遭難と邂逅の航海日誌 その4
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航海日誌 ET 26352/04/08 いつものところ

個人用クロノンチェンバーが稼働。

異様に緊迫感のないサバイバルで正直あきてきました!

/筆記者 鈴蘭・エーデルフェルト

 

先日のお返しにと、副長が朝食にコンティネンタルを準備してくれたのだが、やはり暖かい食事のほうが

性に合っているみたいだ。正直食事担当になってもいいくらい僕は仕事をしていないので、名乗り出る

べきな気がしてきた。行動指針がもう数日以上変わらず、たった3人しかいない状況で、艦長という役職は

ほとんど意味が無い。

 

「みなが有能すぎるのだよな。」

「はい?」

「いや、小型艇の艦長とはどういうものだったかなぁと思ってね。」

「ああ、そういえば艦長は基地勤めから直接大型艦艦長でしたね。」

 

決断するのが仕事ではあるが……その案件がない。船員の和を取り持つための方針作りや監視も仕事だが

3人しかいない。

 

「なるほど……。まぁ私も管理業務がほとんど無いのは久しぶりですよ。

 おかげで、昨晩クロノンチェンバー起動に集中できまして。動かしておきました。」

「本当か?ますます立つ瀬がないなぁ。僕は。」

「個人用なので、そんなに難しいことでもないですよ。正直、一番姉が忙しそうなのが

 気に障る感じです。」

「気に障るって副長……」

「まぁ。個人用ですが、現在は15倍分くらいの加速はできているみたいなので、何かにつかうなら

 言ってください。」

 

クロノンチャンバーは時間子の反復封じ込めを補助する機構で、内部での時間加速や、時間子の保管庫

として利用するものである。仕組みは時間子反射壁を時間立方上に平面展開することで、一定範囲に何

度も時間子を通過させることにより時間経過を加速する。この反射壁の概念的高さは利用者の時間的素

養に左右され、地球型人類では3倍加速くらいが限界とされている。

ちなみに、スターウェイは巨大なクロノンチャンバーであり、各ターミナルには時間誘導者、インダク

ショナーと呼ばれるものが交代で維持管理をつづけている。

 

「使えればど〜でもいいじゃない?」

「……モノローグを聞くのはやめてほしいな。まぁこの程度ならかまわないけども。」

「いやぁ〜時間子の波で漏れてきちゃうんで。」

「姉さん、意図的に遮断してください。これだからエリシウム人は怖がられるんですよ。」

 

誰でも無意識のうちに生成されている淡い時間反射壁と誘導場によって、時間波に思考が乗ってしま

うので、時間的素養の高いものは、意識すれば思考を読み取ることが可能なのだが、これは暗黙の了

解で、ないものとして扱う事になっている。長い差別の歴史から培われたルールだ。でもまぁ、航法

士がやった程度の冗談は、懇意の度合いで許されている。

 

「まぁ、君たちと仕事を始めてからある程度は覚悟してるよ。」

「申し訳ありません、艦長。」

「必要な時はシャッターつかうから、気にするな。」

 

副長のクロニックの腕が確かなので、そんなに確実な証拠にはならないのだが、チャンバーが動いた

ということは、時間波のノイズが収まってきたことを意味する。おそらく、以降は観測データもあま

り変動がなく、ますます待つだけの1年になりそうである。

 

「い〜じゃん、待つだけの1年しましょうよ。暇つぶしはいっぱいありますよ?」

「?」

「主に倉庫に。」

 

さて、今日は何を見つけてきたのだか。実はこの毎日の出来事がすこし楽しみになりつつあるのは

偽らざる気持ちだ。

 

説明
なにか、ぐだぐだ日常系を書きたいと思って書いたものです。
なのでぐだぐだです。設定は深紅の宇宙の呼び声から2000年程度後。

艦長視点は説明枠
http://www.tinami.com/view/740928 : その1
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タグ
SF オリジナル 日常 短編 

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