つぶやき短編小説(練習)@ABDその15 |
「今手持ちのお金は財布の中の800円と合わせて1万8千800円か・・・」とさっきまで都内の何処かの公園で知り合った男とホテルに行って遊んでいた亭主は一人車に乗り家に帰ってから部屋の中で独り言のようにつぶやいていた。
そしてしばらくすると一人部屋の中で「ちくしょう!こんなんじゃ足りないよ、これじゃ彼女と会えないよ!」と部屋で一人で怒鳴り声を上げた。ただ、大声を出したとしても現在別居中で一緒の部屋で寝泊まりしているわけではないので、なんら問題はないのは確かなことだった。それほど最初からある意味冷めきった関係であるのにやたら金の出入り、正確に表現するとお金が出て行く方の金額が半端じゃなく多かった。
彼女とは、どうやら奥さんのことではないようだ。彼も男でこう見えても、つまり今はこんな風に荒れた状態でうらぶれていても、表向きは立派な自営業のオーナーなのだ。なので英雄色を好むのごとく他に彼女がいたのだが、あまりにも支出が多すぎて浮気どころの状態ではなくなってしまっていたのだ。
でも、彼はそんな状況に陥ってしまった現在でさえ、その彼女のことを忘れられず会いたさ見たさの一心で浮気相手とのデート資金や自分のためのお小遣い稼ぐため、とうとう都内のゲイ・ホモの間では有名な出会いの場である公園にしげしげと足を運ぶようになっていたのだった。
「彼女と会えないなら、俺、サラ金でお金を借りてもいいよ」いつもよく行く例の公園で知り合った男達にクルティザンヌの亭主はよくそうもらしていた。毎週、一回、必ず4,5万円のデートを奥さんとし夜は別々の部屋、夜一人で部屋にいると考えるのはいつも浮気相手のことだけだった。なので、そうでなくても金欠であるのに、さらに相手を変えて遊びたいとなるともっと今以上に金策を頑張って行かないとならなかったのだった。
一時は売り専門のゲイとホモのクラブに所属を考えたが、自分が誰の夫であり、誰の恋人かが既に明白となって白日のもとに晒されてしまったので、妻も恋人もクルティザンヌで過去非常にもてていたので嫉妬されてしまって、現在となってはどこの売り専クラブを面接しても相手から断られてしまう状況なのだった。それで仕方なく公園で金策のために一日おきか二日おきに男漁りにでかけていたのだった。
都会の夜は冷たく、きつくとても辛かったが彼はいつでも必死に頑張って生きていた。
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