ガールズ&パンツァー 隻眼の戦車長 |
story55 超重戦車(オイ車)対超重戦車(マウス)史上最大の決戦!
「な、なんですの!?」
「・・・・・・」
「もう一輌の・・・・・・超重戦車」
オレンジペコは驚きのあまり手に持っていたカップが揺れて中身の紅茶が零れ、ダージリンとセシアは驚きを隠せれず、息を呑む。
「まさか、大洗にあんな戦車があっただなんて」
「・・・・本当に、あの人達は楽しませてくれますわね」
驚きが大半だったが、同時に予想を遥かに覆した事に、セシアは胸を躍らせていた。
「・・・・でも、大洗女子は、正念場ですね」
「正念場を乗り切るのは勇猛さじゃないわ。冷静な計算の上に立った、捨て身の精神よ」
「・・・・はい」
「そうですわね」
「な、何て大きさなの!?」
別の場所で試合を観戦していたケイ、アリサ、ナオミは驚愕し、何度も瞬きをしていた。
「oh・・・・まさか大洗にあんなモンスターがあったとはねぇ」
「さすがにファイアフライでは、倒すのが難しい相手になりますね」
ナオミもさすがに表情に驚きの色が浮かんでいた。
「西住みほ。あんな物を隠し持っていたのか」
と、アンチョビは息を呑みながらも、手にしている杖を左手に叩き付ける。
「あれぐらいの戦車が我が校にあれば、悲願の準決勝進出も夢ではないな」
「そもそも、イタリアには重戦車はP40しかないですし、何より我が校の資金事情では、あれほどの戦車は買えません」
「それに、あの戦車があったとしても、維持費だけで資金がパァっす」
「・・・・・・」
カルパッチョとパネットーネの鋭いツッコミにアンチョビは黙り込む。
「さ、さすがミホーシャね。う、うちのKV-2(カーヴェードゥヴァー)を遥かに上回る戦車をか、隠し持っていたなんてててて・・・・」
カチューシャは冷静を装うとしていたが、額に脂汗を掻いている上に、ノンナが持つ足はブルブルと震えていた。
(目には目を・・・・超重戦車には超重戦車を、と言う事ですか)
スケールのデカイ対決に、ナヨノフは驚くつつも、少し高揚感を覚えていた。
(浪漫のある対決になりそうですね)
そう内心で呟き、モニターに映るオイ車を見る。
「あ、あれって・・・・」
中須賀は目を見開いて、神楽も表情を険しくしていた。
(大型イ号車・・・・。旧日本陸軍の幻の超重戦車が大洗にあったなんて・・・・。これは予想外だったわね)
事前情報にオイ車の存在は無かった為、神楽は息を呑む。
大洗は切り札であるオイ車の存在を徹底して秘匿していたので、恐らくこの場にいる者は全員面食らっているはず。
(超重戦車と超重戦車による対決。まるで怪獣が戦っているようなものね)
内心でそう呟くと、モニターに映るオイ車を見る。
「はぁ!?マウス同等の巨大な戦車が現れた!?」
マウスからの報告を聞き、逸見は声を上げる。
最初は大洗の戦車二輌を撃破したと聞いたのでそれでよかったが、その後オイ車の事を聞かされて、今の状態に至る。
「っ・・・・分かった。到着までその戦車を足止めしろ」
息を呑みながらも、逸見は返事を返す。
(あの旧日本陸軍の超重戦車が、まさか大洗にあったとはな)
無線傍受で聞いた報告に、斑鳩も多少驚きを隠せれなかった。
(だが、マウスも人の事言えないが、実戦に出る事無く終わった粗悪な欠陥戦車で、何が出来る)
しかし、どことなく彼女の表情には不安の色が漂う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「次弾装填!」
オイ車の中では双海(姉)が砲弾を抱え、砲尾にあるトレーに砲弾を乗せると、大きな装填棒を持った数人の整備部メンバーがトレーに乗った砲弾を薬室へと押し込む。
「装薬装填!」
次に双海(妹)が装薬を二つトレーに乗せ、それを装填棒を持った部員が薬室へと押し込む。
「尾栓閉じ完了!」
整備部のメンバーが※段隔螺式尾栓(※ドアの様に開け閉めする尾栓の事)を閉じて砲尾に固定する。
「弾丸装填!」
「照準良し!」
「撃てぇっ!!」
