英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜ルーレ〜
「ここが”四大名門”の一つ―――”ログナー侯爵家”の本拠地である”ルーレ”ですか……なるほど、エレボニア帝国で随一の工業都市と呼ぶべき相応しい都市ですわね。」
「……大きな建物が一杯の街ね。」
「こちらに来るのは実習ぶりですわね……」
ルーレに入ったシグルーンとゲルドは興味ありげな様子で周囲を見回し、セレーネは静かな表情で呟いた。
「……なんだかあっさり入れてしまったな。」
「ええ、拍子抜けだわ。片方は明らかに怪しんでたみたいなのに……」
「ふむ、なにやらもう一人に助け舟を出されたようだったな。」
「何かの罠かとも思えないけど……ふむ、よくわからないわね。」
四大名門の本拠地であるルーレにあっさり入れたことにリィンやアリサ、ラウラとサラ教官は何か裏があると思い、真剣な表情で考え込んでいた。
「とにかく市内に入れたんだ。さっそく情報収集を始めよう。」
「ええ、アンゼリカさんや母様の行方を何とか掴んでみないとね。その後都市内を回って情報収集を始めたリィン達は店の中にいる学院生に気付き、声をかけた。
〜RFストア〜
「君達は……はは、久しぶりだね。」
「ヒューゴ!?無事だったのか……!ベッキーやロジーヌから行方不明と聞いて心配していたけど……」
平民の士官学院生―――ヒューゴと再会したリィンは驚きの表情になった。
「はは、その口ぶりだとベッキーたちも無事みたいだな。よかったら色々と話を聞かせてくれるか?」
リィン達はこれまでのことを大まかに説明しつつ情報交換を行った。
「そうか……ベッキーもカレイジャスに。やれやれ、あいつらしいな。」
話を聞き終えたヒューゴは自分が良く知る人物の性格を考え、苦笑した。
「ヒューゴのほうは、ちょうど商会の取引で来てたんだな?」
「”クライスト商会”……RFストアと取引のある帝都の商会だったわね。」
「ああ、ベッキーたちを逃がしたあと何とか実家に戻ったのさ。貴族連合の支配下にある帝都は、ある意味どこよりも安全だからな。」
「なるほど……逆の発想ですか。」
「ふむ、Z組以外で帝都出身ならたしかに実家が最も安全か。」
「ふう、さすがに強かだな。」
ヒューゴの話を聞いたシグルーンは感心し、ラウラは納得し、リィンは苦笑した。
「ただ、お前達も知っている通り帝都は以前メンフィル軍の襲撃を受けてな。幸いにも一般人には被害は出ていなかったそうだが、皇城は爆撃され、ドライケルス広場の中心地に建てられてあったドライケルス像も破壊された挙句領邦軍は相当な被害を受けたそうだ。」
「そ、それは…………」
「え、えっと……」
「……一般人に被害が出ていなかったのが不幸中の幸いね……」
「フフ、メンフィルは戦争の際は基本民達に危害を加えない方針ですので。」
ヒューゴの話を聞いたセレーネは辛そうな表情をし、言い辛そうな表情をしているアリサと真剣な表情のサラ教官と共に視線を向けられたシグルーンは微笑みながら答えた。
「そう言えば……貴族連合はメンフィル軍の爆撃によって瓦礫の山と化したバルヘイム宮の瓦礫を取り除く作業を重要視しているようだ。多くの作業員らしき人達が皇城跡方面を毎日何度も行き帰りしている所を見たし、帝都内でも瓦礫を取り除く作業の仕事を破格の給料で募集しているんだ。」
「え……」
「一体何の為かしら?」
「壊れたお城を早く直したいからじゃないの?」
「フム……その可能性は考えられるが……」
ヒューゴの説明を聞いたリィンは目を丸くし、サラ教官は考え込み、ゲルドの推測を聞いたラウラは頷いた後考え込み
「…………………………」
シグルーンは真剣な表情で黙り込んでいた。
「その……話を戻すけどアンゼリカさんや母の行方もやっぱり知らないのよね?」
「ああ、RFストアとは何度か取引をしているが……詳しい情報は今のところない。さすがに本社方面までは潜りこむこともできないしな。悪いな、役に立てなくて。」
「いや、おかげで帝都方面の状況も少しだけ整理できた。これからも帝都と行き来するならどうか気を付けてくれ。」
「ああ、君達も。ベッキーにもよろしく言っておいてくれ。」
そしてヒューゴと別れたリィン達は店を出た。
〜市内〜
「……どうやら”貴族連合”はバルヘイム宮の地下に封印されてある自分達にとって”切り札”となる存在を掘り出す事に必死のようですわね。」
店を出るとシグルーンは静かな表情で呟き
「え…………」
「き、貴族連合の”切り札”ですか?」
「……そういえばあんた達は”総参謀”であるルーファス卿に自白剤で色々と吐かせたって言ってたけど……それが何なのか、当然知っているのよね?」
シグルーンの言葉を聞いたリィンは呆け、セレーネは戸惑い、サラ教官は真剣な表情で尋ねた。
「ええ。バルヘイム宮の地下には貴族連合にとって切り札となる存在―――”緋の騎神テスタ=ロッサ”が封印されているとの事です。」
「なっ!?」
「”騎神”ですって!?」
「”騎神”……リィンが操縦するヴァリマールと同じ人形の事ね。」
「バルヘイム宮の地下に”騎神”が封印されてある等、初耳ですが……というか皇家の方々はご存知なのですか?」
