つぶやき短編小説(練習)@ABDその14 |
「おっさん、遊ぶのはいいけど、お金はあるの・・・」「なに!お前お金がないのか」「うん、ないよだって俺、奥さんいるけど、ちっとも家庭的じゃなくていまだに毎週必ず一回はデートしてそのたび4,5万は絶対に使うからいつも金欠でピーピー言っているよ、それにじき家のローンも組まされるんだ・・・」「そりゃ、大変だな同情するよ、おっ、そういやお前の服装なんだか臭いな・・」「そう自分の洋服を買うお金ももうないから毎日だいたい同じの着ているからね、匂ったのなら謝るよ」「そんなに困っているなら俺がなんとかしてやる、ところでいくら欲しいんだ」「8万円と言っても絶対に無理だろうから、1万8千円でいいよ、男同士は法律に触れないからいいね」「よしわかった、そらくらいなら俺が払ってやる」
体格の良い男は公園で拾った奥さんがいるらしいゲイ男とそのまま仲良く連れ立ってホテル街の方に二人で歩いて向かって行った。
二人が辿りついたホテルは、部屋の中がシンプルなつくりでまるでシティーホテルのような感じだった。亭主であるゲイ男は、ホテルの部屋のベッドの上で落ち着かない様子で足をバタバタさせたり、ボォ〜〜とした感じで目を遠くにやったりしていた。とっくのとうに気が変になっているのだろう。普通ならこんな状況に陥ることは絶対にありえないはずなのにいつの間にかそういうことになってしまって、だからと言ってそこから抜け出すことはもはや絶対に無理なのだから。
ようするにお金がもたないからとかあまりに我侭で思いやりがないから、この交際相手の女性とは結婚をするのを辞めようとかは絶対に考えられなかったわけだから、結婚してから近い未来にこのような状況に陥ってしまっても仕方なかったのだろう。
いや考える余裕やチャンスすらなかったと言ってもいいだろう。あの迫力、あの凄み、同じ体験をした者しか絶対に分かりえない、恐怖の極みの世界を既に彼も経ていたのだ。
体格の良いゲイ・ホモ趣味の男との時間は、危ないタイプの妻に捕まって、もはや逃れることが不可能となった彷徨える子羊のような男にとっては、一種の刺激剤でもあり、覚醒剤のような役割も果たしていた。また麻薬の一種でもあると思う。
嫌なことを何もかも全て忘れて、眩暈と妄想の世界に現実逃避してなんとか自分の存在価値を感じられるていどの僅かな支援金を手に入れることもできるのだ。
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妄想 幻想 ぼやき小説 ショートストーリー | ||
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