双海(姉)の号令と共にオイ車の主砲から砲弾が放たれ、その反動で駐退機が後座する。
砲弾はマウスの車体側面に着弾するも凹みを作っただけに終わる。
マウスは角を曲がり、主砲をオイ車に向けると轟音と共に砲弾を放つも、オイ車の車体正面装甲に阻まれて弾かれる。
「その程度じゃこのオイ車を倒す事なんか出来るか!」
尾栓が開くと砲弾をトレーに置いて薬室に押し込まれると、装薬が装填されて尾栓が閉じられ、直後に砲弾が放たれる。
(とは言うけど、そう何度も受け続けれるってワケじゃないけどね)
オイ車の車体前面装甲はマウスとほぼ同等だが、装甲の質もマウスの方が上であるので、そう何度も攻撃を受けて防ぐ事はできない。
「撃って撃って撃ちまくれ!!少なくとも戦闘続行が出来ないようにしてやれ!」
双海(姉)はすぐに命令をすると、オイ車の副砲二門と主砲一門より砲弾が一斉に放たれ、マウスに着弾するも弾かれる。
マウスもすぐに撃ち返してオイ車の砲塔前面の角に着弾するも弾かれ、オイ車は主砲と副砲を同時に放ってマウスに着弾させる。
その近くでポルシェティーガーと合流したフェルディナントも砲撃するも、火花を散らして弾かれる。
「くそっ!このガチタンが!!」
二階堂が愚痴った直後に四式の主砲から砲弾が放たれるが、砲塔前面に着弾するも火花を散らして弾かれる。
五式は主砲を三連射して副砲を放つも、全て火花を散らして弾かれる。
「硬すぎる・・・・!」
「正面から撃っても無駄だ!アリクイチーム!ネズミチーム!クマチームに続け!」
『了解!』
『おうよ!』
と、五式と四式、三式は左の路地へと入る。
マウスが放った砲弾がオイ車の車体正面に着弾し、お返しでオイ車が砲弾を放ち、マウスの主砲の横にある副砲に着弾し、副砲身を潰した。
九七式と八九式、M3の主砲から砲弾が一斉に放たれるも、火花を散らして全て弾かれる。
「くそぉ!砲が強力になったって言うのに!」
磯辺は以前より重い75ミリ砲弾を以前と変わらぬ速度で砲に装填する。
「こんなんだったら、12、8ミリ砲を買って積んでおけば良かった気がするわね」
「今更何を言って・・・・」
佐藤(姉)と黛は105ミリ砲弾を抱えて方に装填すると、砲弾が放たれるも、砲塔正面防楯横に着弾するも火花を散らして弾かれる。
「急げ!やつに勘付かれる前に!」
と、如月達は建物の間の道を通ってマウスの背後を取ろうとしていた。
マウスを正面から砲撃しても立ち向かうのは不可能だ。かと言っても背面と側面でもマウスの装甲は分厚いので、大洗の戦車では抜く事は出来ない。
しかし、危険ではあるが、マウスの車体後部にある増加燃料タンクを爆破させれば、少なくとも可能性は生まれる。
しばらくして五式、四式、三式がマウスの後ろを取ると、砲をマウスの車体後部にある燃料タンクに向けられる。
(少なくとも何かしらの損傷を与えられるはずだ)
燃料タンクに狙いを定めると、五式、四式、三式の三輌より砲弾が一斉に放たれ、燃料タンクに直撃すると一発が爆発して燃料に引火し、大爆発を起こす。
「どうだ・・・・」
炎が上がり、如月は息を呑んで睨む。
しかしマウスは車体と砲塔後部が黒く焦げた程度で、損傷と見られるものは無かった。
「くそっ・・・・ダメか!」
「燃料タンクを爆発させたのに・・・・」
「・・・・化け物が」
マウスは後ろにいる三輌を気にも留めずにオイ車へと砲弾を放つと、オイ車の左副砲塔に着弾して破壊される。
「左副砲塔破損!」
「構わん!」
双海(姉)は損傷を諸共せずに叫び、主砲と第一副砲より砲弾が放たれ、マウスの潰された副砲へと着弾させる。
マウスは続けて主砲を放ち、砲塔正面の角に着弾して角を吹き飛ばすも、オイ車は主砲と副砲を一斉に放ってマウスに着弾させる。
「キツネチーム!そちらからマウスを狙う事はできるか!」
『ダメだ。障害物が邪魔で狙えない!』
キツネチームが待機している場所は次の作戦で一役果たしてもらう重要な所になる為、移動は出来ない。
(それが仇になるとはな)
