わらせて、レッドフレームをもっとかっこよくしてやろう!」

まだ心の整理はできなかった。

でもただひとつ

たったひとつだけ整理が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「壊れたら、治してやるからな。」

 

 

 

初めてここに立ったときに決意した言葉を思い出した。

壊れるなら治してやればいい。今以上にかっこよくしてやればいい。

「そうさ、治してなるんだ・・・」

狼は今まで以上に手に力が入るのが分かった。

その決意に答えるように、レッドフレームのデュアルアイに命が吹き込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「この戦いを終わらせて、治すんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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狼の放った言葉が観客席へと響いた。

「え?あいつまだやる気か!?」

「おいおい、あの状態じゃボコボコじゃねぇか?」

「いいぞ!最後までやっちまえ!」

「そんなやつ倒してやれー!」

いつのまにか観客は、狩られる狼を哀れむ声から応援する声へと変わっていった。

「狼!お前の最高のレッドフレームを、みせてやれ!」

「狼!」

 

「俺は、お前を倒す・・・!」

その瞬間、レッドフレームのフライトユニットの項目とカレトヴルッフの項目が光った。

「フライトユニット・・・これだ!」

 

ヅダは、レッドフレームにトマホークで切りかかる。

「オレはお前をゆるさねぇ!」

レッドフレームのフライトユニットについていた燃料タンク型ウイングを着脱した。

それと同時に後方へと下がる。

 

ヅダはウィングが邪魔になりレッドフレームを切り付けられず、ウィングを斬る。

燃料タンクになっていたウィングはその場で爆破する。

しかしヅダは颯爽と煙幕から身を乗り出しレッドフレームに襲い掛かる。

 

 

 

 

 

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「オレは負けねぇ!お前みたいなやつには!」

後方に下がると同時に背中にマウントしていた出来立てのカレトヴルッフを握る。

レッドフレームの右腕に持つカレトヴルッフが大きな剣から姿を変えた。

 

中型のライフル。

 

狼は右腕にライフルとなったカレトヴルッフを持つ。

ヅダは牽制でバルカンを撃ちながら距離を取る。

「ライフルに換装する気だ!狼!距離を詰めろ!」

「もうにげねぇ!」

全速力でヅダを追う。

 

ヅダの土星エンジンのスピードに追いつく。

「すげぇ、ヅダのスピードにおいついてるぞあのレッドフレーム」

「もしかして破損したことで機体が軽くなった・・・とか?」

 

しかしヅダが追いつくことを想定してトマホークを構えた。

カレトブルッフについていたナイフをとっさに切り離してボロボロの左手に持ち、ナイフでトマホークを受け止める。

 

 

 

 

 

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「いけぇ!狼!」

「いっけぇぇぇ!」

狼が意気込みレバーを押し込む。奥へ。奥へ。

ヅダのトマホークにビルドナイフがめり込んだ。

「切れ味なめんじゃねー!」

塗装こそはしていないが、刃の部分をやすりそうとう薄くしていたのだ。

 

レッドフレームの手がガタガタ震える。損傷した腕に全力のパワーが注ぎ込まれ、限界が来ていた。

「見せてやろうぜ。俺たちの力をよぉ!」

メキメキと左腕にヒビが入っていく。

 

 

「な、ばかな!」

ヅダの操縦者の焦る声が聞こえる。

ヅダがレッドフレームを蹴り飛ばす!

「しま!」

誠二が声を漏らす。

 

激情したヅダの操縦者は対艦ライフルに切り替えようとする。

「させるかよ!」

レッドフレームがビルドナイフをヅダめがけて投げる。

その瞬間左腕が完全に壊れてしまう。

 

ヅダは対艦ライフルを構えるが、遅い!

レッドフレームのフルパワーで投げられたナイフがヅダのライフルに突き刺さる

その衝撃でヅダは対艦ライフルを落としてしまう。

 

「ご自慢のライフルはもう使わせねぇぞ!」

一転攻勢だった。

「これでおわりだぁ!」

狼は一気にヅダに近づき、カレトヴルッフを一気にヅダのおなかにあて、トリガーを引いた。

それと同時にヅダは崩れ落ちる。

 

 

 

 

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はぁ・・・はぁ・・・

まるで自分の体で戦っているようだった。

レッドフレームの左腕がきしむたびに痛みがあるかのような錯覚。

これがガンプラバトルなのか。

勝敗が決まるのは一瞬だった。

 

試合終了の音を告げるアナウンスと共にテロップが現れた。

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「勝者:相羽狼」

 

説明
ケッチャコ
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コメント
W-ネームレス様>>こめんとありがとうございます。楽しんでいただけたなら幸いです。(メガドライブ)
一気読みしました。すげぇ熱くて泣けてきそうなバトルでした(W-ネームレス)
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ガンプラ ガンダム ガンプラビルダーズ 

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