遭難と邂逅の航海日誌 その1 |
航海日誌 ET 26352/03/21 タウセティ行きスターウェイ102番維持機近傍避難所より0.02光年
何かがおきて、どうにかなったのでお風呂入っておやすみ!
/筆記者 鈴蘭・エーデルフェルト
「いや、ひどい目に遭ったね・・・」
「いま、ひどい目に遭っているの間違いだろうか?」
我々は小型巡視艇の中で頭をつきあわせていた。
「航法士、最寄り避難所までの距離を。」
「あ〜ボクか、えっと102番維持機近傍待避所、0.02光年かな。」
「クロノンチェンバーの状況は?」
「う〜ん、確実に消失してる。遭難信号送れないレベルだよ。」
自力超光速航法は無理、避難所までは通常航法でおおよそ10日程度といったところだろうか。
「副長、備蓄状況は?」
「残存エネルギーは231単位、普通に使って 0.02光年の航行、およびその間の艦内衛生には
ぎりぎりでしょう。」
「お風呂とお菓子はなしっと。」
という状況だが、どうやら我が艦は致命的な遭難とまではいかずに済んだようである。
スターウェイの崩壊はおそらく標準時間単位にして1時間前に発生した大規模な時間波ノイズの
影響だと考えられた。2000年前の時間子理論発見以来、生物の居ない空間における時間波の歪み
はあり得ないというのが定説である。しかしこの数ヶ月、明らかなヴォイド空間においての時間
波ノイズ発生が観測されており、我々は未知生物の存在を検証するための巡回中であった。
「75単位をこの場の情報収集にあてろ。特に時間子計測は詳細に行うこと。」
「4日でしょうか。」
「そうだな。スケジュールは計測1日、3日の加速ののち、低代謝期間4日、減速は3日で。各
自調整を開始せよ。」
「こぴぃっ」「了解。」
程なく、計測系から得られたデータがコンソールに送られてくる。地球型人類の発生する時間子
誘導場による影響のおおよそ2万倍。優秀なエリシウム型人類を1000人は連れてくる必要が
あり、かつ地理的配置条件も整えなければならない。未知の現象・・・だな。
「艦長、クロニックで遭難信号をだしておきますか?」
「時間波の痕跡がゆがむだろう。副長、しっかりしろ。」
「・・・はっ、そうでした。申し訳ありません。」
副長の頭部から生えた犬耳が平らに倒れる。少々嗜虐性を煽られる光景ではある。
「え〜でも艦長の・・・」
「姉さんはちゃんと計測してろ。」
航法士とじゃれつく様子は、どう見ても大型犬と子供といった様相で、おおよそ緊張感の欠片も
見当たらないが、実際のところ緊急性は低い。コンソールの星図を元に、ざっと計算するが、
「おそらく、1年くらいでしょうね。」
副長が答えを述べた。そう、我々が到着予定の避難所に救助が来るためには、正常なスターウェ
イ維持機からの自力航法に頼るため、長距離の超光速航法は行えない。維持機は1光年毎程度に
存在するが、先ほどから出力される時間波ノイズの影響を見るに、2、3台は壊れていると考え
た方が良さそうだ。
「先は長い。あまり根詰めてもしかたないから、気楽にいこうか。とりあえず、各種オートにし
たら食事をして休もう。航法士、今日は風呂つかっていいぞ。」
「えっ、やった!」
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なにか、ぐだぐだ日常系を書きたいと思って書いたものです。 なのでぐだぐだです。設定は深紅の宇宙の呼び声から2000年程度後。 その1はまず人物登場+導入です。 |
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