車体もしくは砲塔天板であれば抜ける可能性が高いが、障害物が多い市街地ではそれが出来ずらい。
「まずいですよ、如月さん。オイ車だって何度もマウスの砲撃に耐えられないっていうのに」
何度もマウスの砲撃を受けたオイ車の車体正面と砲塔正面に歪みが生じ始め、車体左の第二副砲が損壊している。
『キツネから各チームへ!黒森峰の本隊が市街地に接近中!到達まで精々持って20分だ!』
と、キツネチームより本隊接近の報告を聞き、如月は息を呑む。
「西住!これ以上マウスに付き合ってはいられないぞ!」
『ですが、市街地で決着をつけるには、どうしてもマウスを倒さないと!』
次の作戦でマウスがその障害になりかねない。そうなってしまえば、非情に厳しい状態になるのは目に見えている。
「だが、このままオイ車だってマウスの攻撃に耐えられるかどうか分からないのだぞ」
『・・・・・・』
今のオイ車の状態では、マウスを本隊から長く引き離す程、そう長くは耐えられない。
『いくらなんでも大きすぎ!!』
と、武部の声がヘッドフォンに伝わる。
『こんなんじゃ戦車が乗っかりそうな戦車だよ!!』
「『っ!!』」
武部が言った言葉に、如月と西住はピンとひらめきが走る。
『ありがとう、沙織さん!』
『え?』
「武部!お前は天才だ!」
『え?えぇ?』
言った当の本人だけは、何の事なのか分からず声を漏らす。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「くぅ!さすがにまずいか・・・・」
マウスから放たれた砲弾がオイ車の砲塔前面に着弾し、内部が揺れる。
尾栓が開かれると、双海(姉)は砲弾をトレーに置き、装填棒で薬室へ押し込まれると、すぐに双海(妹)が装薬を二つトレーに置いて装填棒で押し込まれ、尾栓が閉められた直後に砲弾が放たれる。
『クジラチームの皆さん!マウスを誘うように後退してください!』
と、西住から無線が入る。
「後退たって、この状況で!?」
『時間がありません!急いでください!』
「そうは言ったって・・・・」
「でも、このままじゃマウスにこっちがやられるのは目に見えてるよ、姉さん!」
「・・・・・・」
「迷っている時間は無い!ここは隊長の指示に従おうよ!」
「っ!了解です、西住隊長!応戦しながら後退!急げ!」
すぐに双海(姉)が梯子を降りて操縦手に伝え、オイ車を後退させる。
マウスはオイ車をゆっくりと追い掛け、主砲を放ってオイ車の砲塔前面に着弾する。
「こんのぉっ!!」
オイ車は主砲を放ち、砲弾をマウスの潰れた副砲へと着弾させる。
と、マウスが主砲を放ち、オイ車の右側履帯に着弾させて破壊する。
「ぐぅっ!」
オイ車はそこで停止し、マウスはジリジリと迫りつつあった。
「突撃!」
と、オイ車の後ろから迂回するようにヘッツァー改が飛び出し、マウスへと向かっていく。
「まさかこんな作戦とは・・・・」
「やるしかないよ、桃ちゃん!」
「燃えるねぇ!」
先ほど西住から聞かされた無茶な願いに三人はそれぞれの反応を示したが、マウスを倒す為にこの無茶な願いを引き受けた。
ヘッツァー改は砲身を下へと下げると、アクセル全開でマウスへと突撃した。
「な、なんだ!?」
マウスの乗員は突然揺れる車内に動揺を隠せれなかった。
ヘッツァー改は車高の低さと傾斜した形状を生かし、マウスの下へと潜り込んで車体前部を無理矢理持ち上げていた。
直後に三式と四式、五式がマウス右側へと回り込むと一斉に主砲を放つも、傾斜した砲塔側面に弾かれる。
マウスは三輌へと砲塔を旋回させて主砲を放つも、砲弾は道路へと着弾し、三輌は散り散りに分かれる。
「さぁ行こう!!」
『はい!!』
と、八九式がアクセル全開でマウスの下に潜り込んでいるヘッツァー改へと向かっていくと、そのままヘッツァー改を登ってマウスの車体上部へと登った。
そのまま狭い中、八九式は方向転換してマウスの砲塔すぐ横に止める。
それによってマウスは砲塔を動かせなくなった。
「ブロック完了しました!」
『了解!何とか踏み止まってください!』
