『機動構造物破壊請負人』事件・第1話 黒いスナイパー
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 ガンダムビルドファイターズ最終話から5年後のある日…

 

(とある模型店)

 

 その模型店のバトルシステムの片方には、いかにもお金持ちで性格悪そうな中学3年の男子学生、だがその割に相当“高級感とプロのような完成度を誇るガンプラ、PGのストライクフリーダムガンダム”、その取り巻きだろう2名の“この男子学生のおこぼれだろうが、やはり完成度がいやに高い、MGのνガンダムと、MGのZガンダム”がセットされていた。

 

 そして、おそらく、いじめられているのだろう、物静かそうな中学1年生の男子学生の、普通に組まれたHGUCジム改、そして、その男子学生の友達2名の、やはり普通に作られたHGUCザクU2機が、3機ともに瀕死の状態で、宇宙空間のステージのオブジェであるアステロイドにたたきつけられた状態で、バトルエンドを待っている状態だった。

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五路月(ごろつき。中学3年生の男子学生):おやおや〜、まだオレ、スーパードラグーンも使ってないのに、もう、君たち、瀕死なのぉ?

鳥巻(とりまき。五路月のとりまき):ボクも、フィンファンネル使って無いっすよ〜♪

下葉(したば。五路月のとりまき):オレ! オレっすよ! オレのZガンダムのハイパーメガランチャー数発で、あのざまっすよ! オレっすよ! オレ!

 

五路月:わかったわかったって、後でオレのお古の、セミプロに10万で作らせた“MG 百式ver.2.0”、やるって

下葉:やったー!!

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 そのような会話がされているガンダム3機の片方で、腕がもげ、頭部が吹き飛び、もはや攻撃手段すらない状態でアステロイドベルトにたたきつけられている、HGUCジム改、ザクU2機を操るビルドファイターである、中学1年の3名の男子学生”白井(しらい)”、”灰原(はいばら)”、”赤戸(あかと)”が、バトルシステムのビルダーエリアで、悔し涙を流していた。

 

白井:う・・・く・・・・お、おまえら・・・・自分で・・・作ってない・・・ガンプラで・・・・当てつけのように・・・・絶対勝てる相手を・・・・無理矢理ガンプラファイトに引き込んで・・・・・

五路月:おやおや〜? 俺たちは“ガンプラファイター”であって、“ガンプラビルダー”じゃねーぜ? 操縦者が“作る事もやらないといけない”ってルールは、確か、ねーよな?

 

灰原:セミプロに・・・・大金をつぎ込んで作らせた完成度の・・・・・PGやMGの・・・・強いガンダム系を使って・・・・なにを偉そうに・・・・

鳥巻:あらあら〜? ビルドファイターがそんな事言っちゃって、いいんすか? ガンプラバトルは、勝負の世界だぜ? 特に作る方もやっているキミ達が“負ける”ってのは、どちらの意味でも“力が至らない”って事なんじゃねーの?

 

赤戸:おまえら・・・・さっきから使ってる攻撃・・・全部、高価な改造パーツのとか・・・強力な武器攻撃だけで・・・・まともに・・・・バトルしてないじゃないか・・・

下葉:そういうのを“負け惜しみ”ってーの! 強いガンプラ使って、戦って勝つ、なにか文句ある、あ〜?

白井:お・・・・おまえ達が・・・・選手権とか・・・・そういう公式に出場したところなんて・・・・見た事ないじゃないか・・・・

五路月:そんなの、オレ達の自由だってーの! おまえ達みたいな、“弱いヤツ”に、圧倒的な力で勝つ、いやースカッとするね〜♪

 

白井:・・・・・・”タツヤ”も・・・・・同じ目にあわされていたよな・・・・・自分の宝物だったガンプラ・・・・オリジナルの高機動型ザクUを・・・・修復出来ないまでにぼろぼろにされて・・・・・あれからガンプラバトル・・・・僕たちともしてないし・・・・学校には来てるけど・・・・模型屋には姿を現してないし・・・・

五路月:あー、あのザクか。弱かったなー、あれ! このストフリのフルバーストでボコってやったぜ。あいつ、中学生にもなって、ボロボロ泣いてやんの! 最後になんか睨み付けてやがったが、所詮、負け犬の遠吠え、ガン無視してやったぜ、へへ〜♪

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鳥巻:五路月さん、もういい加減、とどめ指しちゃいましょーや! オレのνガンダムのフィンファンネル、うずうずしてるらしいし〜♪

下葉:オレっちのZもさ、そろそろとどめ指したいって言ってるんですよ〜♪

 

 そういうと、3機のガンダムの、“スーパードラグーン”、“フィンファンネル”、“ハイパーメガランチャー”の銃口の先が、ジム改、ザクU2機の方に一斉に向いたのでした。

 

五路月:んじゃ、やるか! また次の弱いヤツ、見つけて遊びたいしなぁ〜、それでw

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 バシュン!!!!

