真・恋姫†無双〜比翼の契り〜 二章第五話 |
徐州だ。誰がなんと言おうと俺達は徐州に着いた。
怖いぐらい順調な旅だったと言える。
まぁ細心の注意は払っていたし、青州の隣冀州を治めている袁紹は幽州へ進軍中。
助言をし身バレした、否、させたようなものか……件の公孫賛は袁紹の相手で手一杯。
それどころか徐州に入る少し前だったか、冀州から流れてきた商人から公孫賛が滅亡したという噂を聞いた。
商人自体も詳細を知っているわけではなく伝聞でしかないと言っていたが、それなりに信憑性のある筋からの情報だと息巻いていた。
公孫賛には特に思い入れのようなものはないが、おっさんがどうなったのかは少し気になった。
結果がどうあれおっさんが選んだこと、今更、だろうな。
想愁あたりは一番打ち解けていたからか何か情報はないか頑張って集めていたようだ。
結果は芳しくないみたいだったが。
結局、幽州でのことは公孫賛が滅び袁紹が後釜に付いたということ以外は分からず仕舞いだ。
……公孫賛滅亡もあくまでも伝聞による噂だがな。
徐州に着き、俺達の前に立ちはだかったのはとてもとても深刻な問題だった。
「徐州は幽州、青州に比べれば遥かに土地が豊かですね。それに民達の表情も笑顔が多い」
現状を理解すべく俺達は借りている宿の一室で小さな机を囲み会議をしている。
といっても参加している者は基本的に文官勢。
詠、茉莉、莉紗、音々に俺を含めた五人だ。
残りの者達は寝ているかこちらの様子を眺めているか自己鍛錬をしているか。
ただし顔が割れているいないに関わらず、勝手に宿から出ることは自重してもらっている。
「物価も軒並み朝廷の平均を下回っていますし、交通の便も良い」
莉紗の言う通り、確かに物価は安い。都会だと百円するものがこっちだと九十円かそこらで買えるぐらいには。
どちらかというと洛陽の周辺が異様に高かったんだとは思う。宦官も含めて月が来るまでは私腹を肥やすためにやりたい放題だったからな。
「……だというのに、今私達の手元にある路銀は全員からかき集めたとしてもこれだけです」
皆の財布、つまりは俺達の会計係を担っている茉莉が机に広げたのは、俺達の本当の意味での全財産。ジャラジャラではなくコト、コトと静かに音を立てて一つずつ乗せられていく。
主に俺と茉莉、月と詠が事前に洛陽から持ってきていた路銀だ。それなりにまとまった額があったはずだが、今では雀の涙ほどしかない。
「……ここからさらにここ一週間分の馬の餌代を抜くとこうなります」
そう言って茉莉は机にあった全体の三分の二ぐらいを削った。
残ったのは三分の一。
「……今夜は各人が抑えればなんとかなりますが、正直明日の朝は饅頭一つずつ、昼からは飢えしかありません」
どれだけ大軍がいようと戦い抜くだけの意志があったというのに、その一言は俺達の心を深く抉った。
それほどまでの大問題だった。
早急に対策を講じねばなるまい。
皆の意識は一つに纏まり、行動は迅速に行われることとなった。
「では、梟らは各自全力を挙げて情報収集。とりあえずなんでもいい。人の手を必要としている人を探してくれ」
「あい!」
「あいよ」
「任せな」
「「はっ!」」
愛李、想愁、烈蓮を含む梟のメンバーが揃って返事をし走り去っていくのを見届ける。
次だ。
「詠と月は宿のおばさんを手伝ってくれ。何か困ったことがあれば俺か茉莉に言ってくれれば対応する」
さっきおばさんとすれ違った時、独り言だと思うが「……困った」みたいな事を言っていたのを思い出し詠と月に伝える。
愛李と談笑できたほどの人物だ。
そうそう悪いようにはされないだろう。
月の見た目からして無茶な要求もされない、はずだ。
ここに華雄を付けたら力仕事に早変わりするんだろうが。
「音々は恋を抑えておいてくれ」
「お、抑えるとは……」
最も危険なのは空腹の恋に食べ物を((強請|ねだ))られることだ。
未だかつて彼女の眼力に抗えたものはいない。
俺も茉莉も既に被害に遭っている。
あれは無理だ。卑怯過ぎる。
だから、あまり頼りにしてはいないがなるべく音々に抑えてもらうことにした。
俺も茉莉も梟からの報告をその内容に見合った人物へと流さなくてはならない。
ある程度皆を把握していなければ出来ないことだ。
仕事を終え金が入るまで、要注意人物は金庫番の茉莉から離しておく必要があった。
「……手段は任せた。今日は二人だけで過ごしてもいい。頼んだぞ」
「何だか知りませんが、任せるのですぞ!」
ボソリと呟いた一言で音々は訝しげだった((表情|かお))から元気百倍! といった表情へと変わっていた。
単純だなー。
音々を華雄に任せ、今はまだ寝ている恋の部屋へと置いてきてもらう。