と、W号はマウス左側にある坂へと向かう。
「おい!軽戦車!そこを退け!!」
マウスの乗員はハッチを開けて八九式に向けて怒鳴る。
「嫌です。それに八九式は軽戦車じゃないしー」
「中戦車だしー?」
『ちなみに九七式も中戦車デース!!』
砲塔側面ハッチを開け、磯辺と佐々木が顔を出して言うと、通信越しでキューポラから上半身を出した金剛が叫ぶ。
「くそ!軽戦車でも中戦車でもどっちでもいい!振り下ろしてやる!」
乗員はハッチを閉めて戻り、マウスの砲塔を旋回させるも、八九式も旋回させまいと踏ん張る。
同時にマウスは後退から前進し、ヘッツァーを踏み潰そうとする。
「何か割れたぁぁぁ!?」
「車内ってコーティングで守られているんじゃ・・・・」
「マウスは例外かもねぇ〜」
何か割れているような音が車内に響き渡り、角谷会長以外は慌てふためく。
「そうはさせるかってんだ!!」
と、オイ車とフェルディナント、ポルシェティーガーは一斉に砲撃し、マウスの車体下部に砲弾を命中させる。
W号は坂を走りつつ登り、頂上付近で急旋回し、ギリギリまで斜めの状態が保てるように登る。
「後ろのスリットを狙ってください!」
『はい!』
「くそぉっ!止まりやがれってんだ!!」
と、二階堂は砲塔側面の九七式車載重機関銃を取り外して、キューポラから上半身を出すとマウスに向けて引き金を引き、弾を放つ。
しかし弾は火花を散らして弾かれる。
「もうだめだぁっ!!」
「もう持ち堪えられない!」
ヘッツァー改の車内では揺れが激しくなり、きしむ音も大きくなりだしている。
「根性で押せ!!」
「はい!」
「気持ちは分かるけど、意味無いですから!」
八九式の車内では、磯辺と佐々木が砲塔内部の壁を押すが、意味は無い。
まぁ気持ちは分からんでも無いが・・・・
「撃てっ!!」
西住の合図と共に五十鈴は引き金を引き、マウスの車体後部にあるスリットの下にあるモーターに着弾し、一回爆発が起こって煙が上がる。
しばらくしてマウスの砲塔より、白旗が揚がる。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「凄い!マウスを仕留めました!」
マウス撃破にオレンジペコは驚きの声を上げる。
「私たちも今度やってみようかしら、MK.Yで・・・・」
「それはさすがに無理があるのではありませんか?」
ダージリンの呟きに、セシアは突っ込みを入れる。
「あのマウスを討ち取った!」
「・・・・・・」
中須賀は驚きのあまり席を立ち上がり、神楽はフッと軽く笑う。
「無茶苦茶な方法だけど、悪くは無いわね」
「え?」
中須賀は思わず振り返る。
「W駆かT28あたりなら、出来そうね」
「え、えぇと・・・・・じょ、冗談でしょ?」
「えぇ。もちろん冗談よ。そもそも、我が校にあるT28か、オブイェークト704、ISU-152、シュトゥーラー・エミールを使えば、マウスに対抗は出来るわ」
「・・・・・・今思えば、うちの学校って、試作車輌の類が多いですよねぇ。中には激レアなものだってあるし」
「今更思ったの?」
「・・・・・・」
「まぁ、否定は出来ないわね。一部を除けば、うちの戦車は癖の強い試作車輌が殆どだから」
ため息に近い形で、彼女は深く息を吐く。
「マウスが!?」
ありえない報告に逸見は驚きを隠せれなかった。あの超重戦車が大洗の戦車によって撃破されたのだから、無理も無い。
「っ!市街地に急げ!」
すぐに気持ちを切り替え、各車輌に通達する。
(とんでもない連中だな。あのマウスを狩るとはな)
無線傍受してマウス撃破の報告を聞いた斑鳩は息を呑む。
(これは・・・・余裕が無くなって来たな)
少なくとも、斑鳩の表情に焦りが見え始めた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヘッツァー改はポルシェティーガーに引っ張られてマウスの下から引っ張り出される。
「クジラチーム。車輌現状を報告!」
『二番副砲損壊。右側履帯も破壊されて、少し車体と砲塔正面が歪んでるけど、履帯を直せばまだ動けるよ』
