英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜双龍橋・中央区画・司令官室〜
「ば、馬鹿な……」
自分達の”切り札”と言ってもおかしくない軍用魔獣が撃破された事に司令官は信じられない思いでリィン達を見つめていた。
「よし―――!」
「はあはあ……やった……!」
「敵の全滅を確認。」
「フン、他愛ない。」
勝利にリィンとエリオットが喜んでいる中、アルティナは静かな表情で呟き、バルディエルは鼻を鳴らし
「エリオット、みんな……」
フィオナは嬉しそうな表情でリィン達を見つめていた。
「さあ……!大人しく剣を捨てなさい!」
「!待って!まだいるわ……!」
「!生体反応を確認。先程の魔獣と同じタイプですね。」
「ぐぬううっ……!まだだ!まだ終われるものかっ!」
サラ教官が警告したその時何かに気付いたゲルドとアルティナが警告し、唇を噛みしめた司令官が片手を挙げて何かのスイッチを押すと反対方向の壁が地面へと下がり、そこからリィン達が倒した魔獣達と同タイプの魔獣が2体現れた!
「あっ……!」
「あ、新手……!?」
「くっ……まだいたの!?」
新手の登場にエリオットとエリスは不安そうな表情をし、サラ教官は唇を噛みしめた。
「いい加減にしろ!これ以上は無意味なはずだ!」
リィンは司令官を睨んで警告し
「う、うるさい!お前達こそ降伏するがいい!この平民の娘を剣の錆にしたくなければ―――」
司令官はリィン達を睨んで負け惜しみを言った。
「いい加減にするがいい!」
するとその時逞しい声が聞こえ、声が聞こえた方向に視線を向けるとそこにはリィン達やフィオナにとって見覚えのある金髪の軍人がいた。
「え――――」
「あ……!」
「まさか――――」
第三者の登場にフィオナやリィン達が驚いている中、軍人は魔獣達に一気に詰め寄って、剣を振るった!
「はあああああっ!!」
軍人の一撃により魔獣達は一瞬で大ダメージを受け、消滅した!
「なああああっ……!?」
それを見た司令官が驚いたその時
「――――おおおおおっ!!」
「ぎゃんっ!!」
軍人は司令官を殴り飛ばし、壁にぶつかった司令官は気絶した!
「あ……」
その時緊張が解けたフィオナは床に崩れ落ちた。
「ね、姉さん!」
「あ、貴方は……!?」
「――――ナイトハルト教官!?」
「久しいな、お前達。」
軍人―――ナイトハルト少佐はリィン達へと振り向くと腕を組んだ。
「だが、すでに私はお前達の教官ではない。”少佐”とでも呼ぶがいい。」
「まったく、美味しい所を持っていってくれますこと。お久しぶりです。ナイトハルト少佐。」
「君もな、サラ教官。」
サラ教官は苦笑しながらナイトハルト少佐に話しかけていると、エリオットはフィオナに駆け寄った。
「姉さん、大丈夫!?」
「ふふっ……ええ、平気よ。どこも痛いところはないわ。」
立ち上がってエリオットに微笑んだフィオナはエリオットを抱きしめた。
「わわっ……」
「……ありがとう、エリオット。助けに来てくれて……今まで無事でいてくれて……本当に……本当にありがとう。」
「姉さん……グス……よかった……本当によかったよ。」
姉の温もりを感じたエリオットは安堵による涙を流した。
「Z組のみんな……サラさんに、ナイトハルト少佐も。ありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか……」
「はは……ご無事でよかったです。」
「ふふ、お礼に今度またピアノを聞かせてちょうだい。」
「フフ、じきにこの砦も中将閣下が制圧するだろう。とりあえずは一段落、だな。」
こうして”双龍橋”の攻防は最小限の戦闘をもって幕を閉じ……リィン達は無事、フィオナを救い出すという目的を達成した。
その後、第四機甲師団は”双龍橋”を占拠することとなり……この地の領邦軍は、いったんバリアハート方面へと撤退した。しかし――――
〜メンフィル帝国軍・ケルディック地方・双龍橋方面国境防衛地点〜
「クソッ!第四機甲師団め……!この屈辱は必ず返してくれる……!」
シュピーゲルに乗って部下達と共にバリアハート方面へと撤退する領邦軍の司令官は唇を噛みしめた。するとその時砲撃が領邦軍の前に放たれた!
