真・恋姫無双 雌雄の御遣い 第六話 |
〜鞘華視点〜
私達の次の目的地は東に向かって天水
此処はあの董卓が治めていると聞く
是非とも会ってみたい
一君も同意見だ
愛紗や静里は何故そこまで、と言うような感じだ
私や一君は元居た世界の歴史の知識があるからそう思うが愛紗達にしてみれば一領主でしかない
私達が熱心に勧めるので反対する理由も無いから納得してくれた
天水に到着する少し前から私は体調不良になって来た
隠しているので気付かれてはいないが風邪をこじらしたような状態になっていた
天水に到着しての感想は国の端に近いのにそれなりに活気がある
つまり、董卓は悪政をしていない可能性がある
これは、正直意外だった
一君も同じことを思っているようだった
天水の城に行き、衛兵に
「俺の名前は北郷一刀、城主董卓殿にお会いしたい」
一君が伝えると
「北郷?たしか涼州で村を救ったり、五胡撃退に力を貸した・・・
しかし、う〜ん」
門番が迷っている
私達の噂は聞いているが取り次いで良いものか判断しかねている
「どうしたの?」
門番の後ろから現れた釣り目、眼鏡の娘が話かけて来た
「それが・・・・」
門番が説明すると
「成る程、あんた達が噂の『天の御遣い』であったとしても素性の知れない者である事は変わらないわ
そんな人物を城主の董卓に会わせる訳にはいかないし、その理由も無い
さっさと帰りなさい」
そう言うと踵を返して、城の中に入って行った
〜一刀視点〜
一方的に言われて少々頭に来たが
「一君、仕方ないよ」
鞘姉に言われて引き下がる
翌日、俺達は天水を出立した
東へ向かっていた所で軍が野盗を討伐している所に遭遇した
俺達の場所は小高い丘の様になっていたので戦場の様子がよく分かった
軍が押してはいるが数が違う為、てこずっている
野盗の方は後方で首領らしき男が指示を出していた(喚いていただけともいえる)
「俺達が後ろから行って、あの首領を討ち取るか」
「そうですね」
「それがこの戦いを早く終わらせる最善の手です」
「・・・」
愛紗と静里は賛成してくれたが鞘姉が無言だ
「鞘姉、気になる事でもある?」
俺が訊くと
「ううん、ごめん ちょっとボーとしてただけ」
慌てて言う
俺達は野盗の後方へ突撃した
野盗は前方に気を取られ、更には戦力を集中させていた為後方は手薄だった
そこに俺と鞘姉と愛紗が攻撃を仕掛けて来たので混乱し、首領の所に迫って行った
首領の右側から来る敵を俺が、左側から来る敵を愛紗が抑える形になり首領の相手を鞘姉がする形になった
「くっ」
鞘姉の動きが鈍い
俺はそこで初めて気づいた
もっと早く気付くべきだったが後悔先に立たず
鞘姉が苦戦しているが、俺も愛紗も目の前の敵が多くて加勢に行けない
どうしたら・・・
〜鞘華視点〜
体が重い 頭がふらつく
この状態で首領との一騎討ちは辛かった
体調が万全なら負ける相手ではない
だが今の状態では持ち堪えるだけで精一杯
「そら、そら、そら」
敵の首領は調子に乗って攻めてくる
その攻撃を何とか凌ぐが、このままだと苦しい
「そろそろ、止めと行くぜ」
強烈な一撃が来る と思ったら
「阿呆が、こないに混乱しとったら前方のうちらの軍がてこずる訳ないやろ
うちが丹精込めてしごきまくった奴等なんやから」
関西弁のさらしを巻いた女性が敵の首領を討ち取っていた
敵は首領を倒された事で戦意喪失し、逃走した
「鞘姉、大丈夫?」
一君が駆け寄ってくるが、私はそこで意識を手放した
〜一刀視点〜
「この近くに村は?」
「東に一里も行けばある 天水に行くよりそっちの方が近いやろ」
俺は鞘姉を馬の前に乗せて急いで村に向かう
「あ〜、ちょっと待たんかい」
指揮官が追って来るが無視して走る
