〜アーライナ領域〜

「謳え！奏でよ！我等の凱旋ぞ！」

ブルブランとの戦闘を開始したアムドシアスはクラフト――戦いのメロディを奏で、自分やプリネ達の身体能力を上げ

「ハハハハハッ！」

ブルブランは敵の身体を痺れさせると共に戦術オーブメントの機能を一時的に止める効果を持ったカード――――ワイルドカードをプリネ達に投擲し

「十六夜――――”斬”！！」

ツーヤは抜刀技で襲い掛かるカードを全て切り裂いた。

「アークス、駆動―――――エアリアル！！」

「ムッ！？」

プリネによって発動したアーツで発生した竜巻に気付いたブルブランは後ろへと跳躍して地面から突如現れた竜巻による攻撃を回避した。

「美しき我が弓技、受けるがよい！二連制圧射撃！！」

「フフ……」

アムドシアスのクラフトによって自分の上空から降り注いでくる無数の矢の雨をブルブランは分け身をいくつも発生させるクラフト―――シャドウキャストに攻撃を身代わりさせていたが

「十六夜―――”燐”！！」

「ッ！？」

ツーヤの抜刀による高速衝撃波を受けて表情を歪め

「そこっ！！」

「ハッ！？」

プリネのクラフト―――狼口一閃を続けて受け、脇腹から血を出して呻いた。

「フフ、やるではないか。なら、こんなのはどうかな？」

「！！」

反撃に放ったブルブランのクラフト―――マジックナイフをプリネは次々と回避し

「アークス、駆動！ハイドロカノン！！」

「我が美しき角の魔力、喰らうがよい！！」

「フフ……ッ！」

ツーヤのアーツとアムドシアスが角から放った電撃魔術をブルブランは軽やかな動きで回避した。

「大いなる闇よ、我が呼びかけに応えよ！――――ティルワンの死磔！！」

「！？グアアアアアアアアア――――――ッ！？」

二人が攻撃している間に魔術の詠唱を終わらせたプリネの魔術によって闇界に引き込まれ、全身に暗黒の打撃を受けたブルブランは悲鳴を上げた。

「聖なる水よ……奔流となり、我が仇名す者達に裁きを！リ・カルナシオン！！」

「グッ！？」

ブルブランが苦しんでいる間に魔術の詠唱を終わらせたツーヤの魔術によってブルブランは全身びしょ濡れになり

「ゆけ、美しき我が魔力！アークス、駆動！――――スパークダイン！！」

「ガアアアアアアアアア――――――ッ！？」

アムドシアスが電撃魔術――――旋風爆雷閃とアーツによる稲妻をその身に受けて感電して悲鳴を上げた！

「グッ……！？逃げ場はないぞ…………」

ダメージを受けたブルブランだったがすぐに立ち直り、クラフト―――アカシックレインを放ち

「聖なる力よ、我が剣に！エクステンケニヒ！！」

「十六夜―――”燐”！！」

「無駄だ！」

ブルブランのクラフトによって発生した赤き光をプリネとツーヤはそれぞれのクラフトで自分達の頭上に落ちてくる光だけを相殺し、アムドシアスは自身にドーム型の結界を展開して防御した。

「ハハハハハッ！やるではないか！それでこそ我が姫君とその騎士（ナイト）に好敵手！ならばまずは美しき姫君に散って頂こう……！」

自分のクラフトを防いだプリネ達を見て高々と笑ったブルブランはステッキを振るった！するとプリネの背後から突如棺桶が現れ、プリネを閉じ込めた！

「さあ、美しく散るがいい！フハハハハハ、さらばだ！！」

空中へと跳躍したブルブランは剣へと変えたステッキをプリネを閉じ込めている棺桶目掛けて投擲した。

「―――させません！十六夜―――”破”！！」

しかしその時ツーヤが跳躍して棺桶に向かう剣をクラフトで破壊した。

「なっ！？」

Sクラフト―――デスマジックが防がれた事にブルブランが驚いた瞬間、棺桶の内側から斬撃が刻み込まれた後棺桶からプリネが現れ

「―――さらばだ、我が好敵手よ！」

空中にいるブルブラン目掛けて眼に膨大な魔力を宿らせたアムドシアスは一本の矢を放った。放たれた矢はブルブランの心臓目掛けて凄まじい速さで向かい、ブルブランの心臓を貫いた！