シグルーンの説明を聞いたリィンとアリサは驚き、ゲルドは静かな表情で呟き、ラウラは戸惑いの表情でシグルーンを見つめて尋ねた。
「恐らくそれを知るのは現エレボニア皇帝であるユーゲント三世のみでしょうね。」
「じゃ、じゃあどうしてルーファスさんはその事を知っていたんですか?」
「――――貴族連合の”主宰”であるカイエン公爵。彼は”獅子戦役”でかつての”緋の騎神”の操縦者にしてドライケルス帝に敗れたオルトロス・ライゼ・アルノールの末裔だった為、バルヘイム宮の地下に”緋の騎神”が封印されてある事をカイエン公爵家に先祖代々伝えられていたとの事ですわ。」
「何ですって!?」
「カイエン公爵家があの”偽帝”オルトロス皇帝の末裔だと……!?」
「し、信じられない……!」
リィンの質問に答えたシグルーンの話を聞いたサラ教官は厳しい表情になり、ラウラとアリサは信じられない表情をし
「しかもかつての”獅子戦役”でも”騎神”が使われていたなんて……」
「……………………」
リィンは不安そうな表情をし、ゲルドは静かな表情で黙り込んでいた。
「その……シグルーン様。もしかしてメンフィル軍がバルヘイム宮を爆撃したのは貴族連合にとって切り札となる存在であるその”緋の騎神”を使えなくする為でしょうか?」
その時ある事に気付いたセレーネは複雑そうな表情で尋ねた。
「いいえ。元々バルヘイム宮の爆撃は帝都を襲撃する際に貴族連―――いえ、エレボニア帝国に対する”報復”として決まっていた事ですわ。バルヘイム宮が瓦礫の山と化した事で貴族連合は自分達の”切り札”が瓦礫の山で封印された事により、瓦礫の山を取り除いて地下まで埋まっている瓦礫も取り除かない限り”切り札”である”緋の騎神”は使用できないでしょうね。バルヘイム宮を爆撃した事で貴族連合の”切り札”が長期間使用できなくなってしまった事は正規軍や貴方達にとっても朗報なのでは?結社の技術を使ったとしても、瓦礫の山を片付けて地下深くに眠る”緋の騎神”の場所まで瓦礫を取り除くには相当な日数がかかる事は目に見えていますわ。」
「それは…………あれ?でも、その”騎神”の”起動者”はいるんですか?」
シグルーンの問いかけにリィンは複雑そうな表情をしたがすぐにある事に気付いて不思議そうな表情で尋ねた。
「”緋の騎神”は他の”騎神”と異なり、”アルノール家”の血を引く者でなければ動かせないとの事です。」
「”アルノール家”と言う事は……!」
「陛下達か……!」
シグルーンの話を聞いたアリサとラウラは血相を変え
「ええ。ただ話によるとオルトロスの末裔とは言え、既に血が薄くなっているカイエン公では起動できなかったらしく。予定ではセドリック皇子を利用するとの事ですわ。」
「何だって!?」
「セドリック皇子殿下を利用するだと!?」
「セドリック皇子……アルフィン皇女の双子の弟ね。」
更にシグルーンの口から出た驚愕の事実を聞いたラウラはリィンと共に厳しい表情をし、ゲルドは静かな表情で呟いた。
「……というかそんな重要な情報、何で今まで黙っていたのよ?」
サラ教官は厳しい表情でシグルーンに尋ねた。
「メンフィル帝国が手に入れた重要な情報をそう易々と他国―――それも”敵国”に教える訳にはいきませんでしたので。」
「?じゃあどうして今私達に教えてくれたの?」
シグルーンの答えを聞いたゲルドは不思議そうな表情で尋ねた。
「フフ……それはゲルドさん、貴女がメンフィルにとって重要な予言をされたとの事ですので、その報酬の一部としてゲルドさんの仲間である皆さんにも教えて差し上げたのですわ。」
するとシグルーンはゲルドを見つめて予想外の答えを口にした。
爆撃によって瓦礫の山と化したバルヘイム宮の地下深くに眠る緋の騎神を果たして約2週間で掘り出せるのか見物(みもの)ですねww幾ら”結社”の技術が凄いとはいえ、掘り出せる期間はたった2週間ですよ?(大爆笑)しかも時期的に言ってアルバレア公逮捕の直後あたりで”盟主”が死ぬ事は光と闇の軌跡でわかっていますしww盟主が死んだ事を知ったら、クロチルダ、完全に心がおられて原作の終章終了間際のカイエン公みたいになる気がしますww
説明 | ||
第448話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1575 | 1435 | 2 |
コメント | ||
K’様 まずそれ以前に機甲兵を土木作業に使うという考えが思いつかないんじゃないですかww機甲兵は兵器という考えの上柔軟な考えを持つルーファスも死にましたしww 本郷 刃様 まあカイエン公ならやりそうですね。ただその際騎神まで吹き飛ばされそうですがww(sorano) 掘り出すよりも瓦礫を吹き飛ばす方が早いとは思いますけどね・・・民達への配慮? カイエン公爵が気にするはずないでしょ(本郷 刃) 機甲兵を土木作業に使えば意外と間に合いそうですね。最も間に合ったところでリィンの使い魔達ならノーダメージで血祭りに出来そうですがwwwああでもどうせならリアンヌソロで蹂躙と言うのもカイエン公のリアクションが楽しそうだし・・・(K') |
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