英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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〜ケルディック〜

 

「フフッ、久しぶりだね。」

カレイジャスに戻る為に仮説空港に向かおうとするリィンは自分に声をかけた人物の方へと振り向くとフードの男がリィンに近づいてきた。

「あ、あなたは……!」

フードの男を見て双龍橋での出来事を一瞬で思い出したリィンは血相を変えた。

 

「どうやら覚えてくれていたようだね。光栄だよ―――リィン・シュバルツァー君。」

リィンの反応を満足げな様子で見たフードの男は口元に笑みを浮かべた。

「俺の名前を……貴方は……一体、何者なんですか?俺達や少佐を陰ながら助けてくれたようですが……何が目的なんですか?」

リィンは警戒した様子でフードの男に問いかけた。

「フフ………そう焦るものじゃない。今こそ、私の正体を明かすとしようじゃないか――――」

「え……」

そしてフードの男はフードを取り、素顔を顕わにした!

 

「ジャジャ、ジャ〜ン!なんと、正解はこの私だったのでした〜!」

フードの男――――トマス教官は笑顔を浮かべてリィンを見つめて言った。

「ト、ト、ト……―――トマス教官っ!?」

予想外の人物の登場に口をパクパクさせたリィンは信じられない表情で声を上げた。

 

「こんにちは、リィン君。うふふ、元気にしてましたか〜?」

トマス教官は陽気な口調でリィンに話しかけた。

「ど、どうしてこんなところにトマス教官が!?いや、そもそもなんで変装を……!?」

「いやー、実は少し前から私も士官学院を出ていまして〜。教官だとバレたら色々と面倒そうだったのでしばらく変装してたんですよ〜。アハッ、意外と気付かれないものですね♪」

「な、何が何だか……じゃあ、双龍橋で俺達にヒントをくれたのは……」

トマス教官の話を聞いて脱力したリィンはある事を思い出した。

 

「ええ、騒ぎにならないようコッソリとお手伝いしたくって。それでは、私もカレイジャスにぜひ案内してください〜。これからバンバン、皆さんの力にならせてもらいますから〜。」

「ええっ!?いきなりですか!?ま、まあ、力を貸してくれるなら心強いですけど……」

こうして、リィン達はケルディックで新たな仲間と協力者を迎えつつ……そのまま再び帝国各地の状況を確かめるために出発したのだった。

 

12月19日―――――

 

〜カレイジャス・ブリッジ〜

 

「さすがはカレイジャス!どこを見ても素晴らしいですね〜!いや〜、私も前々から乗ってみたかったんですよ〜!」

「あー、そうですか………」

興味津々な様子で周囲を見回すトマス教官の言葉を聞いたサラ教官は疲れた表情で答え

「え〜と、シグルーン中将閣下でしたか?後でペガサスを見させて頂いてもいいでしょうか〜?”聖獣”とも称されている伝承上でしか存在しない天馬(ペガサス)をいつかこの目にしたいと思っていたんですよ〜!」

「フフッ、別に構いませんけどペガサスはその背に乙女しか乗せませんから、男性であるトマス殿は乗れませんわよ?」

「おお〜!そこは伝承通りなんですね〜!いや〜、ますますペガサスを見るのが楽しみになってきました〜!」

更に自分にまで話を振られたシグルーンは苦笑しながら答えた。

 

「し、しかしあのフードの男がトマス教官だったとはな……」

「あはは……さすがにビックリしたよね。」

「わたしも全然気付かなかった。」

「フードを被って素顔を隠していたのもそうですが、声も若干変えていましたから、普通なら気付きませんわ……」

「ポワンとしている割には意外な才能があるわね……」

フードの男がトマス教官だと知ったマキアス達がそれぞれ驚いている中、セリーヌは呆れと同時に感心した様子でトマス教官を見つめていた。

 

「でも、どうしてトリスタを離れられたんですか?」」

「実は、ヴァンダイク学院長からお願いされましてね〜。各地に散った学院生たちの様子を確かめていたんですよ〜。困っている学院生がいたらそれとなく助けたりとか。」

「そうだったんですか。」

「わたしやジョルジュ君も学院長のおかげでみんなと合流できたけど……」

「……つくづく、オレたちは多くの人に助けられているんだな。」

「ああ……実感してしまうな。」

「フフ、ちゃんと心に留めておくことね。」

ガイウスとリィンの言葉を聞いたサラ教官は口元に笑みを浮かべた。

 

