真・恋姫無双 雌雄の御遣い 第二十四話
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〜一刀視点〜

俺達は劉璋に雅様の書状を出すと同時に、黄忠と厳顔の居城へ旅人に扮した兵を数人送る

その兵達は今回の件の噂を各城(街)で流す

放っておいても噂は流れるだろうがなるべく早く噂が広がるようにする為だ

これだと成都迄の距離の方が長い為、劉璋の返事より先に噂が流れることになるがそんな事は無視する

兎に角、時間が惜しい

 

10日後、劉璋へ送った兵が帰還した

「劉璋は此方の書状に対して、事実無根の理由で罷免される謂れはない との返答でした」

これは予想通りだった

一方で流布した噂については充分に広まっているようだ

黄忠達の説得に向かう事にした

此方で弱味を作って置いて説得と言うのは決して褒められたやり方では無いのは分かっている

だが、犠牲を減らし、有為の人材と共にこの地を治める為には仕方が無い

 

俺達が連合に攻められた時とは完全に違う

俺達は悪政を行っていなかったが、劉璋は行っている

故に攻められる、いや付け込まれる事になったのだ

 

黄忠を説得に行く人を話し合う時に俺が

「これは、俺と鞘姉が行くしかないよ」

と言うと皆が俺の怪我が完治して無い事を理由に反対してくるが

「『天の御遣い』の虚名を使う

 益州の新しい州牧は皇帝陛下の信を受けた『天の御遣い』だと示すんだ」

俺の言葉に鞘姉が

「もうこの議論はおしまい

 結論は一君の案を採用

 こうなったら一君は絶対意見を変えないから

 本当に変な所で頑固なんだから」

この言葉に皆も渋々納得してくれた

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〜黄忠視点〜

「これはまずいわね」

私は街の噂に悩んでいました

皇帝陛下の州牧罷免の命を劉璋様が拒否した、という噂です

劉璋様が善政を行っていたならばその噂を放っておいても民は私達についてくれるでしょう

だが、現実は真逆なのです

おまけに噂には続きがあって

「皇帝陛下は新しい州牧に『天の御遣い』様を就けなさるおつもりだ」

と云う物です

私が何とか被害を最小限にしているとはいえ劉璋様の悪政にこの城(街)の民も苦しんでいました

そこに『天の御遣い』が州牧になると聞けば民が期待するのは当然です

こんな時に北郷軍に攻められたならば戦の最中に民が蜂起する事も考えられます

噂の広まりが早い事を考えると彼方の策略の可能性もありますがそれは考えても無駄な事

考えるのは対処であり原因ではありません

そんな時に

「紫苑様、お久しぶりです」

やって来たのは魏延 真名は焔耶でした

「焔耶ちゃん、急に何かあったの?」

彼女は厳顔 真名は桔梗の配下です 一体何故ここに来たのか聞くと

「桔梗様の命令です

 北郷軍が攻めて来るならば紫苑の居城が先に攻められる筈

 儂は城主なので動けぬがお主が代わりに紫苑を助けてやれ

 との命令で参りました」

桔梗らしい配慮ですね

「承知したわ

 戦になったら貴女にも働いてもらうからそのつもりで」

「は、敵がどれだけ来ても蹴散らしてご覧に居ます」

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〜鞘華視点〜

二人で城を出立してその日の夜 私達は並んで焚火の傍にいた

「一君、体は大丈夫?」

「戦闘にならない限り大丈夫だよ

 鞘姉は心配性すぎるよ」

一君は笑って答えるが心配するのは当然でしょ

「一君、前に一君が春蘭を助けた時にも言ったけどもっと自分を大切にして!

 誰かを助けても代わりに一君が傷ついても良いって事は無いんだよ」

声を荒げそうになったが途中から静かな口調に戻して諭すように言った

「俺も死にたくないから命を懸けて なんて考えないよ

 でも、自分の身近な人の命を助ける為なら俺が傷ついても とは考えちゃうよ」

一君の言葉に呆れるやら、感心するやら、惚れ直すやら

私は自分の頭を一君の肩に預ける

「あ〜あ、何でこんな人を好きになっちゃったんだろう」

一君にも聞こえる声で言う

私の間接的な告白だ

その私の告白に対して一君の取った行動は私の肩を抱き寄せる事だった

こうしてその夜は更けて行った

 

次の日、私達は黄忠の居城に着いた

一君の

「これ以上の策は相手の心証を悪くするだけだ」

と言う意見を採用して正面から面談を申し入れるとすんなり会ってくれた

 

「初めまして私が此処の城主 黄忠です」

「俺は北郷一刀」

「私は北郷鞘華よ」

黄忠は妙齢の女性だが凄い色気を持っていた

孫呉の巨乳五つ星にも勝るとも劣らない巨乳の持ち主だった

一君、色香に惑わされないでよ

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〜一刀視点〜

「黄忠さん、単刀直入に言います

 俺達に力を貸して下さい」

「力を貸す、とは貴方達に降って配下になれ という事ですか?」

俺は黙って頷く

「ふざけるな、何故我等がお前達の配下にならなければいけないんだ!」

隣に立っていた魏延が激昂する

「貴方達の落ち度は劉璋の悪政を止められなかった事です

 そして俺達に降った方が良い理由は一つ目は劉璋より俺達の方が良い政が出来る事

 二つ目は既に群雄割拠に突入したこの国を統一し、乱世を終わらる これが理由です」

俺の言葉に黄忠は少し驚いた表情をした

「随分な大言壮語ですね

 貴方達がこの乱世を終わらせたとしてどんな国造りをするつもりですか?」

「経済を発展させる方策はあります

 詳細の説明は今は省きますが河内の相の時に成果は実証済みです

 それと並行して国営の学び舎を設立して民の多くが読み書き計算が出来るようにしていきます

 その結果として民が国に頼るだけでなく、自分で未来を切り開ける そんな国を造るのが目標です」

黄忠は考え込んでいる 俺の言葉を吟味しているのだろう だが

「お前は口先三寸で我等を誑かすつもりか!

 大層な事を言っていたがそれを証明して見せろ!

 私と仕合をしてお前等が勝ったならば最低限認めてやる!」

魏延の言葉に

「そうですね 私も武人の端くれ

 実際に手合せすれば相手の心根が少しは分かります

 だから貴方達に仕合を申し込みます その上で判断させてもらいます」

俺達に拒否すると云う選択肢は無かった

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〜あとがき〜

 

この時点で一刀の怪我は完治していません

意識を取り戻してから10日しか経っていませんから

だから皆が心配しているのです

 

鞘華が間接的に とは云え一刀に告白しました

これまで作中で鞘華は自分だけでなく他の娘の心情を語る時にも「好き」とか「愛してる」

と言った直接的な表現を使っていません

しかし今回初めて使いました

 

紫苑は思慮深いですがやはり武官なので武によって判断する と言う所は有るでしょう

そう思いこの展開になりました

 

更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです

 

 

 

 

 

 

 

 

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タグ
真・恋姫無双 北郷一刀 紫苑 

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