遭難と邂逅の航海日誌 その2 |
航海日誌 ET 26352/03/31 タウセティ行きスターウェイ102番維持機近傍避難所
避難所到着。
量子技師もマスタークロニックも同行していないため事故データの解析は進みそうにない。
遺憾ながら、おおよそ1年、何もすることがないといった感じである。
明日からは居住環境の整備に入る予定。
/筆記者 ミステル・セイファート
26352/04/02 追記:炬燵っての見つけた!1年ごろごろするぞ〜
26352/06/01 追記2:電源周波数設定を変えておいた。無駄なエネルギーを使うな。
「艦長、避難所利用の経験はございますか?」
「いや、ないな。というより見たこともない。そもそもスターウェイ敷設以降、事故が起きたこと
すら聞いたことがないよ。」
「航法のクラスに課目があった気がするな〜〜〜わすれちゃったなぁ〜〜〜」
「まぁ使わないものは忘れても仕方が無いな。僕は履修した覚えがない。」
艦長はアレに甘いような気がするな。まぁアレは押さえつけるといじけるから正しい使い方だが。
アレを姉にして我慢できるのだから私の忍耐力も大したものだと思う。いやこんな自負は欲しくなかった。
「たしかぁえっと……まずは艦のエクステンションをつなげるんだよね?」
「いや、繋ぐ前にジェネレータを落とせ。施設との接続終了後、供給モードで再始動だ。」
「なんだ、副長。経験あるのか?」
「いえ、私は優等生でしたので。基礎課に含まれる内容ですよ?」
「ふむ……ま、けっして優秀な学生とはいえなかったしな。」
しかし、艦に損傷がないのはありがたいことだ。これで避難所の環境は万全となる。
避難所にはエネルギーパックが幾らか用意されているはずだが、1年もの時間となると
そう余裕はなかったはずだ。何時使われるかわからない避難所で、モスボールされた
質量転換炉を設置するのも危険なので仕方ないことだが。
「接続完りょうっ!情報来るよ。」
「えっと施設状況は……なんだこの豪華さは。まるで一戸建てではないか。」
「冬眠設備がないようです。とりあえず居住性を高めてあるのはこれが理由のようですね。」
リビング相当、調理場、倉庫……この辺があれば十分と言えるが。む……
「え〜〜!弟、弟っ!風呂だよ。俗称風呂じゃなくて、本物風呂だよ!?」
「私室が2部屋だけだと?なぜだ!風呂は要らないだろう!!」
「新婚夫妻用の避難所じゃないのか?」
「艦長、全然笑えません。」
「そうか?すまん。」
私室が足りない……艦の私室をつかうか。いや供給モードだから、艦の気温管理がうまくいかないな。
就寝時のみ艦を利用するか……それは無駄だな。どう考えても小型艦の劣悪な私室よりは避難所の
私室のほうがましだ。艦長にそんな不便を強いるわけにはいかない。アレと同室もあり得ないし……
「副長?おい、副長?」
「……はっ!なんでしょうか艦長。」
「僕とお前がこちらの部屋でいいよな。」
「いや!艦長!そういうわけには!!いや、むしろ艦長と姉が同じ部屋のほうが……」
「は?」
「いえ、艦長を相部屋にさせるなんて。」
「でも彼女と同じ部屋というのも姉離れできてないだろう?」
「いやそういうことでなく……あの今のうちにお伝えしておきますが…私はエリシウム系トーマクタス種人類ですよ?」
エリシウム系人類はクロニックに対する適性の高い人類だということはよく知られているが、私はその中でも
数の少ない希少種である。
「それがどうした?クロニックに対する嗅覚が備わっているんだったよな、配属時に調べたが?」
「かんちょ〜。つまるところ〜うちの弟は、クロニックが効かないんですよ〜。」
「すばらしい才能だよな。僕みたいな適正なしにとってはクロニックは魔法みたいなものだから、
副長がいると助かるよ。」
「……あ……はい、ありがとうございます。」「ひひひ。」
何故艦長が私の能力を知っていて落ち着いていられるのか不思議なのだが。今後、忍耐力が試されることに
なりそうだ。
「早いところ上陸して、今日は休もうじゃないか。ナイトミルクでも入れてやろう。」
「はい……ありがとうございます。」「ふひひひ〜。」
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なにか、ぐだぐだ日常系を書きたいと思って書いたものです。 なのでぐだぐだです。設定は深紅の宇宙の呼び声から2000年程度後。 その2は舞台設定。 http://www.tinami.com/view/740928 : その1 |
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