 

 その刹那、鳥巻の“MG νガンダム”が、どこから飛んできたかわからない、ビーム砲の直撃を受けて、『蒸発』、した。

 

鳥巻:あーーーーー、オ、オ、オレの20万のνガンダムが・・・・黒い・・・プラの塊に・・・・・

 

 そのビルドファイターエリアから聞こえて来た絶叫に驚いて、五路月は、“バトルシステム”を呼び出し、“モード”を確認した。そこには、

 

 『全員MAXダメージモード』

 

 と、書かれていた。

 

五路月:ちょ・・・ちょっと待て! 確かオレは、“相手のみMAXダメージモード”にしていたはずだ! こっちには、あのビーム砲の直撃でも、黒い塊になっちまうようなガンプラへのフィードバックはないはz

 

 バシューーン!!!!!

 

 次に『蒸発』したのは、下葉のZガンダムだった。

 

下葉:ぎゃあああああぁあぁあぁぁぁ!!!!!! オレの! オレの30万のZガンダムも! 黒い塊にぃぃぃぃ!!!!!

 

 五路月は冷や汗をだらだら垂らしながら、システムのログを睨み付けていた。

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五路月:あのジムどもは、何もしていない・・・・・ビルドファイター自身にも、なんの行動も無かった事は、オレが目で確認している・・・・なのに勝手にモードが変更された上、知らない場所からのビーム砲の攻撃・・・・しかも、2発で2機蒸発・・・・。絶対、システムがハッキングされているはずだ・・・誰だ! こんなふざけたマネをしやがったヤツは・・・・・

 

 五路月の“保身の感”は、半分当たっていた。

 

五路月:い、いやがった! 他場所の単独バトルシステムからネット経由で、ココに不正アクセスして、バトルに介入しやがったヤツが、1機だけいやがった!

 

 五路月は更にログを読み進めた。

 

五路月:ビルドファイターの名前は・・・・くそ!! やはり『Unknown』かよ!! じゃあ、機体は何だ!!

 

 画面のログには、こう表示されていた。

 

 『MSD-666ミスティネン・アシア』

 

五路月:ミ、ミス・・・くそ! しらねー名前だ! スマホで翻訳してやる!

 

 五路月は片手を離して、スマホを手に持ち、翻訳アプリに“ミスティネン・アシア”と入力して、多言語一括翻訳を起動した。すると、すぐに答えは出てきた。

 

ミスティネン アシア:”Mystinen・Asia”=【フィンランド語】:”得体の知れない物”

 

 五路月の流す冷や汗は、大量の脂汗に変わっていた。ワルの感でわかっていた。

 

 「こいつはたぶん、ヤバイヤツだ」

 

 そして、

 

 「次は・・・・・オレだ」

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 それは確実に当たっていた。五路月は恐怖におののきながら、それでもストフリのモニターから本来見えるヴィジョンに目を移すと、見える位置に、『黒いMS』、が1機、たたずんでいた。

 

ミスティネン・アシア:・・・・・・・・

 

 五路月の目は、その“黒い異形のMS“を睨み付けていた。ワルにも”意地がある”。

 

五路月:この・・・・”100万でセミプロに作らせたPGストフリ“を・・・・蒸発なんて・・・・黒い塊になど・・・・させてたまるk

 

 だが、その強がりは、既に遅かった。PGストフリの周りには、無数の“キュベレイのファンネル”が取り囲んでいて、発射態勢になっていた。動けば、間違いなく、“最大ダメージでの蜂の巣”、だ。

 

 ギュン!

 

 その黒いMSの異様に長い“スナイパーライフル”の銃口は、無慈悲にも、PG ストフリの方に向かれており、ファンネルもそのままだった。

 

 五路月は、もう、プライドを捨てたのだった。

 

五路月:ま、待ってください! 話を聞いてください! このPGストフリ、オレの宝物なんです! 100万するんですよ! 100万! コレが黒い塊になっちゃうなんて、もったいないと、思いませんか? そ、そうだ! あなたの場所を教えてくれたら、オレの2番目に大切な、80万のナイチンゲール、上納させていたd

 

 バシュン!!!!!!!!!