「なっ!?一体なん―――――!!」
突然の出来事に驚いて立ち止まったシュピーゲルが視線を向けるとそこにはサフィナ率いるメンフィル帝国軍が領邦軍の撤退先を塞ぐかのように展開していた。
「メ、メンフィル帝国軍!?」
「ケルディックの防衛部隊か……!」
「ケルディックは都市でもないのに、何であんなに大勢いるんだ……!?」
「し、しかも”機甲兵”まで所持しているだと!?」
メンフィル帝国軍の登場に領邦軍の兵士達は驚いたり表情を青褪めさせた。
「――――領邦軍!これより先はメンフィル帝国領だ!貴様らのメンフィル帝国領の通過は認められていない!双龍橋に戻るがいい!それとも我らと剣を交えてでも通過をするつもりか!?ならば容赦はせんぞ!」
飛竜に騎乗するサフィナはメンフィル軍を代表して領邦軍を睨んで警告し
「グッ………!?双龍橋は賊軍に占領された為、我らはバリアハートに撤退しているだけだ!貴国と剣を交えるつもりはない!貴国に危害を加えない事をこの場で確約するゆえ、通過の許可を頂きたい!」
サフィナの警告に唸った司令官はサフィナを見つめて叫んだ。
「宣戦布告もせず、我が国の領であるユミルに2度も襲撃した者達の言葉を我らメンフィルが信用するとでも思っているのか!?――――これが最後の警告だ!大人しく双龍橋方面へと後退せよ!さもなくば、我らメンフィルはケルディックの民達を護る為に貴様らを今この場で殲滅する!」
「グググググ……ッ!」
サフィナの警告を聞いた司令官は唇を噛みしめ
「そ、そんな……!?」
「後退したら第四機甲師団が待ち構えているんだぞ……!?」
「ど、どうすればいいんだよ……!?」
領邦軍の兵士達は表情を青褪めさせた。
「ぐ、ぐぐぐぐっ……!第四機甲師団といい、学生どもといい、誇り高きクロイツェン領邦軍である我らを愚弄しおって……!しかもこの私が頭を下げているにも関わらず、頼みを聞かないだと……!?―――総員、これよりメンフィル軍を突破し、バリアハート方面へと撤退せよ!戦う必要はない!ただ、突破するだけだ!」
その時シュピーゲルの操縦席の中で唇を噛みしめて身体を震わせていた司令官は指示をし
「し、司令!?」
「そ、そんな……!?あの大軍を突破するなんて、無理だ……」
指示を聞いた領邦軍の兵士達は信じられない表情をした。
「……正規軍か私達のどちらかに降伏して生き延びるという手段があったというのに、愚かとしかいいようがないですね。―――総員、戦闘開始!これよりケルディックの防衛並びに領邦軍の殲滅を開始する!一人足りとも後ろに通すな!」
一方呆れた表情で呟いたサフィナは領邦軍を睨んで両手にそれぞれ持つ双鎌の片方を空へと掲げて号令をかけ
「オォォォオォォォオオオオ―――――――ッ!!」
サフィナの号令にはそれぞれの武器を空へと掲げて辺りを轟かせる勇ましい雄たけびを上げたメンフィル兵達は領邦軍との戦闘を開始した!
そして1時間後、領邦軍の追撃をしていた第四機甲師団が到着するそこにはメンフィル軍によって虐殺された領邦軍の兵士達の死体や、装甲車と機甲兵の残骸があたり一面に散らばっていた!
と言う訳で撤退した双龍橋のクロイツェン州の領邦軍はメンフィルによって虐殺されましたwwユミルを襲撃したツケの一部がここにきて効果を発揮していますww
説明 | ||
第436話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
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コメント | ||
本郷 刃様&kanetosi様 今まで勝ち続けたから降伏という手段を思いつかなかったのでしょうね(sorano) プライドに縛られて命を落とすのは愚の骨頂だな。何があっても命だけは持っていれば後々にできることもあるのに・・・(kanetosi) ケルディックにはサフィナがいますからね〜w 大人しく双龍橋に戻って第四機甲師団に降伏していれば命だけは助かったものを・・・(本郷 刃) |
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