村に到着して、手ごろな宿屋に鞘姉を寝かせて医者を呼びに出るが
「この村に医者なんかいねえよ」
迂闊だった この時代、医者の数は少ない
無医村なんていくらでもある筈だ
悔しがっていると
「お〜い 話を最後まで聞かんで走り出すんやない
この村には医者なんかおらん だから ほら」
と言って袋を渡してくる
「さっきの戦いの礼や 華佗に処方してもろうた薬や
活力の薬って言うとったで、あの嬢ちゃんが過労とかなら効くやろ」
「ありがとう」
鞘姉に薬を飲ませ、急いで外に出る
指揮官はまだいた
「改めてありがとう」
「わざわざ、礼を言いに戻って来るとは律儀なやっちゃ
さっき言った通り、戦いに加勢してくれた礼や」
くだけた口調で話す指揮官に力が抜ける
「しかし、あんた結構強いやないか
名前訊いてもええか?」
「俺の名前は北郷一刀 字と真名は無い」
俺の名前を聞くと
「北郷?たしか東の方に降り立ったいう『天の御遣い』が・・・」
俺が頷くと
「成る程な、眉唾もんと思っとたが実力はある ちゅう訳か
うちの名は張遼や」
彼女が張遼か 丁度いい
「貴女は董卓殿に仕えているなら董卓殿の人となりを教えて欲しい」
「うん?変な事聞きたいんやな
まあ董卓は見た目は可憐な娘や でも結構芯が強い
で、多くの家臣に慕われとる」
悪逆非道の董卓の印象からは程遠い人物のようだ
「じゃ、またな〜」
張遼は去って行った
俺は鞘姉の付き添いを静里と愛紗に任せて買い出しに出かけた
〜鞘華視点〜
私が目を覚ますとそこは知らない部屋だった
「鞘華様、目を覚まされましたか」
愛紗が部屋を飛び出して行く
「一刀様〜鞘華様が目を覚まされました〜」
叫びながら廊下を走って行く
そして静里から私が気を失ってからの事を聞いていたら
「鞘姉、食事 持ってきたよ」
一君が食事を運んで来てくれた
見た感じ消化の良さそうな料理が3品程
空腹を感じていたのでそれを食べる この味まさか・・
「一君、これ一君が作ったの?」
この味は私が一君に教えた私の家の味付け
私がばあちゃんや母さんに料理を教えられていた頃、一君も習いたいと言い出した
幼い時なので、姉同然の私と同じ事をしたかったのだろう
ばあちゃんと叔母さん、私の3人で一君に料理を教えた
その味付けなのだ
「うん、食べ慣れた味の方が良いかと思って材料を買って厨房を借りて作った」
事も無げに言うがその心づくしが心底嬉しかった
3日後、私は全快し次の目的地へ出立した
〜あとがき〜
2つ目の目的地は天水でした
月には会えませんでしたが致し方ないかと
鞘華は女の子なので心労等で倒れてしましました
一刀が料理を出来ると言う設定を勝手につけてしましました
こういうシュチエーションもいいかな〜と思いまして
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
説明 | ||
第二の目的地に着いた一行 |
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コメント | ||
詠よ、お前のそういう態度が敵だけでなく味方にも「不快感」と「嫌悪感」を抱かせるんだぞ。(劉邦柾棟) いや、一刀は意外と料理上手ですよ?華琳も驚くくらいには。原作でもかなりの食通で食に関する知識は豊富ですし、不恰好だが中華包丁で桂剥きも出来る。それにしても詠、やっぱりか。お前さんが月を守ろうとする気持ちはわからないでもないが、過保護もいいところだよ……言ってることは間違ってないが、せめて相手を見極めるとかくらいはしたらいいと思うよ。(Jack Tlam) |
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