「ともかく、双龍橋の一件は何とか解決することができた。これから再び各地での情報収集を始めるとしよう。」

「ああ、そうだな。新たに双龍橋に降りられるようになったけど……各地の手伝いもしつつ、今までの場所でもあらためて情報を集めたほうがよさそうだ。」

「かいちょー、また依頼とかは入ってるの?」

「うん、皇子殿下から届いているから確認してみて。」

その後端末で依頼を確認したリィン達は帝国各地を回って依頼の消化や学院生達との合流を開始した。一方その頃最後のはぐれた仲間であるエリィ・マクダエルと共にマクダエル議長を救出したロイド達はマクダエル議長のある提案に乗る事にし、更にその提案の為に必要な人物―――リウイ、ヴァイス、ギュランドロスを一時的にメルカバに乗船してもらっていた。

 

〜同時刻・メルカバ〜

 

「なるほどな………」

「俺達にとっても願ってもない話だ。感謝するぜ、マクダエル議長!」

「………現状では最高の策だな。」

マクダエル議長から具体的な事を聞かされたヴァイスは静かな笑みを浮かべて呟き、ギュランドロスは不敵な笑みを浮かべ、リウイは感心した様子でロイドを見つめていた。

 

「しかし………政治の世界から本当に引退されるのですか?議長には色々とお世話になった上、政治家としても申し分ない能力をお持ちですから我々が新たなクロスベルを建国した暁にはかなり上の地位に着いてもらおうと思っていたのですが。」

マクダエル議長が政治の世界から引退する話を思い出したヴァイスは意外そうな表情で尋ねた。

「フフ、私のような老いぼれでは若い君達や生まれ変わろうとしているクロスベルの足かせになってしまうよ。私はこのクロスベルをどのように創り変えるのか一人の”民”として………そしてかつてのクロスベルの政府代表として見守り続けよう。―――それと………リウイ陛下。『クロスベル帝国』との同盟の件……よろしくお願いします………」

ヴァイスに尋ねられたマクダエル議長は苦笑した後静かな笑みを浮かべて答えた後リウイに会釈をし

「……承った。クロスベルを含めたゼムリア大陸に生きる民達の事は俺達に任せておけ。」

リウイは”覇気”を纏って答えた。

「おじいさま……………」

「………わかりました。議長の英断と引退を無駄にしない為にも我々の力で必ずやこのクロスベルを繁栄させて頂きます。」

「おう!リウイの言う通り、後は俺達に任せときなっ!」

エリィが複雑そうな表情で見つめている中、マクダエル議長の決意を受け取ったヴァイスは敬礼し、ギュランドロスは力強く頷いた。

 

「フフ、ありがとう。それと――――勿論”民”達を考えた政治をして下さい。――――貴方達がいずれ侵略する全ての地域の人々もできるだけ差別しないような政治を。」

二人の答えを聞いたマクダエル議長は微笑んだ後、真剣な表情で3人を見つめて言った。

「――――元メルキア皇帝、ヴァイスハイト・フィズ・メルキアーナ。」

「――――元ユン・ガソル国王、ギュランドロス・ヴァスガン。」

「―――前メンフィル皇帝、リウイ・マーシルン。」

するとその時ヴァイスとギュランドロス、リウイはそれぞれ”覇気”を纏って静かな口調で名乗り上げてそれぞれの鞘から剣を抜いた後剣を天井に向かって掲げ

「「「我が”覇道”に”民”をないがしろにしない事をここに誓うっ!!」」」

それぞれの剣の刃を合わせて宣言した!

 

「………まさかこれほどの”覇王”が3人も同じ世代に存在し、共に協力し合うとはな………」

それを見たツァイトは驚きの表情で呟き

「ヴァイスハイト局長、ギュランドロス司令、リウイ陛下の3人の誓い……う〜ん、本当に絵になるわ♪」

「ハハ……下手したら後に歴史に残るかもしれませんね。」

グレイスはその様子をカメラで写真を取りながら口元に笑みを浮かべ、ロイドは苦笑し

「マジでそうなりそうなのが笑えねえよな………」

ランディは疲れた表情で溜息を吐き

「フフ、その”誓い”の”場”を提供したこの”メルカバ”も有名になりそうだねえ?」

ワジは興味深そうな表情をし

「――――ありがとうございます。腐敗した政治を見続けた最後に貴方達のような”王者”に出会え、後を託す事ができて幸運でした。」

マクダエル議長は目を伏せて頭を下げた。

 

その後ロイド、エリィ、ティオ、ランディ、キーアはそれぞれが準備をしている中、甲板で集まっていた。

 

説明
第445話
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コメント
K’様 エイドスはマジで驚くでしょうねww 本郷 刃様 さて、いつになったら正体を明かすのやら(sorano)
今後でトマス教官が素の喋り方になることに期待ww(本郷 刃)
トマス教官・・・これからもっと驚きの出会いが待ってるでしょうから楽しみにしていてくださいね(リアンヌとかエイドスとか)(K')
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