「ゴホッ！？ば、馬鹿な…………？」

魔力の眼で敵の弱点を見抜いて撃ち貫く一角候アムドシアスの秘技―――ソロモンの狙撃によって心臓を貫かれた事により口から大量の血を吐くと共に地面に叩きつけられたブルブランはよろよろと立ち上がり無造作に片手で抑えた血が染まっている胸の部分を信じられない表情で見つめた。

「これで止めです！―――暗黒よ！我が仇名す者達を捉えよ！！」

するとその時互いのARCUSを強く光らせているプリネがレイピアを天へと掲げると暗黒の霧がブルブランを拘束し

「―――今こそ吹雪け！全てを凍てつかせる竜の吹雪よ！！」

プリネと同じように魔力を込めた刀をツーヤが天へと掲げるとブルブランを中心に極寒の吹雪が発生して暗黒の霧によって拘束されたブルブランをまるごと凍り付かせ、そして二人は同時に地面を蹴ってブルブランに詰め寄り、常人では決して見えない動きで華麗に舞いながら怒涛の連撃を次々と叩き込んだ！

「「ハァァァァァァァ………！！」」

二人の連撃によってブルブランを凍り付かせた氷は砕かれ、砕かれた氷の破片は光輝きながら周囲に落ち

「「奥義！絶氷剣舞！！」」

華麗な連撃を叩き込んだ二人は最後の一撃を斜め十字（クロス）する形の斬撃を叩きこんでブルブランの背後へと駆け抜けた！すると全身をズタズタに切り裂かれたブルブランは二人が斬撃を叩きこむと同時に駆け抜けた際に発生した闘気の爆発に呑みこまれた！

「う、美しい………！フ、フフッ、散るのは私の方だった、という事……か…………私に相応しい……最後……を………届けた………事……感謝……する…………」

全身血だるまになり、仮面も粉々に砕け散ったブルブランは酔いしれた表情でプリネ達を見つめながら絶命し、地面に倒れた！

「「……………………」」

ブルブランの絶命を見届けたプリネとツーヤはそれぞれ剣を一振りして剣に付着している血を飛び散らせた後静かな表情で武器を収め

「――――さらばだ、我が好敵手よ。来世にて再び会える事……心から祈っているぞ……」

アムドシアスは竪琴を取り出し、レクイエムを奏でた。

「プリネ……ツーヤ…………」

「アムドシアスさん……」

「お、お姉様……………」

「あ、あの”怪盗B”が殺されるなんて…………しかも僕達のクラスメイトに……」

「…………これも”戦争”か…………」

「「………………」」

「かつての仲間として、お二人のご冥福をお祈りしておりますわ。」

プリネ達の様子を見ていたアリサとセレーネ、エリオットは辛そうな表情でプリネとツーヤを見つめ、マキアスは信じられない表情でブルブランの死体を見つめ、ガイウスは目を伏せて静かに呟き、サラ教官とトヴァルは重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込み、マクバーンが消滅した場所とブルブランの死体に順番に視線を向けたシャロンは静かな表情で祈りを捧げた。

「バリア、展開。」

「――――――」

エリゼ達との戦闘を開始したアルティナはクラウ＝ソラスに物理攻撃の反射結界を展開させ

「アークス、駆動。」

更にオーブメントを駆動させた。

「秘技――――斬界剣！！」

走りながら闘気を太刀に溜め込んだエリゼはアルティナ目掛けて太刀を振り下ろした。すると結界がエリゼの攻撃を反射しようとしたが何とエリゼの太刀は易々と結界を切り裂いてアルティナを襲った！

「！？クッ……！クラウ＝ソラス、防御を。」

「―――――」

斬岩剣の上位技であり、次元をも斬ると言われる八葉一刀流の剣技――――斬界剣によって結界が破壊された事に驚いたアルティナは咄嗟の判断で後ろに跳躍し、クラウ＝ソラスが代わりにエリゼの攻撃を両腕で受けた。