「どのくらいかかる?」
『精々20分か30分ぐらいで済むよ』
「なるべく急いでくれ」
『了解!』
『こちらキツネチーム。黒森峰本隊はすぐそこに迫っている』
「了解。こちらもすぐに行動を開始します」
そうして全車は旋回し、市街地の奥へと走る。
しかしその直後にヘッツァー改は鈍い音と共に停止し、エンジンから煙が上がって、白旗が揚がる。
「っ!」
西住はヘッツァー改をとっさに見る。
(やはり、無理があったか)
180t以上もあるマウスの下にいたのだ。ただで済むはずが無い。
「よく頑張ったな、ここまで」
「うん・・・・」
「我々の役目はここまでだな」
と、ヘッツァーのハッチが開かれ、煤を被った三人が出てくる。
「すみませんでした」
西住は深く頭を下げる。
「謝らなくていいよ」
「お前の策のお陰で、マウスを撃破出来たのだ。我々の犠牲ぐらい、安いものだ」
「・・・・・・」
「後は任せたよ、西住ちゃん!」
「頼んだぞ!」
「ファイト!」
「・・・・・・はい!」
西住達は角谷会長達に頭を下げ、すぐに行動を開始した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「こちらは十一輌。向こうはあと十三輌です。ですが、フラッグ車はどちらも一輌です!」
西住達は市街地を走りつつ、勝敗を決める作戦の最終確認を行う。
「向こうの狙いは、フラッグ車である私たちあんこうチームです!皆さんは出来る限り敵を分散してください!」
『了解!』
『あのナチ公共に一泡吹かせてやるぜ!』
と、五式を筆頭に、四式、三式、九七式、八九式の順に並び直してW号の左を並行する。
「我々あんこうは敵フラッグ車との一対一の戦闘に持ち込みます。レオポンチームとゾウチームの協力が不可欠です!」
『心得た!』
『燃えるねぇ!』
『任された!』
「前方はもちろんですが、後続のヤークトティーガーや、特にエレファントの火力には十分注意してください!」
『隊長!後続の方は任せてもらえますか!』
「お願いします!」
『よっしゃ!!』
『やったるぞ!!』
「それでは最後の作戦!『フラフラ作戦』を開始します!!」
そして最後の対決が、幕を開ける。
「ネズミチーム、アヒルチーム、タカチーム、アリクイチームに通達!」
如月はこちらでの最後の確認を行う。
黒森峰の戦力を分散させる為に、五式、四式、三式、九七式、八九式の五輌での特別小隊には、一つの意味を持つ。
話は変わるが、そもそも日本戦車は史実で活躍が少なく、技術的に未熟だったので、最弱と言うイメージが結構強い。それに対してドイツ戦車は、大戦時中に名を馳せたティーガーやパンターなどの戦車が多く、最強のイメージが強い。
なので、向こうは日本戦車と高を括って慢心しているところだろうが、それを逆手に取る。
着弾箇所にもよるが、日本戦車ではドイツ戦車を撃破するのは難しい――――
・・
――――が、決して砲撃だけが撃破方法とは限らない。
「我々の目的は敵戦力を分散させることだ。思う存分相手を挑発してやれ!」
『ヒャッハー!!任せな!人を苛立たせるのは得意でな!』
『了解です!生まれ変わった八九式の力!次こそ見せてやります!』
『了解!大和魂を見せつけてやるデース!』
『了解ずら!』
「よし!では、行くぞ!!」
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『戦車道』・・・・・・伝統的な文化であり世界中で女子の嗜みとして受け継がれてきたもので、礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸。そんな戦車道の世界大会が日本で行われるようになり、大洗女子学園で廃止となった戦車道が復活する。 戦車道で深い傷を負い、遠ざけられていた『如月翔』もまた、仲間達と共に駆ける。 |
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