 

 ミスティネン・アシアの“バスタースナイパーライフル”は、なんのためらいもなく、PGストフリの胴体にビーム砲をたたき込んだ。

 

 バシュ!! バシュ!! バシュ!! バシュ!!

 

 更にファンネルの総攻撃で、その高級なPGストフリは、原型すら、いや、パーツすら確認できない状態にまで破壊され、そして、蒸発した。

 

 バタッ!

 

 どうやら、ショックで五路月は気絶して倒れてしまったようだ。その横から、PGストフリだった“黒い塊”が、無造作に転げ落ちたのでした。

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???:(ターゲット、破壊完了。さて、ログ抹消の上で、ログアウトしようかな)

 

 そういうと、機体の侵入情報の全てと、全バトルデータを抹消した上で、暗黒の宇宙から、ミスティネン・アシアは、スッっと消え失せたのでした。

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 気絶している五路月の対面で、ガタガタ震えて恐れおののいていたのは、白井達3人だった。

 

灰原:お・・・・おい・・・・あれ・・・・なんだよ・・・・・

赤戸:し・・・知らないよ・・・・あんなMS・・・見た事ないし・・・・

 

 その中で、何かを思い出したかのように、顔つきがちょっと変わった上で、二人に向き直った人物がいた。

 

 白井である。

 

白井:ま・・・・まさか・・・あれが・・・・噂の・・・・き・・・・機動構造物・・・は・・・破壊・・・・う・・・請負人・・・・

 

灰原、赤戸:き、機動構造物、は、破壊請負人?

 

白井:ガンプラファンが集うネット掲示板に・・・メールで返信できるような形で“XYZ...”って書き込むと・・・後日内容を教えるようなメールが来て・・・・内容審査がされた後・・・・ターゲットのガンプラが黒い塊になる程に始末されるって・・・・”単なるオカルトな噂”だと思っていたのに・・・・

 

灰原:お、おまえが依頼したのか?

白井:知らないよ! 噂だと思っていたし、そんな怖いの、関わりたくないし

 

赤戸:じゃあ・・・・・“タツヤ”・・・・か・・・・・

 

白井:・・・・かもしれないけど、断定できないんだよ。依頼人情報もあいつの情報も、一切残らないから、結局、噂くらいの情報しか伝わらないんだよ・・・・

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 この事件は、後に、この3人と同じ中学に通う、当時中学1年生の、“ホシノ・フミナ”、ガンプラバトル部コーチのラルさん、そして、イオリ模型店に帰宅していた“イオリ・タケシ”や、“珍庵”にすらも、ラルさん繋がり、および、侵入された“ヤジマ商事”からの依頼により、伝わる事になるのだった・・・・・・・。

 

(続く)

説明
○TINAMIへのモデル投稿の当方オリジナル製作ガンプラ、

『HGBF MSD-666 ミスティネン・アシア』

http://www.tinami.com/view/739740

の背景を説明するために書いた、ガンダムビルドファイターズのオリジナル小説、の第1話です。

○オリジナル設定の二次創作なので、細かい事や、元ネタはあるけどオリジナルなキャラ等、原作と違う点などは、ご了承くださいませ。
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コメント
W-ネームレス様、コメントありがとうございます! はい、小説は主にボカロを書いているのですが、ガンプラ物も書き始めました。これは自分が作ったオラザクを主役にした物で連続物です。正体は何者なのでしょうか!? 続き、書きますね♪(enarin)
すげぇ…読んでてスカッとしました! あんな奴らにガンプラバトルさせたらいけないんだ…! しかし請負人って事は傭兵みたいな者…どうなるか続きが気になります!(W-ネームレス)
双子辰様、コメントありがとうございます! はい、今回はこれまでと違って複数話でしかもシリアスで社会派にしました。ガンダム作品群も社会派多いですし。依頼人、正体、目的、様々な物が絡み合うストーリーとなります。次回をお楽しみに!(enarin)
単なる一方的な戦いへの助太刀…という訳ではなさそうですが、果たして正体は?依頼主と目的は?そして本編の面子がどう絡むのか?続きも楽しみにさせて頂きます。(双子辰)
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