「クラウ＝ソラス、反撃を。」

「―――――」

「！！」

そしてエリゼはクラウ＝ソラスの反撃を回避する為に後ろへと跳躍し

「ルミナスレイ、発射。」

アルティナは駆動を終えたオーブメントでアーツによる銀色のレーザーをエリゼに放った。

「貫け、烈輝の陣！レイ＝ルーン！！」

「！？ああッ！？」

しかしリフィアが放った極太の純粋属性の魔力レーザーに呑み込まれると共に襲い掛かり、魔術でアーツを呑み込むという非常識に驚いたアルティナは慌てて側面に跳躍して回避したが回避が間に合いきれず腕にかすり、悲鳴を上げた。

「クッ……ブリューナク、照射。」

「――――」

痛みに表情を歪めるアルティナの指示によってクラウ＝ソラスは赤黒いレーザーをエリゼとリフィア目掛けて放った。

「二の型―――洸破斬！！」

「！？」

「うあッ！？」

しかしレーザーはエリゼの神速の抜刀による衝撃波で真っ二つに切り裂かれると共にクラウ＝ソラスとアルティナに襲い

「余の怒りを思い知れっ！―――破滅のヴィクティム！！」

「アアアアアアアア―――――ッ！？」

「――――――――！？」

リフィアが放った最高位魔術によって大ダメージを受けた。

「秘技―――裏疾風！！」

そこにたたみかけるようにエリゼは一瞬でクラウ＝ソラスとアルティナに詰め寄って斬撃を叩き込み

「斬！！」

「あうっ！？」

「！？」

二人の背後から斬撃波を放って二人を吹っ飛ばした！

「クッ……ダメージレベル、危険……生存する為には早急に制圧する必要あり。クラウ＝ソラス、トランスフォームモード！」

「―――――――！」

身体のあちこちから血を流し続けて焦った様子のアルティナの指示によってクラウ＝ソラスは何と巨大な剣へと変形し、変形したクラウ＝ソラスは二人目掛けて突撃したが

「五の型―――光鬼斬！！」

「！？」

エリゼの抜刀による強烈な一撃よって弾き飛ばされた。

「よいしょっ！」

そしてすぐに態勢を建て直したクラウ＝ソラスに跳躍して乗ったアルティナはクラウ＝ソラスと共に二人の周囲を廻るように移動しながら二人の上空へと移動した。

「これで―――終わりです！ラグナブリンガー！！」

そしてアルティナがクラウ＝ソラスから跳躍して離れたその時！

「闇を切り裂く金耀の一刀――――」

太刀に闘気による凄まじい光を纏わせたエリゼが迎撃の構えでクラウ＝ソラスを待ち構え

「セイッ、ヤアッ！」

光の長剣と化した太刀で閃光の速さでクラウ＝ソラスに十字架を刻み込むように十字（クロス）に斬った。すると変形したクラウ＝ソラスは弾き飛ばされ

「ハァァァァァァァ……！絶―――閃鳳剣！！」

「――――――！！？？」

太刀に闘気を溜め込みながら空高くへと跳躍したエリゼが閃光の速さで太刀を振るうと光の鳳凰が凄まじいスピードでクラウ＝ソラスを襲って光の大爆発を起こし、爆発が収まると両腕や頭が胴体から離れて残骸となっている無残な姿のクラウ＝ソラスがいた！

「クラウ…………ソラ……ス…………？」

剣気によって発生した光の鳳凰を纏わせた剣で戦場に裁きの十字架を閃光の速さで刻み込み、光の鳳凰を戦場に解き放つエリゼの絶技――――終ノ太刀”閃凰”を受けた相棒の末路が現実とは思えなかったアルティナが呆けたその時！

「罪人を導く償いの道よ！今こそ顕れよ！――――エクスピアシオン！！」

リフィアは杖から巨大な光の道を放った！

「あ――――――アアアアアアアア―――――――ッ！？ミッ……ぱい……りかい…………せん………………」

「これで終わりです！！」

リフィアのSクラフト―――エクスピアシオンをその身に受けた事によりアルティナは全身真っ黒焦げになり、そしてエリゼが振るった太刀で首を刈り取られて絶命した！

「バイバイ……アルティナ……クーちゃん…………」

「ミリアムちゃん………………」

アルティナの死体と破壊されたクラウ＝ソラスの残骸を見て呟いたミリアムに気付いたクレア大尉は辛そうな表情でミリアムを見つめていた。