その間にもう愛李が戻ってきていた。
「報告。三軒隣の家で力仕事が必要」
力仕事か。なら決まりだな。
「戻ってきて早々で悪いが、華雄。愛李と一緒にその家に向かってくれ」
互いの名を呼んだ瞬間、二人の間で電撃が走った気がしたが、それも一瞬のこと。
「案内しろ」
「……お前が命令するな」
仲が良いのか悪いのか……いや、悪いか。愛李の方が一方的にだが。
愛李が華雄に聞こえるように文句を言ったがそのまま二人は出て行った。
愛李もあれで仕事はちゃんとこなす。
華雄は険悪な雰囲気に気付いていないようだったし、仕事はなんとかなるだろう。
その後も力仕事であれば華雄か恋を回し、単純に人手たりないところには詠や月、莉紗などを派遣して稼いでいった。
烈蓮からは力仕事の依頼が飛んでこないと思ったら、どうやら自分で解決しているらしかった。
確かに、元江東の虎様だ。荒事もなんのそのだろうな。
もしかしたら知恵を振り絞ることも出来たんだろうが、なんとなく、面倒だからやらなかったんだと思った。
ちなみに、恋は仕事をしながらも善意という名の食事を、行く先々で貰っていたらしい。
最初の頃は半分ほどを音々に渡していたらしいが、四軒目を超えた辺りで音々がギブアップ。
夕方頃には、ただ食べているだけで人を集めていたようにも思える。
その日だけで、恋が食べた量は俺達の三日分にも相当したとかなんとか。
……食道楽でも目指すべきだろうかと本気で思った一日だった。
【あとがき】
戦P〜っす!
……じゃない、おはようございますです。
九条でごぜうます。
別に、プレゼントが2つあってもいいのだろう?
ということでTINAMIでは本日2つ目のクリスマスプレゼントになります。
本文短くない? とか言っちゃダメなんだぜ。
ついさっきまで、TS予約しておいた戦Pチャンネルの第100回目を観ていました。
スタッフの皆様、本当にお疲れ様です。
明日、101回目の配信で今年のは最後とのことですが、最後まで楽しみですね!
さらに少し前になりますが、真・恋姫†英雄譚の情報も公開されましたね。
(URLは18禁なので控えます。詳しくはBasesonの公式HPを見て下さい)
一目見てなんだかマジ◯いAの商法に似てるなって思ったのは自分だけじゃないはず……。
発売時期が3ヶ月毎というスピードと既存作品のアフター的な立ち位置というのが気になるところですね。
延期しないだろうかとか、公開されていないキャラクター達とは深く(意味深)関わらないのかとか。
恋ちゃんは萌将伝に引き続き裏切られるのか!?(バンバン!
「真・恋姫†英雄譚4〜乙女艶乱☆三国志演義[他]〜」を激しく所望します!
どうでもいいですけど、艶乱ってエンランでいいんですよね?
それ以外に読めませんが……。アデランとかあり得ないよね……?
ついでに恋姫シリーズ 外史まとめサイトのご紹介をば。
URLはこちら → http://koihime.x0.com/
公式で挙げられた情報やら雑誌の情報やらが結構早い速度で更新されるサイト様。
誰が更新してるのかは謎ですが割と重宝しています。特典画像とかも保存されてますしね。
FAQと称したTwitterやらでバッジョさんらがポロッとこぼした話もあるので
知らない方はサイト全体を見るだけでも面白いかもしれません。
以上ステマじゃないステマでした!
さて、Twitterでフォローしてくださっている方は知っているかもしれませんが
真・恋姫†無想 Collector's BOX 無事にゲット致しました。
画像はこちら → http://urx2.nu/fAF1 (Twitterに挙げた画像のURLです。長いので省略してあります)
色紙の発送は締め切り後の来年9月下旬頃。先は長いですが楽しみが増えたということで満足してます。
同じゲームを二度買ったからといって後悔なんて無いんだぜ……。
なんとなく自分の休日である日曜と月曜に頑張ってしまえば
あと1話ぐらいは年内に更新出来そうです。
出来なかったら被お気に入りユーザー限定の公開で挨拶を書きます。
それでは今年も最後までお楽しみに!
(#゚Д゚)ノ[再見!]
追伸
一度エラー吐いて書いてた((全て|あとがき))が真っ白になった。
プレビューからコピペしたら本文がめっちゃくちゃ読みづらくなってた。
申し訳ない……。
今は問題ないはず。
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二章 群雄割拠編 第五話「その道でも彼女は最強です」 |
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